「統合失調症」の記事一覧

成人の多発性分裂病の急性期治療における32種類の経口抗精神病薬の有効性と忍容性の比較:系統的レビューとネットワークメタ解析。
成人の多発性分裂病の急性期治療における32種類の経口抗精神病薬の有効性と忍容性の比較:系統的レビューとネットワークメタ解析。
Comparative efficacy and tolerability of 32 oral antipsychotics for the acute treatment of adults with multi-episode schizophrenia: a systematic review and network meta-analysis Lancet 2019 ;394 (10202 ):939 -951 . 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】統合失調症は、世界中の成人に最も多く見られ、負担が大きく、費用のかかる精神疾患の1つである。抗精神病薬はその治療法として選択されているが、どの薬剤を使用すべきかについては論争がある。無作為化比較試験の情報を定量化することにより,抗精神病薬の比較とランク付けを行うことを目的とした。データベース開設から2019年1月8日までに,Embase,MEDLINE,PsycINFO,PubMed,BIOSIS,Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL),WHO International Clinical Trials Registry Platform,ClinicalTrials. gov で検索を行った。2名の著者が独立して研究を選択し、データを抽出した。統合失調症または関連疾患の急性症状を有する成人を対象とした無作為化対照試験を対象とした。治療抵抗性、初回エピソード、陰性症状または抑うつ症状が優位な患者、内科的疾患の併存、再発予防の研究は除外した。主要アウトカムは、標準化された評価尺度を用いて測定された全体的な症状の変化とした。また、8つの有効性と8つの安全性についてのデータも抽出した。研究結果の違いは、メタ回帰分析および感度分析で検討した。効果量の測定は、標準化平均差、平均差、または95%信頼区間(CrI)付きのリスク比とした。エビデンスの信頼度は、CINeMA(Confidence in Network Meta-Analysis)を用いて評価した。研究プロトコルはPROSPEROに登録されており、番号はCRD42014014919である。 【所見】54417件の引用を確認し、53463人の参加者のデータを持つ402件の研究を組み込んだ。効果量の推定では、すべての抗精神病薬がプラセボよりも全症状を軽減することが示唆され(6剤では統計的に有意ではなかったが)、標準化平均差はクロザピンの-0-89(95%CI -1-08 to -0-71)からレボメプロマジンの-0-03(-0-59 to 0-52)まであった(40 815 名参加)。陽性症状の軽減に関するプラセボとの標準化平均差(31 名)は、アミスルプリドで -0-69(95% CrI -0-86~-0-52) 、ブレクスピプラゾールで -0-17(-0-31~-0-04) 、陰性症状(32 名)で -0-62(-0-84~-0-39) と変動していた。から-0-10(-0-45 から 0-25、フルペンチオール)、抑うつ症状(19 683 名)では-0-90(-1-36 から-0-44、スルピリド)から 0-04(-0-39から0-47、フルペンチオール)であった。)プラセボとの比較では、全死亡(42 672名)のリスク比は0-52(0-12~0-95;clopenthixol)~1-15(0-36~1-47;pimozide)、鎮静(30 770名)は0-92(0-17~2-03;pimozide)となっている。から 10-20(4-72 から 29-41、ズクロペンチキソール)、抗パーキンソン薬の使用(24 911 名) から 6-14(4-81 から 6-55、ピモジド)。体重増加(28 名)についてはプラセボとの平均差は-0-16kg(-0-73~0-40;ジプラシドン)~3-21kg(2-10~4-31;ゾテピン)、プロラクチン上昇(21 名)については-77~05ng/ml (-120-23~33-54; クロザピン)~48~59ng/ml (-80-24; ゾルテピネ)であり、プラセボとの差は-0-16kg(-100-100;ゾルテピネ)となっている。から 48-51 ng/mL(43-52 から 53-51;パリペリドン)、QTc 延長(15467 名) から -2-21ms(-4-54 から 0-15;ルラシドン)から 23-90ms(20-56 から 27-33;セルチンドール)でした。)主要アウトカムに関する結論は、考えられる効果調整因子で調整しても、感度分析(例えば、プラセボ対照試験を除外した場合)でも、実質的に変わらなかった。また、エビデンスの信頼度は低いか非常に低いことが多かった。 【解釈】抗精神病薬間の有効性の違いはあるが、そのほとんどは個別的というよりは緩やかである。副作用の差はより顕著である。