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大豆および発酵大豆食品摂取量と総死亡および死因別死亡の関連 前向きコホート研究
大豆および発酵大豆食品摂取量と総死亡および死因別死亡の関連 前向きコホート研究
Association of soy and fermented soy product intake with total and cause specific mortality: prospective cohort study BMJ. 2020 Jan 29;368:m34. doi: 10.1136/bmj.m34. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【目的】大豆製品数種類と総死亡および死因別死亡の関連を調べること。 【デザイン】住民対象コホート研究。 【設定】日本全国11カ所の保健所を対象としたJapan Public Health Centre-based Prospective(JPHC)前向き研究。 【参加者】45-74歳の参加者9万2915例(男性4万2750例、女性5万165例) 【曝露】5年間のアンケート調査による大豆製品、発酵大豆食品、非発酵大豆食品および豆腐の総摂取量。 【主要評価項目】住民登録および死亡診断書から取得した総死亡率および死因別死亡率(がん、心血管疾患、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患および外傷)。 【結果】追跡期間14.8年間の間に1万3303件の死亡を特定した。多変量調整モデルでは、大豆製品の総摂取量に総死亡率との有意な関連はなかった。大豆食品総摂取量の最低五分位群に対する最高五分位群のハザード比は、男性で0.98(95%CI 0.91-1.06、傾向のP=0.43)、女性で0.98(同0.89-1.08、傾向のP=0.46)であった。発酵大豆食品の摂取量に、あらゆる死因による死亡率との逆相関が見られた。最低五分位群に対する最高五分位群のハザード比:男性で0.90、0.83-0.97、傾向のP=0.05、女性で0.89、0.80-0.98、傾向のP=0.01)。納豆には、男女ともに心血管疾患による死亡率との有意な逆相関が見られた。 【結論】この研究では、発酵大豆の摂取量が多いほど死亡リスクが低くなった。しかし、大豆食品の総摂取量にあらゆる死因による死亡率との有意な関連は見られなかった。発酵大豆食品の有意な関連が残存する交絡因子が補正されていないことで弱まることが考えられるため、この結果は慎重に解釈すべきである。 第一人者の医師による解説 和食に多い発酵性大豆製品の積極的摂取 健康増進維持に重要 小久保 喜弘1)、東山 綾1)、渡邉 至1)、河面恭子2) 国立循環器病研究センター予防健診部(1)医長、2)医師) MMJ. October 2020; 16 (5):148 1995年にAndersonらは、大豆蛋白投与群(平均47g/日)での脂質値%変化量が対照群と比べて、総コレステロールで-9%、LDLコレステロール(LDL-C)で-13%、HDLコレステロールで+2%、中性脂肪で-11%であった、と臨床研究38件のメタ解析結果をN Engl J Medに報告した。  Sacksらは、2006年 Circulationに大豆の脂質異常症改善効果をまとめた。大豆以外の蛋白質摂取と比較して、イソフラボン含有大豆蛋白投与群でLDL-C値の低下がランダム化試験22件中10件、イソフラボン非含有大豆蛋白投与群でLDL-C値の低下が8件中1件、またイソフラボン単独で19件中3件の試験でみられた。日本の追跡研究で、女性の食事性イソフラボン摂取量の下位20%群(平均値11 mg/日)を基準に、上位20%群(41mg/日)での脳梗塞、心筋梗塞発症リスクがともに0.4倍で(1)、その関連性は閉経後の女性のほうが強かった。大豆蛋白は、英米で健康表示の承認を受けている。日本でも「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2017年版」に、大豆製品を多く摂取することが推奨されている。  最近の米国統合追跡研究によると(2)、イソフラボン摂取量下位20%群(平均値0.1 ~ 0.2mg /日)を基準に、上位20%群(3 ~ 4mg/日)での冠動脈疾患発症リスクが0.9倍であり、日本の平均摂取量(16 ~ 22mg /日)と比べ少量でも関連性がみられた。  今回の研究では、92,915人の男女(45 ~ 74歳)を約15年間追跡し、発酵性大豆製品摂取量が多い群(上位20%)では、少ない群(下位20%)に比べ全死亡リスクが男女とも0.9倍低く、さらに、納豆の摂取量が多いほど心血管死リスクが低かった。  大豆には蛋白質、食物繊維、イソフラボン、ミネラル、レシチンなどさまざまな成分が含まれている。中でも、イソフラボンは大豆中に配糖体として存在する。配糖体は腸内細菌で糖が切り離されてアグリコンになり腸管から吸収されるが、腸内細菌の働きに個人差がある。一方、発酵性大豆では糖が切り離されたアグリコンとして存在し、そのまま腸管から吸収される。発酵性大豆製品からのイソフラボンを多く摂った(10.4mg/日以上)正常血圧群で、正常高値血圧以上(130/85mmHg以上)の罹患リスクは0.8倍であると縦断的研究で報告されている(3)。  発酵性大豆製品はそのほかに、一部のがん、骨粗鬆症、認知症など多くの疾患で予防効果が示されている。日本でも古くから和食で発酵性大豆製品が使われているが、近年その摂取量の減少が懸念されている。塩分摂取に留意して上手に発酵性大豆製品を摂取し、健康増進に努めていただきたい。 1. Kokubo Y et al. Circulation 2007;116(22):2553-2562. 2. Ma L et al. Circulation 2020;141(14):1127-1137. 3. Nozue M et al. J Nutr 2017;147(9):1749-1756.
女性と比較した男性の心不全治療薬至適用量の特定 前向き観察コホート研究
女性と比較した男性の心不全治療薬至適用量の特定 前向き観察コホート研究
Identifying optimal doses of heart failure medications in men compared with women: a prospective, observational, cohort study Lancet. 2019 Oct 5;394(10205):1254-1263. doi: 10.1016/S0140-6736(19)31792-1. Epub 2019 Aug 22. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【背景】左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者にガイドラインが推奨するアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)およびβ遮断薬の用量は、薬剤の薬物動態に性差があることが知られているにもかかわらず、男女でほぼ同じである。著者らは、HFrEF患者に用いるACE阻害薬またはARBおよびβ遮断薬の至適用量に性差があると仮定を立てた。 【方法】欧州11カ国で実施した前向き試験BIOSTAT-CHFの事後解析を実施した。この試験は、手順従ってACE阻害薬またはARBおよびβ遮断薬の投与開始と用量漸増を推奨された心不全患者を対象としたものである。著者らは、左室駆出率が40%未満の患者のみを対象とし、試験開始3カ月以内に死亡した患者を除外した。あらゆる原因による死亡または心不全による入院までの期間の複合を主要転帰とした。男性3539例、女性961例のHFrEF患者から成る独立コホートASIAN-HFで結果を検証した。 【結果】BIOSTAT-CHFのHFrEF患者(男性1308例、女性402例)で、女性のほうが男性よりも高齢(74歳vs. 70歳、P<0.0001)、低体重(72kg vs. 85kg、P<0.0001)、低身長(162cm vs. 174cm、P<0.0001)だったが、BMIに有意な差はなかった。ほぼ同じ割合の男女でガイドラインが推奨するACE阻害薬またはARB[99例(25%)vs. 304例(23%)、P=0.61]およびβ阻害薬[57例(14%) vs. 168(13%)例、P=0.54]の目標用量に達していた。死亡または心不全による入院のハザード比が最も低かったのは、男性ではACE阻害薬またはARBおよびβ遮断薬の推奨用量100%を服用していた患者であったが、女性は推奨用量のわずか50%でリスクが約30%も低く、増量してもリスクはそれ以上低下しなかった。この性差は、年齢、体表面積などの変数で補正した後もなお認められた。ASIAN-HFレジストリでは、ACE阻害薬およびβ遮断薬いずれもほぼ同じパターンが見られ、女性は推奨用量の50%でリスクが約30%低く、増量してもそれ以上の便益は見られなかった。 【解釈】この試験から、HFrEF女性患者は男性よりもACE阻害薬またはARBおよびβ遮断薬を減量する必要があることが示唆される。これは、男性と比較した女性の真の至適薬物療法が何であるかという問題を提起するものである。 第一人者の医師による解説 男女により標準治療薬の至適用量に差があることに注意が必要 瀧本 英樹 東京大学医学部附属病院循環器内科講師 MMJ. October 2020; 16 (5):133 左室駆出率(LVEF)が低下した心不全患者に対するガイドラインに準じた治療(guideline-directed medical therapy;GDMT)では現在、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、β遮断薬を少量から導入し、性別関係なく推奨量まで漸増する。しかし、薬物の体内分布、代謝、病態には性差があり、至適用量は男女で異なる可能性が高い。  