「カルムスチン(ギリアデル)」の記事一覧

PCNSLに対する骨髄破壊性 vs. 非骨髄破壊性地固め療法〜Alliance 51101試験
PCNSLに対する骨髄破壊性 vs. 非骨髄破壊性地固め療法〜Alliance 51101試験
公開日:2024年7月3日 Batchelor TT, et al. Blood Adv. 2024; 8: 3189-3199.  標準線量の全能照射では、重篤な神経毒性を伴うが、中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)に対する最適な地固め療法戦略は確立されていない。米国・Brigham and Women's HospitalのTracy T. Batchelor氏らは、PCNSLに対する寛解導入療法後の非骨髄破壊性地固め療法と自家幹細胞移植による骨髄破壊性地固め療法を比較するため、米国Allianceがん共同グループによるランダム化第II相臨床試験を実施した。著者らの知る限り、本試験は、全能照射を用いない新規PCNSLに対する地固め療法に関する初めてのランダム化試験である。Blood Advances誌2024年6月25日号の報告。  対象は、18〜75歳のPCNSL患者113例。メトトレキサート+テモゾロミド+リツキサン+シタラビンによる寛解導入療法後に、チオテパ+カルムスチンおよび自家幹細胞移植を行う群(骨髄破壊性治療群)とエトポシド+シタラビンを行う群(非骨髄破壊性治療群)に1:1でランダムに割り付けられた。主要エンドポイントは、無増悪生存期間(PFS)とした。 主な結果は以下のとおり。 ・113例中評価可能であった患者は108例(両群とも54例)。 ・非骨髄破壊性治療群では、寛解導入療法中に病性進行または死亡した患者が多かった(28% vs. 11%、p=0.05)。 ・推定2年PFSは、骨髄破壊性治療群の方が非骨髄破壊性治療群よりも高かった(73% vs. 51%、p=0.02)。 ・地固め療法開始時に目標設定した2次解析では、地固め療法完了患者の推定2年PFSは、両群間で有意な差が認められなかった(86% vs. 71%、p=0.21)。  著者らは「新規PCNSL患者に対するいずれの地固め療法も、有効性が認められ、毒性プロファイルも同様であった」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Batchelor TT, et al. Blood Adv. 2024; 8: 3189-3199.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38598710 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性AMLの低強度移植前処置、FM140 vs.FBM110〜EBMTレジストリ研究
再発・難治性AMLの低強度移植前処置、FM140 vs.FBM110〜EBMTレジストリ研究
公開日:2025年1月9日 Duque-Afonso J, et al. Bone Marrow Transplant. 2024 Dec 19. [Epub ahead of print]  再発・難治性急性骨髄性白血病(AML)は、予後不良である。同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)は、救援療法として高頻度に用いられる。低強度移植前処置は、毒性を増加させることなく、白血病の負担軽減を目的に開発されたプロトコルである。ドイツ・フライブルク大学のJesus Duque-Afonso氏らは、再発・難治性AMLに対する2つの低強度移植前処置の比較を行った。Bone Marrow Transplantation誌オンライン版2024年12月19日号の報告。  対象は、欧州骨髄移植学会(EBMT)急性白血病ワーキングパーティレジストリより抽出したallo-HSCT前の再発・難治性AML成人患者293例。フルダラビン150mg/m2+メルファラン140mg/m2(FM140群)118例とフルダラビン150mg/m2+carmustine(BCNU)300〜400mg/m2+メルファラン110mg/m2(FBM110群)175例の比較を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・年齢(FM140群:59.5歳、FBM110群:65.1歳、p<0.001)、T細胞除去(TCD)による移植片対宿主病(GVHD)予防(FM140群:39%、FBM110群:75%、p<0.001)など、両群間でいくつかの違いが認められた。 ・FM140群とFBM100群との間で、全生存率(OS)、無増悪生存期間(PFS)、非再発死亡率、再発率に差は認められなかった。 【2年OS】FM140群:39.3%、FBM110群:45.7%(p=0.58) 【2年PFS】FM140群:36.1%、FBM110群:37.3%(p=0.69) 【2年非再発死亡率】FM140群:15.3%、FBM110群:25.7%(p=0.10) 【2年再発率】FM140群:48.6%、FBM110群:37.0%(p=0.70)  著者らは「年齢やGVHD予防に違いがあるにも関わらず、FBM110による移植前処置を行ったAML患者は、FM140と比較し、同様のアウトカムが示された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Duque-Afonso J, et al. Bone Marrow Transplant. 2024 Dec 19. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39702670 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら