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はしか、おたふくかぜ、風疹のワクチン接種と自閉症。全国規模のコホート研究。
はしか、おたふくかぜ、風疹のワクチン接種と自閉症。全国規模のコホート研究。
Measles, Mumps, Rubella Vaccination and Autism: A Nationwide Cohort Study Ann Intern Med. 2019 Apr 16;170(8):513-520. doi: 10.7326/M18-2101. Epub 2019 Mar 5. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】麻疹・おたふくかぜ・風疹(MMR)ワクチンと自閉症との関連性の仮説は、引き続き懸念を引き起こし、ワクチン接種を困難にしている。 【目的】MMRワクチンが、子ども、子どものサブグループ、接種後の時間帯で自閉症のリスクを高めるかどうかを評価する。 【デザイン】全国規模のコホート研究。 【設定】デンマーク。 【参加者】1999年から2010年12月31日までにデンマークで生まれた657 461人の小児を対象とし、1歳以降2013年8月31日まで追跡調査を行った。 測定 【方法】デンマークの人口登録を用い、MMRワクチン接種、自閉症診断、他の小児ワクチン、自閉症の兄弟歴、自閉症危険因子に関する情報をコホート内の小児と関連づけた。Cox比例ハザード回帰を用いた自閉症診断までの期間の生存分析により,年齢,出生年,性別,他の小児用ワクチン,兄弟の自閉症歴,自閉症リスク因子(疾患リスクスコアに基づく)を調整し,MMRワクチン接種状況に応じた自閉症のハザード比を推定した。 【結果】5025 754人年の追跡期間に,6517名が自閉症と診断された(発生率,10万人年当たり129.7名分)。MMRワクチン接種児とMMRワクチン非接種児を比較すると、完全調整済み自閉症ハザード比は0.93(95%CI、0.85~1.02)であった。同様に、自閉症の兄弟歴、自閉症リスク因子(疾患リスクスコアに基づく)、他の小児予防接種、または接種後の特定の期間によって定義された小児のサブグループにおいても、MMR接種後の自閉症リスクの増加は一貫して認められなかった。 【限定】個々の医療カルテのレビューは行わなかった。 【結論】本研究は、MMR接種が自閉症リスクを増加させず、感受性児の自閉症を誘発せず、接種後の自閉症例の集積と関連がないことを強く支持するものであった。統計的検出力を高め、感受性の高いサブグループと症例の集積の仮説に取り組むことで、これまでの研究に新たな一歩を踏み出すことができた。 第一人者の医師による解説 大規模コホートで示された 臨床的に非常に重要な知見 宇野 洋太 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神疾患病態研究部室長 MMJ.June 2019;15(3) 本研究の目的は、麻疹・ムンプス・風疹(MMR) ワクチンと自閉症発症の関係を調べることである。 MMRと 自閉症発症 の 関係 は、1998年 にLancet 誌に掲載され、後に取り下げとなった論文に端を発した仮説である。その後、2014年にはワクチン 接種と自閉症発症の関係を調べたメタアナリシス が発表された。解析に採用されたMMRと自閉症の 関係を調査した研究(2編のコホート研究および4 編の症例対照研究)はすべて両者が無関係であることを報告しており、当然メタアナリシスの結果 も同様であった。さらにその後、2編の研究(1),(2)が報告されているが、そのいずれも同様の結果を述べている。つまり最初の仮説が提唱された後、今日に至るまでの20年以上の間、主要な観察研究のいずれにおいてもMMR接種後、自閉症発症リスクの上昇がみられることを示したものはない。それにもかかわらず、この仮説への懸念やワクチン接種への抵抗感は十分払拭されたとはいえないため本研究が実施されるに至った。 本研究ではデンマークの全国コホートを用い、 1999~2010年に生まれた子ども657,461人 を1歳から2013年8月31日まで、自閉症の診断、 MMRを含むワクチンの接種歴、自閉症の同胞(兄 弟姉妹)歴などに関して調べた。 観察されたのは5,025,754人・年で、6,517 人が自閉症と診断された。MMR非接種児と比較し、 MMR接種児における自閉症の補正ハザード比は 0.93(95%信頼区間[CI], 0.85~1.02)であった。 その他、同胞歴、自閉症の危険因子、他のワクチン 接種歴、ワクチン接種から診断に至るまでの期間などを考慮したサブグループでも同様の結果であった。つまり本研究もMMRの接種が自閉症発症のリスクを上昇させないというこれまでの先行研究の結果を強く支持するものであった。 本論文の仮説となっているLancet誌に掲載された論文は、方法論的、また倫理的な問題から取り下げとなり、その筆者は医師免許剥奪となっている。 さらに日本を含む世界各国で広く観察研究、また動物を使っての介入研究も実施されたが、いずれにおいてもネガティブな結果が示されている。つまり科学的に仮説としてすら成立していないわけであるが、それが発展し、MMRのみならずチメロサール含有ワクチン、混合ワクチン、生後早期のワクチン接種などと自閉症発症リスクの問題が都市 伝説的に不安視され、それに基づく除去療法なども行われている現状がある。著者の述べる通り、これらの不安に対し引き続き科学的根拠を示すことが必要で、臨床的に非常に重要な知見が本論文によってさらに重ねられた。 1. Jain A, et al.JAMA. 2015;313(15):1534-1540.(MMJ, February 2016;12, 1: 40-41) 2. Uno Y, et al.Vaccine. 2015;33(21):2511-2516.
英国の中等学校におけるいじめと攻撃性に対するLearning Together介入の効果(INCLUSIVE):クラスター無作為化対照試験。
英国の中等学校におけるいじめと攻撃性に対するLearning Together介入の効果(INCLUSIVE):クラスター無作為化対照試験。
Effects of the Learning Together intervention on bullying and aggression in English secondary schools (INCLUSIVE): a cluster randomised controlled trial Lancet 2018 Dec 8 ;392 (10163 ):2452 -2464 . 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】子どもや若者のいじめ、攻撃性、暴力は、公共のメンタルヘルス問題の中で最も大きな影響を及ぼしている。我々は,修復的実践を用い,社会的・感情的スキルを開発することによって学校環境を修正する取り組みに生徒を参加させるLearning Together介入を検証した。 【方法】イングランド南東部の中学校で3年間,経済的評価とプロセス評価を行い,標準的実践(コントロール)と比較したLearning Together介入のクラスター無作為化試験を行った。Learning Togetherは、修復的実践に関する職員研修、学校活動グループの招集と進行、および生徒の社会的・感情的スキルのカリキュラムで構成されていた。主要アウトカムは,36カ月目に測定された自己申告によるいじめ被害経験(Gatehouse Bullying Scale; GBS)と攻撃行為(Edinburgh Study of Youth Transitions and Crime; ESYTC)の学校不品行副尺度であった。意図的治療縦断混合効果モデルを用いてデータを分析した。本試験はISRCTN登録(10751359)された。 【調査結果】40校(各群20校)を対象とし、脱落校はなかった。ベースライン時には7121人中6667人(93-6%)、36か月時には7154人中5960人(83-3%)の生徒が参加した。36か月時点のGBSいじめスコアの平均は、対照群0-34(SE 0-02)に対して介入群0-29(SE 0-02)であり、有意な調整平均差(-0-03、95%CI -0-06~-0-001; 調整効果サイズ -0-08)であった。36ヶ月時点のESYTCスコアの平均は、対照群4-33(SE 0-20)に対して介入群4-04(0-21)であり、群間差は認められなかった(調整済み差-0-13、95%CI -0-43~0-18; 調整済み効果量 -0-03)。費用は介入校では対照校よりも生徒一人当たり58ポンド追加された。 【解釈】Learning Togetherは公衆衛生上重要な可能性のあるいじめに対して小さいが有意な効果を示したが,攻撃性に対しては効果がなかった。学校全体の環境を修正することによって生徒の健康を促進する介入は、子どもや若者の密接に関連したリスクや健康上の結果に対処する最も実行可能かつ効率的な方法の一つであると考えられる。 第一人者の医師による解説 低コストで効果的なポピュレーションアプローチ 日本での導入に期待 矢澤 亜季(ハーバード大学公衆衛生大学院リサーチフェロー)/友田 明美(福井大学子どものこころの発達研究センター教授) MMJ.June 2019;15(3) いじめや暴力は、青少年における主要な精神保 健上の問題であり、その対策として学校レベルでの介入が期待されている。本論文の著者らは、英国においてLearning Togetherという、学校の社会環境改善によるいじめ防止を目的としたプログラムを開発し、その効果検証を行った。具体的には、 ①学校のポリシーやシステムの見直しによる、特に社会経済的に恵まれない子どものエンゲージメントの向上②修復的実践(いじめの当事者が一堂に会し、集団的に問題を解決するプロセス)によって 生徒や教員の間にある問題を予防・解決するシス テムづくり③各個人の社会性や情動のスキルの向上を図るためのカリキュラムの導入̶̶の3つで構成される。特徴として、学校レベルでの介入、すなわちポピュレーションアプローチでありながら、 低コスト(生徒1人あたり58ポンド[約8,500円]) であることが挙げられる。 本研究では、40の中等学校に在籍する6,667 人の生徒を対象とし、介入群(20校)に対して11 ~12歳時に介入を行い、3年間にわたっていじめや攻撃性の低減につながったかどうかクラターランダム化比較試験により効果が検証された。いじめはGatehouse Bullying Scale、攻撃性はEdinburgh Study of Youth Transitions and Crimeを用いて、それぞれ自己評価の経験をアウトカムとした。 結果、3年後のいじめスコアは対照群の0.34に 対して介入群で0.29と有意に低かった。攻撃性に関しては、全体としては有意な差はみられなかったものの、もともと攻撃性が高かった集団ではその低下がみられた。また、介入群では3年後の生活の質(QOL)や心理的健康度が対照群より高く、飲酒や喫煙を含む問題行動も総じて少なかった。興味深いのは、こうした効果は介入から2年後ではみられなかったことである。学校環境の変化にはそれなりに時間がかかることを示唆する結果だと著者らは考察している。 こうしたプログラムの効果検証にランダム化比較試験が用いられるのは初の試みであり、効果検証において現状最も理想的な手法であると言える。 認められた効果は決して大きなものではなかったが、低コストのポピュレーションアプローチとして その有用性が示唆されたことは意義深い。 日本でもいじめは増加の一途を辿っており、2017年度には過去最多の41万件を記録している。 学校および教師への負担が増加する中、各世帯や子どもに個別の対応を十分に提供するのは難しいのが現状であり、このようなプログラムを学校教育全体に組み込むことで、いじめが予防できるのであれば理想的だろう。こうしたエビデンスを踏まえて、日本のコンテクストに合ったプログラムを作成し、取り入れていく機運が高まることを期待する。
