「大腸がん」の記事一覧

III期大腸がんで標準補助療法と併用するセレコキシブとプラセボが無病生存率にもたらす効果の比較:CALGB/SWOG 80702(Alliance)無作為化比較試験
III期大腸がんで標準補助療法と併用するセレコキシブとプラセボが無病生存率にもたらす効果の比較:CALGB/SWOG 80702(Alliance)無作為化比較試験
Effect of Celecoxib vs Placebo Added to Standard Adjuvant Therapy on Disease-Free Survival Among Patients With Stage III Colon Cancer: The CALGB/SWOG 80702 (Alliance) Randomized Clinical Trial JAMA. 2021 Apr 6;325(13):1277-1286. doi: 10.1001/jama.2021.2454. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【重要性】観察研究や無作為化試験から、アスピリンとシクロオキシゲナーゼ2(COX-2)阻害薬に大腸のポリープおよびがんのリスク低下に関連があることが明らかになっている。転移のない大腸がんの治療に用いるCOX-2阻害薬、セレコキシブの効果は明らかになっていない。 【目的】III期大腸がんで、フルオロウラシル、ロイコボリンおよびオキサリプラチン(FOLFOX)による術後補助化学療法にセレコキシブを追加すると無病生存期率が改善するかを明らかにすること。 【デザイン、設定および参加者】Cancer and Leukemia Group B (Alliance)/Southwest Oncology Group(CALGB/SWOG) 80702試験は、米国およびカナダの市中病院および大学病院654施設で実施された2×2要因デザインの第III相試験である。2010年6月から2015年11月にかけてIII期大腸がん患者計2,526例を組み入れ、2020年8月10日まで追跡した。 【介入】患者をFOLFOX補助化学療法(2週間に1回)を3カ月実施するグループと6カ月実施するグループ、セレコキシブ(400mgを1日1回経口投与)を3年間投与する群(1,263例)とプラセボ群(1,261例)に割り付けた。本稿は、セレコキシブの無作為化の結果を中心に報告する。 【主要評価項目】主要評価項目は、無作為化から再発または全死亡が報告されるまでを評価した無病生存率とした。総生存率、有害事象、心血管系特異的事象を副次的評価項目とした。 【結果】無作為化により割り付けた2,526例(平均値[SD]年齢61.0歳[11歳]、女性1,134例[44.9%])のうち2,524例を主解析の対象とした。プロトコールの治療遵守率(セレコキシブまたはプラセボを2.75年以上投与、再発、死亡または許容できない有害事象発生までの治療継続と定義)は、セレコキシブ投与群70.8%、プラセボ群69.9%だった。セレコキシブ群の337例、プラセボ群の363例に再発または死亡が発生し、追跡期間中央値6年で、3年無病生存率はセレコキシブ群76.3%、プラセボ群73.4%であった(再発または死亡のハザード比[HR]0.89;95%CI、0.76~1.03、P=0.12)。割り付けた術後補助化学療法の継続期間中、無病生存率に対するセレコキシブ治療の効果に有意な変化は見られなかった(交互作用のP=0.61)。5年時の総生存率は、セレコキシブ群84.3%、プラセボ群81.6%であった(死亡のHR 0.86、95%CI、0.72~1.04;P=0.13)。FOLFOX投与期間中、セレコキシブ群の14.6%、プラセボ群の10.9%に高血圧(全グレード)が生じ、FOLFOX終了後、それぞれ1.7%と0.5%にグレード2以上のクレアチニン値上昇が生じた。 【結論および意義】III期大腸がん患者の標準術後補助化学療法に3年間セレコキシブ併用しても、プラセボより無病生存率を有意に改善することができなかった。 第一人者の医師による解説 COX-2阻害薬の上乗せ効果 本当にないのかの確認はさらなる検証が必要 山本 聖一郎 東海大学医学部消化器外科教授 MMJ. October 2021;17(5):151 アスピリンやシクロオキシゲナーゼ2(COX-2)阻害薬を長期服用することで、大腸腺腫や大腸がんの発生のみならず、大腸がん術後の再発率が低下するとの報告がある。結腸がんステージIII術後の予後改善目的の標準補助化学療法は5-フルオロウラシル系薬剤+オキサリプラチン療法(FOLFOX療法)である。本臨床試験 はFOLFOX療法にCOX-2阻害薬セレコキシブの3年間併用で予後が改善するかを検証する優越性試験である。3年無病生存率をプラセボ群(P群)で72%、セレコキシブ群(C群)で77%と想定し、2,500人の患者登録を予定した。2,526人の登録があり、3年無病生存率はP群73.4%、C群76.3%と、C群の優越性を示すことはできなかった(ハザード比[HR],0.89;95%信頼区間[CI],0.76〜1.03;P=0.12)。また5年全生存率もP群81.6%、C群84.3%と、C群の優越性を示せなかった(HR,0.86;95% CI,0.72〜1.04;P=0.13)。有害事象に関しては、C群で高血圧のリスクがFOLFOX療法中(14.6% 対 10.9%;P=0.01)ならびに終了後(13.0%対10.0%;P=0.04)に有意に高かった。また、グレード2以上の血中クレアチニン値の上昇がFOLFOX療法終了後にC群で有意に高率であった(1.7%対0.5%;P=0.01)。これらの結果を踏まえ、本論文の結論は「結腸がんステージIII術後の補助化学療法(FOLFOX療法)にセレコキシブを3年間併用することは3年無病生存率を有意に改善しなかった」と簡潔に記載している。研究者としては、ネガティブな結果は否定できないが、影響を最小限に留めたい想いであろう。 