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CD5陽性DLBCLのCNS再発予防に対するDA-EPOCH-R/HD-MTX
CD5陽性DLBCLのCNS再発予防に対するDA-EPOCH-R/HD-MTX
公開日:2025年3月4日 Nato Y, et al. Hematol Oncol. 2025; 43: e70047.  CD5陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、予後不良であり、中枢神経系(CNS)再発頻度の高い特徴を有する疾患である。DA-EPOCH-R療法と大量メトトレキサート(HD-MTX)によるサンドイッチ療法は、stage II〜IVのCD5陽性DLBCL患者を対象とした第II相試験において、優れた有効性とマネジメント可能な安全性を示した。三重大学の名藤 佑真氏らは、この試験結果を検証し、CD5陽性DLBCL患者の現在の治療状況を明らかにするため、レトロスペクティブに分析を行った。Hematological Oncology誌2025年3月号の報告。  対象は、2016〜21年に診断されたリツキシマブを含むアントラサイクリン系化学療法による治療を行ったCD5陽性DLBCL患者。臨床アウトカムをレトロスペクティブに分析した。 主な結果は以下のとおり。 ・評価対象患者346例中、DA-EPOCH-R/HD-MTX療法を行った患者は62例(18%)。 ・フォローアップ期間中央値は43ヵ月。 ・DA-EPOCH-R/HD-MTX療法を行ったstage II〜IVの患者(55例)では、2年全生存率(OS)が87%(95%CI:73〜94)、無増悪生存率(PFS)が76%(95%CI:61〜86)、CNS再発の累積発生率が7.3%(95%CI:2.4〜16.0)であった。 ・治療関連死亡は認められなかった。 ・発熱性好中球減少は、18例(33%)で発生した。 ・346例を対象とした多変量解析では、OSの独立したリスク因子として、LDH上昇、複数のリンパ節外病変、髄腔内MTX投与なし、DA-EPOCH-R/HD-MTX療法なしが特定された。 ・HD-MTXと髄腔内MTXの療法を行った患者28例中、CNS再発が認められた患者は1例のみであった。  著者らは「DA-EPOCH-R/HD-MTX療法の良好な生存率およびマネジメント可能な毒性が、実臨床の現場において確認された。CD5陽性DLBCL患者のCNS再発予防に対して、HD-MTXおよび髄腔内MTXが有効である可能性が示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Nato Y, et al. Hematol Oncol. 2025; 43: e70047.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39937961 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
高リスク造血器悪性腫瘍における同種移植後CsA急速減量は行うべきではないのか
高リスク造血器悪性腫瘍における同種移植後CsA急速減量は行うべきではないのか
公開日:2025年3月3日 Gomyo A, et al. Int J Hematol. 2025 Feb 6. [Epub ahead of print]  同種造血幹細胞移植(HSCT)後にシクロスポリン(CsA)を急激に減量すると、強いGVL効果を引き起こす可能性がある。自治医科大学附属さいたま医療センターの後明 晃由美氏らは、自施設で初めて同種HSCTを行った高リスク造血器悪性腫瘍患者におけるCsAの減量と臨床アウトカムとの関連を評価するため、レトロスペクティブに検討した。International Journal of Hematology誌オンライン版2025年2月6日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・血中CsA濃度は、300ng/ml前後で維持されていた。 ・移植片対宿主病(GVHD)のないまたは限定的な患者に対するCsA減量の計画スケジュールは、血縁ドナーの場合は30日目から、非血縁者ドナーの場合は50日目から1週間当たり10%ずつ減量した。 ・CsA減量を開始した患者36例は、減量開始のタイミングに基づき、スケジュール遵守群と遅延群の2つに分類した。 ・grade2〜4の急性GVHDの累積発生率は、遵守群で33.8%、遅延群で39.4%であった(p=0.746)。 ・遵守群は、遅延群と比較し、非再発による死亡率に有意な差は認められなかったが、再発率が高くなる傾向が認められ、その結果として1年全生存率(OS)および1年無病生存率(DFS)の有意な悪化が認められた。 【1年OS】55.6%vs.72.2%(p=0.025) 【1年DFS】38.9%vs.66.7%(p=0.059)  著者らは「高リスク造血器悪性腫瘍患者におけるHSCT後の早期CsA減量は、効果的ではない可能性が示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Gomyo A, et al. Int J Hematol. 2025 Feb 6. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39912986 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