195カ国・地域の282の死因に対する世界・地域・国の年齢性別死亡率、1980-2017年:世界疾病負担調査2017のための系統的分析。
195カ国・地域の282の死因に対する世界・地域・国の年齢性別死亡率、1980-2017年:世界疾病負担調査2017のための系統的分析。
Global, regional, and national age-sex-specific mortality for 282 causes of death in 195 countries and territories, 1980-2017: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2017 Lancet 2018 Nov 10 ;392 (10159):1736 -1788. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】世界的な開発目標では、国の進捗をベンチマークするために、国別の推定値に頼ることが多くなっています。この必要性を満たすために、Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study (GBD) 2016は、1980年から世界、地域、国、そして特定の場所については、国未満の原因別死亡率を推定している。ここでは、新たに入手可能となったデータと改善された手法を活用し、その研究の更新を報告する。GBD 2017は,1980年から2017年までの195の国と地域における282の原因別死亡率の包括的な評価を提供する。 【方法】死因データベースは,生命登録(VR),口頭検死(VA),登録,調査,警察,監視データから構成されている。GBD 2017では,10件のVA調査,127国年のVRデータ,502国年のがん登録,1国年のサーベイランスが追加された。GBDの死因階層の拡張により、GBD 2017では18の死因が追加推定された。新たに入手可能となったデータにより、エチオピア、イラン、ニュージーランド、ノルウェー、ロシアの5カ国が追加され、国別推定値が算出された。国際疾病分類(ICD)コードが非特異的、ありえない、または中間的な死因に割り当てられた死亡は、不確実性推定に組み込まれた再分配アルゴリズムによって基礎的な死因に再割り当てされた。死因アンサンブルモデル(CODEm)を含むGBDのために開発された統計モデリングツールを用いて、地域、年、年齢、性別ごとに死因割合と死因別死亡率を算出した。GBD 2017は、旧版のように国連の推定値を使用する代わりに、すべての場所の人口サイズと出生率を独自に推定しました。そして、各死亡の合計に各年齢の標準余命を乗じることで損失年数(YLL)を算出した。ここで報告されたすべての率は年齢標準化されている。 発見]死因の最も広いグループ分け(レベル1)では、非伝染性疾患(NCD)が死因の最も大きな割合を占め、2017年の総死因の73-4%(95%不確実性区間[UI] 72-5-74-1 )に寄与し、伝染病、母親、新生児、栄養(CMNN)原因は18-6%(17-9~19-6)、負傷8-0%(7-7~8-2)であった。NCDの原因による総死亡者数は2007年から2017年にかけて22-7%(21-5-23-9)増加し、2007年と比較して2017年には7-6100万(7-20-8-01)の追加死亡者数が推定されたことになる。NCDによる死亡率は、世界的に7-9%(7-0-8-8)減少した。CMNNの原因による死亡者数は22-2%(20-0-24-0)、死亡率は31-8%(30-1-33-3)減少した。傷害による総死亡者数は2007年から2017年にかけて2-3%(0-5-4-0)増加し、傷害による死亡率は13-7%(12-2-15-1)減少して2017年には10万人あたり57-9人(55-9-59-2)であった。物質使用障害による死亡も増加し、2007年に世界で284 000人(268 000-289000)だったのが、2017年には352 000人(334 000-363000)に増加しました。2007年から2017年の間に、紛争とテロによる死亡者総数は118-0%(88-8-148-6)増加した。5歳未満の子どもの下気道感染症による死亡が36-4%(32-2-40-6)減少したのに対し、70歳以上の成人では33-6%(31-2-36-1)増加するなど、一部のCMNN原因では高齢者よりも死亡総数および死亡率の減少が大きく見受けられた。世界的に、2017年の死亡者数は、85歳以上の高齢者を除くほとんどの年齢で、女性より男性の方が多かった。世界のYLLの動向は疫学的な変遷を反映しており、1990年から2017年にかけて腸管感染症、呼吸器感染症および結核、母体および新生児障害によるYLL総数が減少し、これらは社会人口統計指数(SDI)の最低レベルにおいて概して大きさが増している。同時に、新生物および心血管疾患によるYLLが大きく増加した。すべてのSDI五分位において、レベル2の主要な5つの死因でYLL率が減少した。1990年にYLLの主要原因であった新生児障害、下気道感染症、下痢性疾患は、2017年には2位、4位、5位となった。一方、虚血性心疾患(2017年1位)と脳卒中(3位)では、YLL率は低下したものの、推定YLLは増加した。人口増加は、2007年から2017年にかけて、レベル2の主要な20の死因における総死亡者数の増加に寄与した。原因別死亡率の減少は、3つの原因(物質使用障害、神経疾患、皮膚・皮下疾患)を除くすべての原因について、人口増加の影響を軽減した。 【解釈】グローバルヘルスの改善は、集団間で不均一に分布している。傷害、物質使用障害、武力紛争とテロ、新生物、心血管系疾患による死亡は、世界の健康に対する脅威を拡大している。下気道感染症や腸管感染症などの死因については、高齢の成人よりも子どもの方が急速に進歩しており、年齢層による性差で死亡率に格差がある状態が続いている。一般的な疾患の死亡率の減少は、NCDを中心に減速または停止しており、特定の原因による死亡率は過去10年間で増加している 【FUNDING】ビル&メリンダ・ゲイツ財団 第一人者の医師による解説 死因の半数が10種の疾病 これらへの対処で健康改善が進展 野村 周平 東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室助教 MMJ.June 2019;15(3) 世界の疾病負荷研究(Global Burden of Disease:GBD)は米国ワシントン大学のInstitute of Health Metrics and Evaluation(IHME)を主軸として、多くの研究機関が連携して行っている。本論文は、これまでにない量・種類のデータを収集、包括的で多面的な新手法で解析した最新のGBD 2017プロジェクトの研究成果からの1編であり(1)、 世界195の国・地域における死亡の原因を性・年 齢階級別に詳細に分析したものである。 本研究により、非感染症が2017年における世界の死因の4分の3(73.4%)を占めていたことがわかった(感染症・母体および新生児の病気・栄養障害が18.6%、傷害が8.0%)。近年においては、 非感染症は死亡数・率ともに増加を続け、一方で感染症や傷害は数・率ともにそれぞれ減少、停滞傾向にある。 本研究の重要な発見の1つは、282種類の疾病・ 傷害を調べたところ、世界の死亡の半数以上がそのうちわずか10種類の疾病が原因となっていたことだ。これらの少数の疾病に対処すれば、健康改善において進展を遂げることができる。本研究は死亡の原因となる疾病・傷害のタイプも大きく変わりつつあることを示した。2000~17年の 約20年間で、10大死因のうち、虚血性心疾患と卒中は2大主要死因にとどまったが、他の8死因は 入れ替わった。アルツハイマー病、糖尿病、肺がん、慢性閉塞性肺疾患および肝硬変は上位に上がり、下 痢性疾患や下気道感染症、新生児障害、HIV/AIDS、 結核は順位を下げた。がん全体でみると死亡数・率ともに増加し続けている。 上述の傾向が当てはまらない地域が、サハラ以南のアフリカである。HIV/AIDS、マラリア、結核といった三大感染症や下痢性疾患、新生児障害が南アジアやオセアニア地域で死因の5分の1、その他の地域で2~10%以下を占める一方、サハラ以南のアフリカでは、これらの疾病が死因の約半数の48%を占める。これらの疾病による死亡率はこの20年で大きく低下し(50%減)、重要な前進を遂げたが、依然として死亡率はとても高く、このような状況はこの地域特有である。加えて、虚血性心疾患や脳卒中といった心血管疾患も今ではアフリカにおいても脅威となっている。 世界的に健康増進が進む中、地域や年齢によって その進展は大きく異なる。本研究成果は、世界の死亡における課題を、国や地方別、年齢別、性別レベルで評価し、それらに対応する最善の方法を見つけるための新たなデータを提示するものだ。 1. The Lancet. Lancet. 2018;392(10159):1683.
