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再発・難治性DLBCLの3rdライン以降でのCAR-T細胞療法と二重特異性抗体の比較〜メタ解析
再発・難治性DLBCLの3rdライン以降でのCAR-T細胞療法と二重特異性抗体の比較〜メタ解析
公開日:2024年5月22日 Kim J, et al. Blood. 2024 May 2. [Epub ahead of print]  再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対するCAR-T細胞療法と二重特異性抗体の有効性および安全性を評価するため、韓国・仁荷大学校のJinchul Kim氏らは、メタ解析を実施した。Blood誌オンライン版2024年5月2日号の報告。  2023年7月までに、再発・難治性DLBCLの3rdライン以降の治療法としてCAR-T細胞療法およびCD20/CD3二重特異性抗体を評価した研究を、MEDLINE、Embase、Cochraneデータベースより検索した。ランダム効果モデルにより、関連する共変量で調整したメタ回帰を用いて完全奏効(CR)率および副次的アウトカムを推定した。 主な結果は以下のとおり。 ・16件の研究より1,347例をメタ解析に含めた。 ・プールされたCR率は、二重特異性抗体で0.36(95%CI:0.29〜0.43)、CAR-T細胞療法で0.51(95%CI:0.46〜0.56)であった(p<0.01)。 ・この優位性は、二重特異性抗体群のうちCAR-T細胞療法を行っていなかった患者を比較した場合でも維持され、そのCR率は0.37(95%CI:0.32〜0.43)であった。 ・プールされた1年無増悪生存期間は、これらの所見を反映しており、二重特異性抗体で0.32(95%CI:0.26〜0.38)、CAR-T細胞療法で0.44(95%CI:0.41〜0.48)であった(p<0.01)。 ・グレード3以上の有害事象発生率は、二重特異性抗体群でサイトカイン放出症候群0.02(95%CI:0.01〜0.04)、神経毒性0.01(95%CI:0.00〜0.01)、感染症0.10(95%CI:0.03〜0.16)であったのに対し、CAR-T細胞療法群ではサイトカイン放出症候群0.08(95%CI:0.03〜0.12)、神経毒性0.11(95%CI:0.06〜0.17)、感染症0.17(95%CI:0.11〜0.22)であり、サイトカイン放出症候群と神経毒性において、統計学的に有意な差が認められた。  著者らは「再発・難治性DLBCLに対するCAR-T細胞療法は、二重特異性抗体と比較し、重度の有害事象の増加が見られたものの、高いCR率達成において有用であることが示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kim J, et al. Blood. 2024 May 2. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38696731 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
アンチエイジングに有効な化粧品の成分は? 他4本≫ Journal Check Vol.100(2024年5月23日号)
アンチエイジングに有効な化粧品の成分は? 他4本≫ Journal Check Vol.100(2024年5月23日号)
アンチエイジングに有効な化粧品の成分は? 化粧品には、肌の見た目を改善する可能性がある成分が含まれている。著者らは、アンチエイジングのための化粧品使用に関する臨床研究を調査し、有効性と安全性のエビデンスに基づいた推奨事項を提供することを目的として、系統的レビューを行った。Archives of Dermatological Research誌2024年5月17日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 超加工食品摂取で神経変性疾患リスクがどれだけ上がる? 超加工食品の摂取と、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、認知障害、認知症などの神経変性疾患との関係を明らかにすることを目的として、系統的レビューとメタ解析を行った。Nutritional Neuroscience誌オンライン版2024年5月16日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む がん発症を7年前に予知できる!? 英国バイオバンク参加者における1,463の血漿タンパク質と19のがんの発生率との関連について前向きに調査(平均12年間の追跡調査)した。Nature Communications誌2024年5月15日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む タウリンの効果効能は? タウリンは、メタボリックシンドローム(MetS)の潜在的な治療薬として注目されている。著者らは、MetS関連パラメーターに対するタウリン補給の効果を評価するために、ランダム化比較試験の系統的レビューとメタ解析を行った。Nutrition & Diabetes誌2024年5月16日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 便秘にはビタミンB1!? 多くの研究により、食事からの微量栄養素の摂取と便秘との間に相関関係があることが示されているが、便秘とビタミンB1との相関関係は未調査のままである。著者らは、米国国民健康栄養調査(NHANES)の成人参加者における慢性便秘と食事中のビタミンB1摂取量との関連を調べるために横断研究を行った。BMC Gastroenterology誌2024年5月17日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ Journal Check Vol.99(2024年5月16日号) 結局、卵は1日何個までか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.98(2024年5月9日号) 筋トレによる筋肥大は、鍛えない筋肉を犠牲にしている? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.97(2024年5月2日号) 老い知らずの鍵は「アルカリ性」食品!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.96(2024年4月25日号) コーヒーが座りっぱなしの悪影響を打ち消す!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.95(2024年4月18日号) より効果的な筋トレはどちらか? スプリットルーティーン vs フルボディルーティーン 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.94(2024年4月11日号) 朝食抜きで起こる悪影響は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.93(2024年4月4日号) 老化しにくい最適な睡眠時間は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.92(2024年3月28日号) 時間がない人に、最も効率的な筋トレは? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.91(2024年3月21日号) パンダが白黒である理由は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.90(2024年3月14日号) ”精製炭水化物”で顔の魅力が低下する!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.89(2024年3月7日号) 筋トレ+BCAAによる筋力増加は、食物繊維サプリで促進されるか? 他4本
FCR療法による一次治療を行なったCLL患者の長期分析〜ドイツCLL研究グループ
FCR療法による一次治療を行なったCLL患者の長期分析〜ドイツCLL研究グループ
公開日:2024年5月21日 Kutsch N, et al. Eur J Haematol. 2024 May 1. [Epub ahead of print]  臨床試験において、慢性リンパ性白血病(CLL)に対するフルダラビン+シクロホスファミド+リツキシマブによるFCR療法は、長期フォローアップデータからも良好な有効性が示唆されている。ドイツ・ケルン大学のNadine Kutsch氏らは、ドイツCLL研究グループ(GCLLSG)のレジストリより収集したデータを用いて、CLL患者に対するFCR療法の長期データの分析を行なった。European Journal of Haematology誌オンライン版2024年5月1日号の報告。  FCR療法による1次治療を行なったCLL患者417例(臨床試験以外での治療実施患者:293例、70.3%)を分析した。 主な結果は以下のとおり。 ・1次治療からの観察期間の中央値は、95.8ヵ月(四分位範囲:58.7〜126.8)であった。 ・GCLLSGレジストリでデータ収取を開始した2013年以降、FCR療法の1次治療を行なった194例(46.5%)の患者データに焦点を当てたところ、奏効率は85%、非奏効率は15%、データが欠落していた患者は3.6%であった。 ・無イベント生存期間(EFS)の中央値は、60.2ヵ月、5年EFS率は50.6%であった。 ・高リスク患者(IGHV変異なし)78例のEFSの中央値は、45.4ヵ月、5年EFS率は36.3%であった。 ・IGHV変異患者40例のEFSの中央値は、77.5ヵ月、5年EFS率は60.3%であった。 ・全生存期間の5年生存率は92.7%であった。  著者らは「CLLに対する1次治療としてのFCR療法は、とくにIGHV変異患者において、EFSの延長と関連していることが明らかとなった」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kutsch N, et al. Eur J Haematol. 2024 May 1. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38693677 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
これからの医師キャリア、新しい大学医局の発展に携わってみませんか?
これからの医師キャリア、新しい大学医局の発展に携わってみませんか?
PR記事 帝京大学医学部附属病院血液内科/帝京大学医学部血液腫瘍研究室のPR記事を訪れてくださりありがとうございます。 帝京大学医学部附属病院血液内科/帝京大学医学部血液腫瘍研究室 帝京大学医学部血液内科は、現在スタッフ6名、シニアレジデント1名+初期研修医で活動しています。血液内科病棟は30床(そのうち、無菌室 クラス100 4床、クラス10000 8床)で、3チーム体制で各チーム約10人ずつ担当し、幅広い血液疾患の診療を行っております。 大学病院でありながら、市中病院に近い部分もあり、患者さんの多くは診断前に当院を受診されることがほとんどです。入院患者のほとんどは血液腫瘍の患者さんですが、外来では血友病、ITP、AIHA、PNHなど非腫瘍性疾患の患者さんも多数通院されています。 入院診療では、新規薬剤も含めた化学療法から自家移植・同種移植まで行っています。膠原病領域など血内以外でも話題となってきているCAR-T療法についても、今後導入する予定です。病棟ナースは血液疾患看護に精通しており、また大学病院にありがちと聞く、採血、末梢点滴確保、輸血、抗がん剤投与などを医師が行わなければいけない、ということは全くありません。LTFUナースや移植コーディネータ(HCTC)、血内専属薬剤師も常勤しチーム医療を提供しています。当院では全科で、入院患者さんが重症化した場合は院内ICUにて麻酔科Drが全身管理をサポートしてくれる体制ができているのも特長です。 実質、専攻医以上のスタッフは、血内診療に専念できます。心のこもった医療を提供できるように、小所帯ながら一生懸命頑張っております。 16階西 血液内科病棟スタッフ Specialist×Generalist!そして研究も!新しいカタチの大学医局がアピールです 若く新しいグループですので、なにより自由度が高いです。良い意味で、大学医局らしさがないと筆者は感じています。上述の通り新体制になったばかりなので、医局人事で関連病院へ出向を命じられるようなことはありません(小所帯なので、医局人事なんてものはできません…笑)。 勤務時間は、専攻医は9時〜17時、スタッフは9時から19時(土曜は午前のみ出勤義務)とされており、日勤帯はもちろん血液内科業務を行います。勤務時間の制約は緩く、看護師さんに迷惑にならない程度にそれぞれにあった時間帯(17時に終了して外勤当直に出たり、研究室へ行ったり…)で仕事をしています。 当直帯では、総合内科業務(病棟+ER)を行います。帝京大学には血液内科学講座という独立した講座は存在せず、内科学講座の中の血液部門という位置づけであるためです。当直帯は各内科グループから寄せ集め6人体制で、主当直(11年目以上、助教~講師レベル)1人、副当直(6~10年目、助手レベル)1人、シニア(専攻医や大学院生)2人、初期研修医2人です。原則として、シニアが第一線で勤務し、主・副当直は基本的に司令塔になります。大学当直の回数は、主・副当直は月1-2回、シニアは2-3回です。 ご存じの通り大学勤務だけでは収入不足であり、平日1日は外勤日(研究日)となっており、他院で総合内科外来を行うことができます。余裕があれば、以上に加えて外勤当直を自由に入れることも可能です。よって、平日日勤はSpecialistとして、外勤や当直ではGeneralistとして働くことができます。筆者は、週1回外勤(寝当直)を加えて月5-6回の当直をし、Specialist×Generalistという新しいカタチで働き都内中心部で生活できています。 また、大学病院としての役割である学生への教育も熱心に行っており、VR、XRを用いた最先端の骨髄穿刺の教育も行っています。講義や実習にて血液内科の面白さを少しでも多くの学生に伝えられるよう努力しております。あと、夏休みと冬休みも1週間ずつしっかり取れるのもアピールポイントですかね。 最先端のVRマルク教育も 研究にも非常に力を入れています。私立大学では有数の実験力を有しており、新しい治療法の確立を目指して、最終的には全ての血液がん患者さんが治癒することを目標としています。田代教授は、Baylor College of Medicineに4年間留学経験があり、AMLに対するCAR-T細胞療法の開発をメインテーマに、C-type lectin like molecule 1(CLL-1)という多くのAMLに発現する蛋白に対するCAR-Tの開発を留学時代に行い、そこから発展させた研究を行っています。また白崎講師は、Dana-Farber Cancer Instituteに5年間の留学経験があり、CRISPR-CAS9を用いた遺伝子編集により予後不良因子を持つがん特異的な治療薬の開発など、世界において最先端の研究を精力的に行なっています。さまざまなテーマでコラボレーションしながら研究室を発展させています。 さらに社会研究として、世界を変えるべく廃棄薬の再利用を発案し、日本国内に提言しており、これにより世界の医療格差を少しでも無くし、発展途上国と先進国の医療格差を小さくするような取り組みも行っています。研究風景VR教育などから研究室に興味を持って訪れてくれた学生が現在3名研究室に所属し、基礎研究をともに行っています。今まさに活気が出始めている教室で、実験に参加することによって研究をしている人にしか分からない深い考察が臨床においてきっと役に立つはずです。もちろん、臨床中心でやりたいスタッフが実験を強要されるようなことはありません。 とにかく、新しいことを取り入れることに積極的な、大学病院と市中病院の要素を兼ね備えたSpecialist×Generalistが活躍できる医局です。(なお、こちら文章作成にも、ChatGPTの力を一部借りてみています!) 血内をやってみたい!新しい職場を探している先生方へ!! 血液内科をやりたいと思っても、これから初めて経験するとなると歴史ある大病院はハードルが高くないでしょうか。現に筆者も総合内科・GIMを5年間やってきた血内初心者で、新しい就職先を探す際、血内経験がないので中々受け入れてもらえませんでした。無給医局員だったり、移植中心だと初学者には難しいかも…のように。 帝京大学血液内科は、誰でもWelcomeです(皆さんの力を求めています!)し、移植治療を含め血液疾患全般の臨床経験と最先端の研究技術を提供できる上、タイミングよく総合内科出身の医師が複数集まってきたため幅広い総合内科診療も教育できます。ご存じの通り血液内科医は、Specialistとしての専門力と、Generalistとしての幅広い総合内科力が必要になります。専攻医の場合には、某有名研修病院との連携プログラムも組めるようにもなっており、それが叶えられる、まさに今、おいしい職場と思います。田代教授は、「新しいものにも積極的に取り組んでいけるような雰囲気を大切にしたい。スタッフ一人ひとりがやりたいことができる環境を作っていくのが私の役割です。」とおっしゃっております。 新たに就任した田代晴子教授の下、常に前を見てグループの発展を目指しています。Specialist×Generalist、そして研究もできるProfessionalistを目指し、帝京大学医学部血液内科であなたの医師人生の新たな一歩を踏み出しませんか。特に医師キャリアをこれから作っていく専攻医の皆さん!熱意と情熱を持ったワクワクする挑戦を心から歓迎します。 誰でもWelcome! 【専攻医オリジナルプログラム例】アレンジ可能です 【フェロー(スタッフ)オリジナルプログラム例】アレンジ可能です Google form:https://forms.gle/yrbv7Lc1KFNzUrqr9 Mail:teikyohemonc2@gmail.com ※2024年6月8日(土)に、当科先行説明会を行います。 参加申し込みフォームはこちらです:https://forms.gle/J4QD2wZtwDCMg8d86  » https://www.teikyohem.org/ 公式Instagram » https://www.instagram.com/teikyo_med_hemonc/ 当科紹介YouTube » https://www.youtube.com/watch?v=ScAvtvqbmxo 
再発・難治性MCLに対するリツキシマブ+高用量シタラビン+デキサメタゾン+ボルテゾミブ療法〜ランダム化非盲検第III相試験
再発・難治性MCLに対するリツキシマブ+高用量シタラビン+デキサメタゾン+ボルテゾミブ療法〜ランダム化非盲検第III相試験
公開日:2024年5月20日 Fischer L, et al. Leukemia. 2024 Apr 27. [Epub ahead of print]  再発・難治性マントル細胞リンパ腫(MCL)患者に対する治療は、主要な臨床課題の1つである。ドイツ・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンのLuca Fischer氏らは、自家造血幹細胞移植の適応なしまたは移植後再発した再発・難治性MCL患者に対するリツキシマブ+高用量シタラビン+デキサメタゾン+ボルテゾミブ療法(R-HAD+B)のランダム化非盲検並行群間第III相試験を実施した。Leukemia誌オンライン版2024年4月27日号の報告。  R-HAD+B療法の有効性を評価するため、ボルテゾミブを併用しないR-HADとの比較を行った。主要エンドポイントは、治療成功期間(TTTF)とし、副次的エンドポイントには、奏効率、無増悪生存期間、全生存期間、安全性を含めた。 主な結果は以下のとおり。 ・128例がR-HAD+B群(64例)またはR-HAD群(64例)にランダムに割り付けられた。 ・TTTF中央値は、R-HAD+B群で12ヵ月、R-HAD群で2.6ヵ月であった(p=0.045、MIPIスコア調整ハザード比[aHR]:0.69、95%CI:0.47〜1.02)。 ・全奏効率は、R-HAD+B群で63%、R-HAD群で45%(p=0.049)であった。 ・完全奏効率は、R-HAD+B群で42%、R-HAD群で19%(p=0.0062)であった。 ・サブグループ解析では、65歳以上の患者(aHR:0.48、95%CI:0.29〜0.79)、自家移植歴のない患者(aHR:0.52、95%CI:0.28〜0.96)において、有意な治療効果が認められた。 ・毒性は、主に血液学的毒性であり、化学療法のバックボーンに起因していた。 ・グレード3以上の白血球減少症およびリンパ球減少症は、R-HAD+B群でより認められたが、両群間で重篤な感染症に差は認められなかった。  著者らは「再発・難治性MCLに対するボルテゾミブと化学療法との併用は、有効である可能性があり、とくにBTK阻害薬による治療が選択肢とならない場合には、さらに評価されるべきであろう」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Fischer L, et al. Leukemia. 2024 Apr 27. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38678093 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性MMに対するILd療法の有効性に対するレナリドミドまたはプロテアソーム阻害薬曝露の影響
再発・難治性MMに対するILd療法の有効性に対するレナリドミドまたはプロテアソーム阻害薬曝露の影響
公開日:2024年5月17日 Lee HC, et al. Eur J Haematol. 2024 Apr 23. [Epub ahead of print]  米国・テキサス大学のHans C. Lee氏らは、再発・難治性の多発性骨髄腫(MM)におけるイキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(ILd)の有効性および安全性に対するレナリドミドまたはプロテアソーム阻害薬の治療歴と難治性への影響を評価した。European Journal of Haematology誌オンライン版2024年4月23日号の報告。  INSIGHT MM試験、UVEA-IXA試験、REMIX試験より、2ライン以上の治療でIRd療法を行った成人再発・難治性MM患者562例を対象に、統合解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。 ・全体として、治療歴別の患者の内訳は、次の通りであった。 【レナリドミド】未治療:391例、治療歴:100例、不応:68例 【プロテアソーム阻害薬】未治療:37例、治療歴:411例、不応:110例 ・治療期間(DOT)中央値の治療歴別の患者の内訳は、次の通りであった。 【レナリドミド】未治療:15.3ヵ月、治療歴:15.6ヵ月、不応:4.7ヵ月 【プロテアソーム阻害薬】未治療:20.4ヵ月、治療歴:15.2ヵ月、不応:6.9ヵ月 ・無増悪生存期間(PFS)中央値の治療歴別の患者の内訳は、次の通りであった。 【レナリドミド】未治療:21.6ヵ月、治療歴:25.8ヵ月、不応:5.6ヵ月 【プロテアソーム阻害薬】未治療:未達、治療歴:19.8ヵ月、不応:11.4ヵ月 ・INSIGHT MM試験において、有害事象により治療薬を中止した患者の割合は、治療歴別で次の通りであった。 ●イキサゾミブ治療中止 【レナリドミド】未治療:31.6%、治療歴:28.2%、不応:28.0% 【プロテアソーム阻害薬】未治療:44.4%、治療歴:28.8%、不応:27.8% ●レナリドミド治療中止 【レナリドミド】未治療:21.9%、治療歴:28.2%、不応:16.0% 【プロテアソーム阻害薬】未治療:33.3%、治療歴:22.0%、不応:19.4% ●デキサメタゾン治療中止 【レナリドミド】未治療:18.4%、治療歴:20.5%、不応:16.0% 【プロテアソーム阻害薬】未治療:33.3%、治療歴:17.4%、不応:16.7% ・UVEA-IXA試験において、有害事象により治療薬を中止した患者の割合は、治療歴別で次の通りであった。 ●イキサゾミブ治療中止 【レナリドミド】未治療:18.6%、治療歴:6.7%、不応:10.5% 【プロテアソーム阻害薬】未治療:22.2%、治療歴:16.7%、不応:15.7% ●レナリドミド治療中止 【レナリドミド】未治療:16.1%、治療歴:6.7%、不応:10.5% 【プロテアソーム阻害薬】未治療:16.7%、治療歴:15.9%、不応:11.8% ●デキサメタゾン治療中止 【レナリドミド】未治療:10.6%、治療歴:0%、不応:10.5% 【プロテアソーム阻害薬】未治療:16.7%、治療歴:9.5%、不応:7.8% ・REMIX試験では、有害事象により治療薬を中止した患者の割合は、入手できなかった。  著者らは「IRd療法は、過去の治療歴とは無関係に、再発・難治性MM患者の日常的な臨床診療において有効であり、レナリドミド/プロテアソーム阻害薬に対する不応性がなくとも良好なアウトカムが期待できることが示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Lee HC, et al. Eur J Haematol. 2024 Apr 23. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38654611 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性PCNSLに対するチラブルチニブの第I/II相試験のフォローアップ分析
再発・難治性PCNSLに対するチラブルチニブの第I/II相試験のフォローアップ分析
公開日:2024年5月16日 Yonezawa H, et al. Neurooncol Adv. 2024; 6: vdae037.  再発・難治性の中枢神経系原発リンパ腫(PCNSL)に対する第2世代ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬チラブルニチブの有効性および安全性を評価した日本の多施設共同非盲検対照第I/II相試験であるONO -4059-02試験においてチラブルニチブの有効性および安全性プロファイルが示された。鹿児島大学の米澤 大氏らは、3年間のフォローアップ調査後の長期的な有効性および安全性を報告した。Neuro-oncology Advances誌2024年4月22日号の報告。  本試験の登録基準は、20歳以上、病理組織学的にPCNSLと診断され、Karnofsky Performance Status(KPS)70以上であった。用法・用量は、チラブルチニブ320または480mgを1日1回経口投与または絶食状態で1日1回480mg投与とした。 主な結果は以下のとおり。 ・2017年10月19日〜2019年6月13日の間に再発患者33例、難治性患者9例を含む44例が登録された。 ・内訳は、チラブルチニブ320mg群20例、480mg群7例、絶食群17例であった。 ・フォローアップ期間中央値は、37.1ヵ月であった。 ・全奏効(OR)率は63.6%(95%CI:47.8〜77.6)、完全奏効(CR)9例、不確定完全奏効(CRu)7例、部分奏効(PR)12例であった。 ・奏効期間(DOR)中央値は9.2ヵ月、DOR率は19.8%、無増悪生存期間(PFS)中央値は2.9ヵ月、全生存期間(OS)中央値は未達、PFS率は13.9%、OS率は56.7%であった。 ・有害事象は、38例(86.4%)で認められ、グレード3以上が23例(52.3%)、グレード5が1例で発生した。 ・KPSおよびQOLスコアは、長期治療を受けた患者で良好に維持されていた。  著者らは「再発・難治性PCNSLに対するチラブルニチブ治療は、KPSおよびQOLスコアを維持しながら、長期的な有効性・安全性が示された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Yonezawa H, et al. Neurooncol Adv. 2024; 6: vdae037.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38690230 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
MMに対するASCT後のエロツズマブ+レナリドマイド維持療法〜第I相試験
MMに対するASCT後のエロツズマブ+レナリドマイド維持療法〜第I相試験
公開日:2024年5月15日 Coffey DG, et al. Cancer. J Immunother Cancer. 2024; 12: e008110.  導入療法後の自家造血幹細胞移植(ASCT)は、多発性骨髄腫(MM)患者の無病生存期間を改善する。ASCTの目的は、病状を最小限に抑えることだが、免疫抑制細胞の根絶と関連しており、ASCT後の免疫療法の早期導入が治療効果の向上に寄与する可能性がある。米国・マイアミ大学のDavid G. Coffey氏らは、導入療法後のMM患者におけるASCT後の自己リンパ球注入とヒト化抗ヒトSLAMF7モノクローナル抗体エロツズマブの適用を調査するため、第I相臨床試験を実施した。Journal for Immunotherapy of Cancer誌2024年4月12日号の報告。  対象は、導入療法を行った未治療のMM患者15例。CD40陽性細胞に加え、免疫再構成を促進しエロツズマブの機序に不可欠な自己NK細胞を提供するため、移植前に末梢血単核細胞を摂取し、幹細胞移植3日目に輸注した。4日目よりエロツズマブ投与を開始し、その後1年間は28日ごとに投与した。4〜12サイクル目に、標準治療のレナリドマイド維持療法を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・すべての対象患者の安全性を評価した。治療プロトコルを完了した患者は13例であった。 ・ASCT1年後時点での対象患者の状態は、厳格な完全奏効(sCR)5例、完全奏効(CR)1例、最良部分奏効(VGPR)6例、部分奏効(PR)1例、進行(PD)2例であった。 ・忍容性は高く、グレード3および4の有害事象のほとんどは、ASCTに関連する血液毒性であると考えられた。 ・免疫微小環境の相関分析では、CR達成患者は、移植後最初の3ヵ月間で制御性T細胞が減少し、その後NK細胞および単球が増加する傾向が認められた。  著者らは「本第I相試験において、ASCT後のMM患者に対するエロツズマブ免疫療法の早期導入は、忍容性が高く、免疫微小環境の良好な変化を伴う疾患コントロールに有望である可能性が示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Coffey DG, et al. Cancer. J Immunother Cancer. 2024; 12: e008110.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38609316 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
結局、卵は1日何個までか? 他4本≫ Journal Check Vol.99(2024年5月16日号)
結局、卵は1日何個までか? 他4本≫ Journal Check Vol.99(2024年5月16日号)
結局、卵は1日何個までか? 卵摂取が心血管系の健康に及ぼす潜在的な影響については意見が分かれている。著者らは、冠状動脈性心疾患または脳卒中の既往がある成人の卵摂取量と死亡率との関係を調査するためにコホート研究を行った。Archives of Gerontology and Geriatrics誌オンライン版2024年5月6日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む コーヒーが若さの秘訣!? これまでの研究で、コーヒー摂取には健康上の利点がある可能性が示唆されているが、コーヒーの生物学的年齢に対する影響は明らかにされていない。著者らは、米国国民健康栄養調査(NHANES)を用いて、コーヒー摂取が生物学的年齢に及ぼす影響を調査した。Food & Function誌オンライン版2024年5月10日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む RWDで判明!メトホルミンに追加すべき血糖降下薬とは? 日常診療で二次治療を必要とする2型糖尿病患者に対して、メトホルミンに加えて一般的に処方される3種類の経口血糖降下薬(SU薬/DPP-4阻害薬/SGLT2阻害薬)の有効性を比較することを目的に、有効性比較試験を模倣するコホート研究を行った。BMJ誌2024年5月8日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 特に健康に悪い超加工食品とは? 超加工食品の摂取と全原因死亡率および死因別死亡率との関連を調査するために、集団ベースのコホート研究を行った。超加工食品全体および、超加工食品を相互に排他的に分類した9つのサブグループについて分析した。BMJ誌2024年5月8日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 日本における80歳以上の患者の免疫チェックポイント阻害薬の安全性 免疫チェックポイント阻害薬は様々な癌の治療に不可欠であるが、高齢患者では安全性に懸念が残る。著者らは、80歳以上の患者における免疫関連有害事象の発生率を評価し、その発生に関連する潜在的な危険因子を同定するために、後ろ向きコホート研究を行った。Cancer Immunology, iImmunotherapy誌2024年5月11日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ Journal Check Vol.98(2024年5月9日号) 筋トレによる筋肥大は、鍛えない筋肉を犠牲にしている? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.97(2024年5月2日号) 老い知らずの鍵は「アルカリ性」食品!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.96(2024年4月25日号) コーヒーが座りっぱなしの悪影響を打ち消す!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.95(2024年4月18日号) より効果的な筋トレはどちらか? スプリットルーティーン vs フルボディルーティーン 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.94(2024年4月11日号) 朝食抜きで起こる悪影響は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.93(2024年4月4日号) 老化しにくい最適な睡眠時間は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.92(2024年3月28日号) 時間がない人に、最も効率的な筋トレは? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.91(2024年3月21日号) パンダが白黒である理由は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.90(2024年3月14日号) ”精製炭水化物”で顔の魅力が低下する!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.89(2024年3月7日号) 筋トレ+BCAAによる筋力増加は、食物繊維サプリで促進されるか? 他4本
再発CLLに対するアカラブルチニブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ療法〜CLL2-BAAG試験の最終分析
再発CLLに対するアカラブルチニブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ療法〜CLL2-BAAG試験の最終分析
公開日:2024年5月14日 Furstenau M, et al. Blood. 2024 Apr 15. [Epub ahead of print]  再発または難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)患者を対象とした第II相CLL2-BAAG試験では、ベンダムスチン減量オプション後のアカラブルチニブ、ベネトクラクス、オビヌツズマブの3剤併用療法による微小残像病変(MRD)の変化が調査された。ドイツ・ケルン大学のMoritz Furstenau氏らは、CLL2-BAAG試験の最終的な有効性および循環腫瘍DNA(ctDNA)解析結果の報告を行った。Blood誌オンライン版2024年4月15日号の報告。  対象は再発または難治性CLL患者45例(除外基準に違反したため、解析からは1例除外)。MRDは末梢血中のフローサイトメトリー(FCM)を用いて測定し(検出可能なMRD<10-4)、循環腫瘍DNA(ctDNA)は、血漿中のVDJ遺伝子再構成およびCLL関連変異のデジタルPCR(ddPCR)により測定した。MRD再発の定義は、MRD陰性/ctDNA陰性を達成したのち、ctDNA陽性および/またはMRD≧10-4の場合と定義した。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者における過去の治療回数の中央値は1回(範囲:1〜4)、18例(40%)は本試験前にBTK阻害薬および/またはベネトクラクスによる治療を行なっていた。14例(31.8%)はTP 53遺伝子の異常が見られ、34例(75.6%)はIGHV変異なしであった。 ・フォローアップ期間は36.3ヵ月(中央値)、治療中止までの期間は21.9ヵ月(中央値)であった。 ・末梢血におけるMRD陰性は、全体として45例中42例(93.3%)で達成された。BTK阻害薬/ベネトクラクスの治療歴を有する患者では18例中17例(94.4%)、TP53遺伝子異常が認められる患者では14例中13例(92.9%)において、MRD陰性が達成された。 ・3年間の無増悪生存期間は85.0%、全生存率は93.8%であった。 ・全体でFCM /ctDNAサンプル585件を分析したところ、治療終了後のMRD再発は18件で認められた(臨床的進行あり:5件、臨床的進行なし:13件)。最初にctDNAで検出された検体は12件、FCMが3件、同時に検出された検体は3件であった。 ・ctDNAにより早期に検出された患者は、遺伝的リスクが高い特徴を有しているようであった。  著者らは「本試験では、再発または難治性のCLL患者に対するアカラブルチニブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ療法は、MRD陰性において多くの患者で寛解を達成することが可能であった。MRDの評価では、FCMにctDNAを追加することで、再発の早期発見の向上が期待できる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Furstenau M, et al. Blood. 2024 Apr 15. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38620072 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
日本におけるCAR-T細胞療法の費用対効果分析
日本におけるCAR-T細胞療法の費用対効果分析
公開日:2024年5月13日 Ysutsue S, et al. Future Oncol. 2024 Apr 10. [Epub ahead of print]  ギリアド・サイエンシズ株式会社のSaaya Tsutsue氏らは、2つ以上の全身療法を行った再発または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)成人患者の治療に対する3つのCAR-T細胞療法について、費用対効果分析を実施し、比較検討を行った。Future Oncology誌オンライン版2024年4月10日号の報告。  対象製品は、アキシカブタゲン シロルユーセル(axi-cel)、チサゲンレクル ユーセル(tisa-cel)、リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel)の3つのCAR ~T細胞療法。費用対効果分析には、partition survival mixture cure modelを用いた。分析は、ZUMA-1試験に基づき、マッチング調整された間接比較を用いて、JULIET試験およびTRANSCEND試験にあわせて調整を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・axi-celは、tisa-celおよびliso-celと比較し、生存年数の増加がより大きく、質調整生存年(QALY)の増加が認められた。 【生存年数】 axi-cel vs. tisa-cel:10.87 vs. 7.75(+3.50) axi-cel vs. liso-cel:11.95 vs. 9.11(+2.85) 【QALY】 axi-cel vs. tisa-cel:8.62 vs. 5.96(+2.65) axi-cel vs. liso-cel:9.53 vs. 7.29(+2.24) ・これにより、axi-celは、tisa-celおよびliso-celと比較し、直接医療費の減少が認められた。 【直接医療費(米ドル)】 axi-cel vs. tisa-cel:280,875.73 vs. 281,852.02(−976.29) axi-cel vs. liso-cel:280,673.52 vs. 280,915.52(−242.00)  著者らは「医療財政の観点から考えると、axi-celは、tisa-celおよびliso-celと比較し、費用対効果の高い治療選択肢であることが示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Ysutsue S, et al. Future Oncol. 2024 Apr 10. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38597742 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
PNH患者を対象としたペグセタコプランの第III相PEGASUS試験における溶血性有害事象
PNH患者を対象としたペグセタコプランの第III相PEGASUS試験における溶血性有害事象
公開日:2024年5月10日 Peffault de Latour R, et al. Blood Adv. 2024 Apr 9. [Epub ahead of print]  発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、補体介在性の血管内溶血とそれに伴う貧血、疲労、場合によっては生命を脅かす欠陥性合併症を引き起こす疾患である。補体C3阻害薬であるペグセタコプランは、C5阻害薬による治療にもかかわらず貧血が継続していたPNH患者を対象とした第III相PEGASUS試験において、血液学的および臨床パラメータの持続的な改善が確認されている。フランス・French Reference Center for Aplastic Anemia and Paroxysmal Nocturnal HemoglobinuriaのRegis Peffault de Latour氏らは、PEGASUS試験で溶血性有害事象が確認された患者のベースライン時の特徴について、報告した。Blood Advances誌オンライン版2024年4月9日号の報告。  PEGASUS試験においてペグセタコプラン治療中に溶血性有害事象が認められた患者は、19例(26件)であり、これらの患者における溶血リスク増加と関連する可能性のあるベースライン時の患者の特徴を調査した。 主な結果は以下のとおり。 ・乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)が正常値の上限より2倍以上のあった患者が19例、そのうち2件はLDHが正常値の10倍以上であった。 ・すべての患者において、溶血中にヘモグロビンの減少が認められた(平均減少:3.0g/dL)。 ・16件(62%)のイベントにおいて、イベントの根底にある潜在的な補体増幅状態が特定された。 ・溶血性有害事象により、研究を中止した患者は5例であった。 ・溶血性有害事象26件中17件(65%)は、ペグセタコプランを継続しても管理可能であった。 ・溶血性有害事象が認められた患者(19例)の多くは、認められない患者(61例)と比較し、ベースライン時に疾患活動性(エクリズマブが適応用量より高い:53% vs. 23%、検出可能なCH50:74% vs. 54%、過去12ヵ月間で4回以上の輸血:68% vs. 51%)がより高かった。  著者らは「これらの特徴は、PNH患者のペグセタコプラン使用により将来発現する可能性のある溶血性有害事象を予測する上で、重要な因子であると考えられる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Peffault de Latour R, et al. Blood Adv. 2024 Apr 9. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38593241 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
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