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睡眠時無呼吸症候群の診療のポイント(2)
睡眠時無呼吸症候群の診療のポイント(2)
「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」等の内容を踏まえながら、SASの病態・検査・治療について概略する。 ■SASの病態1.SASの定義SASは、睡眠中に無呼吸や低呼吸が繰り返される疾患である。通常、いびきを伴う閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と、呼吸努力を伴わない中枢性睡眠時無呼吸(CSA)に分けられるが、ここでは圧倒的に患者数の多いOSAについて解説する。 2. 原因OSAの主な原因は、上気道の閉塞や狭窄である。肥満や特定の生活習慣があると、気道閉塞を引き起こしやすくなる(後述)。また、顎が小さい、扁桃肥大、鼻中隔彎曲などの解剖学的要因も関与する6) 3. 健康リスクOSAの重大な問題は、睡眠の質の低下にとどまらず、全身の健康リスクを著しく増大させる点にある。米国の研究では、SAS患者は高血圧の発症リスクが約2倍、虚血性心疾患のリスクが約3倍、脳血管疾患のリスクが3~5倍に上昇すると報告されている 7)。さらに、OSA は 2 型糖尿病発症のリスク因子であることや 8)、睡眠時間中に心原性突然死をきたすリスクになると指摘されている9) 。 ■SASの検査と診断SASの検査には、腕時計タイプの機械を用いる簡易検査と、さらに詳しく調べるための終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)がある。 1. SAS簡易検査簡易検査は、睡眠中のSpO2を測定する検査で、機器をレンタルして自宅で検査することもできる。後述するPSG検査は専門施設でないと実施できないが、簡易検査は一般診療所でも実施可能で、最近ではSAS簡易検査装置を自宅に直接届けるサービスが広がったこともあり、実施数が増加している。 2. PSG検査PSG検査は、睡眠中の呼吸状態や睡眠の質を詳細に調べるため、入院が必要になる。いびきやSpO2の他、脳波、眼球運動、心電図、筋電図、呼吸曲線などを一晩にわたって測定・記録し、無呼吸のタイプや重症度を評価する。解析は専門の医師や臨床検査技師が行う。 3. 診断のアルゴリズムSAS診断のアルゴリズムは以下の通りである 10)。なお、診断に用いられるAHI(無呼吸低呼吸指数)とは呼吸イベント(無呼吸および低呼吸)の総数を 総睡眠時間(TST) で 割ったものである。無呼吸数、低呼吸数それぞれについて指数を算出したものを、それぞれ無呼吸指数 (AI)、低呼吸指数(HI)とよぶ 11)。 ■SASの治療1. AHIによる重症度分類SAS治療においては、AHI指数を用いて、以下のように重症度が分類される 12)。 ・軽症:AHI 5~15未満・中等症:AHI 15~30未満・重症:AHI 30以上 軽症のSASであれば、睡眠時のポジショニング、体重コントロール、マウスピースの使用、生活習慣の改善などを指導する。中等症以上であれば、経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)が選択される。AHIが簡易検査で40回/時以上、PSG検査で20回/時以上であれば保険適用となる13) 。 2. CPAP療法CPAPは、睡眠中に鼻マスクを装着し、適切な圧力の空気を気道に送り込むことで気道の閉塞を防ぎ、無呼吸や低呼吸の発生を抑える治療法である。CPAP患者へのアンケート(86名)によると、何らかの自覚症状の改善をみたのは92%にのぼっていた14) 。 合併症に対するCPAPの効果としては、OSA患者の血圧が低下し、減量や高圧薬に上乗せの高圧効果が期待できること、適切な使用状況が確保できていれば、心血管イベントを抑制する可能性がある15) 。 近年、CPAP装置は小型化・軽量化が進んでおり、旅行先などへも容易に持ち運びできるようになった。また、無呼吸のタイプを検出して適切な圧力をかける機能や、加湿調整機能、静音設計など、より快適に治療を継続できる工夫が施されたモデルも登場している。 3. CPAP療法に関する診療報酬と算定要件CPAP療法に関連する診療報酬は以下の通りである16) 。 ① 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料:月1回、外来での指導管理に対して算定可能② 在宅持続陽圧呼吸療法用治療器加算:CPAP装置の貸与に対する加算で、3カ月に3回まで算定可能③ 在宅持続陽圧呼吸療法材料加算:CPAP療法に必要な消耗品に対する加算で、3カ月に3回まで算定可能 これらを算定するためには、患者がCPAP装置を継続的に使用していることや、医療機関が適切な指導管理を行っていることが条件となる。また、IT機器を用いた診療(オンライン診療)でも、一定の条件下で指導管理料を算定できる。 ■引用文献: 6)帝人ヘルスケア株式会社.“なぜ呼吸が止まるのか?”.睡眠時無呼吸なおそう.comhttps://659naoso.com/sas/reason7)岩間義孝. 睡眠時無呼吸症候群:循環器系・代謝内分泌系への影響.順天堂医学.2007;53: 278-287.8) 7. Reutrakul S, Mokhlesi B. Obstructive Sleep Apnea and Diabetes: A State of the Art Review. Chest 2017; 152: 1070- 1086.9) Gami AS, Howard DE, Olson EJ, et al. Day-night pattern of sudden death in obstructive sleep apnea. N Engl J Med 2005; 352: 85 1206-1214.10)睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン作成委員会 編: 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020, 南江堂, 2020; :ⅶ11)一般社団法人日本循環器学会.2023年改訂版循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン.2023:16.12)睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン作成委員会 編: 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020, 南江堂, 2020; 2-3.13)日本医科大学千葉北総病院. “陽圧呼吸療法(CPAP治療)”.https://www.nms.ac.jp/hokuso-h/section/cardiovascular/arrhythmia_copy/catheter_copy.html14)睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン作成委員会 編: 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020, 南江堂, 2020; ⅶ.15)睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン作成委員会 編: 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020, 南江堂, 2020; xvii-xviii.16)帝人ファーマ株式会社・帝人ヘルスケア株式会社.”令和6年度診療報酬 在宅酸素療法、在宅人工呼吸、在宅持続陽圧呼吸療法、在宅ハイフローセラピー等に関する診療報酬について”.TEIJIN Medical Webhttps://medical.teijin-pharma.co.jp/medicalsystem/ms11.html
睡眠時無呼吸症候群の診療のポイント(1)
睡眠時無呼吸症候群の診療のポイント(1)
編集:株式会社エクスメディオ取材元:帝人ファーマ主催「家族となおそう睡眠時無呼吸」疾患啓発イベントメディア発表会(2025年1月27日開催)/帝人ファーマ株式会社 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の潜在患者数は、国内だけで940万人以上1)と推定されている。SASは、QOLを損なわせるだけでなく、高血圧や心疾患のリスク因子ともなるため、早期診断と病態に応じた治療法のアップデートが必要となる。SASの診療に関する最新の取り組みを取材した。 ■こんな患者がいたら、SASに要注意1.自他覚症状2)SASの患者は、睡眠中に何度も呼吸が止まり、そのたびに脳が覚醒するため、深い眠りが妨げられることになる。その結果、熟睡感が得られず、日中の強い眠気や集中力の低下が引き起こされる。SASの患者によく見られる症状には次のようなものがある。出典:帝人ヘルスケア株式会社.“睡眠時無呼吸症候群とは”.睡眠時無呼吸なおそう.comより作図 2. 生活習慣・身体的特徴3)SASは、特定の生活習慣や身体的特徴を持つ人が発症しやすいとされる。特に肥満者は、首の周囲に脂肪が付くことで気道が狭くなり、無呼吸を起こしやすくなる。また、飲酒は筋肉を緩め、喫煙は気道の炎症を招くため、どちらもSASのリスク因子となる。さらに、加齢、男性であること、睡眠薬の使用も発症リスクを高めるとされている。 3. 合併症 4)SASは他の疾患と密接に関連しており、以下の患者には特に注意が必要となる。これらの疾患を診療する際は、患者の睡眠中の呼吸状態や日中の眠気、いびきの有無などを確認し、SASの可能性を考慮したい。 ① 高血圧SAS患者の多くは高血圧を併発しており、特に治療抵抗性高血圧の場合、SASの可能性を考慮する必要がある。② 心血管疾患SASは、心筋梗塞、心不全、心房細動などのリスクを高めることが知られている。③ 糖尿病2型糖尿病患者はSASの有病率が高く、血糖コントロールが難しい場合はSASのスクリーニングを検討すべきである。④ 肥満特に内臓脂肪型肥満は、SASの主要なリスク因子とされる。⑤ 脳血管疾患脳卒中や一過性脳虚血発作(TIA)の既往がある患者は、SASのリスクが高まる。⑥ 慢性腎臓病SASは腎機能の低下と関連しており、特に原因不明の腎機能悪化が見られるケースではSASの疑いがある。 ■SAS診療の実践メソッド1. 患者が治療の必要性に納得しない。どうするか?行動経済学の専門家である平井啓氏(大阪大学大学院人間科学研究科)は、患者と医療者が見ている世界の違いを指摘し、患者は、「どこに出口があるか、この先に危険なものがあるかを知らないまま眼の前の道を歩んでいる」のに対し、医療者は、「周囲の人からは全体像や将来のリスク、出口がどこにあるかが見えている」状態であるという。両者のすれ違いを解消するためには、「人間の考え方は損失回避的であり、それが自然な反応であることを、医療者も理解が必要である」と述べている。これらを踏まえた具体的手段として、フレーミング効果による「利得フレーム」を用いた説明方法を(表1)のように整理している。 ■ 同じ現象のポジティブな側面(ポジティブ/利得フレーム)とネガティブな側面(ネガティブ/損失フレーム)のどちらに焦点を当てるかで意思決定が変化すること 例)利得フレーム「治療を受けると90%の確率で治ります」損失フレーム「治療を受けないと10%の確率で病気が悪化します」 表1:フレーミング効果による「利得フレーム」を用いた説明方法 出典:帝人ファーマ主催「家族となおそう睡眠時無呼吸」疾患啓発イベント、大阪大学大学院 人間科学研究科 准教授 公認心理師 平井 啓先生 講演スライド【2025年1月27日】 2. 自施設には、検査・治療体制がない。どうするか?SASの疑いがある患者に対して、簡易検査機器を自宅に配送し検査できるサービスや、PSG検査環境の整備・院内スタッフの教育やデータ解析などを、外部委託できるサービスもある。SAS診療においては、検査・診療体制が整わない場合でも、活用できる外部資源が充実しているため、ぜひ活用いただきたい(参考サイト:医療機関のニーズに応じたテイジンのSAS診療サポート体制)SAS診療において、かかりつけ医は患者の早期発見・早期治療に重要な役割を果たす。日常診療で生活習慣病や関連疾患を診る際、SASの可能性についても考慮し、簡易検査を実施することで、潜在患者の適切な診断・治療につながるだろう。また、簡易検査後、診断が難しい場合や重症が疑われる場合は、専門医へ紹介することが推奨される。専門医は精密検査や治療方針の決定を担当し、治療が安定した患者は再び地域へ戻り、かかりつけ医が継続的な管理を行う。こうして地域全体での質の高い医療提供が可能になる 。5) ■インタビュー:睡眠時無呼吸症候群の早期受診・治療に向けてSASの検査装置・治療器を展開する帝人ファーマは、「SASに関する正しい知識を広めることで、患者さんを取り巻くご家族や周囲の方の協力による早期発見・予防を促していきたい」と語り、いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)に悩む方のためのポータルサイト「無呼吸なおそう.com」を運営している。