アメリカ人のための身体活動ガイドライン。
アメリカ人のための身体活動ガイドライン。
The Physical Activity Guidelines for Americans JAMA 2018 Nov 20 ;320 (19 ):2020 -2028 . 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【重要】米国の成人および青年の約80%は、十分な活動をしていない。身体活動は正常な成長と発達を促進し、人々の気分、機能、睡眠を良くし、多くの慢性疾患のリスクを減らすことができる。 【目的】アメリカ人のための身体活動ガイドライン第2版(PAG)の主要ガイドラインを要約する。 プロセスと証拠の統合】2018年身体活動ガイドライン諮問委員会は、身体活動と健康を支える科学について系統的レビューを実施した。委員会は38の質問と104のサブ質問に取り組み、研究の一貫性と質に基づいてエビデンスを評定した。強いまたは中程度と評価されたエビデンスが、主要なガイドラインの基礎となった。保健福祉省(HHS)は、2018年の身体活動ガイドライン諮問委員会科学報告書に基づき、PAGを作成しました。 【推奨事項】PAGは、複数の人口集団のさまざまな健康上の成果を改善するための身体活動の種類と量に関する情報とガイダンスを提供します。就学前の子ども(3歳から5歳)は、成長と発達を高めるために、一日を通して身体活動を行うべきである。6歳から17歳の子供と青年は、毎日60分以上の中等度から強度の身体活動を行う必要があります。成人は、少なくとも週に150分から300分の中強度の有酸素運動、または週に75分から150分の強度の有酸素運動、あるいは中強度と強度の有酸素運動の同等の組み合わせを行う必要があります。また、週に2日以上、筋肉を強化する活動を行う必要があります。高齢者は、有酸素運動や筋力強化の活動だけでなく、バランストレーニングを含む多成分の身体活動を行う必要があります。妊娠中および出産後の女性は、週に少なくとも150分、中強度の有酸素運動を行うべきです。慢性疾患や障害を持つ成人は、可能であれば、成人の主要なガイドラインに従い、有酸素運動と筋力強化の両方の活動を行う必要があります。勧告では、より多く動き、より少なく座ることが、ほぼすべての人に利益をもたらすことを強調しています。身体活動が最も少ない人は、中等度から高度の身体活動を適度に増やすことで最も恩恵を受ける。さらに、身体活動を増やすと、さらなる効果が得られます。 【結論と関連性】『アメリカ人のための身体活動ガイドライン第2版』は、実質的な健康上の利益をもたらす身体活動の種類と量に関する情報とガイダンスを提供している。医療専門家や政策立案者は、ガイドラインの認知を促進し、身体活動の健康上の利点を宣伝し、身体活動の増加を促進し、米国人口の健康を向上させるためのプログラム、実践、政策を実施する努力を支援する必要がある。 第一人者の医師による解説 日本人に対しても推奨される内容 岩田 慎平/野村 政壽(主任教授) 久留米大学医学部内科学講座内分泌代謝内科部門 MMJ.April 2019;15(2) 身体活動は正常な成長と発達を促進し、精神・身体機能、睡眠を改善し、多くの慢性疾患を予防する(1)。 その効果は男女問わず、小児から高齢者まで認められ、さらに周産期の女性や慢性疾患患者にも認められる。多くの米国人が十分な身体活動をしていない現状を踏まえ、今回、米国人に対してエビデンスに基づく推奨度の高い身体活動のガイドライ ン(第2版)がまとめられた。本ガイドラインでは、 以下に示す各人口集団に対して、種々の健康アウト カムを改善するための身体活動の種類と量に関する情報と指針を提示している。 ・未就学児(3~5歳)では、成長発達を促進するため1日を通して身体的に活発であるべきであり、 保護者が支援していくことが必要である。 ・ 6~17歳の就学児・青少年では、運動能力の向上や運動習慣の形成、そして生涯にわたる健康の基盤づくりとして身体活動が重要である。未就学児と同様に保護者の支援が必要であり、骨強 化や筋力増強のために週3日以上の運動が推奨 される。就学児・青少年では慢性疾患の基盤となる肥満やインスリン抵抗性、脂質や血圧の異常が進行する可能性があり、運動習慣はそれらの 危険因子を減らし、将来の慢性疾患の発症抑制につながる。 ・ 成人 では、中等度 の身体活動であれば150~ 300分 /週、高強度であれば75~150分 /週 の有酸素運動が推奨され、さらに週2日以上の筋力トレーニングを加えるべきである。 ・ 高齢者では身体機能の維持を目的に、有酸素運動や筋力トレーニングに加えて転倒予防のための バランストレーニングを含む複数の身体活動を行う。また、身体活動の種類は個々の状態に合わせて設定する必要がある。 ・ 妊娠中および産後の女性は、周産期合併症の予防を目的に少なくとも150分 /週の中等度の有酸素運動を行うべきである。 ・ 慢性疾患や障害のある患者も可能な限り成人の ガイドラインに沿って身体活動を行うことが望ましく、有酸素運動と筋力トレーニングの両方を行うことが推奨される。ただし、個々の病状や身体能力を踏まえ、専門家の指導の下に運動の質や量を設定する。 ガイドラインでは、移動を多くし座位を少なくすることがすべての人に有益であること、身体活 動が少ない人ほど身体活動によるベネフィットが 多く得られることも強調している。このことは我々日本人に対しても推奨されるものと言える。また、 医療専門家や行政に対してこのガイドラインを活用して身体活動による健康改善の取り組みを支援することを訴えている。 1. Lee IM, et al. Lancet. 2012;380(9838):219-229.