HDAC阻害薬ツシジノスタット+VEN+AZA+CAG療法、初発AMLの新レジメンとなるか
HDAC阻害薬ツシジノスタット+VEN+AZA+CAG療法、初発AMLの新レジメンとなるか
公開日:2025年2月28日 Yang J, et al. Int Immunopharmacol. 2025 Feb 21. [Epub ahead of print]  急性骨髄性白血病(AML)は、死亡率の高い非常に異質な造血器悪性腫瘍である。AML治療において、エピジェネティック療法が重要な役割を果たすことが期待されている。しかし、複数のエピジェネティック作用薬と従来の化学療法との併用による臨床アウトカムは、いまだ明らかになっていない。中国・The Fifth Medical Center of Chinese PLA General HospitalのJingjing Yang氏らは、AML患者を対象に、CAG療法およびベネトクラクス+アザシチジンを組み合わせたVEN+AZA+CAG療法にHDAC阻害薬ツシジノスタットを併用した際の臨床的安全性および有効性を評価するため、第II相試験を実施した。International Immunopharmacology誌オンライン版2025年2月21日号の報告。  対象患者には、アクラルビシン(day1、3、5:10mg/m2)、シタラビン(day1〜5:75mg/ m21日2回)、G-CSF(5μg/kg/日)ベネトクラクス(day1:100mg、day2:200mg、day3〜14:400mg)、アザシチジン(day1〜7:75 mg/m2)、ツシジノスタット(30mg週2回、2週間)による導入療法を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・1コース後の全奏効率(OR)は96.7%、複合完全奏効率(CR)93.3%。 ・NCCNリスク分類不良な患者における複合CRは86.7%。 ・2コース後の複合CRは100%であった。 ・12ヵ月間の全生存率(OS)は69.7%。 ・導入療法後の回復までの中央値は、血小板数5万/μL以上の場合で19日、好中球絶対数が500cell/μL以上の場合で17日であった。 ・シングルセルRNAシーケンシングでは、腫瘍細胞を除去したのち、ほとんどの免疫細胞の割合に大きな変化は認められなかった。  著者らは「ツシジノスタット+VEN+AZA+CAG療法は、新たに診断されたAML患者に対において良好なCRを達成し、とくに不良リスクの患者で顕著であった。また、本レジメンは、細胞免疫にほとんど影響を及ぼさないことも確認された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Yang J, et al. Int Immunopharmacol. 2025 Feb 21. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39986194 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
PCNSLに対する大量MTX維持療法戦略〜米メイヨークリニックの経験/Blood Adv
PCNSLに対する大量MTX維持療法戦略〜米メイヨークリニックの経験/Blood Adv
公開日:2025年2月27日 Hwang SR, et al. Blood Adv. 2025; 9: 924-932.  中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)は、全身への関与なく、脳、脳脊髄液または網膜/硝子体に影響を及ぼす非ホジキンリンパ腫である。PCNSLに対する標準的な治療パラダイムは、大量メトトレキサート(HD-MTX)による導入療法後の自家造血幹細胞移植(HSCT)による地固め療法となっており、ほとんどの患者に用いられる。しかし、HD-MXTによる維持療法の有効性に関するデータは、これまで限られていた。米国・メイヨークリニックのSteven R. Hwang氏らは、HD-MTXによる導入化学療法後のHD-MXTによる維持療法戦略の有用性を検討するため、自施設で治療を行ったPCNSL患者の特徴および臨床アウトカムをレトロスペクティブに評価した。Blood Advances誌2025年2月25日号の報告。  2010年10月〜2022年6月にPCNSLと診断され、HD-MXTベース導入療法後に自家HSCT地固め療法(70例)またはHD-MXT維持療法(37例)を実施した患者148例をレトロスペクティブに評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・フォローアップ期間中央値は4.5年、無増悪生存期間(PFS)は8.3年、全生存期間(OS)は未達であった。 ・HD-MXT維持療法群は、自家HSCT地固め療法群と比較し、診断時の年齢中央値が高く(72歳vs.62歳)、ECOG PS2以上の割合が高くなる傾向がみられた(41%vs.29%)。 ・導入療法開始後の5年PFSは、自家HSCT地固め療法群で74.6%、HD-MXT維持療法群で72.6%。5年OSは、自家HSCT地固め療法群で76.0%、HD-MXT維持療法群で82.4%。 ・全体として、PFSおよびOSに導入療法後の治療戦略に基づく有意な差は認められなかった。  著者らは「これらの結果は、初期の導入療法で奏効が認められるPCNSL患者に対してHD-MXT維持療法戦略が、合理的かつtime-limited treatmentの治療戦略である可能性を示唆している」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Hwang SR, et al. Blood Adv. 2025; 9: 924-932.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39964705 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