その理由としては無病生存曲線でも全生存曲線でも常にC群の方が生存率が高く推移していること、さらに補遺資料(ウエブ上で公開)の3年無病生存率に影響を与える臨床因子のサブグループ解析では、ほぼすべての因子でC群の方が優位であった。これらの結果より、真にCOX-2阻害薬が予後を改善しないと判断するよりは3年無病生存率をP群で72%、C群で77%と想定したが、結果として2.9%の差しか得られなかったことが大きく影響したと考えられる。もしそれぞれ73%、76%と当初から想定して臨床試験を行い、実現可能性は乏しいものの6,600人以上登録できれば有意な予後改善結果を証明できた可能性が高い。73%対76%の3%の予後改善効果を実感することは困難だが、逆に言えば実感できないほどではあるがわずかな予後改善効果を有する可能性が残った、と判断するのが妥当であろう。
急性尿閉とがんのリスク:デンマークの住民を対象としたコホート試験
急性尿閉とがんのリスク:デンマークの住民を対象としたコホート試験
Acute urinary retention and risk of cancer: population based Danish cohort study BMJ. 2021 Oct 19;375:n2305. doi: 10.1136/bmj.n2305. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【目的】急性尿閉初回診断後の泌尿生殖器がん、大腸がんおよび神経系がんのリスクを評価すること。 【デザイン】全国民を対象としたコホート試験。 【設定】デンマークの全病院。 【参加者】1995年から2017年までに急性尿閉のため初めて入院した50歳以上の患者75,983例。 【主要評価項目】一般集団と比較した急性尿閉患者の泌尿生殖器がん、大腸がんおよび神経系がんの絶対リスクおよび超過リスク。 【結果】急性尿閉初回診断後の前立腺がんの絶対リスクは、3ヵ月時点で5.1%(3,198例)、1年時点で6.7%(4,233例)、5年時点で8.5%(5,217例)であった。追跡期間が3ヵ月以内の場合、1,000人年当たり218例の前立腺がん超過症例が検出された。3ヵ月から12ヵ月未満の追跡では、1,000人年当たり21例の超過症例数が増加したが、12ヵ月を超えるとこの超過リスクは無視できるものとなった。追跡3ヵ月以内の超過リスクは、尿路がんが1,000人年当たり56例、女性の生殖器がんが1,000人年当たり24例、大腸がんが1,000人年当たり12例、神経系がんが1,000人年当たり2例であった。検討したがん種の多くで、超過リスクは追跡3ヵ月以内に限られていたが、前立腺がんおよび尿路がんのリスクは、追跡期間が3ヵ月から12ヵ月未満でも依然として高かった。女性では、浸潤性膀胱がんの超過リスクが数年にわたって認められた。 【結論】急性尿閉は、泌尿生殖器がん、大腸がん、神経系不顕性がんの臨床マーカーであると考えられる。急性尿閉を発症し、原因がはっきりと分からない50歳以上の患者では、不顕性がんの可能性を検討すべきである。 第一人者の医師による解説 急性尿閉では潜伏がんを考慮すべき 見落とし減らすため画像検査の実施も考慮 宮﨑 淳 国際医療福祉大学医学部腎泌尿器外科主任教授 MMJ. February 2022;18(1):17 急性尿閉は、突然の痛みを伴う排尿不能を特徴とし、直ちに導尿などを行い、膀胱の減圧が必要である。男性における急性尿閉の発症率は年間1,000人当たり2.2 ~ 8.8人で、推定発症率は70代では10%、80代では30%と、年齢とともに著しく上昇する(1)。男女比は13:1と推定されている。急性尿閉の根本的な原因のほとんどは良性であるが、急性尿閉は前立腺がんの徴候でもあり、他の泌尿器がん、消化器がんおよび神経系がんの徴候である可能性を示唆する研究もある。 そこで本論文では、デンマーク全国規模コホートから得たデータを用いて、急性尿閉による初回入院患者約76,000人における泌尿生殖器がん、大腸がん、神経系がんのリスクを一般集団と比較・検討した。その結果、急性尿閉の初診後の前立腺がんの絶対リスクは、3カ月後で5.1%、1年後で6.7%、5年後で8.5%であった。追跡期間3カ月以内において、前立腺がんの過剰症例が1,000人・年当たり218人検出された。さらに追跡期間3カ月~12カ月未満において1,000人・年当たり21人の過剰症例が検出されたが、12カ月を超えると過剰リスクは無視できる程度になった。追跡期間3カ月以内において、尿路系がんの過剰リスクは1,000人・年当たり56人、女性の生殖器系がんは1,000人・年当たり24人、大腸がんは1,000人・年当たり12人、神経系がんは1,000人・年当たり2人であった。ほとんどのがんで、過剰リスクは追跡期間3カ月以内に限定されたが、前立腺がんと尿路系がんのリスクは追跡期間3カ月~12カ月未満でも高いままであった。結論として、急性尿閉は、潜伏性尿路性器がん、大腸がん、神経系がんの臨床マーカーとなる可能性があるため、急性尿閉を呈し、明らかな基礎疾患を持たない50歳以上の患者には、潜伏がんを考慮すべきであると考えられた。 本研究が使用したデンマーク全国患者登録(Danish National Patient Registry)には人口約580万人の同国内のあらゆる病院に入院したすべての患者のデータが含まれていることから、今回のような全国規模の研究が可能である。この人口ベースのコホート研究において、泌尿生殖器がん、大腸がん、神経系がんが急性尿閉の原因となることが示唆された。我々泌尿器科医は、急性尿閉の患者を診察した際に前立腺肥大症と前立腺がんは常に念頭においているが、なかなか大腸がんや神経系疾患まで考慮することは少ない。見落としを減らすためにも、CTなどの画像検査を行うように心がける必要があるかもしれない。 1. Oelke M, et al. Urology. 2015;86(4):654-665.