ローテーションによる夜勤勤務と不健康な生活習慣の遵守が2型糖尿病のリスクを予測する:米国の女性看護師を対象とした2つの大規模コホートからの結果
ローテーションによる夜勤勤務と不健康な生活習慣の遵守が2型糖尿病のリスクを予測する:米国の女性看護師を対象とした2つの大規模コホートからの結果
Rotating night shift work and adherence to unhealthy lifestyle in predicting risk of type 2 diabetes: results from two large US cohorts of female nurses BMJ 2018 Nov 21 ;363 :k4641 . 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【目的】2型糖尿病リスクに対する交代制夜勤勤務期間と生活習慣因子の関連を前向きに評価し,交代制夜勤勤務のみ,生活習慣のみ,およびそれらの相互作用に対するこの関連を定量的に分解する。 【デザイン】前向きコホート研究。看護師健康調査(1988~2012年)および看護師健康調査II(1991~2013年)。 【参加者】ベースライン時に2型糖尿病、心血管疾患、がんのない女性143 410名。 【曝露】回転夜勤勤務は、その月の日勤および夜勤に加えて、月に3回以上の夜勤を行うことと定義した。不健康な生活習慣とは、現在の喫煙、1日30分以下の中・高強度の身体活動、Alternate Healthy Eating Indexスコアの下位3/5の食事、25以上の肥満度などであった。 【主なアウトカム評価】2型糖尿病の発症例は、自己申告により確認され、補足的な質問票により検証された。 【 結果】22~24年の追跡期間中に、10,915例の2型糖尿病が発症した。2型糖尿病の多変量調整ハザード比は、交代制夜勤勤務期間の5年刻みで1.31(95%信頼区間1.19~1.44)、不健康な生活習慣因子(喫煙歴、食事の質の低さ、身体活動の低さ、過体重または肥満)で2.30(1.88~2.83)であった。2型糖尿病と回転夜勤の5年ごとの増分と不健康な生活習慣因子ごとの共同関連については、ハザード比は2.83(2.15~3.73)で、有意な相加的相互作用が認められた(相互作用のP<0.001)。共同研究の割合は,交代制夜勤勤務のみで17.1%(14.0%~20.8%),不健康な生活習慣のみで71.2%(66.9%~75.8%),それらの相加的な相互作用で11.3%(7.3%~17.3%)であった。 【結論】女性看護師では,交代制夜勤勤務と不健康な生活習慣の両方が2型糖尿病の高いリスクと関連していた。回転夜勤勤務と不健康な生活習慣の組み合わせによる過剰リスクは,それぞれの要因に関連するリスクの加算よりも高かった。これらの知見は、2型糖尿病のほとんどの症例は健康的なライフスタイルを守ることで予防できることを示唆しており、その効果は交代制夜勤者においてより大きい可能性がある。 第一人者の医師による解説 昼夜交代勤務者 健康管理と生活習慣の改善が特に重要 山口 聡子(特任助教)/門脇 孝(特任教授) 東京大学大学院医学系研究科糖尿病・生活習慣病予防講座 MMJ.April 2019;15(2) 不健康な生活習慣が2型糖尿病発症のリスクで あることは広く知られているが、近年、昼夜交代勤務の労働者で、2型糖尿病発症リスクが高いことが 報告されてきた(1)。一方、昼夜交代勤務の労働者では喫煙頻度が高く、食生活も異なるとの報告もあり、 生活習慣と昼夜交代勤務が独立した危険因子であるかは明らかでなかった。 今回、米国の看護師を対象とした大規模な前向きコホート研究により、昼夜交代勤務と不健康な生活習慣は2型糖尿病発症の独立した危険因子であり、さらに、交互作用があることが示された。Nurses’ Health Study(NHS)、Nurses’ Health Study II に参加した女性看護師143,410人(ベースライン: NHS 1988年に平均50歳代、NHS II 1991年に平均30歳代)を22~24年間追跡し、10,915人 に2型糖尿病の発症を認めた。 生活習慣の調査は2~4年ごとに実施され、喫煙、運動不足( 中等度以上 の 身体活動30分 /日未 満)、不健康な食生活(Alternate Healthy Eating Indexスコアが下位5分の3)、肥満(BMI 25以上) の4因子を不健康な生活習慣と定義した。昼夜交代 勤務歴のない対照群と比較して、昼夜交代勤務(日 勤・準夜勤に加えて月3回以上の夜勤)の累積期間 5年ごとの2型糖尿病発症の補正後ハザード比(HR) は1.31(95 % CI, 1.19~1.44)、生活習慣4因 子の1因子ごとのHRが2.30(1.88~2.83)であった。昼夜交代勤務と生活習慣因子を合わせたHRは 2.83(2.15~3.73)で、有意 な 交互作用(P< 0.001)を認めた。交互作用に起因する相対超過 リ ス ク(RERI)は0.20(0.09~0.48)で、交互 作用の寄与割合は、昼夜交代勤務単独17.1%(14.0 ~20.8%)、生活習慣因子単独71.2%(66.9~ 75.8%)に対して、11.3%(7.3~17.3%)であった。 昼夜交代勤務が単独でも2型糖尿病発症の危険因子となることに加えて、生活習慣との間に交互作用があることを初めて明らかにした意義は大きい。昼夜交代勤務の労働者では、心血管疾患や乳がんなどのリスクが高いことも報告されており(2)、(3)、 健康管理が特に重要である。また、交互作用があることから、昼夜交代勤務の労働者では生活習慣の改善が特に重要であると言える。今後、昼夜交代勤務による発症リスク上昇のメカニズムの解明が待たれる。また、医療現場でも労務管理や産業医による介入など予防のための取り組みが一層重要になるであろう。 1. Pan A, et al. PLoS Med. 2011;8(12):e1001141. 2. Vetter C, et al. JAMA. 2016;315(16):1726-1734. 3. Wegrzyn LR, et al. Am J Epidemiol. 2017;186(5):532-540.
プライマリーケアにおける高齢者の潜在的に不適切な処方の有病率と入院との関連:縦断的研究。
プライマリーケアにおける高齢者の潜在的に不適切な処方の有病率と入院との関連:縦断的研究。
Prevalence of potentially inappropriate prescribing in older people in primary care and its association with hospital admission: longitudinal study BMJ 2018 Nov 14 ;363 :k4524 . 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【目的】高齢のプライマリケア患者(65歳以上)における入院が不適切な処方の可能性と関連するかどうか、またそのような処方が入院前よりも入院後に多く見られるかどうかを明らかにする。 【デザイン】一般診療記録からレトロスペクティブに抽出したデータの縦断研究 【設定】2012-15年にアイルランドで行われた一般診療44件 【参加者】参加診療所の65歳以上の成人。 【主要評価項目】高齢者処方スクリーニングツール(STOPP)バージョン2の45の基準を用いて評価した潜在的不適切処方の有病率、潜在的不適切処方の基準を満たす割合(層別Cox回帰)および潜在的不適切処方のバイナリ存在(ロジスティック回帰)の両方で分析し、患者の特性で調整した。感度分析では、患者の特徴と診断に基づいた傾向スコアによるマッチングを行った。 【結果】全体で38 229名の患者が含まれ、2012年の平均年齢は76.8歳(SD 8.2)、43%(13 212名)が男性であった。毎年、10.4~15.0%(2015年3015/29 077~2014年4537/30 231)の患者が少なくとも1回の入院を経験していた。潜在的に不適切な処方の全体の有病率は、2012年の患者の45.3%(13 940/30 789)から2015年の51.0%(14 823/29 077)までの範囲であった。年齢、性別、処方品目数、併存疾患、健康保険とは無関係に、入院は潜在的不適切処方の基準を明確に満たす高い割合と関連していた;入院の調整ハザード比は1.24(95%信頼区間1.20~1.28)であった。入院した参加者では、患者の特性とは無関係に、入院後に不適切な処方をする可能性が入院前よりも高かった;入院後の調整オッズ比は1.72(1.63〜1.84)であった。傾向スコアをマッチさせたペアの解析では,入院後のハザード比は1.22(1.18~1.25)とわずかに減少した。 【結論】入院は潜在的に不適切な処方と独立して関連していた。入院が高齢者に対する処方の適切性にどのような影響を及ぼすか、また入院による潜在的な悪影響をどのように最小化できるかを明らかにすることが重要である。 第一人者の医師による解説 不適切処方に対する教育・啓発と多職種協働による包括的取り組みが必要 小川 純人 東京大学大学院医学系研究科加齢医学准教授 MMJ.April 2019;15(2) 高齢者は加齢に伴う生理機能や身体機能の変化を認めやすく、自立生活障害や多臓器にわたる病 態、多彩な症候を呈しやすいことが特徴として挙げられる。また、概して高齢者では若年者に比べて薬物有害事象が認められやすいとされ、老年症候群の原因となりうる薬剤が比較的多く注意を要することが少なくない。また、高齢者は多疾患を有するためpolypharmacyの状態になりやすく、薬物 有害事象も起こりやすい。高齢者に対してはベネ フィットよりもリスクが高いなどの理由から、治療方針にかかわらず使用中止を検討する必要がある薬剤があり、それらはpotentially inappropriate medication(PIM)と呼ばれている。 PIMの薬物リストとして世界的には、米国のBeers 基準2015(1) や欧州のSTOPP/START ver 2(2)の2つが知られており、日本においても「高齢者の安全な薬物療法 ガイドライン 2015」として10年ぶりに内容が 改訂された(3)。「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン 2015」は、系統的レビューによる科学的根拠に基づいており、STOPP/STARTと同様に「特に慎重な投与を要する薬物リスト」や「開始を考慮するべき薬物リスト」から構成されている。同ガイドラインは75歳以上高齢者やフレイル・要介護高齢 者に対する慢性期の薬物療法を適用対象とし、医師、 薬剤師、看護師など多職種による利用・活用が想定、 期待されている。 本研究では、65歳以上の高齢患者を対象に、高齢者の処方スクリーニングツール(STOPP criteria version 2)を用いてPIMと入院の関連を縦断研究 で検討したもので、PIMの割合は、患者全体の半数 前後に及んでいた。また、PIMの発生率上昇は入院 と関連し、患者特性によらず入院前より入院後の方がPIMが高い結果となった。入院が高齢患者への処 方の妥当性やPIMに及ぼす影響、ならびに入院によるこうした影響をどのように軽減、回避させるかといった多職種協働による連携、取り組みが重要である。日本においては、適切なpolypharmacy介 入の推進に向けて、平成28年度診療報酬改定において薬剤総合評価調整加算(入院患者向け)と薬剤 総合評価調整管理料(外来患者向け)が新設された。 そこでは、基本的に6種類以上使っていた薬を2種 類以上削減できた際に算定が認められており、今 入院や外来におけるpolypharmacy介入や減薬評価が一層進むものと期待される。 1. The American Geriatrics Society 2015 Beers Criteria Update Expert Panel. J Am Geriatr Soc. 2015;63(11):2227-2246. 2. O'Mahony D, et al. Age Ageing. 2015;44(2):213-218. 3. 日本老年医学会、日本医療研究開発機構研究費・高齢者の薬物治療の安全 性に関する研究研究班:高齢者の安全な薬物療法ガイドライン 2015、メジ カルビュー社、東京、2015.