IVLBCLに対するR-CHOP+大量MTX療法の長期有用性が明らかに〜PRIMEUR-IVL試験
IVLBCLに対するR-CHOP+大量MTX療法の長期有用性が明らかに〜PRIMEUR-IVL試験
公開日:2025年2月26日 Shimada K, et al. EClinicalMedicine. 2025: 80: 103078.  血管内大細胞型B細胞リンパ腫(IVLBCL)は、稀な節外性大細胞型B細胞リンパ腫であり、診断時期が適切でなければ予後不良となる疾患である。名古屋大学の島田 和之氏らは、中枢神経系(CNS)を標的とした治療と組み合わせた標準化学療法の安全性および有効性を評価するため、診断時にCNS浸潤を認めない未治療IVLBCL患者を対象に、多施設共同シングルアーム第II相試験であるPRIMEUR-IVL試験の長期フォローアップデータの最終解析を報告した。EClinicalMedicine誌2025年1月31日号の報告。  PRIMEUR-IVL試験の事前に指定された最終解析として、5年無増悪生存率(PFS)、5年全生存率(OS)、二次性CNS浸潤の発生率を含む成績を報告した。対象患者は、2011年6月〜2016年7月に登録され、最終解析のデータカットオフは2021年11月16日とした。 主な結果は以下のとおり。 ・これまでに報告したPRIMEUR-IVL試験の一次主要解析では、2年PFSは76%、2年OSは92%であり、二次性CNS浸潤の発生率は低かった(3%)。 ・フォローアップ期間中央値は7.1年(四分位範囲:5.6〜8.7)。 ・対象患者37例における5年PFSは68%(95%CI:50〜80)、5年OSは78%(95%CI:61〜89)であった。 ・一次解析後、新たな二次性CNS浸潤の発生は認められなかった。 ・一次解析後の重篤な有害事象は、grade4の好中球減少(1例)、特別な治療を必要としないgrade4の骨髄異形成症候群(1例)。 ・登録後からのフォローアップ期間中に死亡した患者は8例であり、内訳は原発性疾患(6例)、敗血症(1例)、原因不明の突然死(1例)であった。  著者らは「PRIMEUR-IVL試験の長期フォローアップデータでは、PFSおよびOSの持続性、二次性CNS浸潤の累積発生率の低さが示された。このことからも、未治療IVLBCL患者に対するR-CHOP+大量MTX療法は有用であると考えられる」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Shimada K, et al. EClinicalMedicine. 2025: 80: 103078.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39968389 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
オリーブオイル摂取で、体重は減るのか?増えるのか? 他4本≫ Journal Check Vol.138(2025年03月01日号)
オリーブオイル摂取で、体重は減るのか?増えるのか? 他4本≫ Journal Check Vol.138(2025年03月01日号)
オリーブオイル摂取で、体重は減るのか?増えるのか? オリーブオイルの摂取は心血管代謝疾患のリスク低下と関連しているが、その高いエネルギー密度が体重増加を引き起こす懸念がある。著者らは、米国の3つの前向きコホート研究に参加した12万1,119人のデータを用いて、オリーブオイル摂取量の長期的な変化と体重変化との関連を調査した。The American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2025年2月18日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 主食をパスタにしたら痩せるのか? 低GI食は、特にインスリン抵抗性のある人の心血管代謝リスク(CMR)を改善するが、低GI主食であるパスタ摂取とCMRの関連は明確ではない。著者らは、高CMRの高齢者を対象に、パスタ摂取量と体重、BMI、ウエスト周囲径、血圧、血糖値、脂質プロファイルなどのCMRとの縦断的な関連を評価した。Journal of the American Nutrition Association誌オンライン版2025年2月19日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む たった〇日の爆食でも、脳のインスリン応答に長期的な影響が出る!? 脳のインスリン応答は、体重増加や脂肪分布と関連しているが、短期間の食生活の変化がこの応答に与える影響は明確ではない。著者らは、健康な男性を対象に、高カロリーで甘く脂肪分の多い食品の短期間(5日間)摂取が肝臓の脂肪蓄積や脳のインスリン応答に与える影響と、その効果が摂取期間終了後も持続するかどうかを調査した。