潰瘍性大腸炎における大腸がん:スカンジナビアの人口ベースコホート研究。
潰瘍性大腸炎における大腸がん:スカンジナビアの人口ベースコホート研究。
Colorectal cancer in ulcerative colitis: a Scandinavian population-based cohort study Lancet 2020 Jan 11;395(10218):123-131. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】潰瘍性大腸炎(UC)は大腸癌(CRC)の危険因子である。)しかし、利用可能な研究は、古い治療とサーベイランスパラダイムを反映しており、腫瘍ステージ別のCRC発生率やCRCによるステージ調整死亡率を評価するなど、サーベイランスとリードタイムのバイアスを考慮せずにCRC発生リスクを評価したものがほとんどである。我々は、UC患者におけるCRC死亡率及びCRC発症の全体的及び国別のリスクの両方を比較することを目的とした。 【方法】デンマーク(n=32 919)及びスウェーデン(n=63 528)のUC患者96 447人の人口ベースのコホート研究において、患者は、CRC発症及びCRC死亡率について1969年1月1日から2017年12月31日の間に追跡され、一般集団のマッチした参照人(n=949 207)と比較された。UC患者を国の登録から選び、(当該国の)患者登録に関連する国際疾病分類の記録が2つ以上ある場合、またはそのような記録1つと炎症性腸疾患を示唆する形態コードを持つ大腸生検報告書がある場合に解析に含めました。UC患者全員について、デンマークとスウェーデンの総人口登録から、性、年齢、出生年、居住地が一致した参照人物を選んだ。Cox回帰を用いて、腫瘍の病期を考慮したCRC発症およびCRC死亡のハザード比(HR)を算出した。 【所見】追跡期間中に、UCコホートでは1336例のCRC発症(1000人年当たり1-29例)、参照個人では9544例のCRC発症(1000人年当たり0-82例、HR1-66、95%CI1-57-1-76)が観察された。UCコホートでは、同期間に639人の患者がCRCで死亡した(1000人年当たり0-55人)のに対し、参照群では4451人(1000人年当たり0-38人、HR 1-59、95%CI 1-46-1-72)であった。UC患者のCRC病期分布は、マッチさせた参照群よりも進行していなかったが(p<0-0001)、腫瘍病期を考慮すると、UCおよびCRC患者はCRC死亡のリスクが依然として高かった(HR 1~54、95%CI 1~33~1~78)。過剰リスクは暦年間で減少した:追跡の最後の5年間(2013~17年,スウェーデンのみ),UC患者のCRC発症のHRは1~38(95%CI 1-20~1-60,または5年ごとにUC患者1058人に1例の追加),CRCによる死亡のHRは1~25(95%CI 1-03~1-51,または5年ごとにUC患者3041人に1例の追加)であった。 【解釈】UCのない人に比べて、UCのある人はCRCを発症するリスクが高く、CRCと診断されてもあまり進行しておらず、CRCによる死亡のリスクも高いが、これらの過剰リスクは時間とともに大幅に減少している。国際的なサーベイランスガイドラインにはまだ改善の余地があるようだ。 【財源】スウェーデン医学協会、カロリンスカ研究所、ストックホルム県議会、スウェーデン研究会議、スウェーデン戦略研究財団、デンマーク独立研究基金、フォルテ財団、スウェーデンがん財団 第一人者の医師による解説 長期の追跡による成果 潰瘍性大腸炎の診療ガイドライン改訂に役立つ 中山 富雄 国立がん研究センター社会と健康研究センター検診研究部部長 MMJ.August 2020;16(4) 潰瘍性大腸炎など炎症性腸疾患の大腸がんリスクについては、これまで4件のメタアナリシスが報告されているが、うち3件は2004年までの古いデータに基づいていた。今回の研究はスウェーデンとデンマークで1969~2017年に診断された95 ,000 人強の潰瘍性大腸炎患者と性・年齢・居住地をマッチさせた一般集団95万人強を最長約50年追跡して、リスクを評価した。潰瘍性大腸炎診断後の大腸がん罹患のみに限定して解析した。 その結果、潰瘍性大腸炎の患者が一般集団に比べて罹患リスクが1.66倍、死亡リスクが1.59倍高いことが示されたが、この成績は先行研究と同等であった。個別の因子として、18歳未満の潰瘍性大腸炎発症、全大腸型大腸炎、原発性硬化性胆管炎の合併、1親等の大腸がん家族歴が一般集団に比べて特にリスクが高いことが確認された。また潰瘍性大腸炎診断後の1年以内に大腸がんの診断および死亡のリスクが特に高かった。 罹患のみが高いのであれば、潰瘍性大腸炎に対する内視鏡検査で偶発的に大腸がんが見つかったというサーベイランスバイアスの可能性が高いが、死亡が増加していることは、必ずしもバイアスで説明できるものではなく、大腸炎の発病自体が発がんに影響しているのだろう。若年発症は確かにリスクが高いが、40歳以上で潰瘍性大腸炎と診断された場合は、診断後5年以降の大腸がん死亡リスクは一般集団とあまり変わらず、60歳以上での診断例は、診断直後から一般集団と差がなかった。 この長い追跡期間の間に、大腸がん罹患・死亡リスク自体は大幅に低下していた。これは前がん病変の検出やサーベイランスの変遷によるものかもしれないが、食習慣や運動などの予防の影響かもしれない。 今回の研究結果は、住民を対象とし50年近い長期の追跡期間によるもので、結果を一般化しやすい。潰瘍性大腸炎早期発症や病変範囲の広い大腸炎などが際立ってリスクが高いこと、追跡が長期化した場合は罹患も死亡もリスクが一般集団と同レベルに低下することなど、個別のリスクに応じた詳細なサーベイランス方法の設定が可能となる非常に有用なデータである。これまで高リスク者に1~2年に1回の内視鏡検査が推奨されてきたが、いつまで続けるのかは示されていなかった。今回の成績が、潰瘍性大腸炎患者の診療ガイドラインの改訂に役立つこととなるだろう。
大腸がんの転帰予測のためのディープラーニング:発見と検証の研究。
大腸がんの転帰予測のためのディープラーニング:発見と検証の研究。