セルフチェックや専門の医療機関を検索することが可能である。また、医療機関に対しても、SASの検査や治療体制について、まだ十分な理解が得られていないとして、「TEIJIN Medical Web」において、SAS診療のハードル解消に向けた情報を提供している。同社は、SASの治療課題解決に向けて、「糖尿病 ·高血圧などの生活習慣病のように、SASが全国どこでも検査・治療できる環境を目指したい」と意気込みを語った。 ■引用文献:1) Benjafield AV, et al: Lancet Respir Med 2019; 7(8): 687-698.2)帝人ヘルスケア株式会社.“睡眠時無呼吸症候群とは”.睡眠時無呼吸なおそう.comhttps://659naoso.com/sas3)帝人ヘルスケア株式会社.“睡眠時無呼吸症候群患者さんの傾向”.睡眠時無呼吸なおそう.comhttps://659naoso.com/sas/danger4)一般社団法人日本循環器学会.2023年改訂版循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン.2023:21-235)帝人ファーマ株式会社・帝人ヘルスケア株式会社.“睡眠時無呼吸症候群患者の地域における診療連携のあり方”https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/sdb/medical_agency/okl8co00000001es-att/202203.pdf ▼SAS病態・検査・治療に関するより詳しい情報はこちらからご覧いただけます▼睡眠時無呼吸症候群の診療のポイント(2)
自家HSCTにおける造血幹細胞動員の失敗とその要因は?
自家HSCTにおける造血幹細胞動員の失敗とその要因は?
公開日:2025年3月17日 Hidayat I, et al. J Coll Physicians Surg Pak. 2025; 35: 367-371.  パキスタン・The Armed Forces Bone Marrow Transplant CentreのIrsa Hidayat氏らは、造血幹細胞動員失敗リスクを有する患者を特定し、代替治療を迅速に検討するため、この地域における造血幹細胞動員の失敗率およびその関連因子を調査した。JCPSP誌2025年3月号の報告。  2014年1月〜2023年7月にパキスタン・The Armed Forces Bone Marrow Transplant Centreの臨床血液学科にて、記述的研究を実施した。自家造血幹細胞移植(auto-HSCT)の予定があり、造血幹細胞動員を行なった115例を対象に、カルテを分析した。造血幹細胞の動員が不十分なpoor mobilizer患者は、CD34陽性細胞数2.0×106 /kg超のPBSC採取が未達の患者または目標達成のためにシクロホスファミド・G-CSF投与後、プレリキサホル追加投与を必要とした患者と定義した。 主な結果は以下のとおり。 ・造血幹細胞動員レジメンの内訳は、シクロホスファミド+G-CSFが85例(74%)、G-CSF+プレリキサホルが28例(24%)、G-CSFのみが2例(2%)。 ・初回造血幹細胞動員レジメン後、CD34陽性細胞数2.0×106 /kg超のPBSC採取を達成した患者の割合は84%であった。 ・造血幹細胞動員の失敗率は16%。 ・造血幹細胞採取の成功と有意な相関が認められた因子は、年齢、悪性リンパ腫タイプとその移植適応、化学療法治療歴、骨髄毒性を有する薬剤の使用、定常状態におけるCD34陽性細胞数、プレリキサホルの使用であった。 ・多変量解析では、プレリキサホルの使用のみが造血幹細胞動員の成功と関連していた。  著者らは「とくに重度の治療歴を有する悪性リンパ腫患者では、プレリキサホルの使用により造血幹細胞動員の成功率を有意に向上させ、造血幹細胞動員レジメンによるPBSC採取量および費用対効果を有意に改善することが示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Hidayat I, et al. J Coll Physicians Surg Pak. 2025; 35: 367-371.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/40055174 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
【紹介?経過観察?】血液検査値以上のケースから考える血液専門医へのコンサルトのポイント
【紹介?経過観察?】血液検査値以上のケースから考える血液専門医へのコンサルトのポイント
<監修> 健診や診療の過程で血液検査の異常が見つかった場合、その対応は患者さんの背景や施設の体制によって変わります。特に、赤血球・白血球・血小板の異常値や骨髄増殖性疾患(MPN)が疑われるケースでは、迅速かつ適切な判断が求められます。本コンテンツでは、血液専門医ではない先生方が臨床の現場で直面しやすいケースを取り上げ、どのようなタイミングで専門医にコンサルトすべきか、またその際に役立つポイントを分かりやすく整理しました。診療にすぐに活かせる実践的な内容となっておりますので、日常診療の参考にしていただければ幸いです。 血液検査異常時の対応ポイント ■赤血球が異常値のケース貧血でまず専門医へのコンサルトが必要なのは血小板も低いときです。初期の再生不良性貧血ではしばしば血小板が先行して低下してきます。ただし、肝硬変の時もこの2系統が低下します。肝疾患は除外した上で血液内科医にご相談ください。一方で、貧血単独で内科医がよく遭遇するのは鉄欠乏性貧血です。鉄やフェリチンが低値であればそれで解決なのですが、正常な時にはサラセミアの可能性があります。遺伝的にヘテロな場合には軽い貧血にとどまることも多く、一度専門医へコンサルトしてみてください。ただし、ほとんどの施設で確定診断のための遺伝子検査はできませんし、治療も要さないので紹介しても患者さんへの説明にとどまることがほとんどです。他には、赤芽球癆(網状赤血球数が参考になります)、萎縮性胃炎に伴うビタミンB12欠乏や腎性貧血です。前者はMCV高値から多くの内科医が疑うと思いますが、腎性貧血だと思って経過をみていた患者さんが、骨髄検査をしてみたら骨髄異形成症候群だったというケースもあります。ESA製剤などに反応が悪い場合には一度血液内科医に相談してみるとよいでしょう。多血の場合にはエリスロポイエチンの測定をまずしてみてください。抑制されているようであれば真性多血症の可能性があります。正常~高値であれば二次性多血症のことがほとんどですので、SGLT2阻害剤や睡眠時無呼吸症候群がないかなど、原因検索を進めてからの相談がよろしいかと思います。 ■白血球が異常値のケース白血球数低値は日常診療でしばしば経験することだと思います。特に感染症を疑って検査をした場合など、ウイルス感染に伴って反応性に低値を示すことが多いです。分画を見ると単球やリンパ球が軽度上昇していると思います。血小板数が正常であれば心配いりませんが、念のため10日前後で再検することを患者さんに勧めるべきです。慢性リンパ性白血病や急性白血病の初期をみていることが稀にあります。持続的に異常を呈している場合や血小板数が低い場合には血液内科医に相談しましょう。急性前骨髄性白血病(APL)は緊急性を要する代表的な疾患ですが、しばしば汎血球減少症を呈します。分画の確認と合わせて注意してください。 ■白血球数高値を呈する典型的な疾患として白血球数高値の場合には慢性骨髄性白血病(CML)が良く知られています。その際、血小板が正常~高値を呈します。また、分画では幼弱血球が出現して好塩基球の割合が高値を示すのが特徴です。それが確認できればその時点でCMLが強く疑われますので血液内科医に紹介すべきですが緊急性はありません。内科医がフィラデルフィア染色体検査を提出して確定診断をすることも良いことだと思うのですが、最終的には他の遺伝子検査をすることも多く診断までに時間を要して、検査が繰り返されて患者さんの費用負担が増す恐れもあります。地域性も考慮してご判断ください。また、分画でリンパ球が高値の場合には慢性リンパ性白血病や悪性リンパ腫の骨髄浸潤の可能性があります。前述の通り、どこまで一般的な内科医がスクリーニングした上で血液内科に紹介するかは施設によっても異なると思いますが、これらも緊急性はないことがほとんどです。唯一急いだほうが良いのは急性白血病の時です。分画に芽球がいる連絡を受けたらすぐに患者さんと連携施設に連絡してください。LDHや凝固の情報があるとより良いですが、何よりもすぐに専門医と相談するべきです。 ■血小板が異常値のケースまず血小板が高値のときですが、鉄欠乏性貧血を否定してください。軽度の上昇でも、骨髄異形成症候群(MDS)や本態性血小板増多症(ET)の可能性があります。ETにおける診断基準はあくまで目安です。持続的に高値の場合には、血栓症が起こる前に血液内科医へご相談ください。CMLの所でも触れましたが、ETやPVなどの骨髄増殖性疾患の診断に必要な遺伝子検査は、診療報酬の請求において施設基準を要するものがあります。それを踏まえても追加検査などせずに血液内科に紹介しても良いです。次に血小板が低値の場合ですが、まず薬剤性を除外します。直近で開始された薬剤などご確認ください。薬剤性や感染後の反応性が除外され、肝疾患がなければ血液疾患の可能性が高いです。免疫性血小板減少症、再生不良性貧血やMDSなどは数値さえ低くなければ緊急性はないですが、急性白血病の可能性にも注意して、白血球分画などをご確認ください。また、高度に血小板が低下して溶血や腎機能障害を伴う血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は時間を争う疾患ですので、夜間でも大学病院や総合病院に躊躇なく連絡をしてください。 以上は日常的にしばしば遭遇する採血異常を中心に説明させていただきました。本文中にも記載しましたが、血液内科医への相談が比較的ハードル低い施設と、電話もなかなか取り次いでもらえないような施設があると思います。へき地や離島で患者さんに受診を促すことも躊躇される場合もあるかもしれません。また、私も開業医として感じていることですが、外来中心に患者さんを診ていると、1人大きな検査異常があっても時間の制約があって説明や方針を決め、大学病院や総合病院に取り次ぐ手続きをするのは大変です。どの程度のことであればコンサルトしてよいのか一律に線引きを決めるのは難しいかもしれませんが、多くの血液内科医が何でも相談してよいよという姿勢を一般の内科医にアピールすることが大事だと思います。一人一人の患者さんのためには、紹介を受け取る側が喜んで患者さんを受け入れる姿勢を常に持ち続けることが大切なのだと思います。 関連コンテンツ▶骨髄増殖性腫瘍~知っておきたい希少疾患 ▶真性多血症~知っておきたい希少疾患 ▶血液検査の結果より気を付けたい症例~巨赤芽球性貧血~
日本におけるVEN+AZAによるAML治療、好中球減少に焦点を当てた解析結果〜VENUS試験中間解析
日本におけるVEN+AZAによるAML治療、好中球減少に焦点を当てた解析結果〜VENUS試験中間解析
公開日:2025年3月14日 Goto T, et al. Oncol Ther. 2025 Mar 7. [Epub ahead of print]  初発の急性骨髄性白血病(AML)に対するベネトクラクス(VEN)治療は、臨床的なベネフィットが示されているが、著しい好中球減少の懸念が残っている。治療コース全体に渡る好中球数の経時的な変化に関する実臨床データは依然として限られている。日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院の後藤 辰徳氏らは、日本のリアルワールドにおけるVENとアザシチジン(AZA)を投与されたAML患者の好中球減少のマネジメントを検討したVENUS研究の中間解析結果を報告した。Oncology and Therapy誌オンライン版2025年3月7日号の報告。  VEBUS研究は、10施設が参加した多施設レトロスペクティブ観察研究として実施した。対象は、VEN治療を行った強化化学療法非適応の初発AML成人患者。1コース以上のVEN治療を行った患者について、治療パターン、G-CSFの投与、抗真菌薬の予防投与、好中球数の経時的な変化を分析した。 主な結果は以下のとおり。 ・VENは、1コース目で平均27.0日間投与され、2コース目以降で平均21.0日間(範囲:14.0〜22.0)投与されていた。各コース終了時の投与量保留の平均期間は、8.5〜15.0日であった。 ・VEN+AZA治療の平均コース数は、G-CSFを投与されていた患者81例では6.0コース、G-CSFを投与されていなかった患者39例では3.0コースであった。 ・1コース目では、8〜28日目にかけて好中球数中央値が500/μl未満に減少していたが、29〜35日目までに500/μl超に回復していた。 ・その後、10コース目までのすべてのコースにおいて、22〜28日目にかけて好中球数中央値は最低値に達した。 ・一部のコースでは、好中球数が500/μl未満に減少していたが、翌週までに500/μl超に改善が認められた。 ・これには、VENの投与スケジュールの変更およびG-CSFの投与により、2コース目以降ほとんどの患者で感染レベルが上昇しない程度の好中球レベルを維持していた。 ・抗真菌薬の予防投与を行なっていた患者は88例(73.3%)であり、リスクに基づく抗真菌薬の予防投与が考慮されるべきであると考えられる。  著者らは「本リアルワールド分析により、VEN+AZA投与を行なっている初発AML患者におけるVEN投与スケジュールの変更やG-CSFの投与による好中球数の回復タイミングが明らかとなった。また、高リスク患者に対する抗真菌薬予防の投与タイミングに関する現状も明らかとなった」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Goto T, et al. Oncol Ther. 2025 Mar 7. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/40055300 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
高齢同胞ドナーvs.若年HLA適合非血縁ドナー、PTCy同種HSCTで優先すべきは/Blood Adv
高齢同胞ドナーvs.若年HLA適合非血縁ドナー、PTCy同種HSCTで優先すべきは/Blood Adv
公開日:2025年3月13日 Nath K, et al. Blood Adv. 2025 Mar 6. [Epub ahead of print]  移植後のシクロホスファミド(PTCy)ベースの移植片対宿主病(GVHD)予防を行う場合、同種造血幹細胞移植(HSCT)ではHLA適合よりも若年ドナーを優先すべきかは、不明であった。オーストラリア・Icon Cancer CentreのKarthik Nath氏らは、50歳以上の適合同胞ドナー(MSD)または35歳以下の若年代替ドナーから移植を行った場合のPTCyベースの同種HSCTレシピエントにおける臨床アウトカムを比較した。Blood Advances誌オンライン版2025年3月6日号の報告。  データは、2014〜21年に国際血液骨髄移植研究センターに報告されたHLA適合非血縁ドナー(MUD)、HLA不適合非血縁ドナー(MMUD)、ハプロ血縁ドナーのデータを用いた。カルシニューリン阻害薬(CNI)ベースの同種HSCTについても、研究基準を満たした場合には、同時に評価した。主要エンドポイントは、全生存率(OS)とした。 主な結果は以下のとおり。 ・移植レシピエント1万4,662例のうち、PTCyベースのGVHD予防例が3,746例、CNIベースのGVHD予防例が1万916例であった。 ・フォローアップ期間中央値は47ヵ月。 ・PTCyベースの同種HSCTレシピエントにおける調整後の5年OSは、MSDで44%、MUDで52%(多変量ハザード比[HR]:1.20、95%CI:1.03〜1.41、p=0.09)、ハプロ移植で45%(HR:1.02、95%CI:0.88〜1.18、p=1.00)、MMUDで46%(HR:1.00、95%CI:0.83〜1.21、p=1.00)であり、有意な差は認められなかった。 ・MSDと比較し、若年MUDから移植を受けたレシピエントは、PTCy(HR:1.21、95%CI:1.05〜1.40、p=0.048)、CNI(HR:1.09、95%CI:1.04〜1.15、p<0.01)のいずれの予防においても無病生存期間(DFS)の改善との関連が認められた。 ・ハプロ移植を受けたレシピエントは、MSDと同様のOSとの関連が認められたが、PTCyのMUDから移植を受けたレシピエントと比較するとOS不良であった(HR:1.18、95%CI:1.05〜1.33、p=0.04)。  著者らは「これらの結果は、高齢レシピエントの場合、高齢MSDは若年代替ドナーと比較し、同様のOSが期待できることを示唆している。若年MUDが利用可能な場合には、DFSの改善が患者に有益な結果をもたらす可能性がある」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Nath K, et al. Blood Adv. 2025 Mar 6. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/40048743 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
3rdライン以降のFL治療、CAR-T細胞療法と二重特異性抗体のどちらを選択すべきか
3rdライン以降のFL治療、CAR-T細胞療法と二重特異性抗体のどちらを選択すべきか
公開日:2025年3月12日 Nastoupi LJ, et al. Exp Hematol Oncol. 2025; 14: 30.  再発・難治性濾胞性リンパ腫(FL)の治療環境は、抗CD19 CAR-T細胞療法であるリソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel)や抗CD20/CD3二重特異性モノクローナル抗体であるモスネツズマブなどの登場により、大きく変化した。liso-csiおよびモスネツズマブは、再発・難治性FLに対する3次治療以降において、良好なベネフィット・リスクプロファイルを示し、承認された薬剤であるが、両剤を比較したプロスペクティブランダム化研究はこれまで行われていなかった。米国・CommonSpirit MercyのLoretta J. Nastoupil氏らは、再発・難治性FLに対する3次治療以降におけるliso-celとモスネツズマブの有効性および安全性を評価するためunanchored matching-adjusted indirect comparison(MAIC)による間接比較を実施した。Experimental Hematology & Oncology誌2025年3月5日号の報告。  liso-celのTRANSCEND FL試験とモスネツズマブのGO29781試験の相対的な治療効果を推定するため、unanchored MAICを実施した。有効性エンドポイントは、客観的奏効率(ORR)、完全奏効率(CR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)とした。安全性エンドポイントは、サイトカイン放出症候群(CRS)、神経学的イベント(NE)、重篤な感染症、CRSに対するコルチコステロイドまたはトシリズマブの使用とした。