本論文はこの仮説を、欧州11カ国のBIOSTATCHF試験 の 事後解析により検証、さらにアジア11地域のASIAN-HF試験で検証した。BIOSTATCHF試験はGDMTが奏効しない要因を調べる前向き観察研究であり、2010~12年に患者登録が行われた。ACE阻害薬 /ARB、β遮断薬投与が不十分な心不全患者について、登録後3カ月間に治療薬を増量・最適化、その後6カ月間は用量を維持して評価した(追跡期間の中央値は21カ月)。対象となったLVEF 40%未満の男性1,308人と女性402人をβ遮断薬、ACE阻害薬 /ARBの推奨量到達度で4群(0%、1~49%、50~99%、100%以上)にわけて全死亡と心不全入院の複合エンドポイントを評価すると、β遮断薬、ACE阻害薬 /ARBとも女性では50~99%、男性では100%以上で最もリスクが低かった。推奨量到達度と相対リスクの関係を解析すると、β遮断薬に関して女性では推奨量の60%でリスクが最も低いU字型曲線を示し、男性では30~100%でリスクが低かった。ACE阻害薬 /ARBに関して、女性では推奨量の40%で最もリスクが低く、それ以上で低下しなかったが、男性は増量に伴ってリスクが低下し、推奨量100%で最もリスクが低くなった。  ASIAN-HF試験に登録されたLVEF40%以下の男性3,539人、女性961人を対象とした解析でもほぼ同様の結果であり、女性においてβ遮断薬は推奨量の40~50%、ACE阻害薬 /ARBは推奨量の60%で十分な相対リスク低下効果を得ることができ、それ以上でリスク低下を認めなかった。一方、男性ではβ遮断薬は推奨量100%で最も相対リスクが低く、ACE阻害薬 /ARBは推奨量50%以上でリスク低下が得られた。  すなわち、女性の心不全治療において、これら薬物は人種によらず推奨量の約半量が適切であることが示された。この機序については検討されていないが、薬物の代謝、血中濃度、副作用、病態形成の性差が考えられよう。これからは性差を考慮した医療を適切に提供することが求められている。
男性におけるテストステロン治療の有効性と安全性。米国内科学会による臨床実践ガイドラインのためのエビデンスレポート。
男性におけるテストステロン治療の有効性と安全性。米国内科学会による臨床実践ガイドラインのためのエビデンスレポート。
Efficacy and Safety of Testosterone Treatment in Men: An Evidence Report for a Clinical Practice Guideline by the American College of Physicians Ann Intern Med 2020 Jan 21;172(2):105-118. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】米国では過去20年間に成人男性におけるテストステロン治療率が上昇している。 【目的】性腺機能低下症の基礎となる器質的原因を持たない男性に対するテストステロン治療の有益性と有害性を評価する。 【データソース】複数の電子データベースの英語検索(1980年1月から2019年5月)及び系統的レビューの参考文献リスト。 【研究選択】経皮または筋肉内テストステロン療法をプラセボまたは無治療と比較評価し、事前に指定した患者中心のアウトカムを報告した6カ月以上継続した38件の無作為化対照試験(RCT)、および20件の長期観察研究、U.データ抽出】研究者1名によるデータ抽出を2名が確認し、研究者2名がバイアスのリスクを評価し、証拠の確実性は合意によって決定した。 【データ統合】研究では、年齢、症状、テストステロンの適用基準が異なる、主に高齢の男性が登録された。テストステロン療法は、効果の大きさは小さいものの、テストステロン値が低い男性の性的機能およびQOLを改善した(低~中程度の確実性を有する証拠)。テストステロン療法は、身体機能、抑うつ症状、エネルギーと活力、または認知にはほとんど影響を及ぼさなかった。試験で報告された有害性の証拠は、ほとんどの有害性アウトカムについて不十分または確実性が低いと判断された。心血管イベントまたは前立腺がんを評価するための検出力がある試験はなく、試験ではこれらの疾患のリスクが高い男性は除外されることが多かった。観察研究では、適応症および禁忌による交絡が制限された。 【Limitation】期間が1年を超える試験はほとんどなく、最小重要アウトカム差がしばしば確立または報告されず、RCTは重要な有害性を評価する検出力がなかった、18~50歳の男性におけるデータがほとんどなく、低テストステロンの定義が異なり、試験の参加基準も様々であった。【結論】性腺機能低下の原因となることが知られている医学的条件が確立されていないテストステロン値が低い高齢男性では、テストステロン療法は性的機能およびQOLにわずかな改善をもたらすかもしれないが、老化の他の一般的症状にはほとんどまたは全く有益でない。長期的な有効性と安全性は不明である [主な資金源]American College of Physicians.(プロスペロー:Crd42018096585). 第一人者の医師による解説 ARTの有用性や安全性 日本人を含めた大規模、長期的な臨床研究を期待 小川 純人 東京大学大学院医学系研究科老年病学准教授 MMJ.August 2020;16(4) 男性において、加齢による性ホルモンレベルの低下は男性更年期障害と関連し、late-onsethypogonadism(LOH)症候群として理解されている。LOH症候群の症状、徴候としては、(1)性欲と勃起の頻度や質の減退、(2)知的活動や認知機能の低下ならびに気分変調(疲労感、抑うつなど)、(3)睡眠障害、(4)筋量減少や筋力低下に伴う除脂肪体重の減少、(5)内臓脂肪の増加、(6)皮膚と体毛の変化、(7)骨量低下や骨折リスク上昇などが挙げられる。 LOH症候群では、不定愁訴で受診する場合も少なくなく、Aging Males’ Symptoms( AMS)スコアなどの質問票を通じた問診、スクリーニング、他疾患との鑑別に加えて、血中テストステロン濃度の測定をはじめとするホルモン学的検査を中心に、男性性腺機能を評価することが大切である。LOH症候群に対しては、アンドロゲン補充療法(ART)が考慮される場合も少なくないが、その前提として前立腺がん、PSA高値、うっ血性心不全などの除外基準を評価する。 本論文ではLOH男性に対するARTに関する臨床ガイドライン(米国内科医学会)の基礎となるエビデンスについて系統的レビューを行った。そこでは、65歳以上の男性にART(経皮薬または注射薬)を実施し、最低6カ月間の観察期間を有した38件のランダム化比較試験と20件の長期観察研究を対象にメタアナリシスが行われた。 その結果、全般的な性機能の改善、AMSスコアに基づくQOLの改善について、ARTにわずかな効果が認められ、その効果は経皮薬、注射薬いずれにおいてもほぼ同等であった。一方、疲労感、活力低下、身体機能低下、認知機能低下など加齢に伴う諸症状に対しては、ARTによる有意な改善効果は認められなかった。また、ARTに伴う心血管イベントや前立腺がんのリスクについては有意差など明らかな結果が得られなかった。 実臨床においてLOH症候群に対してARTを行う際には、『加齢男性性腺機能低下症候群診療の手引き(日本泌尿器科学会/日本Men’s Health医学会編)』(1)などに基づき、患者本人の意向、性機能・QOL改善の可能性、有害事象リスク、費用などを事前に十分話し合うことが大切である。また、ART開始後は前立腺特異抗原(PSA)を含む定期的な血液検査に加えて、臨床症状や治療効果を定期的にフォローアップすることが重要である。本研究を含め、これまでに行われたランダム化比較試験は患者数も少なく治療・観察期間も短いものが多い。今後、ARTの有用性や安全性について、日本人を含めた大規模かつ長期的な臨床研究が期待される。 1. 日本Men's Health 医学会:資料公開サイト http://www.mens-health.jp/wp-content/uploads/2018/08/LOHguidelines.pdf
健康的なライフスタイルとがん、心血管疾患、2型糖尿病のない寿命:プロスペクティブ・コホート研究
健康的なライフスタイルとがん、心血管疾患、2型糖尿病のない寿命:プロスペクティブ・コホート研究
Healthy lifestyle and life expectancy free of cancer, cardiovascular disease, and type 2 diabetes: prospective cohort study BMJ 2020 Jan 8;368:l6669. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【目的】健康的なライフスタイルが主要な慢性疾患のない寿命とどのように関連しているかを検討する。 【デザイン】前向きコホート研究。 【設定および参加者】Nurses’ Health Study(1980-2014、n=73 196)およびHealth Professionals Follow-Up Study(1986-2014、n=38 366)。 【主要評価項目】低リスクライフスタイル5因子:喫煙しない、ボディマス指数 18.5-24.9、中程度から活発な身体活動(≧30分/日)、適度なアルコール摂取(女性:5-15g/日、男性:5-30g/日)、高い食事の質スコア(上位40%)。 MAIN OUTCOME]Life expectancy free of diabetes, cardiovascular diseases, and cancer.(糖尿病、心血管疾患、がんに罹患しない寿命)。 【結果】50歳時点での糖尿病、心血管疾患、がんにかからない寿命は、低リスクの生活習慣を採用していない女性では23.7年(95%信頼区間22.6~24.7)であったが、4~5個の低リスク要因を採用した女性では34.4年(33.1~35.5)であった。50歳の時点で、これらの慢性疾患のいずれにもかかっていない寿命は、低リスクの生活習慣を採用していない男性では23.5年(22.3-24.7年)、4つまたは5つの低リスクの生活習慣を採用している男性では31.1年(29.5-32.5年)であった。