Deep learning for prediction of colorectal cancer outcome: a discovery and validation study Lancet 2020 Feb 1;395(10221):350-360. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】早期大腸がん患者を層別化し、アジュバント療法の選択を洗練するために、予後のマーカーを改善することが必要である。本研究の目的は、深層学習を使用してスキャンした従来のヘマトキシリン・エオジン染色切片を直接分析することにより、原発性大腸がん切除後の患者の転帰のバイオマーカーを開発することである。 【方法】4コホートから明らかに良好または不良の病期を有する患者からの12 000 000以上の画像タイルを使用して、超大型異種画像の分類のために専用に構築された合計10の畳み込みニューラルネットワークを訓練するために、使用された。10 個のネットワークを統合した予後バイオマーカーを、転帰が明確でない患者を使用して決定した。このマーカーは、英国で作成されたスライドを用いて920人の患者でテストされ、次にノルウェーで作成されたスライドを用いて、カペシタビンの単剤投与を受けた1122人の患者で、あらかじめ定められたプロトコルに従って独立に検証された。すべてのコホートには、切除可能な腫瘍を有し、解析に利用できるホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍組織ブロックを有する患者のみが含まれていた。主要アウトカムは癌特異的生存率であった。 【所見】4つのコホートから828人の患者が明確なアウトカムを有し、明確なグランドトゥルースを得るためのトレーニングコホートとして使用された。1645人の患者は明確な転帰を示さず、チューニングに使用された。バイオマーカーは、検証コホートの一次解析では、予後不良と予後良好のハザード比を3-84(95%CI 2-72-5-43; p<0-0001)、同じコホートの一変量解析で有意だった予後マーカー(pN期、pT期、リンパ管侵襲、静脈血管侵襲)を調整すると3-04(同 2-07-4-17; p<0-0001)であった。 【解釈】臨床的に有用な予後マーカーが、従来のヘマトキシリン・エオジン染色した腫瘍組織切片のデジタルスキャンと連携したディープラーニングを使用して開発された。このアッセイは独立した大規模な患者集団で広範囲に評価され,確立された分子的・形態的予後マーカーと相関し,それを上回り,腫瘍や結節の病期を越えて一貫した結果を与えることができた。このバイオマーカーは、II期とIII期の患者を十分に異なる予後グループに層別化し、非常にリスクの低いグループでの治療を避け、より強力な治療レジームから恩恵を受ける患者を特定することによって、補助治療の選択の指針として使用できる可能性がある。 第一人者の医師による解説 汎用性高い新規バイオマーカー 前向き比較試験での検討必要 小澤 毅士 帝京大学医学部附属病院外科助教/多田 智裕 武蔵浦和メディカルセンターただともひろ胃腸科肛門科理事長 MMJ.August 2020;16(4) 遺伝子検査の進歩などに伴い、さまざまな疾患において各個人に合わせた治療法の選択(プレシジョン・メディシン)が可能になってきた。進行再発大腸がんでは、RAS、BRAFなどの遺伝子変異、マイクロサテライト不安定性(MSI)、がん発生部位に応じた抗がん剤効果予測が一般的に行われている。一方、大腸がん治癒切除後の補助化学療法については、依然として深達度、リンパ節・遠隔転移を考慮したステージングを超える明確な導入判断基準はなく、新たなバイオマーカーが期待されている。 近年、深層学習(deep learning)技術の登場により人工知能(AI)の能力が飛躍的に向上した。医療現場では特にAIを用いた画像診断支援の研究が盛んで、専門医と同等の診断能を示すAIの開発が進んでおり、すでに医療現場に導入されているAI診断支援システムもある。 このような背景において、本研究では大規模な大腸がんの原発巣の病理切除標本スライドをもとに、予後予測AIを開発した。まず予後との関連付けを行ったステージI~ III大腸がんの病理切除標本スライドを用いてAIの教育を行い、別のコホートでその予後予測能を検証した。本研究でとられた手法の特徴は、腫瘍内不均一性を考慮して、標本スライド全体をそのまま予後と関連付けて学習させるのでなく、がん病変部位をタイルと呼ばれる小区域に区切り、それぞれのタイルを解析の上、最終的にがん病変をタイルのヒートマップとして学習させた点である。 結果として、ステージII~ III大腸がんにおいて、AIによる分類は有意な独立した予後因子となりうることが示唆され(ハザード比[HR],3.04;P<0 .0001)、またステージII、ステージIIIそれぞれにおいても同様の結果であった(それぞれHR, 2.71[P=0.011]、2.95[P<0.0001])。1人当たりの解析にかかった時間(中央値)は2.8分であった。 AIを用いた病理標本スライド分類は、新しいバイオマーカーとして役立つのみならず、ヒューマンエラーや観察者間相違をなくし、バイオマーカーとして高い再現性が期待できる。欧米で導入されている遺伝子発現検査などは、コスト、検査時間、検体の保管方法などに伴う再現性の問題から、なかなか広まらないのに対して、本研究で用いられるのは3μ m厚のヘマトキシリンエオジン染色スライドのみであり、汎用性が高いと考えられる。 本研究で開発されたAI分類の最終目標は、ステージII~ III大腸がんに対する術後補助化学療法の導入選択のバイオマーカーとして役立つことであり、これについては今後前向きな比較試験を行い、検討していく必要がある。
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.21(2022年10月13日号)
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.21(2022年10月13日号)
妊婦の"超加工食品"摂取は子供の神経心理学的発達に影響を及ぼすか? 妊婦の超加工食品(UPF=Ultra-Processed Foods:糖分や塩分、脂肪を多く含む加工済みの食品。保存料などを添加し、常温で保存できたり、日持ちを良くしてある食品)摂取は、子供の発達に悪影響を与える可能性がある。妊婦の砂糖入り飲料の摂取は、子供の認知機能障害と関連しているが、UPFの総摂取がどのような影響を与えるかについては研究されていない。著者らは、妊婦のUPFの総摂取量と子供の神経発達との関連について分析を行った。Clinical Nutrition誌2022年10月1日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 世界の健康格差は是正されたか? ヘルスケアのニーズはライフコースを通じて変化する。したがって、医療制度がすべての年齢層に質の高い医療へのアクセスを提供しているかどうかを評価することが重要である。2019年の疾病、傷害、および危険因子の世界的負担に関する調査 (GBD 2019)を参考に、1990年〜2019年までの204か所で、全体と年齢層別のヘルスケアへのアクセスと質(HAQ)指数を測定した。The Lancet Global Health誌オンライン版2022年10月6日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 大腸内視鏡検査は、大腸がん死を減らすか? 大腸内視鏡検査は大腸がんを発見するためのスクリーニング検査として広く用いられているが、大腸がんおよび関連死亡のリスク減少に対する効果は不明である。2009年〜2014年の間にポーランド、ノルウェー、スウェーデン、オランダの人口登録簿から抽出された55歳〜64歳の健康であると推定される男女を対象に、大腸内視鏡検査を1回受けるよう案内される群(案内群)と、案内もスクリーニングもされない群(通常ケア群)を1 : 2に割り付け、ランダム化試験を実施した。The New England Journal of Medicine誌オンライン版2022年10月9日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む シロシビンは、アルコール使用障害(AUD)に有効か? 古典的なサイケデリック薬はアルコール使用障害(AUD)の治療に有望であるが、シロシビン(マジックマッシュルームに含まれる成分)の有効性は依然として不明である。そこで、心理療法を受けているAUD患者に対し、高用量シロシビン、または活性プラセボ(ジフェンヒドラミン)を投与し、大量飲酒日の割合を比較する二重盲検無作為化臨床試験が行われ、結果が報告された。JAMA Psychiatry誌2022年10月1日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 高用量ビタミンCによる抗がん作用は、何に制限されるか? 高用量のアスコルビン酸(ビタミンC)は、有望な抗がん作用を示す。本論文では、in vitroにおける高用量アスコルビン酸の代謝作用と細胞毒性は、デヒドロアスコルビン酸(アスコルビン酸の酸化により生成)とは独立に過酸化水素に起因することが明らかにされた。またこれらの作用はセレンによって抑制され、In vivoでは、食事によるセレン欠乏は膠芽腫異種移植片に対するアスコルビン酸活性の有意な増強をもたらした。Cancer Research誌2022年10月4日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.20(2022年10月6日号) CRPはがんのバイオマーカーになるか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.19(2022年9月29日号) 免疫チェックポイント阻害剤の奏効率は、食事によって変わるのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.18(2022年9月22日号) メタボを防ぐ腸内細菌に対して、最も悪影響を及ぼす食事は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.17(2022年9月15日号) セレブからも注目されているプチ断食は、ダイエットや心血管代謝に良い影響を及ぼすのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.16(2022年9月8日号) 長生きできる紅茶の摂取量は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.15(2022年9月1日号) 顔が似ていると、遺伝情報も似ている!? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.14(2022年8月25日号) ゼロカロリー甘味料は、耐糖能に影響を及ぼさないのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.13(2022年8月18日号) 運動後の摂取はゆで卵、生卵どちらの摂取が有用か? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.12(2022年8月11日号) 慢性腰痛を軽減する最良の運動オプションとは~RCTのネットワークメタ解析 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.11(2022年8月4日号) サル痘の臨床的特徴~最新症例報告 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.10(2022年7月28日号) 小児におけるオミクロンに対するファイザー社製COVID-19ワクチンの有効性 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.9(2022年7月21日号) 慢性便秘症に効果的な食物繊維摂取量は?:RCTの系統的レビュー&メタ解析 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.8(2022年7月14日号) COVID-19後遺症の有病率、その危険因子とは ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.7(2022年7月7日号) 糖尿病の有無が影響するか、心不全に対するエンパグリフロジンの臨床転帰 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.6(2022年6月30日号) 老化をあざむく方法は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.5(2022年6月23日号) 座位時間と死亡率および心血管イベントとの関連性:低~高所得国での違いはあるか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.4(2022年6月16日号) 乳製品やカルシウム摂取量と前立腺がんの発症リスクの関連性:前向きコホート研究 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.3(2022年6月9日号) 運動は脳内RNAメチル化を改善し、ストレス誘発性不安を予防する ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.2(2022年6月2日号) 6〜11歳の子供におけるmRNA-1273Covid-19ワクチンの評価 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.1(2022年5月26日号) SARS-CoV-2オミクロンBA.2株の特性評価と抗ウイルス感受性 ≫その他4本
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.33(2023年1月19日号)
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結局どんな食事が健康に良いのか? 現在のアメリカ人の食事ガイドラインでは、複数の健康的な食事パターンを推奨しているが、それらの順守と、総死亡および原因別死亡リスクとの関連を調べた研究はほとんどない。そこで、著者らは、HEI-2015(アメリカ人のための食事ガイドラインへの適合度を評価する食事の品質の基準)、AMED(代替地中海食)スコア、HPDI(健康的な植物ベースの食事指数)、AHEI(代替健康食指数)と、総死亡および原因別死亡リスクとの関連性を調査した。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2023年1月9日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 大腸がんの予後と治療効果を予測するためのAIとは? 免疫細胞組成が大腸がん(CRC)において強力な予後予測値を有することは以前から知られているが、イムノスコア(IS)や上皮内リンパ球の定量化などの評価指標は、日常臨床への導入が遅れている。著者らは、この状況を打破すべく、AIを利用したマルチステインディープラーニングモデル(MSDLM)を構築し、1,000人を超えるCRC患者のAImmunoscore(AIS)を判定し評価した。