Nature Metabolism誌オンライン版2025年2月21日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 術前のSGLT2阻害薬の休薬は、本当に必要? SGLT2阻害薬(SGLT2i)使用患者における術後糖尿病性ケトアシドーシスの症例報告は、術前のSGLT2i投与は控えるというFDAガイダンスの根拠となっている。著者らは、さまざまな緊急手術を受けた2型糖尿病患者3万4,671人を対象に、術前のSGLT2i使用と術後の糖尿病性ケトアシドーシスとの関連を評価した。JAMA Surgery誌オンライン版2025年2月19日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 結局、マスクは有効だったのか? 著者らは、70の国や地域における、ウイルス性呼吸器感染症(VRID)パンデミック/流行期間のマスク着用の遵守(マスク着用の受容率、公共の場でのマスク着用率、正しいマスク着用率)と、それがVRIDの発生および死亡率に与える影響を体系的に分析した。BMJ Global Health誌2025年2月19日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む ヒポクラへ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ Journal Check Vol.137(2025年02月22日号) コーヒーでコロナ予防!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.136(2025年02月15日号) 「ビーフ or チキン」アルツハイマー病に影響する食品は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.135(2025年02月08日号) コーヒー・紅茶の健康効果が高いのはどんな人? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.134(2025年02月01日号) 筋トレの「神話」と「真実」:ジム利用者は正解を知っている? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.133(2025年01月25日号) 結局、赤肉は健康に是か非か? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.132(2025年01月18日号) コーヒーはいつ飲むのがベストか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.131(2025年01月11日号) 結局、アジア人にとって乳製品はCVDリスクを減らすのか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.130(2024年12月21日号) 月1回未満の性行為は、うつ病リスクを高める!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.129(2024年12月14日号) 寒さによる"震え”は、1日〇時間でダイエット効果あり!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.128(2024年12月07日号) 筋トレに最適な時間帯は、午前?午後? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.127(2024年11月30日号) コーヒーと筋肉量の関係:性別・年代別の最適なコーヒー摂取量は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.126(2024年11月23日号) この1時間の追加歩行で、寿命は何時間延長する? 他4本
2025年3月 ヒポクラ主催セミナーのご案内
2025年3月 ヒポクラ主催セミナーのご案内
  【日時】3月17日(月) 19時00分〜19時45分 【開催場所】ZOOMウェビナー(オンライン)※参加登録者には自動でURLが送付されます。 【概要】卒後10年以内の女性医師を対象としたマネーセミナーです。生活や仕事で役立つ「女性ならでは」のお金の知識を学び、より安心して日々を過ごせるような基礎知識を学びます。※卒後10年以内の方を対象としておりますが、卒後10年以上でも基礎知識を学びたい方であれば大歓迎です。  参加申込はこちら  ※参加無料です。 【日時】3月18日(火) 19時00分〜19時45分 【開催場所】ZOOMウェビナー(オンライン)※参加登録者には自動でURLが送付されます。 【概要】確定申告直後から、次の節税対策を学び、来る税負担を減らすための具体的な方法を”医師の方だったら”という視点でご紹介します。医師としての収入を最大限に活かし、効果的な節税を実現するためのヒントを学びましょう。  参加申込はこちら  ※参加無料です。 多くのご参加お待ちしております。
メトホルミン+L-アスパラギナーゼ併用はDLBCLの新たな治療法となりうるか
メトホルミン+L-アスパラギナーゼ併用はDLBCLの新たな治療法となりうるか
