「血友病」の記事一覧

血液内科 Journal Check Vol.6(2022年6月14日号)
血液内科 Journal Check Vol.6(2022年6月14日号)
再発難治性FL患者におけるAUMA-5試験とSCHOLAR-5試験の比較 再発・難治性の濾胞性リンパ腫(FL)に対するCAR-T細胞療法アキシカブタゲン シロルユーセルの有効性は、ZUMA-5試験で報告されている。長期フォローアップにおいても、その有効性は維持されており、SCHOLAR-5試験の実臨床データとの比較(傾向スコア法)においても、持続的な有効性が確認された。Blood誌オンライン版2022年6月9日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 日本における血友病インヒビター発症の臨床状態やリスク因子:J-HIS2研究 血友病患者の重篤な合併症であるインヒビター発症。これまでの研究では、治療や遺伝的要因がこれらの同種抗体と関連している可能性が報告されていたが、遺伝的背景や日本での治療法の違いなどに関連する臨床的特徴はよくわかっていなかった。Haemophilia誌オンライン版2022年6月11日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 日本人における肉、魚、脂肪酸摂取と非ホジキンリンパ腫との関係:JPHC研究 肉、魚、脂肪酸の摂取は、非ホジキンリンパ腫(NHL)と関連しているといわれている。大阪大学の下村良充氏らは、赤肉と飽和脂肪酸の摂取はNHLリスクを増加させ、魚と多価不飽和脂肪酸の摂取はNHLリスクを減少させると仮定し、検討を行った。The Journal of Nutrition誌オンライン版2022年6月8日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む CAR-T細胞療法後のDLBCL再発例の評価とマネジメントに関する実践ガイドライン調査:ASTCT委員会 米国移植細胞治療学会(ASTCT)実践ガイドライン委員会は、再発難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対するCAR-T細胞療法治療後のモニタリング、診断、マネジメントについての横断的調査をオンラインで実施した。Transplantation and Cellular Therapy誌オンライン版2022年6月4日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 東アジアの再発難治性多発性骨髄腫に対するIsa-PdとPd治療との比較 日本人を含む東アジアジアの再発難治性多発性骨髄腫患者を対象にイサツキシマブ+ポマリドミド+デキサメタゾン(Isa-Pd)とポマリドミド+デキサメタゾン(Pd)の有効性・安全性の比較が行われた。Clinical Lymphoma, Myeloma & Leukemia誌オンライン版2022年4月8日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 血液内科 Proへ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら 血液内科 Journal Check Vol.5(2022年6月7日号) 血液悪性腫瘍患者における予防的トラネキサム酸:プラセボ対照RCT ≫その他4本 血液内科 Journal Check Vol.4(2022年6月1日号) 日本人再発難治性LBCLに対するCAR-T細胞療法liso-cel~第II相臨床試験 ≫その他2本 血液内科 Journal Check Vol.3(2022年5月24日号) 再発難治性多発性骨髄腫のサルベージ療法におけるDVdとDRdの比較 ≫その他4本 血液内科 Journal Check Vol.2(2022年5月17日号) 大細胞型B細胞リンパ腫患者におけるCAR-T療法に対するブリッジング療法の影響~メタ解析 ≫その他2本 血液内科 Journal Check Vol.1(2022年5月10日号) 血液悪性腫瘍または造血細胞移植患者におけるCOVID-19管理に関する推奨事項 ≫その他2本
男性における血友病の有病率および出生時有病率の確立。全国登録によるメタ分析的アプローチ。
男性における血友病の有病率および出生時有病率の確立。全国登録によるメタ分析的アプローチ。
Establishing the Prevalence and Prevalence at Birth of Hemophilia in Males: A Meta-analytic Approach Using National Registries Ann Intern Med 2019 Oct 15;171(8):540-546. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】血友病の有病率には大きなばらつきが観察され、疾病負担の確実な推定を妨げている。 【目的】血友病の有病率と出生時の有病率、および関連する寿命の不利益を推定する。 【デザイン】登録データのランダム効果メタ分析。 【設定】オーストラリア、カナダ、フランス、イタリア、ニュージーランド、イギリス。【参加】男性血友病AまたはB患者。 【測定】男性人口に対する症例の割合としての血友病有病率、出生年別の男性出生児に対する症例の割合としての出生時血友病有病率、有病率と出生時有病率の1-比率としての余命の不利益、高所得国での有病率と出生時有病率に基づく世界の予想患者数。 【結果】有病率は(男性10万対)17.1であった。出生時有病率(男性10万人当たり)は、全重症度血友病A24.6例、重症度血友病A9.5例、全重症度血友病B5.0例、重症度血友病B1.5例であり、血友病A・重症度血友病A・重症度血友病B・重症度血友病Bは、それぞれ1例、1例で、血友病Aは1例である。高所得国の平均寿命の不利は、血友病Aで30%、重症血友病Aで37%、血友病Bで24%、重症血友病Bで27%。