「BMI」の記事一覧

ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.5(2022年6月23日号)
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.5(2022年6月23日号)
座位時間と死亡率および心血管イベントとの関連性:低~高所得国での違いはあるか? 高所得国において、座位時間と心血管イベントリスク・死亡率は相関しているといわれているが、低・中所得国でもその傾向は見られるのか。低・中所得国を含む全21カ国において、2003年1月1日から募集し、2021年8月31日まで追跡(追跡期間中央値 11.1年)した、105,677人を対象とした大規模前向きコホート研究(PURE研究)。JAMA Cardiology誌オンライン版6月15日の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む どのようなシーフード消費を推奨すべきか?:米国の所得/人種・民族グループ間における、手頃な価格が栄養の質に与える影響 2020年に発刊されたアメリカの食事ガイドラインでは、アメリカ国民がより多くのシーフードを消費することを推奨している。手頃で栄養価の高い選択肢を特定するため、社会経済的・人口統計的グループ別の成人における水産物摂取量の評価と、小売店での水産物コストを評価した。The American Journal of Clinical Nutrition誌の2022年6月13日の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む BMIの増加は老化を促進するか?:エピジェネティック・クロックGrimAgeを利用した、双子を対象としたコホート研究 遺伝的影響を排除してBMI増加に伴う老化の影響を検討するため、フィンランドの双子コホート 1,424名を対象に、BMIと老化の関係を分析した。老化の指標としては、死亡率と密接に相関する新しいエピジェネティッククロックであるGrimAgeを利用した。Journal of Internal Medicine誌2022年6月14日の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む デジタル介入は、喘息の維持療法におけるアドヒアランス向上につながるか? 喘息の成人および小児(15,207例)を含む40件の並行無作為化対照試験(RCT)を対象として、アドヒアランス(16件)、喘息コントロール(16件)、喘息増悪(6件)、予定外の医療利用(4件)、肺機能(7件)、QOL(10件)について、メタ解析を行った。The Cochrane Database of Systematic Reviews誌の2022年6月13日の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 収縮期血圧の低下は糖尿病の血管予後に影響を及ぼすか?:メンデルランダム化試験 収縮期血圧(SBP)の低下が糖尿病患者の臨床転帰に及ぼす影響については、意見が分かれている。2標本メンデルランダム法を用いて、SBPの低下が糖尿病患者の大血管および細小血管の転帰リスクに及ぼす因果関係を検討した。The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism誌2022年6月15日の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.4(2022年6月16日号) 乳製品やカルシウム摂取量と前立腺がんの発症リスクの関連性:前向きコホート研究 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.3(2022年6月9日号) 運動は脳内RNAメチル化を改善し、ストレス誘発性不安を予防する ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.2(2022年6月2日号) 6〜11歳の子供におけるmRNA-1273Covid-19ワクチンの評価 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.1(2022年5月26日号) SARS-CoV-2オミクロンBA.2株の特性評価と抗ウイルス感受性 ≫その他4本
高糖度スナックの20%値上げが英国における肥満の有病率に与える潜在的影響:モデル化研究。
高糖度スナックの20%値上げが英国における肥満の有病率に与える潜在的影響:モデル化研究。