公開日:2025年2月25日 Lordello L, et al. Cancers (Basel). 2025; 17: 394.  びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、非ホジキンリンパ腫で最も一般的なタイプであり、B細胞から発生するアグレッシブかつ不均一な腫瘍を特徴とする。とくに、再発・難治性の場合では、依然として治療困難な悪性腫瘍の1つである。悪性腫瘍細胞の特徴として、代謝の再プログラミングが挙げられる。フランス・Universite Paris CiteのLeonardo Lordello氏らは、代謝の脆弱性をターゲットとし、再発・難治性DLBCL患者の臨床アウトカムを改善させるための戦略を検討した。Cancers誌2025年1月24日号の報告。  米FDAで承認されている2つの抗代謝薬であるメトホルミンおよびL-アスパラギナーゼの併用がDLBCL細胞の代謝および生存に及ぼす影響を調査した。薬剤併用により誘発される代謝阻害の評価には、NMR分光法を用いた。脂質代謝、糖代謝、グルタミン代謝、トリカルボン酸(TCA)サイクル、抗酸化作用への影響を調査した。アポトーシス誘導の評価には、FACG分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・メトホルミンとL-アスパラギナーゼの併用は、酸化的リン酸化またはBCR/解糖系の状態に関わらず、DLBCL細胞のアポトーシスに対し、強い感受性を示した。 ・NMR分光法では、メトホルミンとL-アスパラギナーゼの併用は、いずれかの単剤の場合よりも、広範な代謝阻害を示すことが明らかとなった。 ・リン脂質、コレステロール、脂肪酸のレベルを調整することで、脂質代謝を阻害すると考えられる。 ・さらに、メトホルミンの糖代謝促進作用を打ち消し、解糖およびグルタミン代謝を減少させた。 ・また、細胞のエネルギー生成と酸化還元バランスに重要なTCAサイクルと抗酸化作用にも影響を及ぼすことが示唆された。 ・メトホルミンとL-アスパラギナーゼの併用は、がん生存に対して重要な2つの経路であるmTORC1およびMAPKシグナル伝達を阻害した。 ・これらの有益な影響が、DLBCL患者において実証された。  著者らは「メトホルミンとL-アスパラギナーゼの併用は、複数の代謝経路をターゲットとしてDLBCL細胞の生存に影響を及ぼすことから、再発・難治性DLBCLに対する新たな治療法となる可能性が示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Lordello L, et al. Cancers (Basel). 2025; 17: 394.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39941763 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
MDSの予後予測、IPSS-RとIPSS-Mで評価結果は異なる〜東京医科大学
MDSの予後予測、IPSS-RとIPSS-Mで評価結果は異なる〜東京医科大学
公開日:2025年2月24日 Otsuki S, et al. Rinsho Ketsueki. 2025; 66: 7-11.  骨髄異形成症候群(MDS)は、多様な疾患単位の集合体であり、単なる病型分類では十分な予後予測はできないと考えられている。1997年に骨髄の芽球、染色体、血球減少の3項目による予後判定スコア(IPSS)が公開され、2012年に改訂版であるIPSS-Rが開発された。さらに、2022年6月にはIPSS-Rをベースに、遺伝子変異を組み込んでリスクスコアを算出するIPSS-Mが公表された。東京医科大学の大月 俊輔氏らは、MDSの予後予測に対するIPSS-RとIPSS-Mの評価アウトカムの比較を行った。臨床血液誌2025年号の報告。  対象は、2021年1月〜2023年2月、東京医科大学で新たにMDSと診断された30例。2つの予後予測スコアリングシステムIPSS-RとIPSS-Mの比較を行った。遺伝子解析は、骨髄パネルで実施した。 主な結果は以下のとおり。 ・年齢中央値は66歳(35~80)。 ・内訳は、MDS-LBが18例、MDS IB-1が1例、MDS IB-2が2例、MDS-SF3B1が2例、MDS-biTP53が1例、MN-pCTが6例であった。 ・1症例当たりの変異数は、0~8(中央値:1)。 ・最も多く検出した変異は、TET2変異であり、U2AF1、TP53、RUNX1の変異が5例以上で検出された。 ・IPSS-Rによる分類では、very lowが2例、lowが14例、intermediate(Int)が5例、highが3例、very highが6例。 ・IPSS-Mによる分類では、very lowが3例、lowが9例、moderate low(ML)が7例、moderate high(MH)が2例、highが4例、very highが5例。 ・IPSS-M MLおよびMHをIPSS-R Intと同等のリスクとした場合、13例(43%)がIPSS-Mでリスク修正されたとみなされた。 ・1例はIPSS-Rではlowであったが、IPSS-Mではhighと評価された。  著者らは「一部のMDS患者において、IPSS-RとIPSS-Mによる評価は大きく異なることが示唆された。このことからも、治療方針の決定には注意が必要である」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Otsuki S, et al. Rinsho Ketsueki. 2025; 66: 7-11.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39924210 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
「早漏治療に関する臨床実践ガイドライン」世界で実践されている治療は?
