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子癇前症と後年認知症になるリスク:全国規模のコホート研究
子癇前症と後年認知症になるリスク:全国規模のコホート研究
Pre-eclampsia and risk of dementia later in life: nationwide cohort study BMJ 2018 Oct 17 ;363 :k4109 . 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【目的】子癇前症とその後の認知症との関連を、全体および認知症のサブタイプや発症時期別に検討する。 【デザイン】全国規模の登録に基づくコホート研究 【対象】デンマーク、1978年から2015年の間に少なくとも1回の生児または死産をした全女性。 【主要評価項目】Cox回帰を用いて推定した、子癇前症の既往がある女性とない女性の認知症発症率を比較したハザード比。 【結果】コホートは1,178人の女性からなり、追跡期間は20 352 695人年であった。子癇前症の既往のある女性は、子癇前症の既往のない女性と比較して、後年、血管性認知症のリスクが3倍以上(ハザード比3.46、95%信頼区間1.97~6.10)であった。血管性痴呆との関連は、早期発症(2.32、1.06〜5.06)よりも晩期発症(ハザード比6.53、2.82〜15.1)の方が強いようだ(P=0.08)。糖尿病、高血圧、心血管疾患の調整により、ハザード比は中程度にしか減少しなかった。感度分析により、肥満度が血管性痴呆との関連を説明することはないことが示唆された。一方、アルツハイマー病(ハザード比1.45、1.05~1.99)およびその他/特定不能の認知症(1.40、1.08~1.83)については、緩やかな関連しか認められなかった。心血管疾患、高血圧、および糖尿病は、関連性を実質的に媒介する可能性は低く、子癇前症および血管性認知症は、根本的なメカニズムまたは感受性経路を共有している可能性が示唆された。子癇前症の既往を問うことは、医師が疾患の初期徴候をスクリーニングすることで有益な女性を特定し、早期の臨床介入を可能にするのに役立つ可能性がある。 第一人者の医師による解説 認知症予防の観点で大きな意義 妊娠高血圧腎症の既往に留意必要 宮川 統爾 Department of Neurology, Mayo Clinic /岩坪 威  東京大学大学院医学系研究科神経病理学分野教授 MMJ.April 2019;15(2) 妊娠高血圧腎症(π)の既往は、将来の認知症、特に65歳以上の血管性認知症の強いリスクとなることが、デンマークの全国データベースを活用した 今回のコホート研究によって示された。 妊娠高血圧腎症は全妊娠の3~5%に生じる血管内皮障害を機序とする病態で、既往歴のある女性では将来の心血管合併症リスクが高いことが知られてきた。一方、妊娠高血圧腎症と将来の認知症との関連については、数十年に及ぶ発症時期のギャップから、疫学研究データは限定的である(1),(2)。 本研究は、デンマーク全国民を登録したデータベースをもとに、1978~2015年に出産または 死産を経験した117万8,005人の女性を母集団 として中央値21.1年、2035万2,695人・年の追跡を行い、妊娠高血圧腎症既往の有無と将来の認知症との関連を解析した。妊娠高血圧腎症既往を有する女性は既往のない女性と比較し、血管性認知症発症リスクが3倍以上高かった(ハザード比[HR], 3.46;95%信頼区間[CI], 1.97~6.10)。さら に、発症年齢を65歳以上の老年期発症と65歳未満の若年期発症に分類すると、HRが前者では6.53 (95% CI, 2.82~15.1)、後者では2.32(1.06 ~5.06)と老年期発症例でリスク上昇が大きかった。高血圧や冠動脈疾患、脳梗塞、慢性腎臓病、糖尿病などの心血管合併症因子による補正後もリスクの減弱はわずかで、両病態間の強い関連性は残存した。血管性認知症以外の認知症との関連は相対的に小さく、アルツハイマー病で45%、その他 /未特定の認知症で40%のリスク上昇を認めたものの、 アルツハイマー病ではデータが不十分で補正できない交絡因子として肥満の影響が示唆された。 妊娠高血圧腎症罹患から認知症発症には数十年のギャップが存在することが大半で、本研究でも約90%の女性は解析時に65歳未満であり、追跡期間中に認知症と診断された者は0.1%にすぎない。しかしながら、母集団の大きさや追跡期間の長さから、本研究が明らかにした妊娠高血圧腎症既往と将来の認知症、特に老年期の血管性認知症リスクの強い関連性は、認知症予防の観点で大きな意義がある。疾患修飾薬による認知症予防は未だ道半 ばであり、妊娠高血圧腎症既往のある女性に対しての早期からの血圧・脂質・糖などの心血管危険因子 への介入は、血管性認知症予防に有用かもしれない。 また、両病態での共通メカニズムの探索が、血管性認知症の疾患修飾薬開発につながる可能性がある。本研究からの知見の再現性が他研究によって得られることが望まれる 1. Nelander M, et al. BMJ Open 2016 Jan 21;6(1):e009880. doi: 10.1136/ bmjopen-2015-009880. 2. Andolf EG, et al. Acta Obstet Gynecol Scand. 2017;96(4):464-471. doi: 10.1111/aogs.13096.
2型糖尿病および心血管疾患患者におけるアルビグルチドおよび心血管アウトカム(Harmony Outcomes):二重盲検無作為化プラセボ対照試験
2型糖尿病および心血管疾患患者におけるアルビグルチドおよび心血管アウトカム(Harmony Outcomes):二重盲検無作為化プラセボ対照試験
Albiglutide and cardiovascular outcomes in patients with type 2 diabetes and cardiovascular disease (Harmony Outcomes): a double-blind, randomised placebo-controlled trial Lancet 2018 Oct 27 ;392 (10157 ):1519 -1529 . 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】 グルカゴン様ペプチド1受容体作動薬は、化学構造、作用時間、臨床転帰への影響に違いがある。2型糖尿病における週1回投与のアルビグルチドの心血管効果については不明である。アルビグルチドの心血管死、心筋梗塞、脳卒中の予防に関する安全性と有効性を明らかにすることを目的とした。 【方法】28か国610施設で二重盲検無作為化プラセボ対照試験を実施した。40歳以上の2型糖尿病と心血管疾患を有する患者(1:1の割合)を、標準治療に加え、アルビグルチドの皮下注射(30~50mg、血糖反応と忍容性に基づく)または同量のプラセボを週1回受ける群に無作為に割り付けました。治験責任医師は、対話型音声応答システムまたはウェブ応答システムを用いて治療割り付けを行い、患者およびすべての治験責任医師は治療割り付けをマスキングされました。主要評価項目である心血管死、心筋梗塞、脳卒中の初発について、アルビグルチドはプラセボに対して非劣性であると仮定し、intention to treatの集団で評価した。ハザード比の95%信頼区間の上限が1-30未満で非劣性が確認された場合、優越性に関するクローズドテストが事前に指定された。本試験はClinicalTrials. govに登録されており、番号はNCT02465515である。 【FINDINGS】2015年7月1日から2016年11月24日の間に患者をスクリーニングした。10 793名がスクリーニングされ、9463名が登録され、4731名がアルビグルチド投与群、4732名がプラセボ投与群に無作為に割り付けられた。2017年11月8日、611の主要評価項目と少なくとも1~5年のフォローアップ中央値が発生したと判断され、参加者は最終診察と試験治療の中止のために戻り、最後の患者の診察は2018年3月12日に行われた。これらintention-to-treat集団である9463人の患者は、中央値1~6年の期間、主要評価項目を評価された。主要複合転帰は、アルビグルチド群では4731例中338例(7%)に100人年当たり4~6件の発生率で、プラセボ群では4732例中428例(9%)に100人年当たり5~9件の発生率(ハザード比0-78、95%CI 0-68~0-90)で、アルビグルチドがプラセボに対して優位であるとした(非劣性のp<0-0001;優位のp=0-0006)。急性膵炎(アルビグルチド群10例、プラセボ群7例)、膵臓がん(アルビグルチド群6例、プラセボ群5例)、甲状腺髄様がん(両群0例)、その他の重篤な有害事象発生率は両群間に差はなかった。また、試験薬の割り付けをマスキングした治験責任医師が治療に関連すると評価した死亡例はプラセボ群で3例(1%未満)、アルビグルチド群で2例(1%未満)であった。 【解釈】2型糖尿病と心血管疾患を有する患者において、アルビグルチドはプラセボに比べ主要有害心疾患に関して優れていることが示された。したがって、エビデンスに基づくグルカゴン様ペプチド1受容体作動薬は、2型糖尿病患者における心血管イベントのリスクを低減するための包括的戦略の一部として考慮されるべきである。 資金提供】グラクソ・スミスクライン社。 第一人者の医師による解説 GLP-1受容体作動薬の間でも抑制効果には差 要因ははっきりせず 山田 祐一郎 秋田大学大学院医学系研究科内分泌・代謝・老年内科学教授 MMJ.April 2019;15(2) 米食品医薬品局(FDA)が新規糖尿病治療薬の承認要件として心血管イベント(MACE)を増やさないエビデンスも要求しているため、シタグリプチンなどのDPP-4阻害薬、エンパグリフロジンなど のSGLT2阻害薬、リキシセナチドなどのGLP-1 受容体作動薬など新しい糖尿病治療薬では、MACE を増やさないことを明らかにするため、大規模臨床試験が実施されてきた。その結果、DPP-4阻害薬 がMACEを増やさないこと(非劣性)やSGLT2阻害薬がMACEを減らすこと(優越性)をクラスエフェクトと考えていいような結果が出ている。 GLP-1受容体作動薬については、リキシセナチ ドやエキセナチドはMACEを増やさないが、減らすこともないのに対し、リラグルチド (1)やセマグ ルチド (2)はMACEを有意に減らすことが発表され、 GLP-1受容体作動薬がクラスエフェクトとして MACEを減らすかどうかはっきりしていない。新たなGLP-1受容体作動薬アルビグルチドを用いた 大規模臨床試験(Harmony Outcomes)の結果が昨年の欧州糖尿病学会(EASD)で発表され、本論文で報告された。 アルビグルチドは、ヒト GLP-1をベースにし、 アルブミンとの遺伝子融合によって、1週間1回の 投与で、持続的な効果が期待される薬剤である。 40歳以上、虚血性心疾患・脳血管疾患・末梢動脈疾 患を有する2型糖尿病患者に、アルビグルチドあるいはプラセボを投与した上で、各国ガイドラインに設定された血糖コントロール目標値に達しない場合、適宜他の糖尿病治療薬の追加や調整を可としている。中央値1.6年の研究期間で、主要評価項 目である最初のMACE(心血管死、心筋梗塞、脳卒中) 発生率は、アルビグルチド群で100人・年あたり4.6 件とプラセボ群の5.9件と比較して有意に低下していることが示された。特に、心筋梗塞への効果があったことは、リラグルチドなどの結果に合致する。 これらの結果から、ある種のGLP-1受容体作動薬を心血管イベントを有する2型糖尿病患者に投与すると、新たな心血管イベント発症を抑制する効果のあることがあらためて示されたのである。薬剤間で抑制効果に差がある要因として、対象集団の 特性の違い、GLP-1受容体作動薬の基本骨格(GLP-1 対 exendin-4)、作用時間(短時間 対 長時間)などが想定されるが、いまだはっきりしていない。 最後に、アルビグルチドは、一部の国ではすでに上市されていたが、2018年までに経営上の理由で 販売を中止すると報じられた。日本では未販売であり、血糖コントロールや心血管イベントの抑制 にエビデンスがあるアルビグルチドが使えないのは残念である。 1. Marso, SP, et al. N Engl J Med. 2016;375(4):311-322. 2. Marso, SP, et al. N Engl J Med. 2016;375(19):1834-1844.
遺伝的リスク、脳卒中の発症、健康的な生活習慣を守ることの利点:英国バイオバンク参加者306 473人のコホート研究。
遺伝的リスク、脳卒中の発症、健康的な生活習慣を守ることの利点:英国バイオバンク参加者306 473人のコホート研究。
Genetic risk, incident stroke, and the benefits of adhering to a healthy lifestyle: cohort study of 306 473 UK Biobank participants BMJ 2018 Oct 24 ;363 :k4168 . 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【目的】多遺伝子リスクスコアと健康的なライフスタイルの脳卒中発症との関連を評価する。 【デザイン】前向き人口ベースコホート研究。脳卒中と過去に関連した90の一塩基多型からなる多因子リスクスコアをP<1×10-5で構築し、脳卒中発症との関連性を検証した。健康的なライフスタイルの遵守は,非喫煙者,健康的な食事,肥満度30kg/m2,定期的な運動の4つの要素に基づいて決定した。 【結果】中央値7.1年(2 138 443人年)の追跡期間に,2077件の脳卒中(虚血性脳卒中1541件,脳内出血287件,くも膜下出血249件)発生の確認がなされた。脳卒中発症リスクは,遺伝的リスクの高い人(多因子スコアの上位3分の1)では,遺伝的リスクの低い人(下位3分の1)に比べて35%高かった:ハザード比1.35(95%信頼区間1.21~1.50),P=3.9×10-8.好ましくないライフスタイル(健康的なライフスタイルの要素が0または1つ)は,好ましいライフスタイル(健康的なライフスタイルの要素が3または4つ)と比較して,脳卒中のリスクが66%増加した:1.66(1.45~1.89),P=1.19×10-13。ライフスタイルとの関連は遺伝的リスク層とは無関係であった。 【結論】本コホート研究において,遺伝的因子とライフスタイル因子は脳卒中発症と独立して関連していた。これらの結果は、遺伝的リスクとは無関係に、集団全体が健康的なライフスタイルを遵守することの有益性を強調するものである。 第一人者の医師による解説 遺伝的リスク高くても 生活習慣改善で脳卒中を予防する可能性示唆 松尾 龍(助教)/鴨打 正浩(教授)九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学講座 MMJ.April 2019;15(2) 脳卒中は、遺伝要因と環境要因が組み合わさることにより発症する多因子疾患である。全世界52 万人規模のゲノムワイド関連解析であるMEGA-STROKEでは、32の遺伝子座が脳卒中リスクと関連することが明らかにされた(1)。一方、生活習慣などの環境要因は修正可能な危険因子であり、非喫煙、 糖尿病リスクの低下、運動習慣、健康的な食事は脳卒中の発症リスクを低下させることが明らかになっている。しかしながら、遺伝要因の影響下でも、健康的な生活習慣を遵守することで脳卒中発症リスクの低下がみられるかどうかは明らかではない。 本研究は、英国在住の50万人から生物学的な試料を収集した「英国バイオバンク」に、2006~10 年に登録された男女30万6,473人(年齢40~ 73歳)を対象とした前向き住民コホート研究である。遺伝要因は、遺伝子多型のリスクスコアから、「高遺伝的リスク群」、「中遺伝的リスク群」、「低遺伝的リスク群」の3群に分類した。生活習慣要因として、 非喫煙、健康的な食生活、BMI<30kg/m2、定期的 な運動習慣の4つを健康的な生活習慣と定義し、「好ましい生活習慣(健康的習慣3~4個)」、「普通の生活習慣(健康的習慣2個)」、「好ましくない生活習慣 (健康的習慣0~1個)」の3群に分類した。 追跡期間中央値は7.1年で、この期間中に2,077 人が脳卒中を発症した(脳梗塞1,541人、脳内出血 287人、くも膜下出血249人)。「低遺伝的リスク群」に比べ、「中遺伝的リスク群」、「高遺伝的リスク群」では、脳卒中発症のハザード比(95%信頼区間 [CI])が、それぞれ1.20(1.08~1.34)、1.35(1.21 ~1.50)と上昇した。また、生活習慣との関連についても、「好ましい生活習慣」を有する人と比較 すると、「普通の生活習慣」、「好ましくない生活習慣」 を有する人においては、脳卒中発症のハザード比 (95% CI)は、それぞれ1.27(1.16~1.40)、1.66 (1.45~1.89)と有意に上昇した。さらに、遺伝要因と生活習慣を組み合わせたモデルでは、遺伝 的リスクが高い人、生活習慣が好ましくない人ともに脳卒中発症リスクは上昇し、両者の間に相加効果が認められた。生活習慣要因の中では、喫煙と肥満(BMI≧30kg/m2)が脳卒中発症リスクの上昇に寄与していた。 本研究の結果は、遺伝的リスクが高くても、生活習慣の改善が脳卒中の予防に有効である可能性を示唆しており、すべての人に対して健康的な生活習慣を遵守するよう促すことを支持するものである。 1.Malik R, et al. Nat Genet. 2018;50(4):524-537
妊娠中のβ-ブロッカー使用と先天性奇形のリスク。国際コホート研究
妊娠中のβ-ブロッカー使用と先天性奇形のリスク。国際コホート研究
β-Blocker Use in Pregnancy and the Risk for Congenital Malformations: An International Cohort Study Ann Intern Med 2018 Nov 20 ;169 (10 ):665 -673 . 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】β-ブロッカーは、妊娠中によく使用される降圧薬の一種である。 【目的】β-ブロッカーへの第1期曝露に関連する主要な先天奇形のリスクを推定する。 【デザイン】コホート研究 【設定】北欧5か国の健康登録および米国のメディケイドデータベース 【患者】高血圧の診断を受けた妊婦およびその子孫。 【測定】ベータブロッカーの第1期への曝露が評価された。アウトカムは、主要な先天性奇形、心奇形、唇裂または口蓋裂、中枢神経系(CNS)奇形とした。 【結果】北欧コホートでは高血圧性妊娠の女性3577人,米国コホートでは14900人のうち,それぞれ682人(19.1%),1668人(11.2%)が第1期にβブロッカーに曝露されていた。β遮断薬に関連するプールされた調整相対リスク(RR)および1000人曝露あたりのリスク差(RD1000)は、1.07(95%CI、0.89から1.30)および3.0(CI、-6.6から12.6)であった。6)、心奇形では1.12(CI, 0.83~1.51) と2.1(CI, -4.3~8.4) 、唇裂または口蓋裂では1.97(CI, 0.74~5.25) と1.0(CI, -0.9~3.0) であった。中枢神経系奇形については,調整済みRRは1.37(CI,0.58~3.25),RD1000は1.0(CI,-2.0~4.0)であった(米国のコホートデータのみによる) 【Limitation】解析対象が生児に限られており,曝露が調剤に基づいており,唇または口蓋裂と中枢神経系奇形はアウトカム数が少ないことが示された。 【結論】母親の妊娠第1期におけるβ遮断薬の使用は、測定された交絡因子とは無関係に、奇形全体や心奇形のリスクの大きな上昇と関連しないことが示唆された。 【Primary funding source】Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human DevelopmentおよびSöderström König Foundation。 第一人者の医師による解説 大規模データによる国際コホート研究ならではの重要な知見 犬塚 亮 東京大学医学部附属病院小児科講師(外来医長) MMJ.April 2019;15(2) 高血圧合併妊娠の頻度は全妊婦の0.5~5%とされるが(1)、加重型妊娠高血圧腎症・常位胎盤早期 剥離・早産・胎児発育不全の増加などのさまざまな周産期リスクと関連することが知られているため、 適切な降圧薬治療により高血圧の重症化を防止することが重要である。β遮断薬は、Ca拮抗薬やメチルドパと並び妊娠中に使用される頻度が高い降圧薬であるが、妊婦への投与に関する安全性のデータはまだ十分でない。 妊娠中のβ遮断薬投与の影響に関して、現在得られているヒトのデータの多くは観察研究によるもので、β遮断薬への曝露の有無でリスクを比較すると、高血圧などの背景疾患の有病率が異なるため、 β遮断薬の投与による影響と背景疾患の違いによる影響を区別することができない。特に著者らの先行研究において、高血圧の合併自体が先天奇形のリスク上昇に関係することが示されており、β遮断薬への曝露の影響を知るためには、「高血圧」と いう交絡因子を除く必要がある。 本研究は、高血圧合併妊婦 を対象にした 北欧・ 米国6カ国の国際コホート研究である。北欧では 3,577人中682人(19.1%)、米国では14,900 人中1,668人(11.2%)で妊娠第1期にβ遮断薬 が使用されていた。β遮断薬投与群と降圧薬無投与 群で傾向スコアを用いてマッチングして比較したところ、先天奇形全般、先天性心疾患、口唇口蓋裂、 中枢神経異常のいずれの発生率においても、有意差を認めなかった。 本研究では、大規模データを用いることで、高血圧合併妊娠のみを解析対象とすることができ、重 要な交絡因子である「高血圧」の有無に関して、2群 の背景をそろえることができている。また、傾向スコアを用いることで、β遮断薬を実際に使用された群と、使用されてもおかしくなかった(が実際に は投与されなかった)群を比較することで、その他の背景因子についても補正している。医療習慣の 異なる北欧と米国で同様の結果が得られたことも 研究結果の正しさを支持している。一方で、研究の限界として、収集されていない背景因子については補正ができていないこと、妊娠中のβ遮断薬の使用に関して臨床的により問題になる胎児発育不全に関する解析が行われていないこと、などが挙げられる。しかし、本研究の結果は倫理的にランダム化比較試験を行うことが困難である妊娠という状況において、β遮断薬の安全性を支持する非常に重要な知見である。 1. 妊娠高血圧症候群の診療指針 2015̶Best Practice Guide̶日本妊娠高血圧学会
血圧低下時の腎臓障害バイオマーカーと慢性腎臓病の発症。ケースコントロール研究
血圧低下時の腎臓障害バイオマーカーと慢性腎臓病の発症。ケースコントロール研究
Kidney Damage Biomarkers and Incident Chronic Kidney Disease During Blood Pressure Reduction: A Case-Control Study Ann Intern Med 2018 Nov 6 ;169 (9 ):610 -618 . 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】収縮期血圧(SBP)の集中的な低下における慢性腎臓病(CKD)の発症率の上昇が、内在性の腎障害を伴うかどうかは不明である。 【目的】SPRINT(Systolic Blood Pressure Intervention Trial)のSBP管理集中(120mmHg未満)群と標準(140mmHg未満)群のCKD発症例とマッチドコントロール例、および発症例間での腎障害バイオマーカーの変化を比較することである。 【デザイン】SPRINT内のネステッド症例対照研究 【設定】ベースラインで腎臓病のない成人高血圧患者 【参加者】試験のフォローアップ中にCKDを発症した症例参加者(n=162)(集中群128人、標準群34人)と、CKD発症のない対照者(n=162)で、年齢、性、人種、ベースラインの推定糸球体ろ過率、ランダム化群でマッチさせた 【測定法】腎障害の尿中バイオマーカー9項目をベースラインと1年後に測定した。線形混合効果モデルを用いて1年間のバイオマーカーの変化を推定した。 【結果】ベースライン時の尿中アルブミン、腎障害分子-1、単球性化学誘引蛋白-1の濃度が高いほど、CKD発症のオッズが高いことと有意に関連した(2倍当たりの調整オッズ比。それぞれ、1.50 [95% CI, 1.14 to 1.98], 1.51 [CI, 1.05 to 2.17], および 1.70 [CI, 1.13 to 2.56]).血圧介入1年後、集中治療群のCKD症例参加者は、マッチさせた対照参加者に比べ、アルブミン-クレアチニン比(ACR)、インターロイキン18、抗キチナーゼ3様タンパク質1(YKL-40)、ウロモジュリンが有意に減少していた。標準群の症例に比べ、集中治療群ではACR、β2-マイクログロブリン、α1-マイクログロブリン、YKL-40、ウロモジュリンの減少が有意に大きかった 【Limitation】バイオマーカーの測定はベースラインと1年のみであった。 【結論】SBPを集中的に低下させる設定におけるCKDの発症は、腎障害バイオマーカーのレベルの上昇よりもむしろ低下を伴っており、したがって本質的な障害よりも腎血流の良性変化を反映している可能性がある。 【Primary funding source】National Institute for Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(国立糖尿病・消化器・腎疾患研究所)、Philippines, Inc. 第一人者の医師による解説 厳格降圧による心血管イベント予防の方向性の正しさを支持 後藤 淳郎 日本赤十字社医療センター腎臓内科/中目黒クリニック院長 MMJ.April 2019;15(2) 最近の高血圧ガイドラインに大きな影響を及ぼしているSPRINT研究の主な成果は標準降圧(収縮 期血圧 SBP<140mmHg)に比べ厳格降圧(SBP <120)により心血管イベント・死亡とも約25% 減少することを示したことである。一方、厳格降圧は慢性腎臓病(CKD)リスクを3倍ほど高めることが示唆されていた。その論文については筆者がすでにコメントしている(1)。 今回の論文は開始時のCKD非該当症例で厳格降圧によって観察されたeGFR減少が実際の腎障害 を反映しているのかどうかを開始時と1年後で腎障害マーカー 9種類の尿中濃度を測定することで検討した。開始後にCKDを発症した162人(厳格 降圧群128人、標準降圧群34人)と年齢、性、人種、 開始時 eGFR、降圧群をマッチさせたCKD非発症 例162人を対象とした症例対照研究である。腎障害マーカーは主に糸球体障害を示す尿アルブミン /クレアチニン(ACR)、尿細管障害を示すインター ロイキン -18・kidney injury molecule 1(KIM-1)・ 好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)・ monocyte chemoattractant protein-1(MCP1)、尿細管障害・修復を示す抗キチナーゼ 3様蛋 白(YKL-40)、近位尿細管機能異常を示す β2 -ミ クログロブリン(β2M)・α1 -ミクログロブリン (α1M)およびヘンレループ蛋白産生を示すウロモジュリンである。 結果、開始時のACR、KIM-1、MCP-1が高値なほどCKD発症リスクが高く、厳格降圧群のCKD発症例ではCKD非発症例に比べて開始後にACR、YKL40、ウロモジュリンの低下が著明であり、標準降圧群 のCKD発症例 に比べてACR、β2M、α1M、 YKL-40、ウロモジュリンの低下が明らかであった。 以上の結果は厳格降圧で腎障害マーカーは上昇せず、むしろ低下していることを明瞭に示しており、厳格降圧で実際に腎障害が生じたとは考え難い。 厳格降圧でのeGFR減少は主に全身血圧低下に伴って腎血流量が減少したためであると考えるのが妥当である。通常、腎循環自己調節能の範囲内の降圧であれば腎血流量も維持されるが、高血圧患者では自己調節能が上方にシフトしているので、血圧低下に伴う腎血流量減少も目立ちやすい。   CKD発症例では降圧群を問わず開始時 SBPが高く、厳格降圧群のCKD発症例では開始後の必要 な降圧薬数が多かった。また厳格降圧群では降圧度 が大きいほどCKD発症率が高かった(2)。これらも 降圧に伴う血行動態の変化がeGFR減少に大きく関与していることを支持する。 以上から高血圧治療では厳格降圧によって心血管イベント・全死亡を予防・阻止する方向性が正しいことが支持されたと言える。 1. MMJ 2018;14(2):54-55. 2. Magriço R, et al. Clin J Am Soc Nephrol. 2018;13(1):73-80.
心房細動に対する抗凝固療法の臨床的純益に及ぼす脳卒中発症率のばらつきの影響
心房細動に対する抗凝固療法の臨床的純益に及ぼす脳卒中発症率のばらつきの影響
Effect of Variation in Published Stroke Rates on the Net Clinical Benefit of Anticoagulation for Atrial Fibrillation Ann Intern Med. 2018 Oct 16 ;169 (8 ):517 -527 . 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】抗凝固療法を受けていない非弁膜症性心房細動(AF)患者の脳卒中発症率は、発表された研究によって大きく異なり、その結果、AFにおける抗凝固療法の正味の臨床的利益に与える影響は不明である。 【目的】発表されたAFの脳卒中発症率のばらつきが、抗凝固療法の正味の臨床的利益に与える影響を明らかにする。ワルファリンをベースケースとし,非ビタミンK拮抗薬の経口抗凝固薬(NOAC)を二次解析でモデル化した。 【設定】地域在住の成人。【対象】心房細動を発症した成人33 434人。 【測定】質調整生命年(QALYs)。 【結果】33 434人のうち,CHA2DS2-VASc(うっ血性心不全,高血圧,年齢,糖尿病,脳卒中,血管疾患)のスコアが2以上であったのは27 179人であった。これらの患者に対するワルファリンによる抗凝固療法の人口利益は,ATRIA(AnTicoagulation and Risk Factors In Atrial Fibrillation)試験の脳卒中発生率を用いた場合に最も少なく,Danish National Patient Registryの脳卒中発生率を用いた場合に最も多かった(6290QALYs[95%CI,±2.3%] vs. 24 110QALYs[CI,±1.9%],P<0.001)。抗凝固療法の最適なCHA2DS2-VAScスコアの閾値は、ATRIAの脳卒中率を用いて3以上、スウェーデンのAFコホート研究の脳卒中率を用いて2以上、SPORTIF(Stroke Prevention using ORal Thrombin Inhibitor in atrial Fibrillation)研究の脳卒中率を用いて1以上、デンマークのNational Patient Registryの脳卒中率を用いて0以上であった。NOACによる頭蓋内出血の割合が低いことを考慮すると、CHA2DS2-VAScスコアの最適な閾値は減少したが、これらの閾値はまだ大きく異なっていた。 【Limitation】測定された利益は他の集団に一般化しない可能性がある。 【結論】抗凝固療法を受けていない患者の心房細動による脳卒中発生率の公表値のばらつきは、抗凝固療法の正味の臨床的利益に何倍ものばらつきをもたらしている。ガイドラインは、抗凝固療法を推奨するための現在の脳卒中リスクスコアの閾値の不確実性をよりよく反映すべきである。[主要な資金源]なし。 第一人者の医師による解説 抗凝固療法のNCBを勘案したスコアの日本版推奨閾値の検討必要 矢坂 正弘 国立病院機構九州医療センター脳血管センター部長 MMJ.April 2019;15(2) 抗凝固療法未施行の非弁膜症性心房細動(AF)患者における公表されている脳卒中発症率は研究ごとに大きく異なるが、その変動が抗凝固療法のnet clinical benefit(NCB)に及ぼす影響は明らかにされていない。そこで、著者らは代表的な4つの研究(ATRIA、SPORTIF、Swedish AFコホート研究、 Danish National Patient Registry)から抗凝固療法未施行の非弁膜症性 AF患者における公表されているCHA2DS2 -VAScスコアごとの脳梗塞発症率を調べ、既報の脳梗塞、頭蓋内出血、頭蓋外大出血の発症率などを用い、マルコフモデルを作成し、 質調整生存年(QALY)を指標としたNCBをAF患者33,434人で算出した。4研究間でQALYが異なるか否かを明らかにするとともに、抗凝固療法で最大の益が得られるCHA2DS2 -VAScスコア閾値を求めた(1)。 その結果、CHA2 DS2 -VAScスコア 2以上に 27,179人が該当し、ワルファリンを用いた抗凝固療法のQALYは、ATRIAデータを用いた場合が最も小さく(6,290 QALY;95% CI, ±2.3%)、 Danish National Patient Registryデータを用いた場合が最も大きく(24,110 QALY;95% CI, ±1.9%)、両者で約4倍の差があった(P< 0.001)。ワルファリンによる抗凝固療法のため最適 CHA2DS2 -VAScスコア閾値は、ATRIAを用いると3以上、Swedish AFコホートでは2以上、 SPORTIFで は1以上、Danish National Patient Registryで は0以上であった。直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)を 用いた抗凝固療法 のQALYは ATRIAデータを用いた場合が最も小さく(7,080 QALY;95 % CI, ±1.5 %)、Danish National Patient Registryデータを用いた場合が最も大きく(24,770 QALY;95% CI, ±2.0%)、両者 で約4倍の差があった。抗凝固療法のための最適 CHA2DS2 -VAScスコア閾値は、ATRIAを用いる と2以上、Swedish AFコホートやSPORTIFでは 1以上、Danish National Patient Registryでは0 以上となった。著者らは、抗凝固療法未施行の非弁膜症性 AF患者における脳卒中発症率の変動は、抗凝固療法のNCBに影響を及ぼすので、ガイドラインではこの脳梗塞発症率の不確実性をリスク閾値の設定に反映させるべきであると結んでいる。 日本ではAF有病率が米国 の3分の2程度(2)で、 同等のリスクスコアでも脳梗塞発症率は低いと報告されている(3)ことから、日本でもワルファリンやDOACのNCBを勘案したCHADS2スコアや CHA2DS2 -VAScスコアの至適推奨閾値の検討が望まれる。 1. Shah SJ, et al. Ann Intern Med. 2018;169(8):517-527. 2. 日本循環器学会「心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013 年改訂版)」 委員会:http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2013_inoue_h.pdf(2019 年 3 月 4 日閲覧) 3. Suzuki S, et al. Circ J. 2015;79(2):432-438.
2017年米国心臓病学会/米国心臓協会血圧ガイドラインを用いた若年成人における血圧分類とその後の心血管イベントとの関連性
2017年米国心臓病学会/米国心臓協会血圧ガイドラインを用いた若年成人における血圧分類とその後の心血管イベントとの関連性
Association of Blood Pressure Classification in Young Adults Using the 2017 American College of Cardiology/American Heart Association Blood Pressure Guideline With Cardiovascular Events Later in Life JAMA 2018 Nov 6 ;320 (17 ):1774 -1782. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【重要】若年成人期の血圧(BP)レベルと中年期までの心血管疾患(CVD)イベントとの関連についてはほとんど知られていない。 【目的】2017年米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)BPガイドラインで定義された高血圧を40歳前に発症した若年成人は、正常血圧維持者と比較してCVDイベントリスクが高くなるかどうかを評価することである。 【デザイン、設定および参加者】1985年3月に開始された前向きコホート研究Coronary Artery Risk Development in Young Adults(CARDIA)研究において解析を実施した。CARDIAでは,米国の4つのフィールドセンター(アラバマ州バーミンガム,イリノイ州シカゴ,ミネソタ州ミネアポリス,カリフォルニア州オークランド)から18~30歳のアフリカ系米国人と白人5115人が登録された。アウトカムは2015年8月まで入手可能であった。 【曝露】初診から40歳以降に最も近い検査までに測定された最高血圧を用いて,各参加者を正常血圧(未治療収縮期血圧[SBP]<120mmHg,拡張期血圧[DBP]<80mmHg:n=2574)に分類した。)BP上昇(未治療のSBP 120-129 mm HgおよびDBP <80 mm Hg;n = 445)、ステージ1高血圧(未治療のSBP 130-139 mm HgまたはDBP 80-89 mm Hg;n = 1194)、またはステージ2高血圧(SBP ≥140 mm Hg, DBP≥90 mm Hg, または降圧剤を服用;n = 638)であった。 【主要評および測定法】CVDイベント:致死性および非致死性の冠動脈性心疾患(CHD),心不全,脳卒中,一過性脳虚血発作,末梢動脈疾患(PAD)への介入。 【結果】最終コホートには成人4851人(アウトカム追跡開始時の平均年齢,35.7歳[SD,3.6];女性2657人[55%];アフリカ系アメリカ人2441人[50%];降圧剤服用206人[4%])を含める。中央値18.8年の追跡期間中に,228件のCVDイベントが発生した(CHD,109件,脳卒中,63件,心不全,48件,PAD,8件)。正常血圧,血圧上昇,ステージ1高血圧,ステージ2高血圧のCVD発生率は,それぞれ1000人年当たり1.37(95%CI,1.07-1.75),2.74(95%CI,1.78-4.20),3.15(95%CI, 2.47-4.02),8.04(95% CI,6.45-10.03 )であった。多変量調整後,BP上昇,ステージ1高血圧,ステージ2高血圧のCVDイベントのハザード比は,正常BPに対してそれぞれ1.67(95%CI,1.01-2.77),1.75(95%CI,1.22-2.53)および3.49(95%CI,2.42-5.05)であった。 【結論と関連性】若年成人において,2017年米国心臓病学会/米国心臓協会(ACC/AHA)ガイドラインの血圧分類で定義された40歳前の血圧上昇,ステージ1高血圧,ステージ2高血圧の者は,40歳前の血圧が正常の者と比較してその後の心血管疾患イベントリスクが有意に高かった。ACC/AHA血圧分類システムは、心血管疾患イベントのリスクが高い若年成人を特定するのに役立つ可能性があります。 第一人者の医師による解説 若年成人の血圧異常への介入と、さらに若い年齢層での研究が必要 粟津 緑 慶應義塾大学医学部小児科非常勤講師 MMJ.April 2019;15(2) 2017年に発表された米国高血圧ガイドラインは、従来の高血圧前症(prehypertension、収縮期血圧 120 ~ 139 /拡張期血圧 80 ~ 89 mmHg) という分類を廃止し、120~129/80mmHg未満を 血圧上昇(elevated blood pressure)、130 ~ 139 /80 ~ 89 mmHgをstage 1 高血圧、 140/90mmHg以上をstage 2高血圧とした。 高血圧の基準が下がったため若年成人の患者数は 2~3倍に増加した。しかしすぐ薬物療法を行うのではなく、まず生活習慣の改善を指導し、その後も改善しなければ、心血管疾患の既往があるか、10 年間の動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)リスクスコアが10%以上である場合に薬物療法を行うよう推奨されている。これにより降圧薬が必要な患者数はわずかな増加にとどまる。一方、ASCVDリスクスコアは40~79歳を対象に設定されたものであるため、若年成人(40歳未満)の多くはリスクが低く薬物療法の適応にならないという問題がある。 本研究は登録時18~30歳の米国人を対象としたCARDIA研究データに2017年基準を適用し検討した。血圧上昇群およびstage 1高血圧群の心 血管疾患発症リスクは 正常血圧群(120mmHg未 満 /80mmHg未満)に比べて有意にそれぞれ1.67、 1.75倍高かった。 本研究と同様の研究が韓国でも行われ、血圧異常者(血圧上昇と高血圧)の正常血圧者に対するハザード比は米国と同様に有意に上昇していた(1)。中年・老年層における同様の研究は多いがこの2研究は若年成人を対象とした初めての研究である。 両研究に共通した点がいくつかある。まず対象の半数以上が血圧異常に分類された。この理由として血圧測定法が適切でなかった可能性が考えられる。信頼性のある24時間血圧測定は行われていない。若年者では高血圧のレッテルを貼る前に真の高血圧であるか否かを確認することがより望ましい。また血圧上昇群とstage 1高血圧群は正常血圧群に比べBMIが大きく、糖・脂質代謝異常合併も多かった。したがってこれらが心血管疾患発症へ関与した可能性もある。若年血圧異常者には生活習慣の改善指導、糖・脂質代謝異常の是正も重要である。 今後、以上の点を考慮した介入研究が必要である。 また本研究の対象は18~30歳であるが、結果を外挿すると小児・思春期の軽度血圧上昇が将来の心血管リスクになる可能性もある。血圧はトラッキングするからである。小児の血圧基準はパーセ ンタイル値で定義されている。心血管疾患との関係が不明であるため便宜的に定義しているのであるが、本研究を発展させ、臓器障害マーカー(左室 肥大など)を盛り込みつつ成人のように心血管リスクとなる血圧値を設定することが望まれる。 1. Son JS1, et al. JAMA. 2018 Nov 6;320(17):1783-1792.
世界、地域、国別の年齢・性別死亡率と平均余命、1950~2017年:Global Burden of Disease Study 2017の系統的分析
世界、地域、国別の年齢・性別死亡率と平均余命、1950~2017年:Global Burden of Disease Study 2017の系統的分析
Global, regional, and national age-sex-specific mortality and life expectancy, 1950-2017: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2017 LANCET 2018 Nov 10;392(10159):1684-1735. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】年齢別死亡率と平均余命の評価は、国連経済社会局人口部(UNPOP)、米国国勢調査局、WHO、および世界疾病・傷害・リスク要因調査(GBD)の過去の反復調査の一部として行われてきた。)GBD の以前の版では、UNPOP による人口推定値が使用されたが、これは GBD の死亡者数の推定値と内部的に一貫性のある方法で導き出されたものではない。GBDの現在の反復、GBD 2017は、以前の評価を改善し、グローバルな集団の死亡率の経験のタイムリーな推定値を提供します。 【方法】GBDは、1950年から2017年の間の死亡率の推定値を作成するために、23年齢グループ、両性、および195カ国と領土、16カ国のサブナショナルな場所を含む918の場所について、利用できるすべてのデータを使用しています。使用したデータは、バイタル登録システム、サンプル登録システム、家庭調査(完全出生歴、要約出生歴、兄弟姉妹歴)、センサス(要約出生歴、世帯死亡)、人口動態監視サイトなどである。合計で、この分析には8259のデータソースが使用された。出生から5歳までと15歳から60歳までの死亡確率の推定値を作成し、モデル生命表システムに入力して、すべての場所と年について完全な生命表を作成した。致命的な不連続性とHIV/AIDSによる死亡率は別々に分析され、その後、推定に組み込まれる。年齢別死亡率と開発状況との関係は、25歳以下の出生率、教育、所得に基づく複合指標である社会人口統計指数を用いて分析する。GBD 2017では、GBD 2016と比較して、主に4つの方法論的改善がなされている。622の追加データソースが組み込まれたこと、GBD研究によって生成された新しい推定人口が使用されたこと、分析の異なる要素で使用される統計手法がさらに標準化・改善されたこと、分析が20年遡って1950年から始まるように拡張されたこと。 【FINDINGS】Global, 18-7% (95% uncertainty interval 18-4-19-0) of deaths were registered in 1950 and that proportion has steadily increasing, in 58-8% (58-2-59-3) of all deaths are registered in 2015.世界レベルでは、1950年から2017年の間に、男性の平均寿命は48-1歳(46-5-49-6)から70-5歳(70-1-70-8)へ、女性は52-9歳(51-7-54-0)から75-6歳(75-3-75-9)へ伸びています。このような全体的な進展にもかかわらず、2017年の出生時平均寿命にはかなりのばらつきが残っており、中央アフリカ共和国の男性の49-1歳(46-5-51-7)からシンガポールの女性の87-6歳(86-9-88-1)まで幅がある。年齢層を超えて最も進歩したのは5歳未満の子どもで、5歳未満の死亡率は1950年の出生1000人あたり216-0人(196-3-238-1)から2017年の出生1000人あたり38-9人(35-6-42-83)まで減少し、国によって大きな減少がみられた。それでも、2017年の世界の5歳未満の子どもの死亡者数は500万~400万人(5-2-5-6)でした。成人、特に成人男性については、進展はあまり顕著ではなく、変動が大きく、いくつかの国で死亡率が停滞または上昇していた。1950年から2017年までの男女の平均寿命の差は、世界レベルでは比較的安定しているものの、超地域間で特徴的なパターンを示し、一貫して中央ヨーロッパ、東ヨーロッパ、中央アジアで最も大きく、南アジアで最も小さくなっている。また、開発に基づいて予想される死亡率と比較して観測された死亡率では、国や時間によってパフォーマンスが変化していた 【解釈】年齢性別死亡率のこの分析は、国によって人口死亡率に驚くほど複雑なパターンがあることを示すものである。この研究結果は、5歳未満児の死亡率の大幅な低下など、世界的な成功を強調している。これは、数十年にわたる地域、国、世界の重要なコミットメントと投資を反映したものである。しかし、同時に懸念される死亡率パターン、特に成人男性や、女性においては、本調査の期間中、多くの国で死亡率が停滞し、場合によっては上昇していることにも注意を喚起している。 第一人者の医師による解説 5歳未満児の劇的な死亡率低下と、停滞する成人期前期の健康増進 野村 周平 東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室助教 MMJ.April 2019;15(2) 保健政策立案や保健介入における優先順位決定のためには、その基礎データとして、疾患別の死亡や障害、それらの原因となりうる危険因子に関する比較可能なエビデンスは必須である。その先駆けとして1991年に開始された世界の疾病負荷研究(Global Burden of Disease:GBD)は、複数の疾患や危険因子をすべて同時にかつ包括的に解析した野心的プロ ジェクトであった。その初期の成果は、「世界開発 報告1993年度版:健康への投資(世界銀行)」などで 発表され(1)、大きな反響を得た。 時は巡り、GBD研究は米国ワシントン大学保健指標・保健評価研究所(IHME)を事務局とし、GBD 2010プロジェクトが2007年に始動。多くの議論や方法論的発展を経て、1990~2010年の世界の疾病負荷が推計され、その成果は2012年に7編の原著論文としてLancetで発表された。プロジェクトはその後、GBD2013、GBD2015、GBD2016と続き、 データ収集の拡大、最新の統計技術の適用、方法論の改善を繰り返してきた。本論文は、これまでにない量・種類のデータを収集、包括的で多面的な新手法で解析された最新のGBD2017プロジェクトの研究成果からの1編である(2) 。 本研究の重要な発見の1つは、過去半世紀にわたる5歳未満児の死亡率の劇的な低下だ。1950年時の 約5分の1程度にまで低下した。このすばらしい成果は、世界、地域、国レベルの数十年にわたるコミットメントと投資、とりわけ2000年以降の全世界的なワクチンキャンペーンの果たした役割が大きい(3) 。しかしながら、依然として毎年520万人以上 の5歳未満児が死亡していることが本研究で認められており、やるべきことはまだ多く残っている。子どもの死亡率の急激な低下以外にも、GBD 2017の結果は、5歳を過ぎて生き延びる子どもが青年期や壮年期に死亡する可能性は依然高いことを示している。特に20~45歳のグループでは、死亡率の改善 は1990年以降停滞しており、2000年ごろには増加 もみられた。 GBD2017 では、 社会人口学的インデックス (Socio-Demographic Index:SDI)と呼ばれる、収入、 教育レベル、出生率という3つの側面に関して、ある国における平均達成度を測るための指標を使用し ている。例えば本研究では、各国の死亡率をSDIに基づき分類することで、同程度の開発レベルにある 国々の中で、具体的にどの国が低い死亡率を達成しているか、または相対的に達成が遅れているかを確認できる。 世界的に健康増進が進む中、地域や年齢によってその進展は大きく異なる。本研究成果は、世界の健康指標(死亡率)における課題を、国別(国によっては地方別)、年齢別、性別レベルで評価し、それら に対応する最善の方法を見つけるための新たなデータを提示するものだ。顕著な死亡率低下を実現してきた国々の成功の原動力を学び、各国レベルで新たな研究プロジェクト遂行や政策立案、自国の国民を対象とした詳細な疾病負荷研究などに活かされることが期待される(4) 。一方で、達成の遅れている国々には緊急の注意を払う必要がある。 1.The World Bank. World Development Report 1993:Investing in Health. Washington, D.C.:World Bank;1993. 2. The Lancet. Lancet. 2018;392(10159):1683. 3. Haakenstad A, et al. Health Aff(Millwood). 2016;35(2):242- 249. 4. Murray CJL, Lopez AD. Lancet. 2017;390(10100):1460-1464.
肥満症患者の体重減少に対するセマグルチドの有効性と安全性をリラグルチドおよびプラセボと比較:無作為化、二重盲検、プラセボおよびアクティブコントロール、用量設定、第 2 相試験
肥満症患者の体重減少に対するセマグルチドの有効性と安全性をリラグルチドおよびプラセボと比較:無作為化、二重盲検、プラセボおよびアクティブコントロール、用量設定、第 2 相試験
Efficacy and safety of semaglutide compared with liraglutide and placebo for weight loss in patients with obesity: a randomised, double-blind, placebo and active controlled, dose-ranging, phase 2 trial Lancet 2018 Aug 25 ;392 (10148 ):637 -649 . 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】 肥満は公衆衛生上の大きな問題であり、体重管理のための新しい医薬品が必要とされている。そこで、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)アナログのセマグルチドについて、リラグルチド及びプラセボと比較して、体重減少を促進する有効性と安全性を評価しました。 【方法】無作為化、二重盲検、プラセボ及び活性対照、多施設、用量設定、第2相試験を実施しました。本試験は、71の臨床施設を含む8カ国で行われました。対象者は、糖尿病のない、肥満度(BMI)30kg/m2以上の成人(18歳以上)です。56のブロックサイズで、参加者を各活性治療群(セマグルチド[0-05 mg、0-1 mg、0-2 mg、0-3 mg、または0-4 mg;1日0-05 mgで開始し4週間ごとに段階的に増加]またはリラグルチド[3-0 mg;1日0-6 mgで開始し週0-6 mgごとに増加])または適合プラセボ群(活性治療群と同じ注入量と増加スケジュール)に6対1の比率でランダムに割り付けました。すべての投与量は1日1回、皮下注射で投与されました。参加者と治験責任医師は、割り付けられた治療法についてマスキングされたが、目標投与量についてはマスキングされなかった。主要評価項目は、52週目の体重減少率であった。主要解析はintention-to-treat ANCOVA法により行われ、欠損データはプラセボ群から抽出された。本試験はClinicalTrials. govに登録されており、番号はNCT02453711。 【FINDINGS】2015年10月1日から2016年2月11日の間に、957人がランダムに割り付けられた(有効治療群ごとに102~103人、プラセボプール群に136人が割り付けられた)。平均ベースライン特性は、年齢47歳、体重111-5kg、BMI39-3kg/m2などであった。体重データは、957人中891人(93%)から52週目に入手できた。推定平均体重減少率は、プラセボ群-2-3%に対し、セマグルチド群-6-0%(0-05mg)、-8-6%(0-1mg)、-11-6%(0-2mg)、-11-2%(0-3mg)、-13-8%(0-4mg)であった。セマグルチド群はプラセボ群に対してすべて有意であり(未調整p≦0-0010)、多重試験で調整後も有意であった(p≦0-0055)。セマグルチド0~2mg以上とリラグルチドの平均体重減少率は、いずれも有意であった(-13~8% vs -11~2% vs -7~8%)。推定体重減少率10%以上は、プラセボ投与群では10%、セマグルチド0-1mg以上投与群では37~65%に認められました(p<0-0001 vs プラセボ)。セマグルチドの全用量において、新たな安全性の懸念はなく、概ね良好な忍容性を示しました。最も一般的な有害事象は、GLP-1受容体作動薬で以前に見られたように、吐き気を主とする用量に関連した消化器症状であった。 【解釈】食事療法および身体活動に関するカウンセリングとの併用において、セマグルチドは52週間にわたり忍容性が高く、すべての用量でプラセボと比較して臨床的に適切な体重減少が認められた。 【FUNDING】Novo Nordisk A/S. 第一人者の医師による解説 糖尿病含む肥満関連疾患の発症抑制にも期待 脇 裕典 東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科講師 MMJ.February 2019;15(1):21 新しいグルカゴン様ペプチド -1(GLP-1)受容体アゴニストであるセマグルチドは現在、週1回 注射薬が日本で2型糖尿病治療薬として承認されている。他のGLP-1受容体アゴニストと同様、セマグルチドは2型糖尿病の改善のみならず、体重減少効果が知られている。本研究は、オーストラリ ア、欧州、北米の2型糖尿病非合併の成人肥満(BMI 30kg/m2以上)患者957人を対象にセマグルチド 1日1回52週間投与による体重減少率を主要評 価項目に定め、体重減少効果と安全性に関してリラグルチドおよびプラセボと比較した多施設共同無 作為化二重盲検用量反応第2相試験である。 対象者の平均年齢 は47歳、平均体重 は111.5 kg、BMIは39.3kg/m2。プ ラ セ ボ 群 で は 体重 減少(減少率)は-2.48kg(-2.3%)であるの に 対 し、セ マ グ ル チ ド 0.05、0.1、0.2、0.3、 0.4mg群 で は そ れ ぞ れ -6.66kg(-6.0%)、 -9.34kg(-8.6%)、-12.30kg(-11.6%)、 -12.45kg( -11.2 %)、-15.15kg( -13.8 %) で あ り、そ の 差 は 有意 で あ っ た(P<0.001)。 10%以上の体重減少率がみられた患者はプラセ ボ 群10%に 対してセ マグ ル チド 群(0.1mg以 上)37~65%で差はいずれも有意であった(P< 0.0001)。セマグルチドの体重減少効果は52週 間にわたって観察された。 リラグルチド 3mg群との比較では、セマグル チ ド 群(0.2mg以上 )の 体重減少率( -13.8 ~ -11.2 %)は リ ラ グ ル チ ド 群 の 体重減少率 (-7.8%)よりも有意に大きかった(P≦0.05)。 主な副作用である嘔気の頻度はプラセボ群18%に 対し、セマグルチド群(0.05~0.4mg)で31~ 48%と高いが、リラグルチド 3mg群では45%で 忍容性は同程度であると考えられた。 本試験では、摂取カロリーで500 kcalの減少と 最低週150分の運動を指導されており、食事・運 動療法の併用が重要である可能性には留意したい。 セマグルチドは2型糖尿病の臨床試験(SUSTAIN 6)において心血管イベント(3 point‒MACE)を 有意に減少させたことが注目されている(1)。今回、 糖尿病非合併肥満患者の体重コントロールに有効な結果が示されたことから、糖尿病を発症していない肥満者において糖尿病を含む関連疾患の発症 抑制効果を有するかもしれない。現在、肥満症治療 薬としての第3相試験が進行中で、今後の結果が 期待される。 1. Marso SP et al. N Engl J Med. 2016;375(19):1834-1844.
スウェーデンの関節リウマチ患者におけるTumor Necrosis Factor Inhibitorsと癌の再発。全国規模の人口に基づくコホート研究
スウェーデンの関節リウマチ患者におけるTumor Necrosis Factor Inhibitorsと癌の再発。全国規模の人口に基づくコホート研究
Tumor Necrosis Factor Inhibitors and Cancer Recurrence in Swedish Patients With Rheumatoid Arthritis: A Nationwide Population-Based Cohort Study Ann Intern Med. 2018 Sep 4;169(5):291-299. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】がん既往歴のある患者における腫瘍壊死因子阻害薬(TNFi)の使用は依然として臨床上のジレンマである 【目的】関節リウマチ(RA)におけるTNFi治療ががん再発リスクの増加と関連しているかどうかを検討すること 【デザイン】全国の登録簿のリンケージに基づいた人口ベースのコホート研究。設定]スウェーデン. 【参加者】がんと診断された後、2001年から2015年の間にTNFi治療を開始したRA患者と、生物学的製剤の投与を受けたことのないRAと同一がん歴の患者をマッチングさせた. 【測定法】主要アウトカムはがんの初発再発であった.ハザード比(HR)の推定には、時間、がんの種類、がんが浸潤性かin situか(一部の患者では腫瘍、リンパ節、転移(TNM)分類システムの病期)を考慮した調整済みCox比例ハザードモデルを使用した。 【結果】TNFi治療を開始した患者467人(がん診断後の平均期間、7.9年)のうち、がんの再発は42人(9.0%;追跡調査の平均期間、5.3年)であった;同じがん歴を有する2164人のマッチアップ患者のうち、155人(7.2%;追跡調査の平均期間、4.3年)で再発があった(HR、1.06[95%CI、0.73~1.54])。がんの病期で一致させた患者サブセット、または指標となるがんの診断からTNFi治療開始までの期間が類似している患者サブセットの解析、および一致させていない解析では、ハザード比は1に近かった。 【Limitation】アウトカムアルゴリズムは一部検証されておらず、指標がんの予後が良好な患者ほどTNFi治療を受ける可能性が高い場合、チャネリングバイアスが生じる可能性があった。 【結論】本知見は、TNFi治療がRA患者におけるがん再発リスクの増加とは関連していないことを示唆しているが、有意なリスク増加を完全に排除することはできなかった。主な資金源]ALF(ストックホルム郡議会における保健医療分野の医学教育・研究に関する協定)、スウェーデン癌協会、スウェーデン戦略研究財団、スウェーデン研究評議会。 第一人者の医師による解説 レジストリデータ使用の国家規模コホート研究 エビデンス構築に貢献 岩崎 基 国立がん研究センター社会と健康研究センター疫学研究部部長 MMJ.February 2019;15(1):20 関節リウマチ患者などに対するTNF阻害療法は、その作用機序により悪性腫瘍のリスクが上昇する 可能性が懸念されている。また悪性腫瘍の既往歴・ 治療歴を有する患者がTNF阻害薬を使用した場合の再発リスクへの影響も懸念されている。再発リスクや2次がん罹患リスクとの関連を調べた先行研究は少なく、リスク上昇の報告はない。先行研究 の課題として、TNF阻害療法を受ける患者は進行がん患者が少ないなど再発リスクの低い患者が対象になっていた可能性が指摘されている。そこで、本研究では病期、診断からTNF阻害療法開始までの期間を考慮した解析を実施したが、生物学的製剤非使用群に比べて、統計学的に有意な再発リスクの上昇は観察されなかった。 本研究の方法論上の最大の特徴は、レジストリデータを用いて研究目的に合致した国家規模のコ ホートを構築している点である。本研究では、患者登録、がん登録、処方薬登録などの公的レジストリとリウマチ分野のQuality Registryを用いて、対象者の特定、治療と交絡要因に関する情報の取得、 アウトカムであるがんの再発の把握がなされた。 異なるレジストリをリンケージするために国民に付与された個人識別番号(PIN)が利用された。また、このような登録情報を疫学研究に用いる際には、 その妥当性を明らかにしておくことが重要であるが、患者登録から把握した疾患の妥当性について はすでに数多くの報告がなされている(関節リウマチ患者の陽性反応的中度は約90%)(1)。 スウェーデンの豊富なレジストリを用いて構築されたコホートにおいて、再発リスクの関連要因 を丁寧に調整した結果を示すことができた点は、 本研究の大きな成果である。一方、この規模でも十 分なサンプルサイズとは言えず、リスク上昇の可 能性は否定できない。また、観察研究のため未観察の交絡要因の影響は否定できず、情報がなく考慮できていない要因(治療開始時の病勢、喫煙など)の影響についても留意が必要である。 このように解釈の上で留意が必要ではあるが、 レジストリデータの利活用は、臨床上の疑問に答えるエビデンスの創出という点で大きな可能性を有している。日本においても、このようなレジストリデータなど、いわゆるリアルワールドデータを用いて、質の高い疫学研究が実施できる環境が整備 され、エビデンス構築に貢献できることを期待したい。 1. Ludvigsson JF, et al. BMC Public Health. 2011;11:450. doi:10.1186/1471- 2458-11-450.
コントロール不十分な1型糖尿病におけるハイブリッドクローズドループ型インスリンデ リバリー:多施設共同、12週間無作為化試験
コントロール不十分な1型糖尿病におけるハイブリッドクローズドループ型インスリンデ リバリー:多施設共同、12週間無作為化試験
Closed-loop insulin delivery in suboptimally controlled type 1 diabetes: a multicentre, 12-week randomised trial LANCET 2018 Oct 13;392(10155):1321-1329. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】1型糖尿病患者にとって、血糖コントロールの達成は依然として困難である。6歳以上の最適にコントロールされていない1型糖尿病患者を対象に、センサー付きポンプ療法と比較した昼夜ハイブリッド閉ループインスリン投与の有効性を評価した。 【方法】このオープンラベル、多施設、多国籍、単一期間、並行無作為化対照試験では、英国の4病院と米国の2施設の糖尿病外来クリニックから参加者を募集した。インスリンポンプで治療を受けている6歳以上の1型糖尿病で,血糖コントロールが最適でない(糖化ヘモグロビン[HbA1c] 7-5-10-0%) 参加者を12週間の自由生活でハイブリッド閉ループ療法またはセンサー補強型ポンプ療法にランダムに割付けた。インスリンポンプと持続的グルコースモニタリングのトレーニングは4週間のランイン期間中に行われた。対象者は中央無作為化ソフトウェアにより無作為に割り付けられた。2群への割り付けは非盲検下で行われ、無作為化は施設内でHbA1cが低い(8~5%未満)か高い(8~5%以上)かで層別化された。主要評価項目は、無作為化後12週目にグルコース濃度が3-9-10-0mmol/Lの目標範囲内に収まった時間の割合とした。主要評価項目と安全性評価項目の解析は、無作為化されたすべての患者さんで行われました。本試験はClinicalTrials. govに登録されており、番号はNCT02523131、募集は終了している。 【所見】2016年5月12日から2017年11月17日まで、114名がスクリーニングされ、適格患者86名がハイブリッド閉ループ療法(n=46)またはセンサー補強ポンプ療法(n=40;対照群)にランダムに割り当てられた。グルコース濃度が目標範囲内にあった時間の割合は、コントロール群(54%、SD9、平均変化率差10-8%ポイント、95%CI 8-2~13-5、p<0-0001)と比較して、クローズドループ群で有意に高かった。クローズドループ群では,HbA1cがスクリーニング値の8-3%(SD 0-6)から4週間のランイン後に8-0%(SD 0-6)へ,12週間の介入期間後に7-4%(SD 0-6)へ低下した.対照群では,HbA1c値はスクリーニング時に8-2%(SD 0-5),ランイン後に7-8%(SD 0-6),介入後に7-7%(SD 0-5)であり,HbA1c割合の減少は対照群と比較して閉ループ群では有意により大きかった(変化の平均差 0-36%,95%CI 0-19 ~ 0-53;p<0-0001)。グルコース濃度が3-9mmol/L未満(変化の平均差-0-83%ポイント、-1-40から-0-16;p=0-0013)および10-0mmol/L以上(変化の平均差-10-3%ポイント、-13-2から-7-5;p<0-0001)で過ごした時間は、コントロール群と比較してクローズドループ群で短くなっていました。センサーで測定したグルコースの変動係数は,介入間で差がなかった(変化の平均差 -0-4%,95% CI -1-4%~0-7%;p=0-50).同様に,1日の総インスリン量にも差はなく(変化の平均差0-031 U/kg/日,95% CI -0-005~0-067;p=0-09), 体重にも差はなかった(変化の平均差0-68 kg,95% CI -0-34~1-69;p=0-19 ).重篤な低血糖は発生しなかった。クローズドループ群では輸液セットの不具合により糖尿病性ケトアシドーシスが1件発生した。その他の有害事象は、クローズドループ群で13件、対照群で3件であった。 【解釈】ハイブリッドクローズドループインスリン投与は、最適にコントロールされていない1型糖尿病患者の幅広い年齢層で低血糖のリスクを低減しながら血糖コントロールを改善する。 【FUNDING】JDRF、NIHR、Wellcome Trust。 第一人者の医師による解説 さらなる改良が望まれるインスリンデリバリーシステム 松久 宗英 徳島大学先端酵素学研究所糖尿病・臨床研究開発センターセンター長・教授 MMJ.February 2019;15(1):19 本研究はハイブリッドクローズドループインスリンポンプの有用性と安全性を示した研究である。 Cambridge 大学が開発した Day-and-night hybrid closed-loop(FlorenceD2A closed-loop)システムに、 ミニメド620G(Medtronic)とスマートフォンを連係させたシステムを使用している。先進的インスリン機器の検証は、入院患者を対象とした完全監視下 の閉鎖的環境から、目の行き届くサマーキャンプやホテル生活、そして最後に自由生活での実証へと段階的に進められる。本研究はその最終段階に相当し、 かつ最も良い適応と考えられる血糖管理不十分な幅広い年齢の1型糖尿病患者を対象に12週間行われた研究である。 今回使用されたクローズドループインスリンポンプはハイブリッド型と呼ばれ、安定した状態では CGMによる皮下間質ブドウ糖濃度に応じたインスリン持続注入が行われ、夜間に優れた血糖管理が得られる。しかし、現状のインスリン注入アルゴリズ ムでは、食事による急激な血糖上昇を十分に抑制できないことが示されている。この理由として、皮下 インスリンの作用時間の遅れ、皮下間質と血漿のブドウ糖濃度のずれ、食事量評価の自動化の困難さなど複数の要因がある。また、血糖管理手段がインスリンによる血糖降下ベクトルしかないことも大きな要因である。そこで、カーボカウントに基づく追加インスリン量を患者が自己注入する従来の方法を併用するため、ハイブリッド型とされる。 本研究では血糖管理不十分の1型糖尿病患者に対し、これまでのSAPと比較して、HbA1cを0.36% 低下させ、平均センサーブドウ糖濃度、目標ブドウ 糖濃度達成時間、SDでみた血糖変動の改善もみられ、安定した血糖改善効果が示された。一方、低血糖の頻度や重症低血糖は両群間で同等であった。また、注入トラブルで糖尿病ケトアシドーシスが発症したことから、安全性の面では従来のSAPを凌駕するには至っていない。 これからも、より作用発現の早いインスリン製剤 の開発や、血糖上昇ベクトルを持つグルカゴンの併 用注入が可能なバイオニックインスリンポンプ(1)などの開発が進められており、1型糖尿病のより良い 管理が実現し、合併症のかなりの抑制が期待される。 ただし、これら先進機器も一定の機器トラブルを起 こすリスク、医療コスト、操作の煩雑さなど最後まで課題の克服に向けた研究開発が必要とされる。 1. El-Khatib FH, et al. Lancet. 2017;389(10067):369-380.
侵襲的治療を受けた急性冠症候群患者における橈骨動脈と大腿動脈アクセス、ビバリルジ ンと未分画ヘパリンの比較(MATRIX):多施設共同、無作為化対照試験1年目の最終結果
侵襲的治療を受けた急性冠症候群患者における橈骨動脈と大腿動脈アクセス、ビバリルジ ンと未分画ヘパリンの比較(MATRIX):多施設共同、無作為化対照試験1年目の最終結果
Radial versus femoral access and bivalirudin versus unfractionated heparin in invasively managed patients with acute coronary syndrome (MATRIX): final 1-year results of a multicentre, randomised controlled trial LANCET 2018 Sep 8;392(10150):835-848. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】Minimizing Adverse Haemorrhagic Events by Transradial Access Site and Systemic Implementation of Angiox(MATRIX)プログラムは、侵襲的治療を受ける急性冠症候群の患者において、径方向アクセス法と大腿動脈アクセス法の比較、および糖タンパク質IIb/IIIa阻害剤を選択した二価イルジンと未分画ヘパリンとの安全性と有効性を評価するために計画されました。MATRIXは,イタリア,オランダ,スペイン,スウェーデンの78施設で急性冠症候群患者を対象とした3つのネステッド無作為化多施設共同非盲検優越試験からなるプログラムであった。ST上昇型心筋梗塞患者を対象に、冠動脈造影前に橈骨または大腿動脈アクセス、および経皮的冠動脈インターベンション後の輸液または未分画ヘパリン投与(1段階選択)ありまたはなしのビバリルジンに同時に無作為(1:1)割り付けを行った。非ST上昇型急性冠症候群の患者を冠動脈造影前に橈骨または大腿動脈アクセスに無作為に(1:1に)割り付け,造影後に経皮的冠動脈インターベンションが可能と判断された場合のみ(2段階選択),アンチトロンビンの種類と治療期間のプログラムに参加させた。無作為化配列はコンピュータで作成され、ブロックされ、P2Y12阻害薬の新規または現在の使用目的(clopidogrel vs ticagrelor or prasugrel)、急性冠症候群のタイプ(ST上昇型心筋梗塞、トロポニン陽性、トロポニン陰性の非ST上昇型急性冠症候群)により層別化された。Bivalirudinは0〜75mg/kgのボーラス投与後,経皮的冠動脈インターベンション終了まで1時間あたり1〜75mg/kgの点滴を行った。ヘパリンは糖蛋白IIb/IIIa阻害剤非投与例では70〜100単位/kg,糖蛋白IIb/IIIa阻害剤投与例では50〜70単位/kgで投与された。臨床的なフォローアップは30日後と1年後に行われた。MATRIXアクセスおよびMATRIXアンチトロンビン型に関する共同主要アウトカムは、30日までの全死亡、心筋梗塞、脳卒中の複合と定義した主要有害心血管イベント、および非冠動脈バイパス移植関連大出血、30日までの主要有害心血管イベントの複合と定義した臨床有害事象であった。MATRIXの治療期間に関する主要アウトカムは、緊急標的血管再血行再建術、明確なステント血栓症、または30日までの純有害臨床イベントの複合としました。解析はintention-to-treatの原則に従って行われました。本試験はClinicalTrials. gov(番号NCT01433627)に登録されている。 【所見】2011年10月11日から2014年11月7日の間に、8404人の患者を橈骨アクセス(4197人)または大腿アクセス(4207人)にランダムに割付た。この8404人のうち,7213人がMATRIXアンチトロンビン型研究に含まれ,ビバリルジン(3610人)またはヘパリン(3603人)に無作為に割り付けられた。ビバリルジンに割り付けられた患者はMATRIX治療期間試験に組み入れられ、無作為に処置後輸液あり(1799例)または処置後輸液なし(1811例)に割り付けられた。1年後、主要な有害心血管イベントは、橈骨アクセスに割り付けられた患者と大腿骨アクセスに割り付けられた患者で差がなかったが(14-2% vs 15-7%、率比0-89、95%CI 0-80-1-00、p=0-0526)、正味の有害臨床イベントは、大腿骨アクセスよりも橈骨アクセスの方が少なかった(15-2% vs 17-2%、 0-87、 0-78-0-97; p=0-0128)。ヘパリンと比較して、ビバリルジンは主要な心血管有害事象(15-8%対16-8%; 0-94, 0-83-1-05; p=0-28)および臨床上の純有害事象(17-0%対18-4%; 0-91, 0-81-1-02; p=0-10)とは関連がなかった。緊急標的血管再血行再建術,ステント血栓症,臨床的有害事象の複合は,術後のバイバルジン点滴の有無にかかわらず差がなかった(17-4% vs 17-4%;0-99, 0-84-1-16;p=0-90). 【解釈】急性冠症候群患者において,径方向アクセスは1年後の主要有害心臓イベントではなく,大腿動脈アクセスと比較して,純有害事象率が低いとされた.ビバリルジンの投与と投与後の点滴の有無は、主要な有害心血管イベントや臨床的な有害事象の発生率の低下と関連はなかった。イタリア侵襲的心臓病学会,The Medicines Company,Terumo,Canada Research Chairs Programme. 第一人者の医師による解説 出血リスク軽減も 実臨床では患者に応じた対応が必要 古賀 聖士(病院講師)/前村 浩二(教授) 長崎大学病院循環器内科 MMJ.February 2019;15(1):17 近年、PCI時の橈骨動脈アクセスと大腿動脈アクセスを比較した多数のランダム化比較試験が行われ、橈骨動脈アクセスでは出血性イベント、特にアクセスサイト関連の出血が有意に少ないことが報告されている(1) 。その結果に基づき、現在欧州のPCI ガイドラインでは、橈骨動脈は第1選択のアクセス サイトとして推奨されている(推奨度I、エビデンス レベルA)(2) 。しかし、ほとんどの研究が30日程度の 短期予後をみたものであり、橈骨動脈アクセスと長期予後の関連については明らかとなっていなかった。 本試験は、大腿動脈アクセスに対する橈骨動脈アクセスの長期的な安全性と有効性を検証するために実施された。なお、本試験は未分画ヘパリンに対するビバリルジン(日本未承認の抗トロンビン薬)の安全性と有効性も検証するデザインになっている。 結果であるが、1年の追跡で、橈骨動脈アクセス 群と大腿動脈アクセス群の間で主要心血管イベント (全死亡、心筋梗塞または脳卒中)発生率に有意差はなかったが、総臨床的有害事象(NACE;主要心血管イベントおよびnon-CABG関連大出血)は橈骨動脈 アクセス群の方が有意に少なかった。これには、橈骨動脈アクセス群では大出血、特にアクセスサイト 関連の出血(0.4% 対 1.1%)が有意に少なかったことが影響していた。また、この差は30日までに認 められ、31日から1年までのNACE発生率に有意差はなかった。なお、ビバリルジン群とヘパリン群で1年の主要心血管イベントおよびNACEに有意差はなかったが、ビバリルジン群は大出血(2.2% 対 3.3%)が有意に少なかった。 以上より、本研究はACS患者のPCIにおいて橈骨動脈は最も望ましいアクセスサイトであると結論づけている。また、ビバリルジンを使用した橈骨動 脈アクセスのPCIは、より出血性イベントを軽減で きる可能性があることについても触れられている。 日本においても、可能であれば橈骨動脈アクセスを第1選択にすることに、ほぼ異議はないであろう。 しかしACS患者では、ショックバイタルのため橈 骨動脈の触知が弱くアクセスが困難な患者があり、 また高齢の患者で鎖骨下動脈や腕頭動脈の蛇行のためカテーテル操作が困難な場合、大腿動脈アクセス の方が迅速にPCIを行える患者も経験する。また複 雑病変へのPCIで大口径カテーテルが必要な場合には橈骨動脈は不向きである。ガイドラインや臨床研 究の結果から橈骨動脈アクセスに固執するのではなく、患者に応じてアクセス部位を使い分ける臨機応変な対応が実臨床の場では求められるであろう。 1. Ferrante G, et al. JACC Cardiovasc Interv. 2016;9(14):1419- 1434. 2. Neumann FJ, et al. Eur Heart J 2018. Aug 25. doi:10.1093/ eurheartj/ehy394.
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