これらの知見は、臨床医が自国で入手可能な薬剤のリスクとベネフィットのバランスをとるのに役立つであろう。臨床医は、それぞれの結果の重要性、患者の医学的問題、そして嗜好を考慮する必要がある。 第一人者の医師による解説 統合失調症の急性期治療 安全性ファーストの治療が望ましい 三宅 誕実 聖マリアンナ医科大学神経精神科講師 MMJ.February 2020;16(1) 抗精神病薬同士の有効性と安全性を比較する際、 直接比較した無作為化対照試験(RCT)が少ないため、ランキングで比較するネットワークメタ解析 (NMA)の手法は、その限界点を考慮してもなお有益である。本論文は、急性期の成人統合失調症に対する抗精神病薬の有効性と安全性/忍容性を比較した系統的レビューとNMAであり、2013年に行われた同様のNMA(1)のアップデート版である。抗精 神病薬は15から32種類に、RCTは212から402 件に、対象者は43,049から53,463人に、評価 項目は7から17(有効性8、安全性/忍容性9)へ と大幅に増えている(2)。治療抵抗例、初回エピソー ド例、陰性症状や抑うつ優位例、身体合併症などは 除外されている。主要評価項目は全般的症状変化で、 副次評価項目として陽性症状や抑うつへの有効性、 体重増加や錐体外路症状の安全性などを評価して いる。 日本 で 上市されている抗精神病薬に結果を絞ると、全般的症状変化(効果量として標準化平均差 [SMD]:プラセボは0)ではクロザピン(-0.89)、 ゾテピン(-0.61)、オランザピン(-0.56)、リ スペリドン(-0.55)が他の抗精神病薬より優れ ていたが、薬剤差はわずかであった。 一方、安全性においては、体重増加(ゾテピン、オランザピンで 多く、アリピプラゾールで少ないなど)、抗パーキ ンソン病薬の使用やアカシジア(定型抗精神病薬で 多く、クロザピンで少ないなど)、プロラクチン値上昇(パリペリドン、リスペリドンなどで多く、クロザピンで少ないなど)やQTc延長(ブレクスピプラゾールで少ない等)などに関して、統計学的にも有意な薬剤差があった。 副作用に明確な薬剤差 があるのは前回のNMA(1)と同じ結果ではあるが、 shared decision-makingの時代において、このようなランキング比較が治療選択肢に及ぼす影響は 大きい。したがって、統合失調症治療においては、 有効性を重視した抗精神病薬の選択よりも、副作用 を最小限に抑える安全性ファーストの治療アプロー チが重要であることが再確認されたと言える。 1. Leucht S et al. Lancet. 2013 Sep 14;382(9896):951-962. 2. Correll CU et al. JAMA Psychiatry. 2019 Nov 6. [Epub ahead of print]
仮想現実~BIBGRAPH SEARCH(2022年10月19日号)
仮想現実~BIBGRAPH SEARCH(2022年10月19日号)
近年、さまざまな医療分野においても仮想現実(virtual reality:VR)を用いた介入が注目されており、エビデンスも増加している。そのような中、2022年10月10日には大塚製薬が統合失調症向けVR支援プログラムを提供することを発表した。今回紹介する論文では、統合失調症、緩和ケア、慢性腰痛、妊婦のストレスに対するVR介入効果や肥満や喫煙、アルコールなどに対するVRのシステマティックレビューの結果をご紹介します。(エクスメディオ 鷹野 敦夫) 『BIBGRAPH SEARCH』では、エクスメディオが提供する文献検索サービス「Bibgraph」より、注目キーワードで検索された最新論文をまとめてご紹介しています。 統合失調症患者にVRを用いたリハビリテーション介入は受け入れられるのか Manghisi VM, et al. Games Health J. 2022 Sep 8.[Online ahead of print] ≫Bibgraphを読む 終末期の緩和ケアに対するVRの可能性 Guenther M, et al. BMC Palliat Care. 2022; 21: 169. ≫Bibgraphを読む VRによるスーパーヒーローの具現化で慢性腰痛患者のボディイメージが改善? Harvie DS, et al. Disabil Rehabil Assist Technol. 2022 Oct 18. [Online ahead of print] ≫Bibgraphを読む ストレス軽減にVRでの緑地環境露出が有効~妊婦を対象とした研究 Sun Y, et al. Environ Res. 2022 Oct 5. [Online ahead of print] ≫Bibgraphを読む 喫煙、栄養、アルコール、身体活動、肥満に対するVR介入の有効性~システマティックレビュー Tatnell P, et al. Int J Environ Res Public Health. 2022; 19: 10821. ≫Bibgraphを読む 参考:大塚製薬とジョリーグッド、統合失調症向けVR支援プログラム「FACEDUO(フェイスデュオ)」を提供開始 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら