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CAR-T細胞療法後の再発多発性骨髄腫に対する二重特異性抗体、その有効性は
CAR-T細胞療法後の再発多発性骨髄腫に対する二重特異性抗体、その有効性は
公開日:2025年1月10日 Merz M, et al. Blood Cancer J. 2024; 14: 214.  再発・難治性多発性骨髄腫(MM)に対するCAR-T細胞療法は、良好な治療アウトカムをもたらしたが、依然として多くの患者は最終的に再発する。BCMAを標的としたCAR-T細胞療法後の再発に対する救援療法に関しては、利用可能なデータが限られている。ドイツ・ライプツィヒ大学のMaximilian Merz氏らは、再発・難治性MM患者におけるCAR-T細胞療法後の再発アウトカムに対する救援療法の影響を分析した。Blood Cancer Journal誌2024年12月5日号の報告。  対象は、国際コホートに登録された再発・難治性MM患者139例(ide-cal:139例、cilta-cel:9例)。救援療法として、talquetamab(28例)、teclistamab(37例)、免疫調整薬(IMiDs)/プロテアソーム阻害薬/CD38モノクローナル抗体の併用(43例)、その他(31例)が選択された。 主な結果は以下のとおり。 ・CAR-T細胞療法後の再発までの期間中央値は5ヵ月であり、再発時に髄外病変が認められた患者(53%)のアウトカムは不良であった(p=0.005)。 ・救援療法後の全奏効率(OR)および完全奏効率(CR)は次のとおりであり、二重特異性抗体の方が良好な反応が認められた(p<0.001)。 【talquetamab】OR:79%、CR:39% 【teclistamab】OR:64%、CR:32% 【IMiDs/プロテアソーム阻害薬/CD38モノクローナル抗体の併用】OR:30%、CR:0% 【その他】OR:26%、CR:3% ・奏効期間および生存期間中央値は、二重特異性抗体により有意な改善が認められた(各々:p<0.001)。 ・二重特異性抗体は、早期再発および髄外病変に関連する予後不良を改善し、多変量解析においても生存率改善の独立した予測因子であることが示唆された。  著者らは「再発・難治性MMにおけるCAR-T細胞療法後の再発に対する二重特異性抗体による治療は、標準治療と比較し、有効であることが示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Merz M, et al. Blood Cancer J. 2024; 14: 214.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39632797 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性AMLの低強度移植前処置、FM140 vs.FBM110〜EBMTレジストリ研究
再発・難治性AMLの低強度移植前処置、FM140 vs.FBM110〜EBMTレジストリ研究
公開日:2025年1月9日 Duque-Afonso J, et al. Bone Marrow Transplant. 2024 Dec 19. [Epub ahead of print]  再発・難治性急性骨髄性白血病(AML)は、予後不良である。同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)は、救援療法として高頻度に用いられる。低強度移植前処置は、毒性を増加させることなく、白血病の負担軽減を目的に開発されたプロトコルである。ドイツ・フライブルク大学のJesus Duque-Afonso氏らは、再発・難治性AMLに対する2つの低強度移植前処置の比較を行った。Bone Marrow Transplantation誌オンライン版2024年12月19日号の報告。  対象は、欧州骨髄移植学会(EBMT)急性白血病ワーキングパーティレジストリより抽出したallo-HSCT前の再発・難治性AML成人患者293例。フルダラビン150mg/m2+メルファラン140mg/m2(FM140群)118例とフルダラビン150mg/m2+carmustine(BCNU)300〜400mg/m2+メルファラン110mg/m2(FBM110群)175例の比較を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・年齢(FM140群:59.5歳、FBM110群:65.1歳、p<0.001)、T細胞除去(TCD)による移植片対宿主病(GVHD)予防(FM140群:39%、FBM110群:75%、p<0.001)など、両群間でいくつかの違いが認められた。 ・FM140群とFBM100群との間で、全生存率(OS)、無増悪生存期間(PFS)、非再発死亡率、再発率に差は認められなかった。 【2年OS】FM140群:39.3%、FBM110群:45.7%(p=0.58) 【2年PFS】FM140群:36.1%、FBM110群:37.3%(p=0.69) 【2年非再発死亡率】FM140群:15.3%、FBM110群:25.7%(p=0.10) 【2年再発率】FM140群:48.6%、FBM110群:37.0%(p=0.70)  著者らは「年齢やGVHD予防に違いがあるにも関わらず、FBM110による移植前処置を行ったAML患者は、FM140と比較し、同様のアウトカムが示された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Duque-Afonso J, et al. Bone Marrow Transplant. 2024 Dec 19. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39702670 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
結局、アジア人にとって乳製品はCVDリスクを減らすのか? 他4本≫ Journal Check Vol.131(2025年01月11日号)
結局、アジア人にとって乳製品はCVDリスクを減らすのか? 他4本≫ Journal Check Vol.131(2025年01月11日号)
結局、アジア人にとって乳製品はCVDリスクを減らすのか? 心血管疾患(CVD)予防における乳製品の役割については、依然として明確ではない。本研究では、China Kadoorie BiobankとUK Biobankの大規模コホートデータを用いて、乳製品の摂取とCVD罹患との関連を調査し、最新の系統的レビューとメタアナリシスによる補完的な評価を行った。Nature Communications誌2025年1月6日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 要注意!薬の効き目を左右する緑茶カテキン 緑茶は健康効果が注目される一方で、薬剤の有効性や安全性に影響を及ぼす可能性がある。緑茶に豊富に含まれるポリフェノール化合物であるカテキンは、薬物の溶解度やトランスポーター、代謝酵素の活性に作用することが報告されている。著者らは、緑茶カテキンが臨床使用される薬剤の薬物動態に及ぼす影響について、関連する臨床研究をレビューした。Clinical Pharmacology and Therapeutics誌オンライン版2025年1月2日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 筋トレは、HFpEF患者にも有効か? 左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)において、持久力トレーニングが効果的とされているが、筋トレの有効性は十分に評価されていない。著者らは、HFpEF患者における、12か月間の持久力トレーニングと筋トレを組み合わせた運動療法の効果を検討するために、多施設無作為化試験を実施した。Nature Medicine誌オンライン版2025年1月2日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 「お米」で高血圧改善!? 腸内細菌叢の異常は高血圧の重要な危険因子であり、食品由来生理活性ペプチドの抗炎症・抗酸化活性は高血圧の改善において注目を集めている。著者らは、ライスペプチドと腸内細菌叢の異常、高血圧を結びつける調節機構を解明するための研究を実施した。Food & Function誌オンライン版2025年1月3日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む ナッツ摂取は本当に健康に良いのか? ナッツの摂取が心血管疾患(CVD)に及ぼす影響については、観察研究で一貫した結果が得られていない。著者らは、さまざまな種類のナッツ摂取とCVDとの因果関係を明らかにするために、2サンプルメンデルランダム化(MR)解析を実施した。また、この関係における心血管代謝因子の媒介効果を定量化するため、2段階MR解析も実施した。Scientific Reports誌2025年1月4日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ Journal Check Vol.130(2024年12月21日号) 月1回未満の性行為は、うつ病リスクを高める!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.129(2024年12月14日号) 寒さによる"震え”は、1日〇時間でダイエット効果あり!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.128(2024年12月07日号) 筋トレに最適な時間帯は、午前?午後? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.127(2024年11月30日号) コーヒーと筋肉量の関係:性別・年代別の最適なコーヒー摂取量は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.126(2024年11月23日号) この1時間の追加歩行で、寿命は何時間延長する? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.125(2024年11月16日号) カロリー制限で痩せるのは女性だけ!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.124(2024年11月09日号) 睡眠スコア改善で、生物学的年齢は何年若返る? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.123(2024年11月02日号) アルコール摂取で寿命は何年縮むのか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.122(2024年10月26日号) 運動するベストな時間帯は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.121(2024年10月19日号) 長寿も結局は遺伝なのか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.120(2024年10月12日号) 老化を遅らせるために、必要な運動量は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.119(2024年10月05日号) 運動前のカフェイン摂取は、何に効く? 他4本
