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小児の市中肺炎へのアモキシシリン投与 高用量、長期である必要なし
小児の市中肺炎へのアモキシシリン投与 高用量、長期である必要なし
Effect of Amoxicillin Dose and Treatment Duration on the Need for Antibiotic Re-treatment in Children With Community-Acquired Pneumonia: The CAP-IT Randomized Clinical Trial JAMA. 2021 Nov 2;326(17):1713-1724. doi: 10.1001/jama.2021.17843. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【重要】小児市中肺炎(CAP)に対するアモキシシリン経口投与の最適な用量と期間は明らかではない。 【目的】低用量アモキシシリンが高用量に対して非劣性であるか、3日間の治療が7日間に対して非劣性であるかどうかを明らかにする。 【デザイン、設定および参加者】2017年2月から2019年4月の間に英国28病院、アイルランド1病院の救急部および入院病棟から退院時にアモキシシリンで治療した臨床的に診断された6ヶ月以上の小児824人を登録し、最終試験訪問は2019年5月21日とした多施設無作為2×2要因非劣性試験を実施した。 【介入】小児を、低用量(35~50mg/kg/d:n=410)または高用量(70~90mg/kg/d:n=404)で、短期間(3日間:n=413)または長期間(7日間:n=401)のアモキシシリン経口投与に1:1に無作為化した。 【主要評および測定法】主要アウトカムはランダム化後28日以内の呼吸器感染に対する臨床的指示による抗生物質の再処置であった。非劣性マージンは8%であった。副次的アウトカムは、保護者が報告した9つのCAP症状の重症度/期間、3つの抗生物質関連有害事象、および結核菌Streptococcus pneumoniae分離株の表現型抵抗性であった。 【結果】4群のいずれかに無作為化された824名のうち、814名が少なくとも1回の試験薬投与を受け(年齢中央値[IQR]2.5歳[1.6-2.7]、男性421名[52%]、女性393名[48%])、789名(97%)で主要評価項目を確認することができた。)低用量と高用量の比較では,低用量12.6%と高用量12.4%(差:0.2%[1-sided 95% CI -∞~4.0] ),3日投与と7日投与12.5%(差:0.1%[1-sided 95% CI -∞~3.9] )で主要アウトカム発現が認められた。両群とも非劣性が示され、投与量と投与期間の間に有意な相互作用は認められなかった(P = 0.63)。事前に規定した14の副次的エンドポイントのうち、咳嗽期間(中央値12日 vs 10日;ハザード比[HR]、1.2[95%CI、1.0~1.4];P = .04)および咳による睡眠障害(中央値、4日 vs 4日;HR、1.2 [95%CI, 1.0 ~ 1.4];P = .03)については3日 vs 7日治療でのみ有意差がみられた。重症CAPの小児のサブグループでは、主要エンドポイントは、低用量投与者の17.3%対高用量投与者の13.5%(差、3.8%[1サイド95%CI、-∞~10%];相互作用のP値=0.18)、3日間治療者の16.0%対7日間治療者の14.8%で発生した(差、1.2%[1サイド95%CI、-∞~7.結論と意義】救急部または病棟から退院した(48時間以内)CAPの小児において、抗生物質の再処置の必要性に関して、低用量の外来経口アモキシシリンは高用量に対して非劣性、3日間の期間は7日間に対して非劣性であった。しかし、この結果を解釈する際には、疾患の重症度、治療環境、以前に受けた抗生物質、非劣性マージンの許容度について考慮する必要がある。 【臨床試験登録】ISRCTN Identifier:ISRCTN76888927。 第一人者の医師による解説 重症・抗菌薬先行投与例の評価、咳の持続・不眠症状などについて検証必要 中村 敦 名古屋市立大学大学院医学研究科臨床感染制御学教授 MMJ. April 2022;18(2):50 欧州における有病率調査では、小児の救急患者はプライマリケアと比較して死亡率が高く、抗菌薬を必要とする深刻な細菌感染の可能性があり、下気道感染症が2番目に多い。入院を要する5歳未満の小児市中肺炎(CAP)患者の約3分の1は細菌が関与するとされており、抗菌薬が投与され続ける場合が多い。しかし、治癒を達成しつつ薬物曝露を最小限に抑えるために抗菌薬治療を最適化することは重要である。小児 CAPの治療について抗菌薬の異なる投与期間を比較した試験はほとんどなく、用量と期間の両方を同時に比較した試験はない。アモキシシリン(AMPC)は幼児のCAPの第1選択抗菌薬として広く推奨されているが、その最適な投与量は不明である。 本論文は、英国・アイルランド 29施設において小児 CAPに対する経口 AMPC治療を低用量群(35〜50mg/kg/日)と高用量群(70〜90 mg/kg/日)、短期群(3日間)と長期群(7日間)の2×2群にランダム化して非劣性を検証したCAP-IT試験の報告である。治療開始後28日以内の呼吸器感染症に対するAMPC以外の抗菌薬再治療の有無を主要評価項目とし、親から報告されたCAP症状の重症度と期間、AMPC投与と関連する有害事象、28日目の鼻咽頭分離肺炎球菌のペニシリン感受性などを副次評価項目としている。 4群にランダム化され救急部門または病棟から48時間以内に退院した824人のうち、814人(年齢中央値2.5歳)が少なくとも1回のAMPC投与を受けた。主要評価項目の抗菌薬再治療率は低用量群12.6%、高用量群12.4%、短期群12.5%、長期群12.5%と、投与量と投与期間の間に有意な相互作用はなく、非劣性であった(P=0.63)。副次評価項目では、咳の持続時間(P=0.04)、咳による睡眠障害(P=0.03)のみ短期群と長期群の間で有意差がみられたが、AMPCの投与量、期間による咳の重症度、有害事象、分離菌のペニシリン感受性に有意差はなかった。有害事象のうち皮膚発疹は長期群に多くみられ、治療の完遂率は短期群が高かった。 最近 SAFER試験で小児 CAPに対する5日間と10日間の高用量 AMPC治療で同等の治癒率が示され(1)、成人 CAPの3日間のβ -ラクタム療法が8日間の治療に劣らないことも報告された(2)。本研究でも小児 CAPに対するAMPCの低用量、短期投与は高用量、長期投与に対し抗菌薬の再治療の必要性に関して非劣性が示された。ただし重症例の用量比較、抗菌薬前投与例の用量および投与期間の比較では、有意ではないものの非劣性基準を満たしておらず、肺炎の重症度や治療背景、抗菌薬前投与、非劣性マージンの妥当性について検証する必要がある。 1. Pernica JM, et al. JAMA Pediatr. 2021;175(5):475-482. 2. Dinh A, et al. Lancet. 2021;397(10280):1195-1203.
血液内科 Journal Check Vol.7(2022年6月21日号)
血液内科 Journal Check Vol.7(2022年6月21日号)
再発難治性LBCLのセカンドライン治療におけるliso-celに有用性~TRANSFORM試験中間報告 現在、再発難治性大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)のサードライン治療に用いられるCAR-T細胞療法Lisocabtagene maraleucel(liso-cel)について、セカンドラインにおける標準療法と比較したliso-celの第III相試験であるTRANSFORM試験の中間分析結果が報告された。Lancet誌2022年6月18日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 造血幹細胞移植レシピエントにおける急性呼吸器感染症の発生率~日本のリアルワールドデータ 日本の造血幹細胞移植レシピエントにおける急性呼吸器感染症の発生率および経済的負担について、JMDCのデータを用いた評価が行われた。Journal of Medical Economics誌オンライン版2022年6月15日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 進行期ENKLに対するDDGPレジメンの有効性・安全性~ランダム化比較試験 新規の進行期(III/IV)節外性 NK/T細胞リンパ腫(ENKL)に対するDDGP(デキサメタゾン+シスプラチン+ゲムシタビン+Pegaspargase)レジメン vs. SMILEレジメンのランダム化比較試験の結果が報告された。JAMA Oncology誌オンライン版2022年6月16日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 移植非適応の日本人多発性骨髄腫患者に対するmodified BLd療法の有効性・安全性 とくに高齢者で問題となる末梢神経障害リスクを軽減するためボルテゾミブを減量したmodified BLd療法(ボルテゾミブ+レナリドマイド+デキサメタゾン)の日本人新規多発性骨髄腫患者に対する有効性・安全性の検討が行われた。International Journal of Hematology誌オンライン版2022年6月14日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 非ホジキンリンパ腫に対するCHOP-likeレジメンによる間質性肺炎の発生率とそのリスク因子 非ホジキンリンパ腫患者の致死的合併症の1つである間質性肺炎の発生率およびそれに関連する患者、疾患、薬物関連のリスク因子についての調査が行われた。Frontiers in Oncology誌2022年6月1日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 血液内科 Proへ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら 血液内科 Journal Check Vol.6(2022年6月14日号) 再発難治性FL患者におけるAUMA-5試験とSCHOLAR-5試験の比較 ≫その他4本 血液内科 Journal Check Vol.5(2022年6月7日号) 血液悪性腫瘍患者における予防的トラネキサム酸:プラセボ対照RCT ≫その他4本 血液内科 Journal Check Vol.4(2022年6月1日号) 日本人再発難治性LBCLに対するCAR-T細胞療法liso-cel~第II相臨床試験 ≫その他2本 血液内科 Journal Check Vol.3(2022年5月24日号) 再発難治性多発性骨髄腫のサルベージ療法におけるDVdとDRdの比較 ≫その他4本 血液内科 Journal Check Vol.2(2022年5月17日号) 大細胞型B細胞リンパ腫患者におけるCAR-T療法に対するブリッジング療法の影響~メタ解析 ≫その他2本 血液内科 Journal Check Vol.1(2022年5月10日号) 血液悪性腫瘍または造血細胞移植患者におけるCOVID-19管理に関する推奨事項 ≫その他2本