Potential impact on prevalence of obesity in the UK of a 20% price increase in high sugar snacks: modelling study BMJ 2019 ;366 :l4786 . 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【目的】高糖度スナックの20%値上げが肥満度指数(BMI)と肥満の有病率に与える潜在的影響を推定する。 【デザイン】モデル化研究。 【対象】英国の一般成人人口。 【参加者】英国のKantar FMCG(fast moving consumer goods)パネルから製品レベルの家庭支出に関するデータを有する324世帯、2012年1月から2013年12月まで。データを用いて、高糖度スナックの20%値上げに伴うエネルギー(kcal、1kcal=4.18kJ=0.00418MJ)購入量の変化を推定した。National Diet and Nutrition Survey(2012~16年)の第5~8波の成人2544人のデータを用いて、BMIと肥満の有病率の変化を推定した。 【主要アウトカム指標】高糖質スナックの3カテゴリー(菓子類(チョコレート含む)、ビスケット、ケーキ)の20%の値上げが、1人当たりの家庭用エネルギー購入に及ぼす影響について。値上げによる健康アウトカムは、体重、BMI(過体重ではない(BMI<25)、過体重(BMI≧25および<30)、肥満(BMI≧30))、および肥満の有病率の変化として測定された。結果は、世帯収入とBMIで層別化した。 【結果】収入グループを合わせた場合、高糖質スナックの20%価格上昇に対するエネルギー消費の平均減少量は8.9×103 kcal(95%信頼区間の-13.1×103~-4.2×103 kcal)と推算された。静的減量モデルを用いると,BMIはすべてのカテゴリーと所得グループにわたって平均0.53(95%信頼区間-1.01~-0.06)減少すると推定された.この変化により,1年後の英国における肥満の有病率は2.7%ポイント(95%信頼区間-3.7~-1.7%ポイント)減少する可能性がある.高糖度スナックの20%値上げがエネルギー購入に与える影響は、肥満と分類される低所得世帯で最も大きく、太り過ぎではないと分類される高所得世帯で最も小さかった。 【結論】高糖度スナックを20%値上げすると、エネルギー摂取、BMI、肥満の有病率を減少させることができた。この知見は、英国の文脈におけるものであり、砂糖入り飲料の同様の値上げについてモデル化されたものの2倍であった。 第一人者の医師による解説 肥満対策としての砂糖入り菓子への課税 選択肢として浮上 久保田 康彦 大阪がん循環器病予防センター/磯 博康 大阪大学大学院医学系研究科公衆衛生学 MMJ.February 2020;16(1) 砂糖の多い菓子を20%値上げすることで、値上げ翌年の肥満者の割合が2.7%低下する可能性が、 今回報告された英国のモデル研究で示された。 この40年間で世界の肥満者の割合は3倍にも上昇し(1)、世界中で肥満対策が進められている。砂糖は肥満の最も重要な危険因子の1つであり、肥満対策の1つとして、砂糖の主な摂取源と考えられる 清涼飲料水に対する課税がメキシコ、ハンガリー、 フィンランドなどで導入されてきた。その結果、清涼飲料水の購入量が減少し、世界保健機関(WHO) も砂糖入り清涼飲料水に対する課税を推奨してい る。しかしながら、英国では清涼飲料水よりも菓子の方が砂糖の摂取源として多いため、砂糖入り菓子の値上げがどの程度肥満解消につながるかは、 同国内の今後の肥満対策案を立てるためにも重要な研究となる。   本研究では、UK Kantar社(英国のマーケティン グ企業)が所有する商品ごとの家計支出や摂取エ ネルギー量などに関するデータ(対象:36,324世帯、期間:2012年1月~ 13年12月)と国民栄養 調査データ(対象:2,544人、期間:2012年~16年) を用いて行われた。前者を用いて需要の価格弾力 性(PED)を計算し、消費エネルギー変化を推定した。 さらに後者を用いて消費エネルギー変化に伴う体格指数(BMI)の変化を推定した。 砂糖入り菓子の価格を20%上げることで、平均で年間8,900kcal分の摂取エネルギーが減少すると推定された。BMIはそれに伴い0.53 kg/m2 低下すると推定された。このBMI低下は、英国における肥満者が2.7%減少することに相当する。価格上昇による摂取エネルギー減少度が最も大きかったグループは肥満かつ低収入群で、最も小さかったグループは非肥満かつ高収入群であった。砂糖入り飲料水に関しても同様の検討を行ったが、20% 価格上昇の効果は砂糖入り菓子の半分であった。 本研究の結果は肥満対策として砂糖入り菓子に対する増税の根拠となりうる。砂糖入り菓子に対 する増税は、食事に関する健康格差是正に貢献する可能性があり、政策評価に関するさらなる研究が望まれる。 1. World Health Organization. Obesity and Overweight URL:https://bit.ly/2ZYPfmo
成人期における体重の変化と全死因および特定原因による死亡率との関係:前向きコホート研究。
成人期における体重の変化と全死因および特定原因による死亡率との関係:前向きコホート研究。
Weight change across adulthood in relation to all cause and cause specific mortality: prospective cohort study BMJ 2019 Oct 16;367:l5584. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【目的】成人期における体重変化と死亡率の関連を検討する。 【デザイン】前向きコホート研究。 【設定】米国国民健康・栄養調査(NHANES)1988~94年および1999~2014年。 【参加者】ベースラインで体重と身長を測定し、若年成人期(25歳)と中年成人期(ベースラインの10年前)の体重を思い出した40歳以上の36051人。 【主要アウトカム指標】ベースラインから2015年12月31日までの全死因および原因別死亡率。 【結果】平均12.3年の追跡期間に10500人が死亡している。標準体重のままの参加者と比較して,若年期から中年期にかけて非肥満から肥満のカテゴリーに移行した参加者は,全死因死亡率および心疾患死亡率のリスクがそれぞれ22%(ハザード比1.22,95%信頼区間1.11~1.33)および49%(1.49,1.21~1.83)高くなることが示された。この期間に肥満から非肥満の体格指数に変化しても、死亡リスクとの有意な関連はなかった。成人期中期から後期にかけての肥満から非肥満への体重変化パターンは、全死因死亡率(1.30、1.16から1.45)および心疾患死亡率(1.48、1.14から1.92)のリスク上昇と関連していたが、この期間に非肥満カテゴリーから肥満に移行しても死亡リスクとは有意な関連はなかった。成人期を通じて肥満を維持することは、一貫して全死因死亡リスクの増加と関連していた;ハザード比は、若年から中年期にかけては1.72(1.52から1.95)、若年から晩年期にかけては1.61(1.41から1.84)、中期から晩年期にかけては1.20(1.09から1.32)であった。最大過体重は、成人期を通じて死亡率との関連が非常に緩やかであるか、あるいは無効であった。様々な体重変化のパターンとがん死亡率との間に有意な関連は認められなかった。 【結論】成人期を通じて安定した肥満、若年期から成人期中期までの体重増加、および成人期中期から後期までの体重減少は、死亡率のリスク増加と関連していた。この知見は、成人期を通じて正常な体重を維持すること、特に成人期初期の体重増加を防ぐことが、その後の人生における早すぎる死亡を防ぐために重要であることを示唆している。 第一人者の医師による解説 成人期を通した正常体重の維持と成人早期での体重増加予防が重要 中神 朋子 東京女子医科大学糖尿病・代謝内科教授 MMJ.April 2020;16(2) 肥満は世界的に重要な公衆衛生問題であり、日本でもライフスタイルの多様化と食文化の欧米化により問題視されている。日本の平成30年の国民栄養調査によると、肥満者(BMI 25 kg/m2以上)の割合は男性32.2%、女性 21.9%で、この10年間で大きな変化はないが、その割合は低くない。 本論文は、1988~94年および1999~2014 年の米国民健康栄養調査(NHANES)の40歳以 上36,051人を対象に死亡リスクと成人期の体 格指数(BMI)の変化を検討した前向きコホート研 究の報告である。平均12.3年の追跡で、10,500 件 の 死亡 が 確認 さ れ た。「 成人早期(25歳時)」、 「成人中期(NHANES登録の10年前)」、「成人後期 (NHANES登録時)」の3時点のBMIを調査し、2時点間のBMI変化と全死亡、原因別死亡のリスクと の関連を解析した。 その結果、正常体重(BMI 25 kg/m2未満)維持群に比べ、成人早期から中期に肥 満(BMI 30.0 kg/m2以上)に移行した群では全 死亡および心疾患死のリスクが上昇したのに対し(それぞれハザード比[HR], 1.22、1.49)、同時期の非肥満(BMI 30.0 kg/m2未満)への移行と死亡 リスクに有意な関連は認められなかった。一方、正常体重維持群に比べ、成人中期から後期に非肥満へ移行した群では、全死亡および心疾患死のリスク は有意に上昇したが(それぞれHR, 1.30、1.48)、 同時期の肥満への移行と死亡リスクに有意な関連はなかった。成人期を通じて肥満維持群では全死亡および心疾患死のリスクに一貫した上昇がみられた。なお、BMI変化とがん死のリスクに関連は認められなかった。 本研究において成人中期から後期に非肥満へ移行した群で全死亡および心疾患死のリスクが上昇したことは印象的である。成人早期から中期への体重増加は主に脂肪量の蓄積を反映すると考えられるが、中期から後期への体重減少は、通常、併存疾患と除脂肪体重の減少および脂肪量の増加を伴うと考えられる(1), (2)。 本研究には、意図的な体重変化、併存疾患などによる意図的ではない体重変化を区別できていない点、人種差など考慮すべき余地があり、この結果が日本人に当てはまるかどうかはまだわからない。しかし、成人期を通じて正常体重を維持すること、特に成人早期の体重増加の予防がその後の早期死亡リスクの抑制において重要であることを示唆しており意義深い。 第39回日本肥満学会で「神戸宣言2018」が採択され、肥満症*対策を領域横断的に推進することが示された。肥満症の撲滅を目指した肥満に対する意識と取り組みは大きく変わりつつあり、目が離せない。 *肥満に起因・関連する健康障害を有する、または健康障害が予想される内臓脂肪が過剰に蓄積し、減量治療を必要とする状態。 1. Fontana L et al. Aging Cell. 2014;13(3):391-400. 2. Ferrucci L et al. Arch Intern Med. 2007;167(8):750-751.