有効性比較ではTRANSCEND FL試験の白血球アフェレーシスセット114例、安全性比較では治療セット107例、有効性の感度分析では治療有効性セット101例を用いて比較を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・有効性に関しては、調整後、liso-celはモスネツズマブと比較し、ORR、CRが高く、DOR、PFSの改善が確認された。 【ORR】オッズ比(OR):3.78、95%信頼区間(CI):1.48〜9.67 【CR】OR:6.46、95%CI:2.85〜14.65 【DOR】ハザード比(HR):0.45、95%CI:0.26〜0.77 【PFS】HR:0.28、95%CI:0.16〜0.49 ・感度分析全体で、結果に一貫性が認められた。 ・安全性に関しては、liso-celは、grade3以上のCRS発生率、grade3〜4の重篤な感染症発生率、CRSに対するコルチコステロイドの使用率が低かった。一方、全てのgradeのCRS、NEの発生率、トシリズマブの使用率が高かった。 【grade3以上のCRS発生率】OR:0.45、95%CI:0.04〜5.13 【grade3〜4の重篤な感染症発生率】OR:0.35、95%CI:0.12〜1.03 【CRSに対するコルチコステロイドの使用率】OR:0.14、95%CI:0.03〜0.65 【すべてのgradeのCRS発生率】OR:1.86、95%CI:1.01〜3.43 【すべてのgradeのNE発生率】OR:2.16、95%CI:0.72〜6.44 【CRSに対するトシリズマブの使用率】OR:2.27、95%CI:0.86〜5.99  著者らは「再発・難治性FLに対する3次治療以降の治療として、liso-celはモスネツズマブよりもベネフィット・リスクプロファイルに優れている可能性が示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Nastoupi LJ, et al. Exp Hematol Oncol. 2025; 14: 30.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/40045329 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
高脂肪ヨーグルトは、腹部肥満に悪影響?好影響? 他4本≫ Journal Check Vol.140(2025年03月15日号)
高脂肪ヨーグルトは、腹部肥満に悪影響?好影響? 他4本≫ Journal Check Vol.140(2025年03月15日号)
高脂肪ヨーグルトは、腹部肥満に悪影響?好影響? 発酵乳製品の摂取が腹部肥満を抑制する潜在的有効性について、これまで様々な分析が行われている。著者らは、コホート研究を対象としたメタアナリシスを実施し、高脂肪および低脂肪の発酵乳製品とその摂取量が腹部肥満に与える影響を検討した。Eating and Weight Disorders誌2025年3月7日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む やせ型男性要注意!タンパク質制限による更なる“痩せすぎ”リスクとは? タンパク質制限食は、マウスにおいてエネルギー消費を増加させインスリン感受性を高めるが、健康なヒトにおける効果は十分に解明されていない。著者らは、やせ型の健康な男性を対象に、最低限必要なタンパク質量を満たすタンパク質制限食を5週間にわたり摂取した場合のエネルギー必要量やFGF21との関連を調査した。Nature Metabolism誌オンライン版2025年3月6日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む SSRIの高血圧リスク:WHOデータ解析 最近の文献で、セロトニン再取り込み阻害薬(SRI)と高血圧の関連が報告されているが、依然として議論が続いている。特に、この関連がSRI共通のクラス効果なのか、または用量依存があるのかは不明である。著者らは、SRIと高血圧発症の関連を検討するため、WHOのファーマコビジランスデータベースであるVigiBaseを用いて解析を行った。PLOS One誌オンライン版2025年3月7日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 「冬眠」が新たな老化予防策になる!? 休眠と冬眠は、寿命延長に関連する恒温動物の生理学的適応である。しかし、休眠が老化にどのように影響するか、また低体温・低代謝状態を誘導して老化を遅らせ、健康寿命を延ばすことができるかどうかの根本的なメカニズムは不明である。著者らは、休眠様状態マウスを用いて老化減速効果が深部体温の低下により媒介されることを示した。Nature Aging誌オンライン版2025年3月7日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 認知症に音楽療法は効くか? 著者らは、認知症患者に対する音楽療法介入を評価するため、レビューを実施した。具体的には、介入終了時および終了から4週間以上経過した時点での情緒的幸福(生活の質を含む)、気分障害や否定的感情(抑うつ症状・不安)、行動上の問題(興奮・攻撃性などの神経精神症状)、社会的行動、認知に及ぼす影響と副作用を評価した。The Cochrane Database of Systematic Reviews誌2025年3月7日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む ヒポクラへ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ Journal Check Vol.139(2025年03月08日号) 結局、コロナワクチンは、現在でも接種すべきなのか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.138(2025年03月01日号) オリーブオイル摂取で、体重は減るのか?増えるのか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.137(2025年02月22日号) コーヒーでコロナ予防!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.136(2025年02月15日号) 「ビーフ or チキン」アルツハイマー病に影響する食品は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.135(2025年02月08日号) コーヒー・紅茶の健康効果が高いのはどんな人? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.134(2025年02月01日号) 筋トレの「神話」と「真実」:ジム利用者は正解を知っている? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.133(2025年01月25日号) 結局、赤肉は健康に是か非か? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.132(2025年01月18日号) コーヒーはいつ飲むのがベストか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.131(2025年01月11日号) 結局、アジア人にとって乳製品はCVDリスクを減らすのか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.130(2024年12月21日号) 月1回未満の性行為は、うつ病リスクを高める!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.129(2024年12月14日号) 寒さによる"震え”は、1日〇時間でダイエット効果あり!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.128(2024年12月07日号) 筋トレに最適な時間帯は、午前?午後? 他4本
80歳以上のDLBCL患者でもCAR-T細胞療法は検討する価値があるのか?
80歳以上のDLBCL患者でもCAR-T細胞療法は検討する価値があるのか?
公開日:2025年3月11日 Kharfan-Dabaja MA, et al. Bone Marrow Transplant. 2025 Mar 1. [Epub ahead of print]  CAR-T細胞療法の臨床試験では、高齢者の悪性リンパ腫患者に対する検討は、十分に行われていない。米国・メイヨークリニックのMohamed A. Kharfan-Dabaja氏らは、80歳以上の悪性リンパ腫患者に対する標準的なCAR-T細胞療法の安全性および有効性を評価するため、多施設共同観察研究を実施し、その結果を報告した。Bone Marrow Transplantation誌オンライン版2025年3月1日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者数は88例、年齢中央値は82歳(範囲:80〜89)。 ・最も多かった組織学的所見は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)であった(60例、68.2%)。 ・主に、アキシカブタゲン シロルユーセル(axi-cel:41例、46.6%)、リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel:25例、28.4%)が使用された。 ・サイトカイン放出症候群(CRS)は68例(77.3%)、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)は51例(58%)で発生した。 ・grade3〜4のCRS発生率は7.4%、ICANS発生率は31.4%。 ・DLBCL/形質転換した濾胞性リンパ腫(tFL)では、1年非再発死亡率(NRM)が11.6%、再発率が40.8%、無増悪生存率(PFS)が47.6%、全生存率(OS)が61.2%であった。  著者らは「CAR-T細胞療法は、80歳以上のB細胞リンパ腫患者に実行可能かつ効果的な治療選択肢である」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kharfan-Dabaja MA, et al. Bone Marrow Transplant. 2025 Mar 1. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/40025178 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
DLd療法の5年超長期アウトカム結果、移植非適応MMの1stラインで間違いないのか〜MAIA試験長期フォローアップ結果
DLd療法の5年超長期アウトカム結果、移植非適応MMの1stラインで間違いないのか〜MAIA試験長期フォローアップ結果
公開日:2025年3月10日 Facon T, et al. Leukemia. 2025 Feb 27. [Epub ahead of print]  MAIA試験において、未治療で移植適応のない多発性骨髄腫(MM)患者に対するダラツムマブ+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法(DLd療法)は、Ld療法と比較し、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の改善に寄与することが報告された。フランス・リール大学のThierry Facon氏らは、MAIA試験の長期フォローアップ結果を分析し、最新の有効性および安全性データを報告した。Leukemia誌オンライン版2025年2月27日号の報告。  対象は、未治療で移植適応のないMM患者737例。DLd療法群またはLd療法群に1:1でランダムに割り付けられた。フォローアップ期間中央値は64.5ヵ月。分析には、患者の年齢別(70歳未満、70〜74歳、75歳以上、80歳以上)のサブグループ解析を含めた。 主な結果は以下のとおり。 ・主要エンドポイントであるPFSは、DLd療法群の方がLd療法群よりも良好であった(PFS中央値:61.9ヵ月vs.34.4ヵ月、ハザード比[HR]:0.55、95%信頼区間[CI]:0.45〜0.67、p<0.0001)。 ・OS中央値は、DLd療法群では未達、Ld療法群は65.5ヵ月であり(HR:0.66、95%CI:0.53〜0.83、p=0.0003)、60ヵ月推定OSはDLd療法群で66.6%、Ld療法群で53.6%であった。 ・DLd療法群は、Ld療法群と比較し、完全奏効(CR)以上の割合(51.1%vs.30.1%)、微小残存病変(MRD)陰性化率(32.1%vs.11.1%)、18ヵ月以上のMRD陰性の持続率(16.8%vs.3.3%)が有意に良好であった(各々、p<0.0001)。 ・年齢層全体において、DLd療法の臨床的に意味のある有効性のベネフィットが示された。 ・新たな安全性の懸念は認められなかった。  著者らは「5年超の長期フォローアップ結果より、DLd療法は、未治療で移植適応のないMM患者に対する1stライン治療として、引き続き支持される治療選択肢である」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Facon T, et al. Leukemia. 2025 Feb 27. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/40016302 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
AMLの遺伝子変異リスクによるVEN+AZA併用療法の予後の違いを実臨床で確認
AMLの遺伝子変異リスクによるVEN+AZA併用療法の予後の違いを実臨床で確認
公開日:2025年3月7日 Brandwein J, et al. Clin Lymphoma Myeloma Leuk. 2025 Feb 1. [Epub ahead of print]  ベネトクラクス(VEN)とアザシチジン(AZA)の併用は、unfit高齢者AMLに対する標準治療として推奨されている。カナダ・アルバータ大学のJoseph Brandwein氏らは、リアルワールドにおける初発unfit AML患者に対するVEN+AZA併用療法の治療アウトカムを分析した。Clinical Lymphoma, Myeloma & Leukemia誌オンライン版2025年2月1日号の報告。  2020〜24年、単一施設において未治療のunfit AMLに対しVEN+AZA併用療法を行った患者を対象に、治療アウトカムの分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・全奏効率(OR)は66%(105例中69例)。IDH1/2変異患者で最も高く(82%)、TP53変異患者で最も低かった(40%)。 ・全生存期間(OS)中央値は9.6ヵ月、完全寛解(CR)およびまたは正常な血球回復が不完全な寛解(CRi)を達成した患者では16.3ヵ月であった。 ・CR達成患者とCRi達成患者でOSに有意な差は認められなかった(p=0.077)。 ・2022年以降に治療された患者は、それ以前に治療された患者よりも早期死亡率が低く(8%vs.22%、p=0.096)、OSが良好であった(中央値:10.4ヵ月vs.5.8ヵ月、p=0.033)。 ・年齢別または脱メチル化薬治療歴の有無でOSに違いは認められなかった。 ・FLT3-ITD/RAS(OS:8.1ヵ月)またはTP53変異患者(OS:1.7ヵ月)は、他の患者(OS:16ヵ月)と比較し、OSが不良であった。 ・多変量解析では、CR/CRi達成はOS改善と関連しており(p<0.001)、FLT3-ITS/RAS/TP53変異はOS不良との関連が認められた(p=0.003)。一方、ELN2022リスクとOSとの関連は認められなかった。 ・CR/CRi達成患者の無病生存期間(DFS)中央値は、FLT3-ITS/RAS変異で7.1ヵ月、TP53変異で4.9ヵ月、その他の変異で21ヵ月であった(p=0.003)。  著者らは「リアルワールドデータの解析により、VEN+AZA併用療法における変異リスク分類と予後との関連が明らかとなった。本試験では、以前のVIALE-A試験で報告されたOSよりも劣っていたものの、時間経過とともに改善が認められた」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Brandwein J, et al. Clin Lymphoma Myeloma Leuk. 2025 Feb 1. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/40023757 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
3年間のMRD陰性達成後、LEN維持療法は中止可能か/Blood
3年間のMRD陰性達成後、LEN維持療法は中止可能か/Blood
公開日:2025年3月6日 Terpos E, et al. Blood. 2025 Feb 26. [Epub ahead of print]  多発性骨髄腫(MM)患者に対する自家造血幹細胞移植後のレナリドミド(LEN)維持療法の中止は、とくに微小残存病変(MRD)が疾患の奏効基準に含まれて以来、差し迫った重要な課題となっている。ギリシャ・アテネ国立カポディストリアン大学のEvangelos Terpos氏らは、骨髄および画像でMRD陰性を3年間達成した後、LEN維持療法を中止したMM患者における予後を評価するため、プロスペクティブ研究を実施した。Blood誌オンライン版2025年2月26日号の報告。  対象は、骨髄および画像でのMRD陰性を3年間達成した後、LEN維持療法を中止したMM患者52例。MRD陽性転換率、無治療生存率(TFS)、無増悪生存率(PFS)の評価を行った。LEN中止後にMRD陽性となった患者では、同用量でLEN維持療法を再開した。 主な結果は以下のとおり。 ・LEN中止からのフォローアップ期間中央値は3年。 ・MRD陽性となりLEN維持療法を再開した患者は12例(23%)。 ・病勢進行は4例(7.6%)のみであり、診断からの7年PFSは90.2%であった。 ・1年TFSは93.9%、2年TFSは91.6%、3年TFSは75.8%であったが、LEN維持療法中止(試験開始)からのランドマークPFSは、1年で96.0%、2年で96.0%、3年で92.9%であった。 ・年齢、性別、R2-ISS、導入療法の種類、地固め療法の使用とPFSおよびTFSの有効性アウトカムとの間に、統計学的に有意な関連は認められなかった。  著者らは「骨髄および画像でのMRD陰性を3年間達成したMM患者におけるLEN維持療法の中止は、MRD転換および病勢進行の低下と関連していることが示唆された。これは、現在のMM治療は、一部の患者において完全寛解中に未治療にすることができる可能性を示している」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Terpos E, et al. Blood. 2025 Feb 26. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/40009496 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
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