「早漏治療に関する臨床実践ガイドライン」世界で実践されている治療は?
公開日:2025年2月24日 Mostafa T, et al. World J Mens Health. 2025 Feb 5. [Epub ahead of print]  早漏は、一般的にみられる男性の性機能障害であるが、その定義、診断基準、治療オプションが多岐に渡り、早漏マネジメントには大きな異質性および議論が伴う。エジプト・カイロ大学のTaymour Mostafa氏らは、早漏の診断およびマネジメントの世界的な実践パターンを調査した。The World Journal of Men's Health誌オンライン版2025年2月5日号の報告。  国際的な専門家集団が作成した質問票を用いて、早漏に関する横断的かつ世界的なオンライン調査を実施した。R version 4.1.2を用いて分析し、修正デルファイ法も用いて専門家の推奨事項を策定した。 主な結果は以下のとおり。 ・41ヵ国、264人が本調査に回答した。 ・回答者の多くは45歳未満であり、男性科学と性的健康にフォーカスした泌尿器科医であった。 ・早漏の診断は、主に膣内射精潜時が1分未満に基づき行われていた(61.5%)。 ・カテゴリ別では、生涯にわたる早漏が47.7%と最も多く報告された。 ・25%未満の症例でante-portasの早漏が観察されたと回答した割合は84.2%。 ・早漏と勃起不全との鑑別が困難であると回答した割合は60.7%。 ・最も多い併存疾患は糖尿病であった(17.1%)。 ・薬物療法は、最も頻度の高い治療選択肢であり(34.3%)、dapoxetineが最も好まれていた(37.9%)。 ・外科的治療の選択は稀であった。 ・ヒアルロン酸ゲルによる亀頭増大術などの新たな治療法の支持は、わずか11.7%に留まった。 ・早漏治療の有効性に関する第1評価基準は患者満足度であり(55.9%)、コストは最大の懸念事項であった(35.5%)。 ・患者ニーズに合わせたマルチモーダル治療アプローチが好まれていた。  著者らは「世界的調査により、早漏の診断および治療戦略の多様性が明らかとなった。標準的な診断基準は、一般的に受け入れられていた。適応外の薬物療法の頻度が高く、手術に関しては依然として議論の余地が残る結果であった。早漏マネジメントを改善するためには、さらなる神経生物学的研究の促進、効果的かつ安全な治療選択肢の開発が必要であろう」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Mostafa T, et al. World J Mens Health. 2025 Feb 5. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39947652 ヒポクラ(医師限定)へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら
コーヒーでコロナ予防!?
コーヒーでコロナ予防!?
公開日:2025年2月22日 Fan YZ, et al. Medicine (Baltimore). 2025; 104: e41550.  中国・The 991st Hospital of Joint Logistic Support Force of People's Liberation ArmyのYong-Zheng Fan氏らは、コーヒーの定期的な摂取がCOVID-19の予防または治療に有効であるかをシステマティックに評価し、メタ解析を行った。また、分子ドッキング法を用いて、そのメカニズムを調査した。Medicine誌2025年2月14日号の報告。  2024年8月1日までに公表されたCOVID-19の予防または治療におけるコーヒーの有効性に関する研究を、各種データベース(ClinicalTrials.gov、Cochrane Library、PubMed、Web of Science、Embase、China Biomedicine、Wanfang、CNKI、VIP)より検索した。2人の研究者により、Rev Man 5.4 softwareを用いて研究データをスクリーニングし、Schrodinger 2018-1 softwareを用いてメカニズムの可能性を調査した。 主な結果は以下のとおり。 ・5研究、3万9,290人をメタ解析に含めた。 ・1日1杯以上コーヒーを飲む場合、まったく飲まないまたは1杯未満の場合と比較し、ベネフィット率が有意に高かった(RD:0.17、95%CI:0.08〜0.27、p=0.0005)。 ・ベネフィット率向上には、COVID-19感染率の低下および回復率の向上(RD:0.24、95%CI:0.13〜0.35、p<0.0001)が含まれた。 ・分子ドッキング法では、コーヒーに含まれるクロロゲン酸およびカフェインが、ACE2のARG273/HIE345または3CLのCYS145などの主要なアミノ酸残基と結合して水素結合を形成することが示唆された。  著者らは「1日1杯以上のコーヒーの定期的な摂取により、COVID-19に対する予防または治療効果が期待できる可能性が示唆された。本検討では、研究の数および質が限られていたため、これらの結果を確認するためにも、ランダム化比較試験が必要である。また、コーヒーに含まれるクロロゲン酸およびカフェインがACE2や3CLなどの主要なアミノ酸残基による水素結合の形成と関連している可能性が確認されたが、正確な作用機序については、細胞内外の分子レベルでのさらなる検証が求められる」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Fan YZ, et al. Medicine (Baltimore). 2025; 104: e41550.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39960901 ヒポクラ(医師限定)へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら
Mel200移植前処置レジメンは、多発性骨髄腫の死亡リスクに影響しているのか
Mel200移植前処置レジメンは、多発性骨髄腫の死亡リスクに影響しているのか
公開日:2025年2月21日 Yilmaz U, et al. Ann Transplant. 2025: 30: e947186.  多発性骨髄腫(MM)における自家造血幹細胞移植(HSCT)の標準的な前処置レジメンは、メルファラン200mg/m2(Mel200)とされている。また、Frailの場合には、メルファランの投与量を30%減量(Mel140)して使用する。これらのレジメンの有用性を比較した研究では、主に非連続的な患者が含まれているケースやデータの欠落、異質性などにより、一貫性のない結果が報告されている。EBMT(European Society for Blood and Marrow Transplantation)が報告した最も大規模な研究において、自家HSCT前に最良部分奏効(VGPR)またはそれ以上の奏効を示した患者では、Mel200による死亡リスクの上昇が報告された。トルコ・イスタンブール大学のUmut Yilmaz氏らは、リアルワールドにおけるMel140またはMel200での前処置レジメンを行ったMM患者に対する初回自家HSCT後の臨床アウトカムを比較するため、単施設レトロスペクティブ研究を実施した。Annals of Transplantation誌2025年2月11日号の報告。  2012〜21年に初回自家HSCTを行った連続したMM患者159例のデータを分析した。主要アウトカムは全生存期間(OS)、副次的アウトカムは無増悪生存期間(PFS)とした。 主な結果は以下のとおり。 ・Mel200群は131例、Mel140群は28例。 ・フォローアップ期間中央値は5.8年。 ・90%以上はボルテゾミブベースの導入療法、76%以上は自家HSCT前にVGPR以上を達していた。 ・OSはMel200群の方が良好であった(HR:0.42、p=0.002)。 ・関連するすべてのサブグループにおいて、Mel200群のOSの優位性は維持された。 ・PFS推定値は両群間で同等であった(p=0.49)。  著者らは「我々の施設において、Mel200による前処置レジメンは、自家HSCT後のMM患者のOS延長と関連していた。これは、患者の生理学的状態やその後の治療に対する耐性を反映しているものと考えられる。EBMTから報告されたMel200に関連する死亡リスクの上昇は、本研究では裏付けられなかった」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Yilmaz U, et al. Ann Transplant. 2025: 30: e947186.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39930693 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
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