現在喫煙している男性で喫煙量が多い人(15本/日以上)、肥満の男性・女性(肥満度30以上)では、50歳時点での無病寿命が総人生に占める割合は最も低かった(75%以下)。 【結論】人生半ばでの健康的なライフスタイルの遵守は、主要慢性疾患のない寿命の延長と関連していた。 第一人者の医師による解説 日本政府の健康寿命延伸プランの実現可能性を示唆する成果 辻 一郎 東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野教授 MMJ.August 2020;16(4) 健康寿命は「あるレベル以上の健康状態で生存する期間」と定義される。健康の定義・基準が多様であるため、さまざまな健康寿命が計算されている。日本の厚生労働省は「日常生活に制限のない期間」を健康寿命の主指標、「自分が健康であると自覚している期間」を副指標、「日常生活動作が自立している期間」を補完的指標と定義しているが、本研究は「がん・心血管疾患・2型糖尿病のいずれもない状態での生存期間」に着目している。この考えは米国の健康づくり運動“ Healthy People 2020”でも取り上げられている。 本研究の目的は、健全な生活習慣の実践により健康寿命がどの程度延伸するかについて、前向きコホート研究により解明することである。対象は、米国の女性看護師73 ,196 人(1980 年開始)、男性医療従事者38 ,366人(1986年開始)である。自記式アンケートにより、5つの健全な生活習慣(非喫煙、体格指数[BMI]18 .5 ~ 24 .9、中等度以上の身体活動を1日30分以上、適量のアルコール摂取[女性1日5~15 g、男性5 ~ 30 g]、質の高い食事摂取)の実践状況を調査した後、がん・心筋梗塞・脳卒中の発症と死亡の状況を2014年まで追跡した。多段階生命表法により、上記の生活習慣の実践数とがん・心血管疾患・2型糖尿病のいずれもない状態での平均余命との関連を解析した。 その結果、がん・心血管疾患・2型糖尿病のいずれもない状態での平均余命(50歳)は、健全な生活習慣の実践数と強く関連した。女性では、実践数ゼロの群で23.7(95%信頼区間[CI], 22.6~24.7)年に対して4つ以上の群では34.4(95%CI, 33 .1~ 35 .5)年と10 .7 年の差があった。男性でも、23 .5(95 % CI, 22 .3 ~ 24 .7)年と31.1(95%CI 29.5~32.5)年で7.6年の差があった。一方、上記3疾病のいずれかを抱えて生存する期間は、健全な生活習慣の実践数によらず、ほぼ一定であった。 本硏究は、健全な生活習慣の実践による主要3疾患(がん、心血管疾患、2型糖尿病)の発症リスク低下は発症年齢の遅れを伴うことを実証し、健康寿命が7~10年延伸する可能性を示した。日本政府は2019年に発表した「健康寿命延伸プラン」で、2040年までに健康寿命を3年以上延伸させるという目標を掲げたが、本研究はその実現可能性を示唆するものと言えよう。
活動性の関節症性乾癬患者におけるビメキズマブ:48週間の無作為化、二重盲検、プラセボ対照、用量設定の第2b相試験の結果。
活動性の関節症性乾癬患者におけるビメキズマブ:48週間の無作為化、二重盲検、プラセボ対照、用量設定の第2b相試験の結果。
Bimekizumab in patients with active psoriatic arthritis: results from a 48-week, randomised, double-blind, placebo-controlled, dose-ranging phase 2b trial Lancet 2020 Feb 8;395(10222):427-440. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】 インターロイキン17A(IL17A)とインターロイキン17F(IL17F)の二重中和は、関節症性乾癬の新規治療アプローチとなる可能性があります。BE ACTIVE試験は、チェコ共和国、ドイツ、ハンガリー、ポーランド、ロシア、米国の41施設で行われた無作為化、二重盲検、プラセボ対照、用量設定の第2b相試験で、IL17AとIL17Fを選択的に中和するモノクローナル抗体、Bimekizumabが評価されました。成人発症の活動性関節症で6カ月以上の症状がある18歳以上の適格患者さんを、プラセボ、ビメキズマブ16mg、ビメキズマブ160mg、ビメキズマブ160mgと320mgの単回ロード用量、ビメキズマブ320mgにランダムに割り付け(1:1:1:1)、4週間隔で12週間皮下投与しました。12週間後、プラセボ群およびビメキズマブ16mg群に割り付けられた患者さんは、ビメキズマブ160mgまたは320mgのいずれかにランダムに(1対1で)再割り付けされ、その他の患者さんは48週間まで最初に割り当てられた用量を継続しました。参加者と研究者の双方は、最初の12週間は治療割り付けについて盲検化され、その後はビメキズマブの投与量について盲検化されました。主要評価項目は、12週目に米国リウマチ学会の奏功基準を50%以上改善した患者の割合とし、少なくとも1回の試験治療を受け、ベースライン時に有効な主要評価項目の測定値があったすべての患者を対象に評価されました。なお、本試験は、すべてのフォローアップを含めて終了しています。本試験はClinicalTrials. gov、NCT02969525に登録されています。 【FINDINGS】2016年10月27日から2018年7月16日の間に、308人の患者がスクリーニングされ、206人がランダムに割り付けられた。プラセボ群に42名、ビメキズマブ4群に各41名が割り付けられた。12週時点で、プラセボ群と比較して、ビメキズマブ16mg群(オッズ比[OR]4-2[95%CI 1-1-15-2];p=0-032) 、ビメキズマブ160mg群(8-1[2-3-28-7];p=0-0012)、ビメキズマブ160mg(ロード用量)群でACR50反応を獲得した患者は、9-7[2-7-34-3];p=0-0004 )と有意差があった。12週時点で、プラセボ群42例中24例(57%)、ビメキズマブ群164例中68例(41%)が、治療上問題となる有害事象を報告しました。これらの有害事象の多くは軽度または中等度であった。重篤な治療上緊急の有害事象は9名に発生し、そのうち8名はビメキズマブ投与を受けていました。ビメキズマブ16mgおよび160mgの投与(320mgのローディング用量の有無にかかわらず)は、プラセボと比較してACR50を有意に改善し、安全性プロファイルも許容範囲内でした。この結果は、関節症性乾癬の治療薬としてのビメキズマブの第3相試験を支持するものである。 【資金提供】UCB Pharma. 第一人者の医師による解説 生物学的製剤の種類が増えれば 他の製剤からの変更含め治療選択肢が拡大 山本 俊幸 福島県立医科大学医学部皮膚科教授 MMJ.August 2020;16(4) 乾癬性関節炎(PsA)に対する生物学的製剤は、新しい薬剤ほど重篤な副作用が減り、投与間隔も長くなり、自己注射可能なものもある。皮膚症状の改善効果は腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬よりもインターロイキン(IL)-17やIL-23を標的とした抗体薬の方が高く、逆に重篤な関節症状への効果はTNF阻害薬の方が高いと考えられることが多かった。 欧州リウマチ学会(EULAR)ガイドラインでTNF阻害薬が第1選択になっている理由の1つは長期エビデンスの存在であるが、近年抗IL-17抗体薬でも長期エビデンスが出てきている。IL-17サブタイプ(A~ F)のうち乾癬皮疹部ではA、C、Fの発現が亢進している。IL-17 A、IL-17 FはTh17細胞以外に自然免疫担当細胞からも産生される。関節滑膜局所ではIL-17 Fの方が強く発現していると報告されている(1)。PsAの付着部炎ではIL-17が中心的な役割を果たしており、特徴的とされる骨病変(altered bone remodeling)の骨新生にも骨びらんにもIL-17が重要な役割を担っている(2)。 従来のIL-17阻害薬は主にIL-17 Aを標的としていたが、今回、IL-17 AとIL-17Fを同時に抑える抗体薬ビメキズマブのPsAに対する有効性がランダム化二重盲検プラセボ対照用量範囲設定試験で検討された。欧米6カ国41施設で成人発症の活動性PsA患者206 人がプラセボ群、実薬群(16 mg、160 mg、初回のみ320 mgローディングする160 mg、320 mg)の5 群に割り付けられ、4 週間ごとの皮下投与を12週受けた。 主要評価項目である12週時点のACR50%改善の達成率は、ビメキズマブ16mg群、160mg (ローディングあり)群のほうがプラセボ群よりも有意に高かったが、320mg群では有意差がなかった。12週時点の有害事象はプラセボ群57%、ビメキズマブ群41%に発現し、多くは軽度~中等度であった。重症な有害事象は9人に発現し、うち8人はビメキズマブ群であった。自殺念慮は1人にみられた。死亡、炎症性腸疾患、ブドウ膜炎、心血管疾患、アナフィラキシーはみられなかった。IL-17の有害事象に好中球減少症や感染症(細菌・真菌感染)があるが、IL-17 A、IL-17Fの同時抑制によってそれらのリスクが高まることはなかった。 今回高用量(320mg)群で有意な有効性がみられなかった要因として、著者らは患者集団が圧痛関節数をはじめ活動性の高い患者が多かった可能性を挙げている。生物学的製剤の種類が増えることで、他の生物学的製剤からの変更を含めた治療選択肢が広がる。今後、適正用量、長期的な持続効果、免疫原性、有害事象などを含めたさらなる検討が必要である。 1. Van Baarsen LG et al. Arthritis Res _ er. 2014;16(4):426. 2. Schett G et al. Nat Rev Rheumatol. 2017;13(12):731-741.