ダブルエクスプレッサーPCNSLの鑑別に役立つMR画像の特徴は〜熊本大学
ダブルエクスプレッサーPCNSLの鑑別に役立つMR画像の特徴は〜熊本大学
公開日:2025年1月8日 Sasaki G, et al. Neuroradiology. 2024 Dec 19. [Epub ahead of print]  2016年のWHO分類においてMYCおよびBCL2タンパク質の過剰発現は、ダブルエクスプレッサーリンパ腫と定義されている。ダブルエクスプレッサー中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)患者は、そうでない患者よりも再発リスクが高く、予後不良であると報告されている。熊本大学の佐々木 剛氏らは、ダブルエクスプレッサーPCNSLの臨床的およびMR画像に特徴的な所見が認められるかを調査した。Neuroradiology誌オンライン版2024年12月19日号の報告。  対象は、ダブルエクスプレッサーPCNSL患者(DE-PCNSL群)16例および非ダブルエクスプレッサーPCNSL患者(非DE-PCNSL群)20例。DE-PCNSL群と非DE-PCNSL群における増強パターン、病変の見かけの拡散係数(ADC)、相対的脳血液量(rCBV)、漏出補正rCBV、K2値を比較した。ADCマップ上のROIの平均値(ADCmean)および最小値(ADCmin)を算出した。rCBV、漏出補正rCBV 、K2値のデータは、DSC法によるMR灌流画像より収集した。無増悪生存期間(PFS)の差の推定には、カプランマイヤー法を用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・DE-PCNSL群は、非DE-PCNSL群と比較し、女性の割合が高かった(12例[75%] vs.7例[35%]、p=0.02)。 ・rCBV(p=0.02)、漏出補正rCBV(p=0.03)は、非DE-PCNSL群と比較しDE-PCNSL群で有意に低かった。 ・増強パターン、ADCmean、ADCmin、K2値には、両群間で有意な差が認められなかった。 ・DE-PCNSL群は、非DE-PCNSL群よりもPFSが短い傾向であったが、有意な差は認められなかった。  結果を踏まえ、著者らは「PCNSL患者のダブルエクスプレッサーの鑑別には、rCBVおよび漏出補正rCBVが役立つ可能性が示唆された」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Sasaki G, et al. Neuroradiology. 2024 Dec 19. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39699645 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
会員限定版【医師監修】太っていないのに代謝異常?!「脂肪萎縮症」の特徴を写真で解説
会員限定版【医師監修】太っていないのに代謝異常?!「脂肪萎縮症」の特徴を写真で解説
脂肪萎縮症とは皮下脂肪や内臓脂肪などの脂肪組織が減少・消失する希少疾患です。2015年に指定難病に選定され、小児慢性特定疾病にも指定されています。脂肪萎縮症にはいくつかのタイプがありますが、これまでの調査では我が国の全身性脂肪萎縮症の患者数は約100人と推定されています。一方で最近、従来の典型例に当てはまらない脂肪萎縮症の報告例が増えてきており1) 、未診断例がまだ多く存在すると考えられています。また、造血幹細胞移植後に脂肪萎縮症の発症が認められるケースも知られています。脂肪萎縮症の特徴を写真付きで解説します。 〈監修〉 ■脂肪萎縮症の主な分類と特徴脂肪萎縮症は、先天性・家族性/後天性、全身性/部分性に大きく分類される。遺伝子変異による先天性・家族性と、自己免疫異常などによる後天性のものがあり、それぞれ摂取エネルギー量とは無関係に全身の脂肪組織が減少・消失する全身性と、四肢など一部の脂肪組織が減少・消失する部分性に分けられる (図1)。 図1 ■脂肪萎縮症の診断明らかな肥満がなくて重度のインスリン抵抗性、糖尿病、高トリグリセリド血症、脂肪肝などの糖脂質代謝異常が認められる患者では、脂肪萎縮症の可能性を考慮する必要がある。脂肪萎縮症が疑われる場合、全身の体脂肪分布を視診で確認する必要がある(下記参照)。また特徴的な所見や症状(下記参照)も診断するうえで参考となる。さらに全身MRI T1強調画像検査と血中レプチン濃度の測定は、脂肪萎縮症の診断補助手段として有用である1) 。血中レプチン検査は、全身性脂肪萎縮症の診断補助を目的として保険承認されており、血中レプチン濃度が男性で0.6ng/mL未満、女性で1.9ng/mL未満の場合、同疾患が疑われる2) 。先天性病因による脂肪萎縮症の場合は、病因遺伝子の変異が検出されれば診断が確定する。 ■脂肪萎縮症の身体的徴候 1) ・頭頸部:眼、頬、こめかみのくぼみ、頬骨弓の突出 ・上肢:静脈の怒張、骨格筋肥大 ・下肢:非静脈瘤性の静脈の怒張、骨格筋肥大 ・臀部:くぼみ、骨格筋肥大 ・体幹:静脈の怒張、骨格筋肥大 ■関連して見られる特徴的な所見・症状 1) ・食欲亢進 ・黒色表皮腫(腋窩部、項部、肘部等) ・肝腫大 ・多毛 ・性腺機能低下(希発月経、無月経、男性化等) ■脂肪萎縮症の臨床分類※造血幹細胞移植後の症例は、「家族性部分性脂肪萎縮症」に似た外観を呈することが多い 「脂肪萎縮症の新規原因遺伝子の同定と脂肪細胞分化・増殖メカニズムの解明」課題番号26461333 より改変(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-26461333/) ■ここをチェック!全身性脂肪萎縮症は、全身の脂肪が消失しているとはいえ、一般的にイメージされる「(げっそりした)痩せ」とは異なり、全身の骨格筋が際立っているのが特徴である。外来診療で重要なのは顔貌の視診である。頬の脂肪が無いため、頬骨が突っ張ったように見え、話す時にほうれい線が目立ってみえる。 部分性脂肪萎縮症は、脂肪分布のパターンが多様である。頭頸部の脂肪が保たれている場合、寧ろ脂肪過多で満月様顔貌のようにさえ見えるときがある(左の写真)。右の写真の症例では、頭頚部および上肢の脂肪が萎縮している一方で、大腿部は脂肪過多である。いずれも全身の脂肪の付きかたのアンバランスが特徴である。 ■脂肪萎縮症の治療現時点では、脂肪萎縮症に対する根本的治療法は確立されておらず、主に脂肪萎縮に起因する代謝異常症に対する治療に重点が置かれている。とりわけ近年、脂肪組織由来ホルモンであるレプチンを補充する治療法の有効性が明らかにされている。レプチンを補充することによって、脂肪萎縮症における糖脂質代謝異常や脂肪肝が改善することが分かっており、レプチン製剤は脂肪萎縮症に対する治療薬として既に保険適用されている。レプチン補充治療により脂肪萎縮症患者さんの長期的な生命予後の延伸が期待されている。 ■脂肪萎縮症を疑ったら【医師の方】インスリン抵抗性を伴う重度の糖脂質代謝異常や脂肪肝、特徴的な身体所見や顔貌に特徴を認めた場合は、血中レプチン濃度の測定や代謝内科・内分泌科への紹介を検討することが重要です。診断・治療方針について迷われた場合は、脂肪萎縮症の専門医にオンラインで相談できる「脂肪萎縮症コンサルト」もございます。下記のエキスパート回答医に、無料でご相談いただけます。ぜひご活用ください。※コンサルトをご利用いただけるのは、医師の方に限ります。 【脂肪萎縮症コンサルトエキスパート回答医(敬称略)】 ・青谷 大介(名古屋市立大学大学院医学研究科 消化器・代謝内科学/べっぷ内科クリニック宇治市役所前院) ・岡田 賢 (広島大学大学院 医系科学研究科 小児科学) ・永山 綾子(久留米大学 内分泌代謝内科) ・松田やよい(福岡県済生会二日市病院 糖尿病内科) 【患者さん・ご家族の方】脂肪萎縮症が疑われる場合、まずは内分泌・代謝内科、または糖尿病内科を受診してください。全身の筋肉が目立つ、頬の脂肪が少なくほうれい線が目立つ、糖尿病や脂質異常を若い頃から指摘されている、などの症状がある場合には早めに専門医へ相談することが勧められます。診断や治療に関する正しい情報は、難病情報センター等の公式情報をご確認ください。難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/小児慢性特定疾病情報センター:https://www.shouman.jp/ 引用:1) 日本内分泌学会雑誌 Vol. 94 Suppl. September 2018 2) 日本内分泌学会「全身性脂肪萎縮症診断における血中レプチン検査の運用指針」3) Brush M et al., J Clin Endocrinol Metab. 2024 May 17:dgae335. 文責:株式会社エクスメディオ監修:青谷 大介先生(名古屋市立大学大学院医学研究科 消化器・代謝内科学分野/べっぷ内科クリニック宇治市役所前院 )
血液検査の結果より気を付けたい症例~巨赤芽球性貧血~
血液検査の結果より気を付けたい症例~巨赤芽球性貧血~
骨髄増殖性腫瘍の早期発見を目指し、血液検査値の異常や検査結果について経験豊富な専門医へ相談できるオンラインコンサルトサービス「血ミル」を開始しました。今回、「血ミル」回答医である照井先生に巨赤芽球性貧血について症例をもとに解説いただきました。 血液領域は、難しいと感じている先生は多いと思います。医師として採血をおこなわない先生はいないと思います。血算で異常な数値をみたときに焦ることがあるかもしれませんが、この血ミルでどのような場合に専門科に紹介するべきかわかることでしょう。 概念巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ)は、血液中の赤血球が正常に形成されず、異常に大きな赤血球(巨赤芽球)が骨髄に出現する疾患です。この異常は、DNA合成の障害に起因し、細胞分裂が正常に進まないために発生します。その結果、赤血球の成熟が遅れ、機能不全や数の減少(貧血)が生じます。 原因主な原因は、ビタミンB12または葉酸の欠乏です。これらの栄養素はDNA合成において重要な役割を果たしており、不足すると赤血球の前駆細胞が正常に分裂できなくなります。