肺炎で入院した患者における過剰な抗生物質治療期間と有害事象。多施設共同コホート研究。
肺炎で入院した患者における過剰な抗生物質治療期間と有害事象。多施設共同コホート研究。
Excess Antibiotic Treatment Duration and Adverse Events in Patients Hospitalized With Pneumonia: A Multihospital Cohort Study Ann Intern Med 2019 ;171 (3):153 -163. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】無作為化試験で、最も短い有効期間を超える抗生物質治療による有益性は示されていない。 【目的】過剰な抗生物質治療期間に関連する予測因子と転帰を検討する。 【デザイン】レトロスペクティブコホート研究。 【設定】ミシガン病院医療安全コンソーシアムの43病院。 【患者】肺炎の一般診療患者6481例。 測定】主要アウトカムは過剰抗生物質治療期間の割合(30日間あたりの超過日数)であった。過剰日数は、実際の治療期間から各患者の最も短い有効(期待)治療期間(臨床的安定までの時間、病原体、肺炎分類[市中肺炎 vs. 医療関連]に基づく)を差し引くことで算出された。負の二項一般化推定方程式(GEE)を用いて率比を算出し、30日目の治療期間超過率の予測因子を評価した。30日後にカルテと電話で評価された患者の転帰は、患者特性および治療の確率を調整したロジットGEEを用いて評価した。 【結果】患者の3分の2(67.8%[6481例中4391例])が過剰な抗生物質治療を受けた。退院時に処方された抗生物質が過剰期間の93.2%を占めた。呼吸器培養または非培養診断検査を受けた患者、入院期間が長い患者、過去90日間に高リスクの抗生物質を投与された患者、市中肺炎の患者、退院時に抗生物質治療期間の合計が記録されていない患者は、過剰な治療を受ける可能性がより高かった。過剰な治療は,死亡,再入院,救急外来受診,Clostridioides difficile 感染症などの有害転帰の割合の低下と関連はなかった.治療が1日増えるごとに、退院後に患者から報告された抗生物質関連の有害事象の確率が5%上昇した。 【限定】レトロスペクティブデザイン;30日後の結果を報告するためにすべての患者に連絡できたわけではない。 【結論】肺炎で入院した患者はしばしば過剰な抗生物質治療を受けていた。過剰な抗生物質投与は、患者が報告する有害事象と関連していた。今後の介入は、過剰な治療を減らし、退院時の記録を改善することでアウトカムが改善するかどうかに焦点を当てるべきである。 【Primary funding source】BCBSM Value Partnershipsプログラムの一環としてBlue Cross Blue Shield of Michigan(BCBSM)およびBlue Care Networkが実施した。 第一人者の医師による解説 退院時の抗菌薬処方は93%で過剰 適正使用のさらなる徹底を 舘田 一博 東邦大学医学部微生物・感染症学講座教授 MMJ.February 2020;16(1) 高齢化進行と相まって肺炎の頻度は年々上昇している。特に入院を要する重症肺炎は高齢者における死亡の原因として極めて重要である。本論文は、米国ミシガン州における43病院6,481人の 肺炎入院患者を対象とした抗菌薬の使用状況に関する後ろ向きコホート研究の報告である。著者らは、患者状態の安定化、病原体の種類、肺炎分類(市 中肺炎[CAP]・医療関連肺炎[HCAP])な ど か ら 適正な抗菌薬投与期間を推定し、実際の投与期間と の差をもとに過剰期間の抗菌薬投与(過剰投与)に関する解析を行っている。 その結果、検討された患者6,481人のうち67.8%において抗菌薬の過剰な投与が行われていた可能性が示された。解析対象患者全体の抗菌薬投与期間は中央値で8日であり(CAP患者では8日、HCAP患者では9日)、過剰投与日数の中央値は全体で2日(CAP患者では2日、HCAP患者では1日)であった。また著者らは、本研究の結果から退院時に処方される抗菌薬の 93.2%が過剰投与ではないかという結論に達している。 退院時に処方される抗菌薬として最も頻度の高い薬剤はフルオロキノロン系薬剤(31.3%)で、続いてアジスロマイシンとアモキシシリン / クラブラン酸が多かった。抗菌薬の過剰投与と思 わ れ る 状態は、死亡率、再入院率、救急診療受診、 Clostridioides diffi cile感染症の発生率などとは 関連していなかった。ただし、退院後の患者からの報告として約5%の患者から抗菌薬に関連すると思われる副反応(adverse event)の報告がみられていた。 本研究結果は、改めて肺炎入院患者における抗菌薬の過剰投与と、これと関連する抗菌薬副反応の問題をクローズアップしている。特に著者らは、退院時に処方される抗菌薬の適正使用に関して、 “discharge stewardship”という概念を提唱しており興味深い。 耐性菌の増加と蔓延が、人類への脅威として取り上げられている中で、抗菌薬の適正使用のさらなる徹底は極めて重要な課題である。本研究により、入院肺炎患者における抗菌薬の過剰投与の実態が改めて示され、特に退院時に処方される抗菌薬の重要性が明らかにされたことは意義がある。日本でも、退院時に“もしものことがないように”という意味で過剰な抗菌薬の処方が行われている可能性は十分に考えられる。本論文を参考に、日本における肺炎入院患者における抗菌薬の適正使用、特に退院時の処方の実際を明らかにする研究の実施が期待される。