米国における45歳までのヒトパピローマウイルスワクチン接種の有効性と費用対効果。
米国における45歳までのヒトパピローマウイルスワクチン接種の有効性と費用対効果。
Effectiveness and Cost-Effectiveness of Human Papillomavirus Vaccination Through Age 45 Years in the United States Ann Intern Med 2020 Jan 7;172(1):22-29. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】米国では、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの定期接種年齢は11~12歳であり、女性は26歳まで、男性は21歳までキャッチアップ接種が可能である。成人女性および男性に対する9価HPVワクチンの使用に関する米国の接種方針が見直されている。 【目的】米国の現行のHPV接種プログラムを27歳から45歳の女性および22歳から45歳の男性に拡大した場合の集団レベルの追加効果と費用対効果を評価する。 【デザイン】HPV感染と関連疾患の個人ベースの感染動態モデルであるHPV-ADVISE (Agent-based Dynamic model for VaccInation and Screening Evaluation) を用い、年齢別の米国データにキャリブレーションした。 【データソース】公開データ。【対象者】米国の27歳から45歳の女性、22歳から45歳の男性【時間軸】100年【視点】ヘルスケア部門【介入】9価HPVワクチン接種【アウトカム指標】予防したHPV関連アウトカムと費用対効果比 【基本ケース分析結果】モデルは、現在の米国でのHPVワクチン接種プログラムが、HPV関連アウトカムの予防と費用対効果比率を高めると予測するものであった。米国のHPVワクチン接種プログラムは、100年間で性器いぼとグレード2または3の子宮頸部上皮内新生物の診断数をそれぞれ82%、80%、59%、39%、子宮頸がんおよび非子宮頸部HPV関連がんの症例を減らし、コスト節約(対接種なし)となることを予測する。一方,ワクチン接種を 45 歳の女性および男性に拡大すると,これらのアウトカムをそれぞれさらに 0.4,0.4,0.2,0.2 パーセントポイント減少させると予測される.30歳、40歳、45歳までの女性および男性へのワクチン接種は、得られる質調整生命年あたり、それぞれ83万ドル、184万3000ドル、147万1000ドルの費用がかかると予測される(現行のワクチン接種と比較して)。 【感度解析結果】結果は、自然免疫および感染後の進行率、過去のワクチン接種率、ワクチン効果に関する仮定に対して最も敏感であった。 【限界】26歳以降の感染によるHPV関連疾患の割合や、現行のHPVワクチン接種プログラムによる群発効果の程度については不確実である。 【結論】現行のHPVワクチン接種プログラムは費用節約になると予測される。ワクチン接種を高齢者まで拡大しても、追加的な健康上の利益は小さく、現在の推奨よりも増分費用効果比が大幅に高くなると予測される。 【Primary funding source】疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention.) 第一人者の医師による解説 各国の実情に合わせた接種年齢設定が重要 日本での接種再普及時には幅広い年齢へのキャッチアップ接種の検討必要 上田 豊 大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学講師 MMJ.August 2020;16(4) ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは2006 年にHPV-6・11・16・18 型に対する4 価ワクチン、2007年にはHPV-16・18型に対する2価ワクチンが海外で承認された。さらに、HPV-6・11・16・18・31・33・45・52・58型のHPV感染を予防する9価ワクチンが2014年に米国で承認され、現在では70を超える国・地域で承認されている。HPVワクチンにより子宮頸がんなどの減少が期待されるが、男性に多い中咽頭がんの多くもHPV感染が原因とされ、海外では男子への接種も進んでいる。男子への接種は集団免疫の観点からも意義が大きい。 性交渉が感染経路として重要であるため、初交前にワクチン接種を行うことが効果的である。米国では11 ~ 12歳の男女を標準的な接種対象としており、他の国々でも同様のプログラムが組まれている。また、その時期に接種が行われなかった場合には、米国では女性には26歳、男性には21歳までの9価ワクチンのキャッチアップ接種が承認されている。 本研究では、米国でのこれまでの接種状況などをもとにHPV-ADVISE (Agent-based Dynamic model for Vaccination and Screening Evaluation)を用いて、接種上限年齢を男女とも45歳まで引き上げることの有効性および費用対効果の予測が行われた。 現状のプログラムにより、生涯のコンジローマ、子宮頸部前がん病変(CIN2・3)、子宮頸がんおよびHPV関連がんの診断数はそれぞれ82、80、59、39%減少させられるが、接種上限年齢を男女とも45歳に引き上げることによる追加減少効果はそれぞれ0.4、0.4、0.2、0.2%分と予測された。一方、30、40、45 歳までの女性と男性へのワクチン接種には、現在のプログラムと比較して、質調整生存年(QALY)あたりそれぞれ830 ,000、1,843 ,000、1,471,000ドルのコストがかかると算出された。 これらの結果からは、HPVワクチンの接種上限年齢を45歳まで引き上げるメリットは限定的と考えられるが、本研究で行われていた感度分析においては、費用対効果がワクチンの接種率や有効性に大きく依存することも示されている。日本ではHPVワクチンは積極的勧奨の差し控えにより、事実上停止状態となっており、9価ワクチンや男子への接種も承認されていない(執筆時点)。日本におけるHPVワクチン再普及時には対象年齢への接種に加え、幅広い年齢へのキャッチアップ接種についても検討する必要があるものと考えられる。
人工膝関節置換術を受ける患者の静脈血栓塞栓症予防におけるオソシマブの効果。FOXTROT Randomized Clinical Trial(無作為化臨床試験)。
人工膝関節置換術を受ける患者の静脈血栓塞栓症予防におけるオソシマブの効果。FOXTROT Randomized Clinical Trial(無作為化臨床試験)。
Effect of Osocimab in Preventing Venous Thromboembolism Among Patients Undergoing Knee Arthroplasty: The FOXTROT Randomized Clinical Trial JAMA 2020 Jan 14;323(2):130-139 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【重要性】血栓予防に対する第XIa因子阻害の有効性は不明です。オソシマブは、第XIa因子を阻害する長時間作用型の完全ヒトモノクローナル抗体です。 【目的】膝関節形成術を受けた患者の血栓予防のために、エノキサパリンおよびアピキサバンと異なる用量のオソシマブを比較する。 【設計、設定、および参加者】無作為化、非盲検-13か国の54の病院で実施された、オソシマブ投与量を盲検化するオブザーバーによるラベル、裁定者盲検、第2相非劣性試験。片側膝関節形成術を受けている成人患者は、2017年10月から2018年8月まで無作為化され、2019年1月まで追跡調査されました。 1.2 mg / kg(n = 108)、または1.8 mg / kg(n = 106); 0.3 mg / kg(n = 109)または1.8 mg / kg(n = 108)の術前投与量。または、40 mgの皮下エノキサパリンを1日1回(n = 105)または2.5 mgの経口アピキサバンを1日2回(n = 105)、少なくとも10日間または静脈造影まで。および術後13日(手術後10-13日で実施された強制的な両側静脈造影または症候性深部静脈血栓症または肺塞栓症の確認により評価)。エノキサパリンと比較して5%の非劣性マージンが選択されました。主要または臨床的に関連する非主要出血の主要な安全性の結果は、術後10-13日まで評価されました。および74.2%の女性)、600人が一次分析に使用されたプロトコルごとの母集団に含まれていました。主な転帰は、0.3 mg / kgを投与された18人の患者(23.7%)、0.6 mg / kgを投与された8人(15.7%)、1.2 mg / kgを投与された13人(16.5%)、および1.8 mg / kgを投与された14人(17.9%)で発生しました。術後のオソシマブの; 23(29.9%)は0.3 mg / kgを投与され、9(11.3%)は術前に1.8 mg/kgのオソシマブを投与されました。エノキサパリンを投与された20人(26.3%)。そして12人(14.5%)がアピキサバンを投与されました。術後に投与されたオソシマブは、0.6 mg / kgの用量で10.6%(95%CI、-1.2%から∞)のリスク差(片側95%CI)で、エノキサパリンと比較して非劣性の基準を満たしました。 1.2 mg / kgの用量で9.9%(95%CI、-0.9%から∞)、1.8 mg / kgの用量で8.4%(95%CI、-2.6から∞)。 1.8mg / kgのオソシマブの術前投与量は、15.1%のリスク差でエノキサパリンと比較して優越性の基準を満たしていました。両面90%CI、4.9%から25.2%)。 0.3 mg / kgのオソシマブの術後および術前用量は、2.6%(95%CI、-8.9%から∞)および-3.6%(95%CI)のリスク差(片側95%CI)で、非劣性の事前に指定された基準を満たしていませんでした。それぞれ95%CI、-15.5%から∞)。主要または臨床的に関連する非主要な出血は、オソシマブを投与された患者の最大4.7%、エノキサパリンを投与された患者の5.9%、アピキサバンを投与された患者の2%で観察されました。 kg、および1.8 mg / kgは、エノキサパリンと比較して非劣性の基準を満たし、術前1.8 mg / kg用量のオソシマブは、術後10-13日での静脈血栓塞栓症の発生の主要転帰についてエノキサパリンと比較して優位性の基準を満たしました。標準的な血栓予防と比較したオソシマブの有効性と安全性を確立するには、さらなる研究が必要です。 【臨床試験登録】 ClinicalTrials. gov識別子:NCT03276143。 第一人者の医師による解説 出血の際のリバース困難な可能性 実用化には研究必要 桂川 陽三 国立国際医療研究センター病院整形外科診療科長 MMJ.August 2020;16(4) 人工膝関節置換術後の静脈血栓塞栓症(VTE)は比較的起こりやすい合併症である。日本整形外科学会のVTE予防ガイドラインでは高リスク合併症とされ、予防のために弾性ストッキングや間欠的空気圧迫法、抗凝固薬が推奨される。ワルファリン、アスピリン、ヘパリン、直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)など従来の抗凝固薬は、効きすぎるとコントロール困難な出血を来すこともあるため、血栓予防効果と安全性、価格のバランスが重要となる。 第XI因子は内因系経路の要であり、その活性化を阻害することで、止血に影響を与えずに血栓形成を抑制できる可能性がある。オソシマブ(osocimab)は、初めての第XIa因子を阻害する長時間作用型ヒトモノクローナル抗体である。静注後1~ 4時間で最高血中濃度に達し、半減期は30~44日である。今回報告された国際多施設共同無作為化第2 相FOXTROT試験では、片側人工膝関節置換術を受ける患者813人をオソシマブ群、エノキサパリン群、またはアピキサバン群に割り付け、VTE予防効果と安全性を検討した。 オソシマブは術後に単回(0.3、0.6、1.2、1.8mg/kg)、または術前に単回(0.3、1.8mg/kg)静注された。一方、エノキサパリンは周術期から40mgを1日1回、10日間以上皮下注、アピキサバンは術後から2.5mgを1日2回、10日間以上経口投与された。主要評価項目は術後10~13日間におけるVTE発生(評価対象600人)、安全性評価項目は同時期の臨床的に問題となる出血とした。 VTE発生に関して、術後投与のオソシマブ0.6、1.2、1.8mg/kg群および術前投与1.8 mg/kg群はエノキサパリンに対して非劣性であり、術前投与のオソシマブ1.8mg/kgはエノキサパリンに対して優越性を示した(リスク差, 15.1%)。臨床的に問題となる出血の発生率は、エノキサパリン群5.9%、アピキサバン群2%に対して、オソシマブ群では最大4.7%(術前1.8 mg/kg群)であった。効果、安全性ともオソシマブは0.6mg / kg以上の用量でエノキサパリンと同等またはやや優れていたが、アピキサバンには及ばなかった。 日本の約10倍の手術件数が施行されている米国では、薬価が重視されることもあり、アスピリン服用が標準となっている。日本の臨床の現場では、エノキサパリンは1日2回、毎日の皮下注であるのに対し、単回静注のオソシマブは医療者と患者の負担軽減という面ではプラスであるが、出血事象が生じた際のリバースが困難となる可能性があり、薬価も含めて、実用化にはさらなる研究が必要であろう。
2型糖尿病患者におけるSodium-Glucose Cotransporter-2阻害剤による痛風リスクの評価。人口ベースのコホート研究。
2型糖尿病患者におけるSodium-Glucose Cotransporter-2阻害剤による痛風リスクの評価。人口ベースのコホート研究。
Assessing the Risk for Gout With Sodium-Glucose Cotransporter-2 Inhibitors in Patients With Type 2 Diabetes: A Population-Based Cohort Study Ann Intern Med 2020 Feb 4;172(3):186-194. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】高尿酸血症は2型糖尿病患者に多く、痛風の原因となることが知られています。ナトリウム・グルコース共輸送体-2(SGLT2)阻害剤は、グルコースの再吸収を防ぎ、血清尿酸値を下げる。 【目的】SGLT2阻害剤を処方された成人とグルカゴン様ペプチド-1(GLP1)受容体作動薬を処方された成人の痛風の発生率を比較することである。 【デザイン】人口ベースの新規使用者コホート研究 【設定】2013年3月から2017年12月の米国全国規模の商業保険データベース [患者]SGLT2阻害剤を新たに処方された2型糖尿病患者とGLP1アゴニストを新たに処方された患者と1対1の傾向スコアマッチングを実施した。痛風の既往がある、または以前に痛風特異的な治療を受けていた人は除外した。 【測定】主要アウトカムは、痛風の新規診断であった。Cox比例ハザード回帰を用いて主要アウトカムのハザード比(HR)と95%CIを推定した。 【結果】本研究では、SGLT2阻害薬またはGLP1作動薬を新たに処方された2型糖尿病の成人295907人が同定された。痛風発症率は、SGLT2阻害薬を処方された患者(1000人年あたり4.9件)がGLP1作動薬を処方された患者(1000人年あたり7.8件)よりも低く、HRは0.64(95%CI、0.57~0.72)、率の差は-2.9(CI、-3.6~-2.1)となっていた。限界】未測定の交絡、データの欠損(すなわち検査データの不完全さ)、痛風のベースラインリスクが低い。 【結論】SGLT2阻害剤を処方された2型糖尿病成人は、GLP1アゴニストを処方された成人と比較して痛風の割合が低いことが示された。ナトリウム・グルコース共輸送体-2阻害剤は、成人の2型糖尿病患者の痛風リスクを低減する可能性があるが、この観察を確認するためには今後の研究が必要である。 【Primary funding source】Brigham and Women’s Hospital. 第一人者の医師による解説 糖尿病患者の痛風リスク低下 臨床的意味の議論必要 山中 寿 山王メディカルセンター院長 MMJ.August 2020;16(4) 本論文は、糖尿病治療薬であるナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬が痛風関節炎を減らすかどうかを検討したコホート研究の報告である。全米民間保険データベースを用い、18 歳以上の痛風の既往のない2型糖尿病患者で、新たにSGLT2阻害薬とグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬を処方された295,907人を対象とした。 平均年齢は54歳、52%が女性、3分の2に高血圧合併、約4分の1がインスリン治療を受けていた。ベースラインの調整には傾向スコアマッチングが用いられた。1年間の痛風関節炎の頻度は、SGLT2阻害薬を処方された患者で4.9 / 1,000人・年、GLP-1受容体作動薬を処方された患者で7.8 /1,000人・年、この差はハザード比で0.64(95% CI, 0.57~0.72)に相当し、SGLT2 阻害薬の方が痛風発症が少なかった。 SGLT2阻害薬に血清尿酸値を低下する作用があることは以前から知られている。機序としては、SGLT2阻害薬が、同じく尿細管にあって尿酸を再吸収する尿酸輸送体URAT1を阻害して尿酸排泄を促すためと考えられる(1)。しかし、血清尿酸値を低下させることが痛風を減少させるかどうかはわからないために、今回の研究が行われた。骨密度を上昇させることが骨折の頻度を低下させるかどうか、と同じ種類のClinical Questionである。 本研究では、仮説どおりの結果が証明された。ただし、本研究は保険データベースを用いた検討であるので、臨床検査値のデータはなく、血清尿酸値が低下した結果として痛風が減ったかどうかはわからない。また、一般に糖尿病患者の血清尿酸値は低いことが知られており、痛風発症のリスクも低い。糖尿病患者の尿酸値を低下させることが、どのような臨床的意味があるかは議論されなければならない問題である。 なお、本論文中に高尿酸血症治療薬のフェブキソスタットはアロプリノールよりも心血管死のリスクが高いというCARES試験(2)の結果が紹介されているが、この臨床試験の評価に関しては意見が分かれており、否定的な意見の方が説得力がある(3)。読者に認識していただければ幸いである。 1. Nespoux J et al. Curr Opin Nephrol Hypertens. 2020;29(2):190-198. 2. Becker MA et al. N Engl J Med. 2005;353(23):2450-2461. 3. Choi H et al. Arthritis Rheumatol. 2018;70(11):1702-1709.
米国における人種・民族別の糖尿病有病率(2011年~2016年)。
米国における人種・民族別の糖尿病有病率(2011年~2016年)。
Prevalence of Diabetes by Race and Ethnicity in the United States, 2011-2016 JAMA 2019 Dec 24;322(24):2389-2398. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【重要】米国におけるヒスパニック系及びアジア系アメリカ人亜集団の糖尿病有病率は不明である。 【目的】米国の20歳以上の成人における糖尿病有病率の人種・民族差を主要な人種・民族グループ別及び選択したヒスパニック及び非ヒスパニック系アジア人亜集団別に推定する。 【デザイン・設定・参加者】National Health and Nutrition Examination Surveys,2011~2016年、非施設化民間、米国人集団を代表する横断的サンプルである。サンプルは、面接時に自己申告で糖尿病と診断された者、またはヘモグロビンA1c(HbA1c)、空腹時血糖値(FPG)、2時間血糖値(2hPG)を測定した20歳以上の成人であった。 【曝露】人種/民族群:非ヒスパニック系白人、非ヒスパニック系黒人、ヒスパニック系およびヒスパニック系サブグループ(メキシコ、プエルトリコ、キューバ/ドミニカ、中央アメリカ、南アメリカ)、非ヒスパニック系アジア人および非ヒスパニック系アジア人サブグループ(東、南、東南アジア)、非ヒスパニック系その他、診断済み糖尿病は自己報告の事前診断によるものであった。未診断の糖尿病は、糖尿病と診断されていない参加者のHbA1c 6.5%以上、FPG 126mg/dL以上、または2hPG 200mg/dL以上と定義された。 【結果】調査対象は米国の成人7575人(平均年齢47.5歳,女性52%,非ヒスパニック系白人2866人[65%],非ヒスパニック系黒人1636人[11%],ヒスパニック1952人[15%],非ヒスパニック系アジア人909人[6%],非ヒスパニック系その他212人[3%])であった。合計2266人が糖尿病と診断され、377人が糖尿病と診断されていなかった。年齢と性別で調整した糖尿病有病率は,非ヒスパニック系白人で 12.1%(95% CI,11.0%-13.4%), 非ヒスパニック系黒人で 20.4%(95% CI,18.8%-22.1%), ヒスパニック系で 22.1%(95% CI,19.6%-24.7%), 非ヒスパニック系アジア人で 19.1%(95% CI,16.0%-22.1%) となった(全体 P < 0.001) .ヒスパニック系成人では,糖尿病全体の有病率は,メキシコ人で 24.6%(95% CI,21.6%-27.6%), プエルトリコ人で 21.7%(95% CI,14.6%-28.8%), キューバ/ドミニカ人で 20.5%(95% CI,13.7%-27.3%), 中米人で 19.3%(95% CI,12.4%-26.1%), 南米人で 12.3%(95% CI, 8.5%-16.2%) となっていた(全体での P < .001).非ヒスパニック系アジア人の成人では,糖尿病全体の有病率は,東アジア人で 14.0%(95% CI,9.5%-18.4%), 南アジア人で 23.3%(95% CI,15.6%-30.9%), 東南アジアのサブグループで 22.4%(95% CI,15.9%-28.9%) であった(全体の P = .02).診断されていない糖尿病の有病率は、非ヒスパニック系白人で3.9%(95%CI、3.0%-4.8%)、非ヒスパニック系黒人で5.2%(95%CI、3.9%-6.4%)、ヒスパニックで7.5%(95%CI、5.9%-9.1%)、非ヒスパニック系アジアの成人で7.5%(95%CI、4.9%-10.0%)だった(全体でのP < .001). 【結論と関連性】2011年から2016年の米国の成人を対象としたこの全国代表的な調査において,糖尿病および診断されていない糖尿病の有病率は,人種/民族によって,またヒスパニックおよび非ヒスパニック・アジア人集団内で特定されるサブグループによって異なっていた。 第一人者の医師による解説 至近データでの推算 糖尿病予防対策に有意義 原井 望、森 保道(部長)虎の門病院内分泌代謝科 MMJ.August 2020;16(4) 米国における成人の糖尿病患者数は2018年時点で約3400万人(成人の13%)にのぼる(1) 。現在、米国ではヒスパニック(H)系とアジア(A)系の人口が23%を占め、増加傾向にある。世界的にH系、A系の糖尿病有病率はヨーロッパ系・アフリカ系よりも高いとされ、同有病率の違いが生じる要因として、遺伝的・後成的因子、生活因子、環境因子などが指摘されている。 本論文は、米国における人種間での糖尿病有病率を比較するために、H系とA系の調査が重点化された2011~16年の米国民健康栄養調査(NHANES)をもとに、20歳以上の米国成人7 ,575人(平均年齢47 .5 歳、女性51.9%)を対象に実施された横断的研究の報告である。 人種構成は、①非H系白人2 ,866人、②非H系黒人1,636人、③ H系(メキシコ、プエルトリコ、キューバ/ドミニカ、中央アメリカ、南アメリカ)1.952人、④ A系(東アジア、南アジア、東南アジア)909人、⑤その他212人であった。NHANES統計解析ガイドライン(2)に基づき母集団を推算した米国成人の糖尿病有病率は14 .6%であった。さらに年齢と性別で調整した人種別の糖尿病有病率はそれぞれ①12.1%、②20.4%、③22.1%、④19.1%、⑤18.5%であり、米国成人の糖尿病有病率は人種間で有意差が認められた。各人種内でも出身由来地による差があり、H系の中ではメキシコ系の有病率が24 .6%と最も高率で、一方A系では中国、日本、韓国の東アジア由来が14.0%と最も低率という結果になった。 既報では、糖尿病有病率上昇の関連因子として肥満や低~中所得者が挙げられている(3) 。本論文では、人種間における教育や体格指数(BMI)の違いについても比較検討している。高校以上の教育を受けた割合は、A系が73 .9%で最も高く、H系は40 .3%で最も低かった。一方BMIに関しては、A系はBMI 24 .4と他の人種(BMI, 29.1 ~ 30.6)と比較し低値であった。BMIによる調整を追加した人種別の糖尿病有病率はそれぞれ①11.9%、②18.4%、③20.3%、④27.0%、⑤17.7%となり、A系が最も高かった。アジア人は欧米人と比較し、インスリン分泌能が低く、軽度のBMI上昇でも糖尿病になりやすいといわれており、本論文でもそれを裏付ける結果となった。 今後の米国での糖尿病予防対策を考慮するうえで、至近のデータをもとに人種ごとの糖尿病有病率が推算されたことは意義深い。なお、本研究の限界として、横断的研究であり因果関係の推測が困難であること、糖尿病の病型が不明であること、人種区分が自己申告に基づくことなどが挙げられる。 1. National Diabetes Statistics Report 2020 (https://bit.ly/2WImXwq) 2. NHANES Survey Methods and Analytic Guidelines, 2011-2014 and 2015- 2016. CDC website. (https://bit.ly/2LyLWMe) 3. World Health Organization: Global report on diabetes 2016 (https://bit. ly/2TcQnQP)
ロシグリタゾンと心血管リスクに関する知見の共有による更新:個人患者および要約レベルのメタアナリシス。
ロシグリタゾンと心血管リスクに関する知見の共有による更新:個人患者および要約レベルのメタアナリシス。
Updating insights into rosiglitazone and cardiovascular risk through shared data: individual patient and summary level meta-analyses BMJ 2020 Feb 5;368:l7078. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【目的】3つの目的を念頭に置いて、複数のデータソースとさまざまな分析アプローチを使用して、ロシグリタゾン治療が心血管リスクと死亡率に及ぼす影響の系統的レビューとメタアナリシスを実施する。ロシグリタゾンの心血管リスクに関する不確実性を明らかにする。異なる分析アプローチが有害事象メタアナリシスの結論を変える可能性があるかどうかを判断するため。臨床試験の透明性とデータ共有を促進するための取り組みを通知します。 【デザイン】ランダム化比較試験の体系的なレビューとメタアナリシス。 【データソース】GlaxoSmithKline(GSK)のClinicalStudyDataRequest .com(個々の患者レベルのデータ(IPD)およびGSKの研究登録)プラットフォーム、MEDLINE、PubMed、Embase、Web of Science、Cochrane Central Registry of Controlled Trials、Scopus、ClinicalTrials. govの開始から2019年1月までの要約レベルのデータ。 【研究を選択するための適格性基準】ランダム化、管理、フェーズII-IV成人を対象に、ロシグリタゾンと任意の対照を少なくとも24週間比較した臨床試験。 【データ抽出と合成】IPDが利用可能な試験の分析では、急性心筋梗塞、心不全、心血管関連死、および非心血管関連の死亡を調べた。これらの4つのイベントは、二次分析として個別に調査されました。 IPDが利用できなかった試験を含む分析では、要約レベルのデータから決定された心筋梗塞と心血管関連の死亡が調査されました。 2つの異なる連続性補正(0.5定数および治療群)を使用して片方または両方のアームでイベントがゼロの試験を考慮した複数のメタアナリシスを実施し、95%信頼区間でオッズ比とリスク比を計算しました。 【結果】33件の適格な試験はIPDが利用可能であったClinicalStudyDataRequest.comから特定されました(21,156人の患者)。さらに、IPDが利用できなかった103件の試験が心筋梗塞のメタアナリシスに含まれ(23 683人の患者)、IPDが利用できなかった103件の試験が心血管関連死のメタアナリシスに貢献しました(22,772人の患者) 。 IPDが利用可能でGSKの要約レベルデータを使用した以前のメタアナリシスに含まれていた29の試験のうち、26の試験の要約レベルデータの代わりにIPDを使用することで、より多くの心筋梗塞イベントが特定され、5つの試験で心血管関連の死亡が減少しました。分析がIPDが利用可能な試験に限定され、0.5の一定の連続性補正とランダム効果モデルを使用して、片方の腕のみでイベントがゼロの試験を説明した場合、ロシグリタゾンで治療された患者のリスクは33%増加しました。コントロールと比較した複合イベント(オッズ比1.33、95%信頼区間1.09-1.61;ロシグリタゾン母集団:11 837人の患者で274イベント、コントロール母集団:9319人の患者で219イベント)。心筋梗塞、心不全、心血管関連死、および非心血管関連死のオッズ比は、1.17(0.92-1.51)、1.54(1.14-2.09)、1.15(0.55-2.41)、および1.18(0.60-2.30)でした。それぞれ。 IPDが利用できなかった試験を含む分析では、心筋梗塞と心血管関連死のオッズ比が減衰しました(それぞれ、1.09、0.88から1.35、および1.12、0.72から1.74)。両腕でイベントがゼロの試験を使用して分析を繰り返し、2つの連続性補正のいずれかを使用した場合、結果はほぼ一貫していました。 【結論】結果は、ロシグリタゾンが特に心不全イベントの心血管リスクの増加と関連していることを示唆しています。分析全体で心筋梗塞のリスクの増加が観察されましたが、IPDに加えて要約レベルのデータを使用した場合、エビデンスの強さはさまざまであり、効果の推定値は減衰しました。 IPDでは、要約レベルのデータよりも心筋梗塞が多く、心血管関連の死亡が少ないことが報告されているため、安全性に焦点を当てたメタアナリシスを実施する場合は、IPDの共有が必要になる可能性があります。[システマティックレビュー登録]OSFホームhttps://osf.io/ 4yvp2/。 第一人者の医師による解説 メタアナリシスでも結果は一定せず 安全性に関する議論は続く 笹子 敬洋 東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科助教 MMJ.August 2020;16(4) チアゾリジン誘導体の一種であるロシグリタゾンは、1999年に糖尿病治療薬として米食品医薬品局(FDA)による承認を受けた。しかし2007年に、心筋梗塞や心血管死を増加させるとのメタアナリシスが発表され(1)、これはFDAが糖尿病治療薬に対して、ランダム化比較試験(RCT)による心血管リスクの評価を義務づける契機ともなった。このメタアナリシスは42件の臨床試験に登録された患者計27,847人を対象としており、ロシグリタゾン投与によって心筋梗塞のリスクが有意に上昇し、心血管死のリスクも上昇傾向にあった。 今回BMJ誌に発表されたメタアナリシスは、当時と異なり個々の患者のデータ(individualpatient-level data;IPD)が参照可能な臨床試験33件の患者21,156人を対象とした。 その結果、ロシグリタゾン投与によって複合エンドポイント(急性心筋梗塞、心不全、心血管死、非心血管死)の有意なリスク上昇を認めたものの、内訳としては心不全のみが有意で、心筋梗塞、心血管死、非心血管死は有意でなかった。またIPDが参照できない試験103件の23,683人の解析などもなされたが、結果は同様であった。 本研究における観察期間の中央値は24 週で、2007年のメタアナリシスの26週とほぼ同等であり、より長期的な安全性を示すには至らなかった。また脳卒中は、特にアジア人における心血管イベントとして重要であるが、2007年のメタアナリシスと同様、その評価はなされていない。 本論文とほぼ同時期に、さまざまな糖尿病治療薬に関して複数のメタアナリシスをまとめた包括的レビュー(umbrella review)の結果が報告されている(2)。このレビューではロシグリタゾン投与により、心筋梗塞と心不全のリスクは有意に上昇したが、脳卒中と心血管死のリスクはいずれも明らかな上昇を示さなかった。このように薬剤が心血管イベントに及ぼす影響は、メタアナリシスといえども結果は一定せず、その評価の難しさを物語っているとも言えよう。 なお先述の包括的レビューにおいては、日本で処方可能なチアゾリジン誘導体であるピオグリタゾンが、心不全を増やす一方、心筋梗塞や脳卒中を減らすことが報告されている2。またFDAは2020年に入り、糖尿病治療薬に対してRCTを一律には求めないとするガイダンスの改訂案を発表していることも留意されたい。 1. Nissen SE et al. N Engl J Med. 2007;356(24):2457-2471. 2. Zhu J et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2020;8(3):192-205.
慢性不眠症障害と閉塞性睡眠時無呼吸症候群の管理について。2019年米国退役軍人省および米国国防総省の臨床実践ガイドラインのあらすじ。
慢性不眠症障害と閉塞性睡眠時無呼吸症候群の管理について。2019年米国退役軍人省および米国国防総省の臨床実践ガイドラインのあらすじ。
The Management of Chronic Insomnia Disorder and Obstructive Sleep Apnea: Synopsis of the 2019 U.S. Department of Veterans Affairs and U.S. Department of Defense Clinical Practice Guidelines Ann Intern Med 2020 Mar 3;172(5):325-336. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【説明】2019年9月、米国退役軍人省(VA)と米国国防総省(DoD)は、慢性不眠症障害と閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の患者を評価・管理するための新しい共同臨床診療ガイドラインを承認した。このガイドラインは、医療チームに、これらの疾患のいずれかを有するVAおよびDoD患者の個々のニーズや嗜好をスクリーニング、評価、治療、管理するための枠組みを与えることを目的としている。 【方法】2017年10月、VA/DoD Evidence-Based Practice Work Groupは、臨床関係者を含み、信頼できる臨床実践ガイドラインのためのInstitute of Medicineの10etsに準拠したVA/DoD合同ガイドライン作成作業を開始した。ガイドラインパネルは、キー・クエスチョンを設定し、体系的に文献を検索・評価し、1ページのアルゴリズムを3つ作成し、GRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)システムを用いて41の推奨事項を進めた。 [推奨事項]本シノプシスは、OSAと慢性不眠症の診断と評価、OSAの治療と管理、慢性不眠症の治療と管理の3つの分野におけるガイドラインの主要な推奨事項をまとめたものである。また、3つの臨床実践アルゴリズムも掲載しています。 第一人者の医師による解説 長期的な心血管系合併症抑制について 患者の納得を得る必要 巽 浩一郎 千葉大学真菌医学研究センター 呼吸器生体制御学研究部門特任教授 MMJ.August 2020;16(4) 睡眠呼吸障害(SDB)を内科的視点から評価・治療してきた医師向けの解説になることを最初にお断りしておく。今回発表された米国の診療ガイドラインは診療担当医のみでなく医療チーム構成員のために作成されたものだ。日本では、「眠れない」は心療内科専門医、「眠くて日常生活に支障がある」は睡眠時無呼吸疑いで呼吸器内科医・耳鼻科医の中で睡眠医療に従事している医師への受診が一般的である。しかし、不眠・傾眠を含めたSDBに関係する症状は混在していることもあり、これらを全体としてどのように捉えるべきかの基本的考え方が本ガイドラインでは以下のように解説されている。 不眠などの精神症状を主に訴える患者に対して、ベンゾジアゼピン系薬剤による薬物療法は簡便であるが推奨されていない。心の健康を害している患者は、現実の世界での心の悩みを適切に認知できなくなっている。つらいと感じていることからの逃避が起きている。認知行動療法は、心の悩みを自分自身で適切に認知できるような手助けをする、そしてどのような思考をするとより心が楽になれるかの手助けをする治療法である。 筆者は、閉塞型睡眠時無呼吸により眠気を感じている、無呼吸を放置したために脳血管障害などの心血管系合併症を比較的若年で起こした患者に遭遇することがある。本ガイドラインでは、閉塞性無呼吸に対する持続陽圧呼吸療法(CPAP)の有用性は確立されており、適応例にはまず試みるべき治療であると述べている。 しかし、CPAPはマスク装着が困難、鼻閉が生じる、口が渇く、睡眠中に覚醒してしまうなどさまざまの有害事象が生じうる。CPAPアドヒアランスを向上させるために、教育的指導が必要になる場合もある。CPAPは無呼吸低呼吸指数(AHI)を低下させる効果がある。しかし眠気の改善が得られない、血圧の値が下がらない(筆者は脳血管障害イベント抑制に役立てば問題なしと考える)、生活の質(QOL)が改善しない場合もある。それでもCPAP治療を継続すべきが基本的な考え方である。長期的に心血管系合併症を抑制する可能性が高いという利点を患者に納得していただく必要がある。 AHI≧15の中等症以上の無呼吸患者で、明らかな眠気がない場合、CPAPを開始して初めて自覚症状の改善に気づく場合もある。CPAP継続が困難な場合、マウスピース作成という手がある。AHI低下効果はCPAPほどではないが、自覚症状など十分な効果が期待できる。筆者の経験から、マウスピースの最大の問題点は自歯がないと作成が困難なことであり、高齢者では作成できない場合もある。
2017年の集中治療室患者における感染症の有病率および転帰。
2017年の集中治療室患者における感染症の有病率および転帰。
Prevalence and Outcomes of Infection Among Patients in Intensive Care Units in 2017 JAMA 2020 Apr 21;323(15):1478-1487. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【重要性】集中治療室(ICU)の患者では、感染が頻繁に発生している。)感染の種類、原因病原体、転帰に関する最新の情報は、予防、診断、治療、資源配分の政策立案に役立ち、介入研究のデザインに役立つ可能性がある。 【目的】世界のICUにおける感染の流行と転帰、利用可能な資源に関する情報を提供する。 【デザイン、設定、参加者】88か国1150施設での縦断追跡調査付き24時間点有病率調査。2017年9月13日08:00から始まる24時間の間に参加ICUで治療を受けたすべての成人患者(18歳以上)を対象とした。最終フォローアップ日は2017年11月13日。 【曝露】感染症診断および抗生物質の受領。 【主要アウトカムおよび測定】感染症と抗生物質曝露の有病率(横断的デザイン)および全原因院内死亡(経時的デザイン)。 【結果】対象患者15202例(平均年齢61.1歳[SD、17.3歳]、男性9181例[60.4%])において、感染症データが得られたのは15165例(99.8%)で、8135例(54%)が感染症の疑いまたは証明、そのうちICU感染症の1760例(22%)であった。合計10 640人(70%)の患者が少なくとも1種類の抗生物質を投与された。感染が疑われるまたは証明された患者の割合は,オーストラレーシアの43%(141/328)からアジアおよび中東の60%(1892/3150)であった.感染が疑われたまたは証明された8135人の患者のうち,5259人(65%)が少なくとも1つの微生物学的培養が陽性であった。これらの患者の67%(n=3540)でグラム陰性微生物が,37%(n=1946)でグラム陽性微生物が,16%(n=864)で真菌性微生物が同定された。感染が疑われる,あるいは感染が証明された患者の院内死亡率は30%(2404/7936)であった.マルチレベル解析では,ICU 内感染は市中感染と比較して高い死亡リスクと独立して関連していた(オッズ比 [OR], 1.32 [95% CI, 1.10-1.60]; P = 0.003).抗生物質耐性微生物のうち,バンコマイシン耐性腸球菌(OR,2.41 [95% CI,1.43-4.06]; P = .001),第3世代セファロスポリンおよびカルバペネム系抗生物質を含むβラクタム系抗生物質に耐性を示すクレブシエラ(OR,1.29 [95% CI,1.02-1.63]; P = .03)またはカルバペネム耐性アシネトバクター種への感染(OR,1.40 [95% CI, 1.08-1.81]; P = .01)は、他の微生物による感染と比較して、死亡リスクの高さと独立して関連していた。 【結論と関連性】2017年9月にICUに入院した世界中の患者のサンプルにおいて、感染の疑いまたは証明がある割合は高く、院内死亡のかなりのリスクを伴うものであった。 第一人者の医師による解説 88カ国、1 ,150施設での自発調査 患者背景などに差 解釈には考慮必要 萬 知子 杏林大学医学部麻酔科学教室主任教授 MMJ.August 2020;16(4) 本論文は、世界の集中治療室(ICU)における感染率観察調査研究の報告である。2017年9月13日午前8時から24時間の調査を、88カ国、1,150施設で行った。総患者数15,202人の感染率は54%であった。地域別では、最も低いオーストラリアの43%から、最も高いアジア・中東の60%までと幅があった。国民総所得別のICU患者感染率は、低~下位中所得国58%、上位中所得国59%、高所得国50%であった。 感染のうち市中感染は44 %、病院関連感染は35%、ICU関連感染は22%であった。感染部位は気道60%、腹腔18%、血液(血流感染)15%であった。抗菌薬投与の実施率は70%(予防的28%、治療目的51%)であった。 検体培養陽性率は65%で、検出菌はグラム陰性菌67%、グラム陽性菌37%、真菌16%であった。市中感染の57 %、病院関連感染の71%、ICU関連感染の78%からグラム陰性菌が分離され、その内訳はクレブジエラ属27 %、大腸菌 25 %、緑膿菌属24%、アシネトバクター属17%であった。グラム陽性菌陽性患者の割合は、市中感染42%、病院関連感染37%、ICU関連感染31%であった。感染の危険因子は、男性、合併症(慢性閉塞性肺疾患、がん、糖尿病、慢性腎不全、HIV、免疫抑制)、調査日前のICU長期滞在であった。感染率は各国内の病院間でバラツキが有意に大きかった。 感染者の院内死亡率は30 %であった。院内死亡の危険因子は、ICU関連感染(対市中)、高齢、Simplified Acute Physiological Score II高値、転移がん、心不全(NYHA III ~ IV)、HIV感染、肝硬変、人工呼吸、腎代替療法、院内急変(対術後)であった。薬剤耐性菌のみに限ると、バンコマイシン耐性腸球菌、広域(第3世代セフェム、カルバペネムを含む)βラクタマーゼ産生クレブジエラ属、カルバペネム耐性アシネトバクター属が独立した院内死亡の危険因子であった。したがって、抗菌薬の適正使用監視が重要である。 本研究の限界は、自発参加のため世界のICUを網羅していないことである。大多数の参加施設は欧州、中国、南米であり、低~下位中所得国の施設は全体の6%のみである。地域により、患者背景、疾患、医療体制、ICU入室基準、医療資源、看護師数、感染防御対策、抗菌薬適正使用監視体制などに差があった。感染に対するこれらの影響は本研究では明らかでないが、調査結果の解釈にはこれらの要素を考慮する必要はあろう。
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