血清尿酸値に対する食事の幅広い寄与の評価:人口ベースコホートのメタアナリシス
血清尿酸値に対する食事の幅広い寄与の評価:人口ベースコホートのメタアナリシス
Evaluation of the diet wide contribution to serum urate levels: meta-analysis of population based cohorts BMJ 2018 Oct 10 ;363 :k3951 . 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【目的】食事の構成要素と血清尿酸値との関連を系統的に検証し、血清尿酸値の集団分散に対する食事パターンの推定値と遺伝的変異の相対的寄与を評価する。 【デザイン】米国の断面データのメタ解析。 【データソース】5件のコホート研究。 【レビュー方法】米国のヨーロッパ系祖先16 760人(男性8414人、女性8346人)を解析に含めた。対象者は、18歳以上で、腎臓病や痛風がなく、尿酸降下薬や利尿薬を服用していない人であった。すべての参加者は、血清尿酸値の測定、食事調査データ、潜在的交絡因子に関する情報(性別、年齢、肥満度、1日の平均カロリー摂取量、教育年数、運動レベル、喫煙状況、閉経状況)、ゲノムワイド遺伝子型を持っていた。主なアウトカム指標は、血清尿酸値の平均値と血清尿酸値の分散であった。多変量線形回帰分析のβ値(95%信頼区間)およびボンフェローニ補正P値、回帰部分R2値を用いて関連を定量的に評価した。 【結果】男性、女性、または完全コホートにおいて、7つの食品が血清尿酸値上昇と関連し(ビール、酒、ワイン、ジャガイモ、鶏肉、ソフトドリンク、肉(牛、豚、ラム))、8つの食品が血清尿酸値低下と関連していた(卵、ピーナッツ、冷たいシリアル、脱脂乳、チーズ、ブラウンパン、マーガリン、非シトラス果実)。健康的な食事ガイドラインに基づいて構築された3つの食事スコアは血清尿酸値と逆相関し、4番目のデータ駆動型の食事パターンは血清尿酸値上昇と正相関したが、それぞれ血清尿酸値の分散の0.3%以下を説明することができた。これに対し、血清尿酸値の分散の23.9%は、一般的な、ゲノム幅の広い一塩基の変異によって説明された。 【結論】遺伝的寄与とは対照的に、食事は一般集団における血清尿酸値の変動をほとんど説明しない。 第一人者の医師による解説 塩基変異影響も踏まえ、アジア・日本でも各世代別 /性別での検討が必要 大内 基司(獨協医科大学医学部薬理学講座准教授)/安西 尚彦(千葉大学大学院医学研究院薬理学教授) MMJ.April 2019;15(2) 高尿酸血症は痛風の主要危険因子であり、さまざまな疾患と関連付けられている。尿酸は肝臓で生成され排出は腎臓からを主とし、腸管からも排出され体内の尿酸値が決定されている。体内尿酸のバランスは遺伝要因と環境要因で修飾される。今日まで、血清尿酸値に対する食事の寄与の系統的 解析は、大きなデータセットでは行われていない。 本研究は、血清尿酸値への食事全体の関連付け研究において個々の食事成分を系統的に解析し、また 血清尿酸値に食事全体とゲノムワイド一塩基変異 の相対的寄与を定量化することを目的とし、米国の 5つのコホート研究(ARIC、CARDIA、CHS、FHS、 NHANES III)を使用した。 食事質問票の記載が10%未満、摂取予想カロリー が600キロカロリー未満や4,200キロカロリー 超などの除外基準が定められ、5つのコホートの男女比はほぼ 同率(44.8~56.7%)で、平均血清 尿酸値 5.18~5.84mg/dL、平均年齢26~72 歳(CHS[参加者1,954人]が72±5歳)と幅があった。15の食品が尿酸値との関連で挙がり、まだ確立していない9食品で尿酸値上昇に鶏肉、ジャガイモ、低下にはチーズ、非柑橘類フルーツ、黒 パン、ピーナッツ、マーガリン、シリアル、卵が挙がった。しかし、それぞれは血清尿酸値分散の1% 未満を説明するのに過ぎなかったとし、同様に食事スコア(DASH diet(1) 0.28%、Healthy Eating diet 0.15%、Mediterranean diet 0.06%)も影響が非常に小さかったとしている。一方、一般的 な遺伝的変異体によって説明される遺伝率推定値 は23.9%(NHANES IIIを除く)(男性23.8%、 女性40.3%)で、ゲノムワイド関連研究でのトラ ンスポーター関連の一塩基多型含め30の変異体(2) からなる遺伝的リスクスコアは血清尿酸値分散の 7.9%を説明するとした。また、遺伝的リスクスコアと交互作用を示したのは、DASH dietスコアの 女性コホートのみであった(P=0.04)。したがって今回のデータセットでは、受け継がれた遺伝的変異と比較すると、食事全体による血清尿酸値分散への影響ははるかに少ないと報告している。 一方で、本研究では腎臓病、痛風、尿酸降下薬や 利尿薬服用を除外している。除外項目や平均尿酸値 から高尿酸血症の低含有率も予想される。また耐糖 能異常や糖尿病と尿酸値は複雑な関連性があり、本研究における5つのコホート研究の糖尿病有病率(低い順に0.53、1.01、3.92、5.39、6.22%)は米国の推測される糖尿病有病率(20歳以上の9.8% [1988~1994年]、12.4%[2011~2012年])(3) より低い中での検討であることに注意して解釈す べきである。糖尿病有無別の詳細な検討や、アジア・ 日本でも世代別・性別での検討を含め、今後さらなるデータ解析が待たれる。 1. Fung TT, et al. Arch Intern Med. 2008;168(7):713-720. 2. Köttgen A, et al. Nat Genet. 2013;45(2):145-154. 3. Menke A, et al. JAMA. 2015;314(10):1021-1029.
非閉塞性半月板損傷患者における早期手術と理学療法の膝関節機能への影響。ESCAPE Randomized Clinical Trial(無作為化臨床試験)。
非閉塞性半月板損傷患者における早期手術と理学療法の膝関節機能への影響。ESCAPE Randomized Clinical Trial(無作為化臨床試験)。
Effect of Early Surgery vs Physical Therapy on Knee Function Among Patients With Nonobstructive Meniscal Tears: The ESCAPE Randomized Clinical Trial JAMA 2018 Oct 2 ;320 (13 ):1328 -1337 . 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【重要】関節鏡下半月板切除術(APM)は理学療法(PT)よりも有効ではないことを示唆する最近の研究にもかかわらず、この手術は半月板損傷患者に依然として頻繁に行われている。 【目的】半月板損傷患者における患者報告膝機能の改善について、PTがAPMよりも非劣性かどうかを評価する。 【デザイン、設定および参加者】非劣性、多施設、無作為臨床試験をオランダの9病院で実施した。参加者は45~70歳の非閉塞性半月板断裂患者(膝関節のロッキングがない)。膝関節不安定症、重度の変形性関節症、肥満度が35以上の患者さんは除外した。募集は、2013年7月17日から2015年11月4日の間に行われた。参加者は24ヶ月間フォローアップされた(最終参加者フォローアップ、2017年10月11日) 【介入】321名の参加者は、APM(n=159)または事前に定義されたPTプロトコル(n=162)にランダムに割り当てられた。PTプロトコルは、協調運動と閉鎖運動連鎖の強化運動に焦点を当てた8週間16セッションの運動療法で構成された。 主要アウトカムと測定法]主要アウトカムは、国際膝関節文書委員会主観的膝フォーム(範囲、0~100;悪い方から良い方)の患者報告膝機能の24ヶ月フォローアップ期間のベースラインからの変化とした。非劣性マージンは、治療群間の差が8ポイントであると定義され、0.025の片側αで評価された。主要解析はintention-to-treatの原則に従った。 【結果】無作為化された321例(平均[SD]年齢58[6.6]歳,女性161例[50%])中,289例(90%)が試験を完了した(女性161例,男性158例)。PT群では、47人(29%)が24か月の追跡期間中にAPMを発症し、APMに無作為に割り付けられた8人(5%)がAPMを発症しなかった。24ヶ月の追跡期間中、APM群では26.2ポイント(44.8から71.5)、PT群では20.4ポイント(46.5から67.7)膝機能が改善された。全体の群間差は 3.6 ポイント(97.5% CI、-∞~6.5、非劣性の P 値 = 0.001)であった。有害事象は,APM 群で 18 例,PT 群で 12 例に発生した.再手術(APM群3例、PT群1例)および膝痛のための追加外来受診(APM群6例、PT群2例)が最も頻度の高い有害事象だった。 【結論と関連性】非閉塞性半月板断裂の患者において、24か月のフォローアップ期間における患者報告による膝機能の改善に関してPTはAPMに対して非劣位であった。これらの結果から、PTは非閉塞性半月板断裂患者に対する手術の代替療法と考えられる。 【臨床試験登録】ClinicalTrials. gov Identifier:NCT01850719。 第一人者の医師による解説 ロッキング症状を伴わない膝関節半月断裂にはまず理学療法を 芳賀 信彦 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻感覚・運動機能医学講座リハビリテーション医学分野教授 MMJ.April 2019;15(2) ロッキング症状を伴わない膝関節半月断裂に対する理学療法の長期成績は、関節鏡視下半月部分切除に劣らないことが、オランダのESCAPE研究で示された。 膝関節半月は、関節の変性プロセスの一部として断裂することがあり、50歳以上では膝関節痛がなくても60%以上に半月断裂を認める。痛みを伴う場合の治療として関節鏡視下半月部分切除術が広く行われるが、一方で理学療法にも短期的な疼痛軽減効果がある。メタ解析では、半月切除術は術後 6カ月までは関節機能と疼痛の面で保存的治療よりも優れる一方、1~2年後までは効果が持続しないと報告されている。2年を超える長期的な効果は不明である。 本研究はオランダの9施設で行われたランダム化比較試験であり、2013~15年に45~70歳の、 ロッキング症状を伴わない膝関節痛を有し、MRIで半月断裂を確認した321人が登録された。約半数が理学療法群に割り付けられ、1回30分の理学療法が8週間にわたり計16回行われた。プログラムは、心肺機能の調整、協調運動・バランス訓練、閉鎖運動連鎖を用いた筋力増強からなる均一なものである。残りは半月切除群に割り付けられた。周術期には自宅で運動療法を行い、回復が不十分な場合は理学療法を受けた。 両群合わせて289人で24カ月間の追跡が可能であった。この間に理学療法群では47人が症状残存のために半月切除術を受けた。半月切除群のうち 8人は手術を受ける選択をせず、また半月切除後 2年以内に2人が人工膝関節置換術を受けた。主要評価項目である膝関節機能(IKDC自己申告スコア) に関するintention-to-treat(ITT)解析において、3 カ月、6カ月および24カ月目までの全体では、理学療法群が半月切除群に劣っていなかった(非劣性が 示された)が、12カ月と24カ月の時点では非劣性が示されなかった。実際に受けた治療による解析 でも同様の結果であった。副次的評価項目である荷 重時の疼痛に関するITT解析では、24カ月までの 全体で半月切除群が理学療法群より優れていたが、 実際に受けた治療による解析では差がなかった。 日本でも過去には変形性膝関節症に対する鏡視 下デブリドマンとして、変性断裂した半月の切除がよく行われていたが、今回の結果のように、短期的には疼痛が軽減し患者は満足するが、数年でむしろ関節症が進むこともあり、近年はあまり積極的には行われていない。膝関節痛の診療にかかわる医師は、本研究の結果も参考にし、ロッキング症状がない状態ではまず理学療法を行い、症状が残存、悪化した場合のみ半月部分切除術を行うスタンスが望ましい。
ハイリスク患者における急性胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術と経皮的カテーテルドレナージ(CHOCOLATE):多施設無作為化臨床試験。
ハイリスク患者における急性胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術と経皮的カテーテルドレナージ(CHOCOLATE):多施設無作為化臨床試験。
Laparoscopic cholecystectomy versus percutaneous catheter drainage for acute cholecystitis in high risk patients (CHOCOLATE): multicentre randomised clinical trial BMJ 2018 Oct 8 ;363 :k3965 . 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【目的】急性結石性胆嚢炎のハイリスク患者において、腹腔鏡下胆嚢摘出術が経皮的カテーテルドレナージよりも優れているかどうかを評価すること 【デザイン】多施設共同無作為化比較優位性試験。 【設定】オランダの11病院、2011年2月~2016年1月。 【参加者】急性結石性胆嚢炎のハイリスク患者142例を腹腔鏡下胆嚢摘出術(n=66)または経皮的カテーテルドレナージ(n=68)に無作為に割り付けた。高リスクとは、急性生理学的評価および慢性健康評価II(APACHE II)スコアが7以上と定義された。主要評価項目は、1年以内の死亡、1ヶ月以内の感染症および心肺合併症、1年以内の再治療の必要性(急性胆嚢炎に関連した手術、放射線治療、内視鏡治療)、1年以内の胆道疾患の再発と定義しました。 【結果】本試験は、予定されていた中間解析を経て早期に終了しました。死亡率は腹腔鏡下胆嚢摘出術群と経皮カテーテルドレナージ群で差はなかったが(3%v 9%、P=0.27)、重篤な合併症は66例中8例(12%)で胆嚢摘出術群に、68例中44例(65%)で経皮ドレナージ群に発現した(リスク比0.19、95%信頼区間0.10~0.37、P<0.001)。経皮的ドレナージ群では45例(66%)で再手術が必要であったのに対し、胆嚢摘出術群では8例(12%)であった(P<0.001)。経皮的ドレナージ群では胆道疾患の再発率が高く(53% v 5%、P<0.001)、入院期間中央値は長かった(9日 v 5日、P<0.001)。 【結論】腹腔鏡下胆嚢摘出術は経皮カテーテルドレナージと比較して、急性胆嚢炎のハイリスク患者における主要な合併症の発生率を減少させた. 【TRIAL REGISTRATION】Dutch Trial Register NTR2666. 第一人者の医師による解説 日本の経皮的胆囊ドレナージは安全に施行 グレードⅢでは第1選択 石崎 陽一 順天堂大学医学部附属浦安病院消化器・一般外科教授 MMJ.April 2019;15(2) これまで手術リスクの低い急性胆嚢炎に対しては早期の腹腔鏡下胆嚢摘出術(Lap-C)が治療の第 1選択であることに異論はなかったが、手術リスクの高い患者に対する治療に関しては一定の結論は出ていなかった。今回のオランダのCHOCOLATE 研究により手術リスクの高い患者でも経皮的胆嚢 ドレナージ(PGBD)は術後合併症が多く、Lap-Cが 推奨されることが示された。 APACHE IIスコア 7以上15未満の手術リスクを有する 急性胆嚢炎 の 患者 をLap-C群(n=66) とPGBD群(n=68)に盲検的ランダム化して治 療成績を比較検討した。主要評価項目 は1年以内 の死亡、1カ月以内の重篤な合併症(腹腔内膿瘍、肺炎、心筋梗塞、肺塞栓症)、1年以内の再治療の必要 性、および1年以内の胆道疾患の再燃である。死亡 例はLap-C群2人(3%)、PGBD群6人(9%)で発 生頻度に差がなかった。しかしながら、Lap-C群の 死亡例はいずれも治療と無関係(1例は食道がん、 1例は大腸がん)であったが、PGBD群の死亡6人 中3人は急性胆嚢炎または再発胆嚢炎による敗血 症であった。手技に関連した重篤な合併症はLap-C 群8人(12 %)、PGBD群44人(65 %)とPGBD 群で高率に発症した。1年以内に再治療を要したの はLap-C群8人(12%)、PGBD群45人(66%)と PGBD群で有意に多かった。また胆道疾患の再燃 はLap-C群3人(5 %)、PGBD群36人(53 %)と Lap-C群で有意に少なかった。またPGBD群では 経過観察中に11人(16%)で緊急胆嚢摘出術、20 人(29%)で待機的胆嚢摘出術が必要であった。1 人あたりの医療経費はLap-C群4,993ポンドに 対してPGBD群では7,427ポンドと高価であっ た。以上より手術リスクの高い急性胆嚢炎に対するPGBDは術後重篤な合併症が多く、Lap-Cを施行 すべきであるとしている。 日本 か ら は 急性胆嚢炎 に 対 す る 治療指針 としてTokyo Guidelines 2018が 提唱 さ れ て い る。 CHOCOLATE研究 では 急性胆嚢炎 の 重症度 が 記載されていないが、Tokyo Guidelinesでは急性胆 嚢炎の重症度に応じた治療アルゴリズムが示されている(1)。Grade I、IIでは早期のLap-Cが推奨されているが、Grade IIIでは経験豊富な内視鏡外科医に よるLap-Cが可能でない場合は治療の第1選択は PGBDであり、その後の待機的 Lap-Cが推奨されている(2)。日本ではPGBDは合併症も少なく安全に施行されており、最近では内視鏡的経乳頭的な胆嚢 ドレナージも治療選択肢の1つとされている(3)。 1. Yokoe M, et al. J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2018;25(1):41-54. 2. Mukai S, et al. J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2017;24(10):537-549. 3. Mori Y, et al. J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2018;25(1):87-95.
減量維持中のエネルギー消費に対する低炭水化物食の効果:無作為化試験。
減量維持中のエネルギー消費に対する低炭水化物食の効果:無作為化試験。
Effects of a low carbohydrate diet on energy expenditure during weight loss maintenance: randomized trial BMJ 2018 Nov 14 ;363 :k4583 . 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【目的】炭水化物と脂肪の比率を変えた食事が総エネルギー消費量に及ぼす影響を明らかにすること 【デザイン】無作為化試験 【設定】米国2施設での多施設共同、2014年8月から2017年5月 【参加者】肥満度25以上の18~65歳の成人164名。 【介入】ランインダイエットで12%(2%以内)の体重減少後、炭水化物含有量に応じて3つの試験食(高、60%、n=54、中、40%、n=53、低、20%、n=57)のいずれかに20週間ランダムに割り付けました。試験食はタンパク質がコントロールされ、体重減少が2kg以内に維持されるようにエネルギーが調整されていた。炭水化物-インスリンモデルで予測される効果修飾を調べるため、サンプルを減量前のインスリン分泌量(経口ブドウ糖後30分のインスリン濃度)の3分の1に分割した。 【主要評および測定法】主要アウトカムは、二重標識水を用いて測定した総エネルギー消費量で、intention-to-treat解析により求めた。プロトコールごとの解析では、目標体重の減少を維持した参加者を含むため、より正確な効果推定ができる可能性がある。 【結果】intention-to-treat解析において、総エネルギー消費量は食事によって異なり(n=162、P=0.002)、総エネルギー摂取量に対する炭水化物の寄与が10%減少するごとに52kcal/d(95%信頼区間23~82)の線形傾向が見られた(1kcal=4.18kJ=0.00418MJ)。総エネルギー消費量の変化は、高炭水化物食と比較して、中炭水化物食に割り当てられた参加者で91 kcal/d(95%信頼区間-29〜210)、低炭水化物食に割り当てられた参加者で209 kcal/d(91〜326)大きかった。プロトコルごとの解析(n=120、P<0.001)では、それぞれの差は131 kcal/d(-6~267)および278 kcal/d(144~411)であった。体重減少前のインスリン分泌量が最も多い3分の1の参加者では、低炭水化物食と高炭水化物食の差はintention-to-treat解析で308kcal/d、per protocol解析で478kcal/dだった(P<0.004)。グレリンは、低炭水化物ダイエットに割り当てられた参加者において、高炭水化物ダイエットに割り当てられた参加者と比較して有意に低かった(両分析)。レプチンも低炭水化物食に割り当てられた参加者で有意に低かった(プロトコルごと)。 【結論】炭水化物-インスリンモデルと一致して、食事性炭水化物の低下は減量維持中のエネルギー消費量を増加させた。この代謝効果は、特にインスリン分泌が多い人の肥満治療の成功を向上させる可能性がある。 【TRIAL REGISTRATION】ClinicalTrials. gov NCT02068885。 第一人者の医師による解説 エネルギー消費と炭水化物比率の関連 さらなる検討必要 的場 圭一郎(講師)/宇都宮 一典(教授) 東京慈恵会医科大学内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌内科 MMJ.April 2019;15(2) 著者らの提唱する炭水化物̶インスリンモデル によると、高炭水化物食摂取後のインスリン/グルカゴン比上昇がエネルギー消費を抑制し、脂肪組織への脂肪蓄積を促進する。この状態が飢餓を進させて食欲が増加し、特に高インスリン血症を呈する肥満者で体重を増加させる。一方でこの炭水化物̶インスリンモデルに基づいた低炭水化物食の有効性には反論もあり、その根拠はこれまでの検証で対照群が存在しないこと、メタ解析では低炭水化物食と低脂肪食の間でエネルギー消費に差が認められなかったことである。しかし、効果が認められなかった研究のほとんどが2週間以内の短期間であり、低炭水化物食への適応化には少なくとも2~3週間が必要とする報告もある。そこで、本研究では減量維持期における低炭水化物食のエネルギー消費に対する効果を20週間にわたって観察した。 対象はBMI 25kg/m2以上の成人164人とし、 12%の体重減少後、炭水化物の割合が異なる3つの群(総エネルギー摂取量に占める炭水化物の比率: 高60%、中40%、低20%)に割り付けられた。主要評価項目は、二重標識水法によって測定した総エネルギー消費量とされた。結果、総エネルギー摂取量に占める炭水化物比率によって総エネルギー消費量には有意な差があり、炭水化物比率が10%低下するごとに52kcal/日増加した。高炭水化物群 に比べて中炭水化物群では91kcal/日、低炭水化 物群では209kcal/日増加した。低炭水化物群では、 食欲を増進させるホルモンであるグレリンの血中濃度が低下していた。 本研究から得られた結果は、炭水化物̶インスリンモデルに矛盾しないものであり、高インスリン血症を呈する肥満者の食事療法を検討する上で重要な意義を有する、と著者らは結論付けている。しかし、本研究は栄養素の組成がエネルギー消費に影響を与えることを示した点では新規性があるものの、その測定方法の精度には限界があり、実臨床で本研究のような厳格なプロトコールを実施することは困難である。また、炭水化物の総量と比率のどちらを重視すべきか、糖尿病のような代謝異常を合併した肥満者での効果、栄養素の組成がエネ ルギー消費を変化させる詳細な機序は不明であり、さらなる検討が必要である。
ナトリウムグルコースコトランスポーター2阻害剤と重篤な有害事象のリスク:全国規模の登録に基づくコホート研究。
ナトリウムグルコースコトランスポーター2阻害剤と重篤な有害事象のリスク:全国規模の登録に基づくコホート研究。
Sodium glucose cotransporter 2 inhibitors and risk of serious adverse events: nationwide register based cohort study BMJ 2018 Nov 14 ;363 :k4365 . 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【目的】ナトリウムグルコースコトランスポーター2(SGLT2)阻害剤の使用と現在懸念されている7つの重篤な有害事象との関連を評価する。 【デザイン】登録ベースのコホート研究。 【設定】2013年7月から2016年12月までスウェーデンおよびデンマークの調査。 【参加者】SGLT2阻害薬(ダパグリフロジン61%、エンパグリフロジン38%、カナグリフロジン1%)の新規ユーザー17 213人とアクティブコンパレータであるグルカゴン様ペプチド1(GLP1)受容体作動薬の新規ユーザー17 213人の傾向スコアマッチコホートを作成した。 【主要評および測定法】主要アウトカムは、病院記録から特定した下肢切断、骨折、糖尿病性ケトアシドーシス、急性腎障害、重症尿路感染症、静脈血栓塞栓症、急性膵炎であった。ハザード比および95%信頼区間はCox比例ハザードモデルを用いて推定した。 【結果】SGLT2阻害薬の使用は、GLP1受容体作動薬と比較して、下肢切断のリスク上昇と関連していた(発生率2.7<i>v1.1イベント/1000人年、ハザード比2.32、95%信頼区間1.37~3.91)、糖尿病性ケトアシドーシス(1.3<i>v0.6, 2.14, 1.01~4.52 )があったが、骨折(15.4<i>v13.9、 1.11, 0.93~1.33 )、急性腎臓障害(2.1<i>v3)には関係しなかった。3 v 3.2, 0.69, 0.45~1.05), 重篤な尿路感染症 (5.4 v 6.0, 0.89, 0.67~1.05) 。19),静脈血栓塞栓症(4.2v 4.1, 0.99, 0.71~1.38) または急性膵炎(1.3v 1.2, 1.16, 0.64~2.12 )であった。 【結論】2カ国の全国規模の登録の分析では,GLP1受容体作動薬と比較してSGLT2阻害薬の使用は,下肢切断と糖尿病性ケトアシドーシスのリスク上昇と関連していたが,現在懸念されている他の重篤な有害事象とは関連がなかった。 第一人者の医師による解説 リスクの評価を行ったうえでSGLT2阻害薬を開始することが必要 木下 智絵 川崎医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科学/加来 浩平 川崎医科大学学長付特任教授 MMJ.April 2019;15(2) 本論文は、SGLT2阻害薬で懸念される7項目の有害事象を評価するため、GLP-1受容体作動薬を対照にスウェーデンとデンマークの日常診療データを用いた大規模コホート研究の報告である。両群の患者背景は傾向スコアマッチさせている。