世界の血友病患者の予想数は1 125 000、そのうち重症血友病は418 000と考えられる。 【限定】併存疾患や民族の調整には詳細は不十分だった。 【結論】血友病の流行はこれまでの推定より高い。血友病患者は依然として余命のハンディがある。出生時の有病率を確立することは、失われた生命年数、障害のある生命年数、疾病負担を評価するためのマイルストーンとなる。【Primary funding source】なし。 第一人者の医師による解説 発展途上国には未診断患者が多数 公平なリソース普及の基盤となる成果 森 美佳1)、瀧 正志2) 1)聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院小児科助教、2)聖マリアンナ医科大学小児科学特任教授 MMJ.June 2020;16(3) 血友病は、凝固第 VIII因子または第 IX因子の遺伝子変異により先天的に凝固因子が欠乏し、止血困難をきたす疾患である。治療の進歩により、凝固因子製剤や新規治療薬を用いて出血を制御できるようになったが、発展途上国では、治療のみならず血友病の診断でさえも国家の医療制度の限界を超えている。世界的な血友病の疾病負担の推定には、正確な有病率の情報が必要だが、従来の報告は均一性に乏しい。 本研究では、世界血友病連盟(WFH)のデータおよび口統計委員会が、先進6カ国(オーストラリア、カナダ、フランス、イタリア、ニュージーランド、英国)の全国患者レジストリを用いて、男性の血友病 AおよびBの有病率を、3カ国(カナダ、フランス、英国)のレジストリより出生時有病率および余命損失率(1-有病率 /出生時有病率 )をランダム効果メタ解析で推算している。 その結果、男性10万人あたりの有病率は、血友病 Aの全重症度で17.1、重症で6.0、血友病 Bの全重症度で3.8、重症で1.1であった。出生時の有病率は、それぞれ24.6、9.5、5.0、1.5であった。全重症度の有病率は各国間で不均一性を認めたが、 重症の血友病 AまたはBに限ると各国間で有意な不均一性は認めなかった。得られた有病率を世界の男性人口38億人に適用すると、血友病患者数は 112.5万人、そのうち重度患者数は41.8万人と 推定された。また余命損失率は血友病 Aの全重症度で30%、重症で37%、血友病 Bの全重症度で 24%、重症で27%であった。 有病率は、疾病負担の推定に必要な基本情報であるとともに、各国の診断能力、患者登録の報告効率や有効性、経済能力が反映されうる。WFHの既報では世界の血友病患者は推定47.5万人であったが(1)、本研究の先進国の有病率をもとに推定された世界の血友病患者数は、この報告よりも大幅に多く、 発展途上国では未診断の患者や適切な治療を受けられていない患者が多数いると推測される。また余命損失率の結果より、先進国でも依然として血友病患者の平均余命が悪いことが明らかとなった。 本研究には、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症などの合併症や民族性を考慮した調整が不十分という限界はあるが、長期間にわたる全国患者登録データを使用した信頼性の高い有病率および出生時有病率の報告である。今回の結果は、世界的な血友病の疾病負担の推測に向けた非常に重要なマイルストーンであり、治療の適切さの指標および公平なリソースの普及のための基盤となりうるだろう。 1.Pierce GF et al. Haemophilia. 2018;24(2):229-235.
血友病患者の血栓性心血管疾患の治療〜日本コンセンサス研究
血友病患者の血栓性心血管疾患の治療〜日本コンセンサス研究
公開日:2024年6月13日 Nagao A, et al. Haemophilia. 2024 May 23. [Epub ahead of print]  出血リスク軽減のために血液凝固因子補充療法を行なっている血友病患者では、長期にわたる抗凝固療法や抗血小板療法を必要とする心血管疾患(CVD)が問題となりうる。現在、CVDを伴う血友病患者のマネジメントに関する日本におけるガイドラインは存在しない。東京・荻窪病院の長尾 梓氏らは、日本における血友病患者のCVDマネジメントに関するエキスパートガイドの作成を試みた。Haemophilia誌オンライン版2024年5月23日号の報告。  4人の専門家(血友病専門医:2名、血栓症専門医:1名、心臓専門医:1名)で構成された運営委員会が、5つの主要テーマに関連する44のステートメントを特定した。4ポイントリッカート尺度および多肢選択式質問を組み合わせたオンラインアンケートを作成し、日本でCVDを伴う血友病患者のマネジメントに従事する専門家に、回答を依頼した。ステートメントに同意した回答者が75%以上の場合をコンセンサスが「高い」、90%以上の場合を「非常に高い」と定義した。 主な結果は以下のとおり。 ・リッカート尺度の質問では、コンセンサスが「非常に高い」が71%(29/41)、「高い」が17%(7/41)、合意に達しなかったが15%(6/41)であった。 ・3つの多肢選択式質問では、コンセンサスの特定ができなかった。 ・非弁膜性心房細動や心筋梗塞を有する場合など、特定の臨床状況をマネジメントするための特定の目標トラフ抗凝固因子レベルについて、合意が得られた。  著者らは「本コンセンサス研究の結果は、CVDリスクを有するまたはCVDを伴う血友病患者に対し、心臓専門医と血液専門医がマネジメントとするための枠組みを提供しており、推奨事項を実現することで、CVDを伴う血友病患者のアウトカムが改善される可能性がある」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Nagao A, et al. Haemophilia. 2024 May 23. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38783547 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら