「ダウノルビシン・シタラビン(ビキセオス)」の記事一覧

高リスクAML治療に期待されるダウノルビシン・シタラビン配合剤〜第II相LAMVYX試験
高リスクAML治療に期待されるダウノルビシン・シタラビン配合剤〜第II相LAMVYX試験
公開日:2024年11月18日 Rodriguez-Arboli E, et al. Cancer. 2024 Oct 30. [Epub ahead of print]  スペイン・セビリア大学のEduardo Rodriguez-Arboli氏らは、二次性または高リスクの急性骨髄性白血病(AML)の高齢患者を対象にダウノルビシン・シタラビン配合剤(CPX-351)の有効性および安全性を検討した第II相臨床試験であるLAMVYX試験の結果を報告した。Cancer誌オンライン版2024年10月30日号の報告。  対象は、新たに二次性AMLと診断された60〜75歳の患者59例。適格患者には、初回地固め療法後に同種造血幹細胞移植(推奨)、または、CPX-351による最大6ヶ月間の維持療法を実施した。主要エンドポイントは、導入後の完全寛解(CR)/正常な血液学的回復が不完全な寛解(CRi)の割合とした。 主な結果は以下のとおり。 ・スクリーニング時の対象患者の平均年齢は68歳(範囲:60〜75)、同種造血幹細胞移植実施患者の平均年齢は64歳(範囲:60〜70)であったのに対し、維持療法を実施した患者の平均年齢は69歳(64〜73)であった。 ・1〜2サイクルでCR/CRiを達成した患者は、59例中29例(49%、95%CI:37〜62)であり、マルチパラメーターフローサイトメトリー(MFC)を用いて評価した測定可能残存病変(MRD)陰性化率は67%であった。 ・連続次世代シーケンス解析では、診断時に骨髄サンプルの変異が検出された20例中7例(35%)において、変異クリアランスが達成された。 ・生存者の平均フォローアップ期間は16.8ヵ月(範囲:8.7〜24.3)。 ・無イベント生存期間(EFS)中央値は3.0ヵ月(95%CI:1.4〜7.3)、全生存期間中央値は7.4ヵ月(95%CI:3.7〜12.7)。 ・診断100日後におけるランドマーク解析では、同種造血幹細胞移植実施患者の1年生存率は70%(95%CI:47〜100)、EFSは70%(95%CI:47〜100)。 ・維持療法を実施した患者の1年生存率は89%(95%CI:71〜100)、EFSは44%(95%CI:21〜92)。 ・重症度指数またはQOLのVASスコアに、有意な縦断的変化は認められなかった。  著者らは「本結果は、CPX-351に関するこれまでの結果を補完し、臨床的位置付けおよび最適な使用に役立つであろう」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Rodriguez-Arboli E, et al. Cancer. 2024 Oct 30. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39476204 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
寛解導入療法後のMRD陽性高齢者AML、DNR/AraC療法+クラドリビンによる強力化学療法が有用〜NCRI AML18試験
寛解導入療法後のMRD陽性高齢者AML、DNR/AraC療法+クラドリビンによる強力化学療法が有用〜NCRI AML18試験
公開日:2024年12月5日 Russell NH, et al. J Clin Oncol. 2024 Nov 18. [Epub ahead of print]  英国・Guy's and St Thomas' NHS Foundation TrustのNigel H. Russell氏らは、微小残存病変(MRD)陰性を伴う寛解を達成していない高齢急性骨髄性白血病(AML)患者における強力化学療法による生存率向上への影響を評価するため、NCRI AML18試験を実施し、その結果を報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2024年11月18日号の報告。  対象は、ダウノルビシン+シタラビン(DNR/AraC療法)の初回コース後にフローサイトメトリーによるMRD陰性を伴う寛解を達成しなかったAML患者523例(非寛解患者165例を含む)。最大2コースのDNR/AraC療法または強力化学療法を行う群にランダムに割り付けた。強力化学療法は、フルダラビン+AraC+G-CSF+イダルビシン(FLAG-IDA療法)またはDNR/AraC療法+クラドリビンとした。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者の年齢中央値は67歳(範囲:51〜79)。 ・強力化学療法群における全生存期間(OS)の改善は認められなかった。  【DNR/AraC療法+クラドリビン vs. DNR/AraC療法】ハザード比(HR):0.74、95%CI:0.55〜1.01、p=0.054  【FLAG-IDA療法 vs. DNR/AraC療法】HR:0.86、95%CI:0.66〜1.12、p=0.270 ・3年OSは、DNR/AraC療法で34%、DNR/AraC療法+クラドリビンで46%、FLAG-IDA療法で42%。 ・早期死亡およびその他の有害事象の発生率は、FLAG-IDA療法群で高かった(60日死亡率:FLAG-IDA療法[9%]、DNR/AraC療法またはDNR/AraC療法+クラドリビン[4%]、p=0.032)。 ・対象患者のうち、131例はMRD不明であった。 ・フローサイトメトリーによる残存白血病が認められない患者では、強力化学療法による生存率の優位性は検出されなかった。 ・これらの患者を除外した感度分析では、DNR/AraC療法+クラドリビンおよびFLAG-IDA療法のいずれにおいても、生存率の優位性が示された。  【DNR/AraC療法+クラドリビン】HR:0.66、95%CI:0.46〜0.93、p=0.018  【FLAG-IDA療法】HR:0.72、95%CI:0.53〜0.98、p=0.035 ・3年OSは、DNR/AraC療法で30%、DNR/AraC療法+クラドリビンで46%、FLAG-IDA療法で46%。 ・再発の減少も同様に認められた。  【DNR/AraC療法+クラドリビン vs. DNR/AraC療法】HR:0.66、95%CI:0.45〜0.98、p=0.039  【FLAG-IDA療法 vs. DNR/AraC療法】HR:0.70、95%CI:0.49〜0.99、p=0.042 ・移植による打ち切りの場合でも、生存期間におけるDNR/AraC療法+クラドリビンのベネフィットは維持された(p=0.042)。  著者らは「初回導入療法後に残存病変が認められる高齢AML患者では、強力化学療法により生存率の改善が認められた。DNR/AraC療法+クラドリビンによる強力化学療法は、FLAG-IDA療法よりも忍容性が良好であった」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Russell NH, et al. J Clin Oncol. 2024 Nov 18. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39556780 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら