ライブラリー 日本人AML患者の移植後アウトカム、G-CSF投与の影響は移植タイプにより異なる
公開日:2024年12月12日
Konuma T, et al. Am J Hematol. 2025; 100: 66-77.
東京大学の小沼 貴晶氏らは、日本人急性骨髄性白血病(AML)成人患者におけるG-CSF使用およびそのタイミングが移植後アウトカムに及ぼす影響をレトロスペクティブに評価した。American Journal of Hematology誌2025年1月号の報告。
対象は、日本のデータベースより抽出した2013〜22年のAML成人患者9,766例。移植タイプに基づき、骨髄移植(BMT)群(3,248例)、末梢血幹細胞移植(PBSCT)群(3,066例)、単一ユニット臍帯血移植(CBT)群(3,452例)の3つに分類し、評価を行った。
主な結果は以下のとおり。
・多変量解析では、G-CSF投与により、BMT、PBSCT、CBT後の好中球回復が有意に加速することが示唆された。
・しかし、すべての移植タイプにおいて、グレードII〜IVの急性GVHDリスクの増加が認められた。
・BMT群およびCBT群では、G-CSF投与により、全体的な慢性GVHDの発生率が増加したが、PBSCT群では認められなかった。
・CBT後においてのみ、G-CSF投与後の全生存期間(OS)および無白血病生存期間(LFS)の有意な改善が認められた。
・G-CSF投与のタイミングに関して、4日以内の早期開始は、5〜10日の投与開始と比較し、いずれの移植タイプにおいても造血回復のベネフィットが示されなかった。
・対照的に、CBT群における5〜10日でのG-CSF投与開始は、グレードII〜IVの急性GVHDリスクの低下およびOS、LFS改善に有意な影響が認められた。
結果を踏まえ、著者らは「AML成人患者に対するCBTにおいては、G-CSFのルーティン使用を検討する必要がある」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)
原著論文はこちら
Konuma T, et al. Am J Hematol. 2025; 100: 66-77.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39564683
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