具体的な原因は以下のように分類されます。 1.ビタミンB12欠乏  ・ 胃の萎縮性胃炎や自己免疫疾患による内因子不足(悪性貧血)  ・ 胃切除術後の内因子分泌低下  ・ 腸疾患(例:クローン病、回腸切除)による吸収不良  ・ 食事中のビタミンB12不足(主にベジタリアンやビーガンに多い) 2.葉酸欠乏  ・ 妊娠や慢性疾患による需要増加  ・ アルコール依存症による摂取不足  ・ セリアック病などの吸収障害  ・ 抗てんかん薬やメトトレキサートなどの薬剤による影響 診断方法診断は、臨床症状、血液検査を組み合わせて行います。ヘモグロビン濃度の低下とともにMCVが101以上の場合は疾患を疑い、ビタミンB12や葉酸を測定します。 1.臨床症状  ・ 貧血症状:疲労感、息切れ、めまい  ・ 神経症状(ビタミンB12欠乏の場合):手足のしびれ、歩行困難、記憶力低下  ・ 消化器症状:舌炎、口内炎 2.血液検査  ・ 血球計算:ヘモグロビン低値(12~18以下、男女含め)  ・ MCV(平均赤血球容積)≧101  ・ 血清ビタミンB12および葉酸濃度の測定 治療ビタミンB12や葉酸を補う服薬の治療を行います。貧血が改善されると正常な赤血球が産生されるため、鉄の不足がおこることがあります。治療中は鉄量に確認と、食事の改善も重要になります。 具体的な薬剤  ・ ビタミンB12:メチコバール  ・ 葉酸:フォリアミン 貧血は、赤血球に含まれるヘモグロビンの量が少なくなった状態です。つまり血算でHb値が正常値を下回っていることです。そのような患者さんはではめまいや立ちくらみ、頭痛などのさまざまな症状が現れるようになります。貧血(Hb低値)が見られた場合、赤血球恒数のうち重要なのがMCV(mean corpuscular volume; 平均赤血球容積)で、その値によって小球性貧血、正球性貧血、大球性貧血に分類することができます。大球性貧血の場合、巨赤芽球性貧血あるいは骨髄異形成症候群、網状赤血球増加などが考えられます。まずはビタミンB12と葉酸の検査をお勧めしますが、その上で専門医への紹介を検討していただければ幸いです。
GVHD予防に最適な移植後シクロホスファミドの投与量は?
GVHD予防に最適な移植後シクロホスファミドの投与量は?
公開日:2025年1月7日 Ulas T, et al. Transfus Apher Sci. 2024 Dec 17. [Epub ahead of print]  トルコ・University of Health SciencesのTurgay Ulas氏らは、造血器悪性腫瘍患者に対する移植後シクロホスファミドの投与量が生着日数、移植片対宿主病(GVHD)発生率、再発率、全生存率(OS)に及ぼす影響を評価した。Transfusion and Apheresis Science誌オンライン版2024年12月17日号の報告。  対象は、2018〜24年に骨髄破壊的前処置レジメンおよび末梢血幹細胞移植を受けた後、移植後シクロホスファミド25mg/kg2(45例)または50 mg/kg2(117例)の投与を行った患者162例。生着日数、GVHD発生率、再発率、OSを両群間で比較した。 主な結果は以下のとおり。 ・研究終了時の生存率は61.1%(99例)であった(25mg群:60%[27例]、50mg群:61.5%[72例])。 ・フォローアップ期間中央値は25mg群で6.9ヵ月、50mg群で7ヵ月。 ・OS中央値は25mg群で15.5ヵ月、50mg群で49.5ヵ月であったが、統計学的に有意な差は認められなかった(log rank=0.796)。 ・25mg群における生着日数は、血小板で13日、好中球で17日。 ・50mg群における生着日数は、血小板で18日、好中球で17日であり、血小板では有意な差が認められたが(p<0.001)、好中球では差が認められなかった(p=0.839)。 ・急性GVHDの発生率は、25m群で40%(18例)、50mg群で23%(27例)であり、25mg群は50mg群よりも高かった(p=0.031)。 ・慢性GVHDの発生率は、25m群で15.5%(7例)、50mg群で5.12%(6例)であり、25mg群は50mg群よりも高かった(p=0.048)。 ・再発率は、25m群で55.6%(25例)、50mg群で16.2%(19例)であった(p<0.001)。  著者らは「移植後シクロホスファミドの2種類の投与量の比較では、OSに差はなかったが、血小板生着日数、急性GVHD、慢性GVHDの発生率、再発率に違いが認められた」と報告した。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Ulas T, et al. Transfus Apher Sci. 2024 Dec 17. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39700842 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
予後不良因子を有するLBCL治療、同種HSCTとCAR-T細胞療法どちらが優れるか〜岡山大学
予後不良因子を有するLBCL治療、同種HSCTとCAR-T細胞療法どちらが優れるか〜岡山大学
公開日:2025年1月6日 Hayashino K, et al. Int J Hematol. 2024 Dec 16. [Epub ahead of print]  これまで、予後不良因子を有する再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)患者においてCAR-T細胞療法が同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)よりも有効であるか、毒性が低いかについては、直接比較で検討されていなかった。岡山大学の林野 健太氏らは、予後不良因子を伴う再発・難治性LBCL患者に対するCAR-T細胞療法チサゲンレクルユーセル(tisa-cel)とallo-HSCTの有効性を調査し、比較を行った。International Journal of Hematology誌オンライン版2024年12月16日号の報告。  対象は、2003年1月〜2023年5月に岡山大学病院でall-HSCTまたはtisa-celによる治療を行った18歳以上の再発・難治性LBCL患者67例(allo-HSCT群:24例、tisa-cel群:43例)。予後不良因子の定義は、PS2以上、複数の節外病変、化学療法抵抗性、血清LDH上昇とした。 主な結果は以下のとおり。 ・全体として、allo-HSCT群は、tisa-cel群と比較し、無増悪生存期間(PFS)が不良であり、非再発死亡率が高かった。再発/病勢進行の割合は、同程度であった。 ・化学療法治療抵抗性患者または高LDH患者では、tisa-cel群は、allo-HSCT群よりもPFSが良好であった。一方、PS2以上または複数の節外病変を有する患者では、PFSは同等であった。 【化学療法治療抵抗性】tisa-cel群:PFS 3.2ヵ月、allo-HSCT群:PFS 2.0ヵ月(p=0.092) 【高LDH】tisa-cel群:PFS 4.0ヵ月、allo-HSCT群:PFS 2.0ヵ月(p=0.018) 【PS2以上】tisa-cel群:PFS 1.6ヵ月、allo-HSCT群:PFS 1.9ヵ月(p=0.56) 【複数の節外病変】tisa-cel群:PFS 3.2ヵ月、allo-HSCT群:PFS 2.0ヵ月(p=0.40) ・予後不良因子を有する患者における細胞療法後の再発後生存期間は、allo-HSCT群で1.6ヵ月、tisa-cel群で4.6ヵ月であった。 ・これらの結果は、傾向スコアマッチングコホートで確認された。  著者らは「予後不良因子を有する再発・難治性LBCL患者において、tisa-celはallo-HSCTよりも良好な生存率をもたらすことが示唆された。しかし、細胞療法後に再発した患者では、いずれの治療でも予後不良であるため、さらなる治療戦略が求められる」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Hayashino K, et al. Int J Hematol. 2024 Dec 16. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39680351 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性濾胞性リンパ腫に対するリツキシマブ+レナリドミド+BTK阻害薬、レナリドミドの適切な用量は〜第Ib相用量設定試験
再発・難治性濾胞性リンパ腫に対するリツキシマブ+レナリドミド+BTK阻害薬、レナリドミドの適切な用量は〜第Ib相用量設定試験
公開日:2024年12月27日 Strati P, et al. Br J Haematol. 2024 Dec 12. [Epub ahead of print]  再発・難治性の濾胞性リンパ腫(FL)に対する有効な治療選択肢は限られている。腫瘍関連マクロファージの抗腫瘍フェノタイプを増加させるブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬は、リツキシマブ+レナリドミドとの併用療法を検討する根拠となりうる。第2世代BTK阻害薬であるアカラブルチニブは、IL-2誘導性T細胞キナーゼ阻害作用がないため、T細胞媒介性細胞障害を増加させることなく、リツキシマブ+レナリドミドの有効性を向上させる可能性があると考えられる。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのPaolo Strati氏らは、再発・難治性FLに対するアカラブルチニブ+リツキシマブ+レナリドミド併用療法の安全性および有効性を評価するため実施した第Ib相用量設定試験の結果を報告した。British Journal of Haematology誌オンライン版2024年12月12日号の報告。  対象は、再発・難治性FL患者29例。2種類のレナリドミド用量によるアカラブルチニブ+リツキシマブ+レナリドミド併用療法を行った(レナリドミド15mg群:8例、レナリドミド20mg群:21例)。 主な結果は以下のとおり。 ・アカラブルチニブ投与期間中央値は21ヵ月、頻度の高かったグレードIII以上の治療関連有害事象(TEAE)は好中球減少(37.9%)であった。 ・グレードIII以上の重篤なTEAE発生率は、レナリドミド15mg群で37.5%、レナリドミド20mg群で52.4%であり、COVID-19肺炎、COVID-19感染、肺炎の頻度が高かった。 ・レナリドミド20mg群では、早期の治療中止およびまたは減量が観察された。 ・フォローアップ期間中央値34.1ヵ月における全奏効率(OR)は75.9%であった。 ・完全奏効率(CR)は、レナリドミド15mg群で25.0%、レナリドミド20mg群で42.9%。  著者らは「再発・難治性FLに対するアカラブルチニブ+リツキシマブ+レナリドミド併用療法において、レナリドミド20mgは、許容可能な毒性と有効性が期待できることから、適切な用量であると考えられる」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Strati P, et al. Br J Haematol. 2024 Dec 12. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39667721 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
ISA-BLd療法による寛解導入療法が未治療で移植適応のある多発性骨髄腫に有用
ISA-BLd療法による寛解導入療法が未治療で移植適応のある多発性骨髄腫に有用
公開日:2024年12月26日 Mai EK, et al. J Clin Oncol. 2024 Dec 9. [Epub ahead of print]  未治療で移植適応のある多発性骨髄腫(MM)患者を対象に、レナリドミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン(BLd療法)にイサツキシマブ(ISA)を併用したISA-BLd療法を評価したGMMG-HD7試験において、寛解導入療法後の微小残存病変(MRD)陰性率が有意に増加したことが報告された。ドイツ・ハイデルベルク大学のElias K. Mai氏らは、GMMG-HD7試験の初回ランダム化から移植までの期間における試験結果を報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2024年12月9日号の報告。  GMMG-HD7試験の対象は、未治療で移植適応のあるMM患者662例。対象患者は、寛解導入療法においてISA-BLd療法群またはBLd療法群にランダムに割り付けられ、その後シングルまたはタンデム自家移植を行った後、維持療法においてレナリドミド単独群またはISA+レナリドミド群に再度ランダム化された。本報告では、初回ランダム化から移植までの期間における更新された結果を報告した。 主な結果は以下のとおり。 ・2024年1月末の段階で、MRD陰性化率は、移植後も引き続き良好であった(ISA-BLd療法群:66%、BLd療法群:48%)。 ・維持療法の種類にかかわらず、ISA-BLd療法群はBLd療法群と比較し、無増悪生存期間(PFS)の有意な延長が確認された(ハザード比:0.70、95%CI:0.52〜0.95、p=0.0184)。 ・維持療法においてレナリドミド単独群にランダム化された患者の重み付けリスクセット推定分析では、BLd療法後よりもISA-BLd療法後にレナリドミドによる維持療法を行った方が、統計学的に有意なベネフィットが認められた(層別化加重ログランク検定:p=0.016)。  著者らは「未治療で移植適応のあるMM患者に対して、18週間の寛解導入化学療法後に地固め療法なしで移植を行った場合、維持療法の種類を問わず、ISA-BLd療法による寛解導入療法のPFS延長に対する有意なベネフィットが確認された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Mai EK, et al. J Clin Oncol. 2024 Dec 9. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39652594 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
ザヌブルチニブはベストインクラスのBTK阻害薬なのか?〜SEQUOIA試験フォローアップ結果
ザヌブルチニブはベストインクラスのBTK阻害薬なのか?〜SEQUOIA試験フォローアップ結果
公開日:2024年12月25日 Shadman M, et al. J Clin Oncol. 2024 Dec 8. [Epub ahead of print]  臨床試験では、時期の異なる複数のエンドポイントを含めることが少なくない。通常、主要エンドポイントに基づく最初の報告では、計画されている一部の主要な分析または副次的評価が行われないまま、公開されることがある。そのため、臨床試験の最新情報アップデートは、既に主要エンドポイントが報告されている研究においても、新たな知見を得る機会となりうる。米国・フレッド・ハッチンソンがんセンターのMazyar Shadman氏らは、未治療の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)患者を対象に、経口ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるザヌブルチニブとベンダムスチン+リツキシマブ(BR療法)を比較した第III相ランダム化オープンラベル試験であるSEQUOIA試験の長期フォローアップ結果を報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2024年12月8日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・フォローアップ期間中央値26.2ヵ月の事前に指定された解析結果とその後43.7ヵ月までフォローアップを行った解析結果では、BR療法群と比較し、ザヌブルチニブ群の方が、主要エンドポイントである無増悪生存期間(PFS)が良好であることが示唆された。 ・フォローアップ期間中央値61.2ヵ月におけるPFS中央値は、ザヌブルチニブ群で未達、BR療法群で44.1ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.29、片側p=0.0001)。 ・免疫グロブリン重鎖可変部体細胞遺伝子変異(IGHV)の変異あり(HR:0.40、片側p=0.0003)および変異なし(HR:0.21、95%CI:0.14〜0.33、片側p<0.0001)のいずれにおいても、BR療法群と比較し、ザヌブルチニブ群でPFSの延長が認められた。 ・両群ともに全生存期間(OS)は、中央値に達しなかったが、60ヵ月の推定OSは、ザヌブルチニブ群で85.8%、BR療法群85.0%であった。 ・新たな安全性シグナルは検出されなかった。 ・ザヌブルチニブ群の有害事象は、想定の範囲内であり、心房細動の発生率は7.1%であった。  著者らは「SEQUOIA試験の長期フォローアップ(期間中央値:61.2ヵ月)において、最初に報告されたザヌブルチニブの有用性が裏付けられた」とし「未治療のCLL/SLL患者に対するザヌブルチニブ治療は、望ましい治療選択肢である」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Shadman M, et al. J Clin Oncol. 2024 Dec 8. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39647999 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
DLBCLの1stライン、Pola+R-CHPはR-CHOPを超えられるか
DLBCLの1stライン、Pola+R-CHPはR-CHOPを超えられるか
公開日:2024年12月24日 Zhao P, et al. Hematol Oncol. 2025; 43: e70017.  ポラツズマブ ベドチン併用R-CHP(Pola-R-CHP)療法は、国際共同第III相ランダム化二重盲検試験であるPOLARIX試験に基づき、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する新たな第1選択治療として承認された。しかし、リアルワールドにおける有効性および安全性に関するデータは、十分とはいえない。中国・天津医科大学のPeiqi Zhao氏らは、中国の日常診療におけるPola-R-CHP療法とR-CHOP療法のアウトカムを評価するため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。Hematological Oncology誌2025年1月号の報告。  2024年2月までにポラツズマブ ベドチンによる治療を1回以上行ったすべての患者を対象に、多施設レトロスペクティブコホート研究を実施した。6施設より適格患者600例(Pola-R-CHP療法群:131例、R-CHOP療法群:469例)が特定された。1:2の傾向スコアマッチング後、128組が生存および予後分析に含また。 主な結果は以下のとおり。 ・フォローアップ期間中央値は12.8ヵ月、12ヵ月無増悪生存割合(PFS)は、Pola-R-CHP療法群の方がR-CHOP療法群よりも高かった(90.3% vs.84.1%、p=0.18)。 ・分子生物学的サブグループ全体で一貫したベネトットが認められ、とくに進行期、全身状態(ECOG)2以上、リンパ節外病変2以上、non-GCB-DLBCLにおいて顕著であった。 ・完全奏効率は、Pola-R-CHP療法群の方がR-CHOP療法群よりも高かったが、統計学的に有意な差は認められなかった(86.8% vs.79.7%、p=0.09)。 ・安全性プロファイルは、両群間で同等であり、新たな懸念は見当たらなかった。 ・Pola-R-CHP療法群128例のうち、96例でゲノムシーケンス解析を実施した。結果の内訳は、MCDタイプ(25.0%)、EZBタイプ(13.5%)、複合サブタイプ(12.5%)、ST2タイプ(12.5%)、その他/分類不能(30.2%)。 ・25%以上で認められた最も一般的な変異は、PIM1、TP53、BCL-6、KMT2D、SOCS1、BCL-2であった。 ・遺伝子検査の結果では、遺伝子型やPIM1/TP53の遺伝子変異と治療効果との相関関係が示唆された。  著者らは「Pola-R-CHP療法は、リアルワールドの対象集団において、DLBCLに対する有効な第1選択治療であることが裏付けられ、R-CHOP療法よりも持続的な有効性が示された。12ヵ月PFSに有意差は認められなかったものの、サブグループ解析では、Pola-R-CHP療法の方が良好であった」と結論付け「今後は、より大規模な研究、長期フォローアップ研究、より有効な患者群を対象とした研究が求められる」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Zhao P, et al. Hematol Oncol. 2025; 43: e70017.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39641321 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
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