その結果、SGLT2阻害薬はGLP-1受容体作動薬に比べ、 下肢切断と糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)のリスクが高く、他の有害事象に差はなかった。サブグループ解析としてインスリン治療の有無でのDKA リスク、末梢動脈疾患や下肢切断歴の有無による下肢切断リスクも同様の結果であった。 ダパグリフロジン 61%、エンパグリフロジン 38%、カナグリフロジン 1%と使用率に差が大きく、薬剤別の評価はできていない。CANVAS Programでカナグリフロジンによる下肢切断リスク上昇が注目されたが、機序は不明である。仮説として体液量減少との関連が示唆されているが、他の大規模 RCTではリスク上昇は認めず、SGLT2阻 害薬に共通のものかも含めて議論がある(1)。また、 本研究で両群の下肢切断発生率は1,000人 /年あたり2.7対1.1と非常に低く、既報の1.5~5.0 の 範囲内であった(2)。日本での年間下肢切断率 は 0.05%で海外報告の10分の1程度とされ、既往例を除けば、SGLT2阻害薬のメリットが相殺されるとは考えにくい。 一方、本研究におけるDKA発現率は対照群に比べ有意差はあるが低い(1,000人 /年あたり1.3 対0.6)。デンマークにおける2型糖尿病のDKA 発現率 は1,000人 /年 あたり1~2例 である。 SGLT2阻害薬に関連したDKAでは、多くが代謝的ストレス状態(手術、高強度の運動、心筋梗塞、脳卒中、重症感染症、長時間の空腹状態など)の高リスク患者であった。また、EMPA-REG OUTCOME やCANVAS ProgramではDKA発現率にプラセボ群との有意差はなかったことから、『SGLT2阻害薬の適正使用に関する Recommendation』(3)に留意して適切に治療を行うことで、SGLT2阻害薬に 関連したDKAの多くは回避できると考える。 最後に、1型糖尿病患者 へ のSGLT2阻害薬処方も可能となり、高リスク患者が含まれる可能性がある。SGLT2阻害薬のメリットを享受するためにも、より安全性に配慮し、DKA、足潰瘍、下肢切断の既往の確認、末梢動脈疾患などリスクを評価したうえで使用を開始することが望まれる。 1. Scheen AJ. Nat Rev Endocrinol. 2018;14(6):326-328. 2. Yuan Z, et al. Diabetes Obes Metab. 2018;20(3):582-589. 3. 日本糖尿病学会「SGLT2阻害薬の適正使用に関する Recommen-dation」http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?page= article&storyid=48
原発性皮膚基底細胞癌の治療法。システマティックレビューとネットワークメタ分析。
原発性皮膚基底細胞癌の治療法。システマティックレビューとネットワークメタ分析。
Treatments of Primary Basal Cell Carcinoma of the Skin: A Systematic Review and Network Meta-analysis Ann Intern Med 2018 Oct 2;169(7):456-466. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】基底細胞癌(BCC)に対するほとんどの介入は、ヘッドツーヘッド無作為化試験で比較されていない。 【目的】成人における原発性BCCの治療法の有効性と安全性を比較評価する。 【データ入手元】開始時から2018年5月までMEDLINE、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Cochrane Database of Systematic Reviews、Embaseの英語検索、ガイドラインやシステマティックレビューの文献リスト、ClinicalTrialsの検索を実施した。govを2016年8月に実施。 【研究選択】成人の原発性BCCに現在使用されている治療法の比較試験。 【データ抽出】1名の治験責任者が再発、組織学的クリアランス、臨床的クリアランス、美容的アウトカム、QOL、死亡率のデータを抽出し、2名のレビューアが抽出結果を検証した。複数の研究者が各研究のバイアスリスクを評価した。 【データ統合】無作為化試験40件と非無作為化試験5件で、9カテゴリー18件の介入を比較した。相対的な介入効果および平均アウトカム頻度は、Frequentist Network Meta-Analysesを用いて推定された。推定再発率は、切除(3.8% [95% CI, 1.5% ~ 9.5%])、モース手術(3.8% [CI, 0.7% ~ 18.2%])、掻爬およびジアテルミー(6.9% [CI, 0.9% ~ 36.6%])、外部ビーム照射(3.5% [CI, 0.7% ~ 16.8%])とほぼ同じであった。再発率は、凍結療法(22.3%[CI、10.2%~42.0%])、掻爬および凍結療法(19.9%[CI、4.6%~56.1%])、5-フルオロウラシル(18.8%[CI、10.1%~32.5%])、イミキモド(14.1%[CI、5.4%~32.4%])、およびメチル-アミノレブリン酸(18.8%[CI、10.1%~32.5%])またはアミノレブリン酸を用いた光力学療法(16.6%[CI、7.5%~32.8%])であった。美容上の良好な転帰を報告する患者の割合は、切除術(77.8%[CI, 44.8%~93.8%]) または凍結療法(51.1%[CI, 15.8%~85.4%]) に比べて、メチルアミノレブリン酸を用いた光力学的療法(93.8%[CI, 79.2%~98.3%] )またはアミノレブリン酸(95.8%[ CI, 84.2%~99.0%] )が良好であった。QOLおよび死亡率に関するデータは、定量的な統合には不十分であった。 【Limitation】データは不十分であり、効果の推定は不正確で、間接的な比較に基づく。 【結論】外科的治療および外部照射は、低リスクのBCCの治療において低い再発率を有するが、他の治療に対する比較効果についてはかなりの不確実性が存在する。高リスクのBCC亜型および費用などの重要なアウトカムに関してはギャップが残っている。 【Primary funding source】Agency for Healthcare Research and Quality.(プロスペロー:Crd42016043353)。 第一人者の医師による解説 基底細胞がんの標準治療は切除 日本ではさらなる切除範囲縮小が可能か 中村 泰大 埼玉医科大学国際医療センター皮膚腫瘍科・皮膚科教授 MMJ.April 2019;15(2) 基底細胞がんは多種ある皮膚がんの中でも世界中で最も発生数の多い皮膚がんである。基底細胞 がんの大半は小型で、局所のみで増殖し転移することはまれであるため、局所での腫瘍根絶ができれば生命予後良好である。しかし顔面を中心とした頭頸部に多く発生するため、腫瘍を根絶する治療介入の手段によっては、整容・機能面を損ねる場合がある。 現在基底細胞がんの治療は手術による切除が世界的にも標準治療と考えられている。しかし、切除以外にも凍結療法、掻爬、焼灼、光線力学的療法、レー ザー、放射線療法、5-フルオロウラシル軟膏など複数の治療があり、ランダム化比較試験などにより これら複数の治療介入の効果をすべて直接比較で きているわけではない。 本論文では基底細胞がんの個々の治療介入の効果を比較するために、これまでの臨床試験に関する文献をMEDLINE、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Cochrane Database of Systematic ReviewsおよびEMBASEを用いて抽出し、18種類の治療介入を取り扱った40件のランダム化比較試験と5件の非ランダム化試験を対象に、相対的介入効果と効果の中央値をネットワークメタアナリシスにより推定した。推定局所再発率中央値は切除(3.8%)、Mohs手術(3.8%)、 外科的掻爬+焼灼(6.9%)、放射線療法(3.5%)が低 く、凍結療法(22.3%)、外科的掻爬+凍結療法 (19.9%)、5-フルオロウラシル軟膏(18.8%)、 イミキモドクリーム(14.1%)、光線力学的療法 (16.6%)で高かった。一方、本解析の限界として、 いくつかの患者条件や治療条件では母集団が少ない、あるいは解析されていないなどでエビデンスが乏しいこと、今回抽出された文献の効果推定値には不精確さがあり、直接比較ではないことにも留意する必要がある。また、高リスク基底細胞がんに対する治療介入については検討されていない。 今回の結果は米国における低リスク基底細胞がんに対する切除と放射線療法のエビデンスを再認識したものと言える。現在、日本における低リスク基底細胞がんの標準治療も切除であり、米国、日本ともに現行のガイドラインにおける側方切除範囲は4mmとされている。一方、日本人は白人と異なり色素性基底細胞がんが多く、病変境界が白人に比べ明瞭であるため切除範囲をさらに縮小できる可能性が高い。今後日本人を対象にした切除範囲縮小に関する臨床試験の施行が望まれる。
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