Nature Medicine誌オンライン版2023年1月9日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む Long COVIDは、感染1年以内に解消するか? 軽症患者におけるSARS-CoV-2感染後1年間のLong COVID症状と、年齢、性別、SARS-CoV-2バリアント、ワクチン接種状況との関連性を評価するため、イスラエルの全国規模の医療機関の電子カルテを用いた、後ろ向きコホート研究が実施された。対象:2020年3月1日から2021年10月1日の間にSARS-CoV-2のPCR検査を行ったすべての年齢層、191万3,234名。BMJ誌2023年1月11日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 慢性腎臓病における糖尿病管理のための KDIGO 2022 臨床診療ガイドライン 慢性腎臓病における糖尿病管理のための KDIGO 2022 臨床診療ガイドラインは、腎臓病の2020年ガイドラインの更新版である。新しいエビデンスにより、「糖尿病およびCKD患者の包括的ケア(第1章)」および「2型糖尿病およびCKD患者の血糖降下療法(第4章)」の推奨事項が更新された。Annals of Internal Medicine誌オンライン版2023年1月10日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 入院中における有害事象の実態。予防可能な事象の割合は? 1991年のHarvard Medical Practice Studyに記載されているように、入院中の有害事象は患者への危害の主な原因である。その研究が行われてから数十年の間に患者の安全性は大きく変化しており、入院中の有害事象について新しい評価が必要である。著者らは、2018年のマサチューセッツ州内11病院の入院患者を無作為抽出し、患者の有害事象の頻度、予防可能性、および重症度について、後ろ向きコホート研究を実施した。The New England Journal of Medicine誌2023年1月12日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.32(2023年1月12日号) 高タンパクの朝食は、昼食・夕食の食後血糖値にどのように影響するか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.31(2022年12月22日号) 抗生物質が運動のモチベーションを下げる!? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.30(2022年12月15日号) 最も糖尿病リスクを軽減する野菜は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.29(2022年12月8日号) リバウンド予防に効果的な食事とは? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.28(2022年12月1日号) 妊娠で母性が宿るか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.27(2022年11月24日号) 精子数の世界的な減少 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.26(2022年11月17日号) マスクは本当に効果があるのか?:学校における検証 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.25(2022年11月10日号) キツい筋トレは筋肥大に効果があるのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.24(2022年11月3日号) AIによる膵臓がん予後予測は有用か? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.23(2022年10月27日号) 蚊を寄せ付ける体臭は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.22(2022年10月20日号) 片頭痛には有酸素運動、筋トレどちらが有効か? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.21(2022年10月13日号) 妊婦の"超加工食品"摂取は子供の神経心理学的発達に影響を及ぼすか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.20(2022年10月6日号) CRPはがんのバイオマーカーになるか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.19(2022年9月29日号) 免疫チェックポイント阻害剤の奏効率は、食事によって変わるのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.18(2022年9月22日号) メタボを防ぐ腸内細菌に対して、最も悪影響を及ぼす食事は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.17(2022年9月15日号) セレブからも注目されているプチ断食は、ダイエットや心血管代謝に良い影響を及ぼすのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.16(2022年9月8日号) 長生きできる紅茶の摂取量は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.15(2022年9月1日号) 顔が似ていると、遺伝情報も似ている!? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.14(2022年8月25日号) ゼロカロリー甘味料は、耐糖能に影響を及ぼさないのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.13(2022年8月18日号) 運動後の摂取はゆで卵、生卵どちらの摂取が有用か? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.12(2022年8月11日号) 慢性腰痛を軽減する最良の運動オプションとは~RCTのネットワークメタ解析 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.11(2022年8月4日号) サル痘の臨床的特徴~最新症例報告 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.10(2022年7月28日号) 小児におけるオミクロンに対するファイザー社製COVID-19ワクチンの有効性 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.9(2022年7月21日号) 慢性便秘症に効果的な食物繊維摂取量は?:RCTの系統的レビュー&メタ解析 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.8(2022年7月14日号) COVID-19後遺症の有病率、その危険因子とは ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.7(2022年7月7日号) 糖尿病の有無が影響するか、心不全に対するエンパグリフロジンの臨床転帰 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.6(2022年6月30日号) 老化をあざむく方法は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.5(2022年6月23日号) 座位時間と死亡率および心血管イベントとの関連性:低~高所得国での違いはあるか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.4(2022年6月16日号) 乳製品やカルシウム摂取量と前立腺がんの発症リスクの関連性:前向きコホート研究 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.3(2022年6月9日号) 運動は脳内RNAメチル化を改善し、ストレス誘発性不安を予防する ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.2(2022年6月2日号) 6?11歳の子供におけるmRNA-1273Covid-19ワクチンの評価 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.1(2022年5月26日号) SARS-CoV-2オミクロンBA.2株の特性評価と抗ウイルス感受性 ≫その他4本
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.47(2023年4月27日号)
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骨粗鬆症治療薬デノスマブが糖尿病リスクを減らす? 成人骨粗鬆症患者における2型糖尿病リスクに対するデノスマブ(プラリア®)の効果を、経口ビスホスホネートと比較して推定するために、骨粗鬆症でデノスマブまたは経口ビスホスホネートを使用した45歳以上の成人を対象に、人口ベースのコホート研究が実施された。BMJ誌2023年4月18日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 糖尿病患者に推奨すべき飲料は? 2型糖尿病の成人の死亡率および心血管疾患(CVD)発生率と、加糖飲料・人工甘味飲料・フルーツジュース・コーヒー・紅茶・低脂肪乳・牛乳・水の摂取との関連について、追跡期間が平均18.5年間に及ぶ前向きコホート研究を行った。BMJ誌2023年4月19日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む スタチンによる大腸がんリスク低下は、腸内細菌が鍵? 疫学的研究はスタチン使用と大腸がん(CRC)発生率低下との関連を示しており、前臨床モデルでは化学予防効果の可能性が示されている。また、スタチンはdysbosis(腸内細菌叢の異常)の抑制と関連しているが、スタチンのCRC予防における腸内細菌叢の役割については不明である。著者らは、大腸内視鏡検査を受けた患者コホートをレトロスペクティブに分析することで、スタチンの化学予防効果を検証した。Nature Microbiology誌オンライン版2023年4月17日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 環境負荷を考えた”持続可能"な手術現場とは? ヘルスケア領域において、手術室に介入せずにネットゼロカーボン(温室効果ガスの排出が正味ゼロ)を達成することはできない。著者らは、手術室の環境負荷を減らすための実現可能な介入策に優先順位をつけることを目的に、4段階のデルファイ法を行った。The British Journal of Surgery誌オンライン版2023年4月20日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)には肥満外科手術が有効? 観察研究は、肥満外科手術bariatric-metabolic surgeryが非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を大幅に改善する可能性を示唆している。しかし、NASHに対する手術の有効性は、無作為化試験でライフスタイル介入や薬物療法の効果とは比較されていない。著者らは、イタリアのローマにある3つの主要病院で、多施設共同非盲検無作為化試験を行った。Lancet誌オンライン版2023年4月20日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.46(2023年4月20日号) 理想的な陰嚢のサイズは? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.45(2023年4月13日号) 砂糖の1日の摂取目安は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.44(2023年4月6日号) グルコサミンの定期服用で、認知症リスクが下がる!? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.43(2023年3月30日号) コーヒーの心臓への影響は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.42(2023年3月23日号) 雄マウスのiPS細胞から卵子作製!?子も誕生!? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.41(2023年3月16日号) アルツハイマー病のリスク低減・進行を防ぐ食事とは? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.40(2023年3月9日号) 地上とトレッドミルでのランニング、効果に差はあるか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.39(2023年3月2日号) 筋トレには、動物性タンパク質?植物性タンパク質は効果あり? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.38(2023年2月23日号) 過去30年間で男性器サイズが大きく変化!? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.37(2023年2月16日号) 話題の不老長寿薬NMNは、過体重/肥満の中高年の健康を取り戻すか? ≫その他4本
進行・再発大腸がんの化学療法に有望な新選択肢
進行・再発大腸がんの化学療法に有望な新選択肢
Fruquintinib versus placebo in patients with refractory metastatic colorectal cancer (FRESCO-2): an international, multicentre, randomised, double-blind, phase 3 study Lancet. 2023 Jul 1;402(10395):41-53. doi: 10.1016/S0140-6736(23)00772-9. Epub 2023 Jun 15. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】進行した化学療法抵抗性結腸直腸癌の患者には、効果的な全身療法オプションが不足しています。我々は、重度の前処理された転移性結腸直腸癌の患者において、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)1、2、および3の非常に選択的で強力な経口阻害剤であるフルキンティニブの有効性と安全性を評価することを目指しました。 【方法】14か国の124の病院およびがんセンターで、国際的なランダム化された二重盲検プラセボ対照、フェーズ3研究(FRESCO-2)を実施しました。18歳以上の患者(日本では20歳以上)を含め、組織学的または細胞学的に記録された転移性結腸直腸腺癌を含め、現在のすべての標準的な承認された細胞毒性および標的療法を受け、トリフルリジン - チピラシルまたはレゴラフェニブ、またはその両方に耐えられました。適格な患者は、28日間のサイクルで1〜21日目に1日1回、フルキンニブ(5 mgカプセル)またはプラセボを口頭で一致させるためにランダムに割り当てられました(2:1)。層別因子は、以前のトリフルリジン - チピラシルまたはレゴラフェニブ、またはその両方、RAS変異状態、および転移性疾患の持続時間でした。選択されたスポンサーPharmacovilance担当者を除き、患者、調査員、研究サイト担当者、およびスポンサーは、グループの割り当てを研究するために隠されました。主なエンドポイントは、あらゆる理由からのランダム化から死までの時間として定義される全生存率でした。予想される全生存イベントの約3分の1が発生したときに、拘束力のない無益な分析が行われました。最終分析は、480の全生存イベントの後に行われました。この研究は、ClinicalTrials.gov、NCT04322539、およびEudract、2020-000158-88に登録されており、継続的ですが採用していません。 【調査結果】2020年8月12日から2021年12月2日の間に、934人の患者が適格性について評価され、691人が登録され、フルキンニブ(n = 461)またはプラセボ(n = 230)を受け取るためにランダムに割り当てられました。患者は、転移性疾患の以前の全身療法の4列(IQR 3-6)の中央値(IQR 3-6)を投与され、691人の患者のうち502人(73%)が3列以上を受けていました。全生存期間の中央値は、フルキンティニブ群で7・4ヶ月(95%CI 6・7-8・2)対4・8ヶ月(4・0-5・8)であった(ハザード比0・66、95%CI 0・55-0・80; p <0・0001)。グレード3以下の有害事象は、フルキンニブを投与された456人の患者のうち286人(63%)、プラセボを投与された230人のうち116人(50%)で発生しました。Fruquintinib群の最も一般的なグレード3以下の有害事象には、高血圧(n = 62 [14%])、Asthenia(n = 35 [8%])、および手足症候群(n = 29 [6%])が含まれていました。。各グループに治療関連の死亡が1つありました(フルキンティニブ群の腸穿孔とプラセボ群の心停止)。 【解釈】Fruquintinib治療は、抵抗性転移性結腸直腸癌患者のプラセボと比較して、全生存率において有意かつ臨床的に意味のある利益をもたらしました。これらのデータは、抵抗性転移性結腸直腸癌患者のグローバルな治療オプションとしてのフルキンティニブの使用をサポートしています。生活の質データの継続的な分析は、この患者集団におけるフルキンティニブの臨床的利益をさらに確立するでしょう。 【資金調達】ハッチメド。 第一人者の医師による解説 後方治療でもVEGF経路をしっかり抑えることが重要と示す 陶山 浩一 虎の門病院臨床腫瘍科部長 MMJ.April 2024;20(1):24 進行・再発大腸がんに対する化学療法は、この20年ほどで目覚ましい発展を示している。殺細胞薬の開発・投与の工夫に加え、分子標的薬の実用化、近年では高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)やHER2遺伝子変異といったminor populationに対する個別化治療の開発がその一助となっている。今回その効果が検証されたフルキンチニブは 血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)の1,2,3を選択的に阻害するマルチキナーゼ阻害薬である。元々は中国で第 III相試験のFRESCO試験が行われフルキンチニブの有効性が示されていたが(1)、中国国内と世界との標準治療の乖離があることから、日本も含めたグローバルにおける第 III相試験として実施されたのが本論文のFRESCO-2試験である。 73%の患者で前治療数が4以上というheavilytreatedなpopulationにおいて、主要評価項目である全生存期間( ハザード 比[HR], 0.66;P<0.0001)、副次評価項目の1つである無増悪生存期間(HR, 0.32;P<0.0001)はプラセボ群に対してフルキンチニブ群でいずれも有意に延長した。いずれのKaplan-Meier曲線においても初期段階から両群の差がしっかり認められ持続していた。客観的奏効率は、フルキンチニブ群が2%、プラセボ群は0%と両群間に有意な差はなかったが(P=0.059)、病勢コントロール率はそれぞれ56%、16%(P<0.0001)とフルキンチニブ群で有意に優れた。 Grade 3以上の主な毒性は、高血圧、無力症、手足症候群であった。現在、大腸がん後方ラインで用いられているレゴラフェニブに比して毒性はやや低いと推測される結果であった。実臨床に導入された場合、実薬対照の臨床試験で効果が示されているトリフルリジン・チピラシル(FTD/TPI)+アバスチンの方がフルキンチニブより優先されることが多いと思われるが、その前後の有望な選択肢になりうる。 バイオマーカーによる患者の選別が治療開発のメインストリームにもなりつつある中で、後方治療かつall comerでしっかりと効果を示すことができており、わが国でも早期の臨床導入が待たれる薬剤である。特に、前述のFTD/TPI、レゴラフェニブとの投与順序や適切なタイミングでの移行、それによる薬剤の使い切り戦略がこれまで以上に重要となってくるであろう。現在、QOLデータの解析が進行中であり、それによりフルキンチニブの臨床的有用性の確立がさらに進むと思われる。 1. Li J, JAMA. 2018;319(24):2486-2496.