「血液内科 Journal Check」の記事一覧

ASCT移植前処置レジメンBeEAM vs. CEM〜ランダム化比較試験
ASCT移植前処置レジメンBeEAM vs. CEM〜ランダム化比較試験
公開日:2024年8月14日 Eltelbanei MA, et al. BMC Cancer. 2024; 24: 1002.  自家造血幹細胞移植(ASCT)は、リンパ腫患者において極めて重要な治療法の1つである。従来、BeEAMレジメン(ベンダムスチン+エトポシド+シタラビン+メルファラン)は、凍結保存に依存しているが、CEMレジメンは(カルボプラチン+エトポシド+メルファラン)、凍結保存を必要とせず、短期間での投与に最適化されている。エジプト・ダマンフール大学のMohamed A. Eltelbanei氏らは、ASCTの移植前処置レジメンとしてのBeEAMレジメンとCEMレジメンの臨床的プロファイルおよび安全性プロファイルを比較するため、対照ランダム化臨床試験を実施した。BMC Cancer誌2024年8月13日号の報告。  対象は、エジプト・カイロの国際医療センターでASCTを受けたリンパ腫患者58例。対象患者は、BeEAM群29例またはCEM群29例にランダムに割り付けられ、18ヵ月フォローアップを行った。臨床的および安全性のアウトカムは、好中球および血小板の生着までの期間、副作用、入院期間、移植関連死亡率、生存率に焦点を当て、両群間で比較した。 主な結果は以下のとおり。 ・CEMレジメンの有意なアドバンテージが示唆された。 ・CEM群は、BeEAM群と比較し、好中球の回復期間が有意に短かった(平均8.5日 vs. 14.5日、p<0.0001)。 ・同様に、CEM群は、BeEAM群と比較し、血小板の回復期間も有意に短かった(平均11日 vs. 23日、p<0.0001)。 ・入院期間についても、CEM群は、BeEAM群と比較し、有意に短かった(平均18.5日 vs. 30日、p<0.0001)。 ・さらに、全生存割合(OS)は、CEM群96.55%(95%CI:84.91〜99.44)、BeEAM群79.1%(95%CI:63.11〜89.75)であり、両群間に有意な差が認められた(p=0.049)。 ・無増悪生存割合(PFS)も同様で、CEM群86.21%(95%CI:86.14〜86.28)、BeEAM群62.07%(95%CI:61.94〜62.20)と有意な差が認められた(p=0.036)。  著者らは「ASCTの移植前処置CEMレジメンは、好中球および血小板の回復が早く、入院期間の短縮、OSおよびPFSの有意な改善が期待できることが示唆された。今後、より長期にわたる大規模サンプルを用いた研究が必要とされる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Eltelbanei MA, et al. BMC Cancer. 2024; 24: 1002.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39134959 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
形質転換CLLに対するR-CHOPブリッジング後ブリナツモマブ〜多施設共同第II相試験
形質転換CLLに対するR-CHOPブリッジング後ブリナツモマブ〜多施設共同第II相試験
公開日:2024年8月13日 Guieze R, et al. Nat Commun. 2024; 15: 6822.  慢性リンパ性白血病では、時に組織学的形質転換(Richter症候群)をきたし、急激な病勢進行を示す。フランス・クレルモン フェラン大学のRomain Guieze氏らは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)への転換をきたしたRichter症候群患者を対象に、R-CHOP療法でのブリッジング後における抗CD3/CD19二重特異性T細胞誘導抗体ブリナツモマブの有効性および安全性を評価するため、多施設共同第II相試験を実施した。Nature Communications誌2024年8月9日号の報告。  R-CHOPを2サイクル後に完全奏効(CR)が得られなかったDLBCLへの転換をきたしたRichter症候群患者を対象に、8週間のブリナツモマブ持続静脈注射(112μg/日まで段階的に投与)を行った。主要エンドポイントは、ブリナツモマブ導入後のCR率とし、副次的エンドポイントは、安全性、奏効期間、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)とした。 主な結果は以下のとおり。 ・R-CHOPを開始した39例中、25例にブリナツモマブが投与された。 ・ブリナツモマブ導入後、CR 5例(20%)、部分奏効(PR)4例(16%)、安定(SD)6例(24%)であった。 ・フル解析セットにおける全奏効(OR)率は46%(18例)、14例(36%)はCRを達成した。 ・治療中に発生したすべてのグレードの主な有害事象は、発熱(36%)、貧血(24%)、リンパ球減少(24%)であった。 ・サイトカイン放出症候群(グレード1〜2)は16%、神経毒性は20%で認められた。  著者らは「DLBCLへの転換をきたしたRichter症候群に対するブリナツモマブ治療は、主要エンドポイントを達成する抗腫瘍効果と許容可能な毒性を示した」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Guieze R, et al. Nat Commun. 2024; 15: 6822.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39122717 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性MMに対する実臨床での処方パターンとその結果/Blood Adv
再発・難治性MMに対する実臨床での処方パターンとその結果/Blood Adv
公開日:2024年8月9日 Dhakal B, et al. Blood Adv. 2024 Aug 7. [Epub ahead of print]  多発性骨髄腫(MM)の治療では、早い段階での免疫調節薬レナリドミドの使用により、早期のレナリドミド抵抗性MM患者が増加しているが、このような患者におけるアウトカムは明らかになっていない。米国・ウィスコンシン医科大学のBinod Dhakal氏らは、プロテアソーム阻害薬で治療を行ったレナリドミド抵抗性MM患者における第1〜3選択治療(LOT)の治療パターン、生存アウトカム、予後変数、脱落率について、調査を行った。Blood Advances誌オンライン版2024年8月7日号の報告。  2016年1月〜2022年4月にFlatiron Healthデータベースに登録されたMM患者1万2,767例のうち、選択基準を満たした1,455例を対象に分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・最も多かった治療は、3剤併用療法であり(41.6%)、レジメンでは、ダラツムマブ+ポマリドミド+デキサメタゾン(DPd療法)が13.2%で最も多かった。 ・実臨床における無増悪生存期間(RW-PFS)中央値は6.5ヵ月、全生存期間(OS)中央値は44.4ヵ月であった。 ・RW-PFS中央値は、LOTが1〜3回のいずれにおいても同様であった。 ・RW-PFSおよびOSの悪化と関連している因子として、ベースライン時の国際病期分類(ISS)ステージIII、ECOGパフォーマンスステータス1、ヘモグロビン値12g/dL未満、high-risk cytogenetics、抗CD38抗体抵抗性が挙げられた。 ・NCCNガイドライン推奨治療を受けた患者と2020年以降に治療を受けた患者のアウトカムは同様であった。 ・登録時にLOTが1回のみの患者は561例では、LOT2〜5の累積脱落率が85%、そのうち死亡例が25%であり、60%はそれ以上の治療を行っていなかった。  著者らは「LOTが1〜3回のレナリドミド抵抗性MM患者では、アウトカムが不良であり、利用可能な治療法による病勢進行が速いため、治療を脱落する前に早期段階での効果的な治療を行う必要性が浮き彫りとなった」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Dhakal B, et al. Blood Adv. 2024 Aug 7. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39110988 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
新たに承認された骨髄線維症治療薬モメロチニブの日本人サブ解析結果
新たに承認された骨髄線維症治療薬モメロチニブの日本人サブ解析結果
公開日:2024年8月8日 Shimoda K, et al. Int J Hematol. 2024 Aug 7. [Epub ahead of print]  モメロチニブは、ヤヌスキナーゼ(JAK)1、JAK2の阻害に加え、アクチビンA受容体1型(ACVR1)を阻害する1日1回経口投与の骨髄線維症(MF)治療薬として、2024年6月に本邦でも承認された。主要な第III相臨床試験であるMOMENTUM試験およびSIMPLIFY-1試験において、MF患者の症状、脾臓、貧血に対する改善効果が報告されている。宮崎大学の下田 和哉氏らは、JAK阻害薬未治療の日本人MF患者におけるモメロチニブとルキソリチニブの有効性および安全性を評価するため、SIMPLIFY-1試験のサブ解析を行った。International Journal of Hematology誌オンライン版2024年8月7日号の報告。  対象は、国際共同第III相ランダム化二重盲検比較試験SIMPLIFY-1試験に参加したJAK阻害薬未治療の日本人MF患者。対象患者は、モメロチニブ群(200mg 1日1回)またはルキソリチニブ群(20mg 1日2回)に1:1でランダムに割り付けられ、24週間治療を行った。その後、非盲検でモメロチニブの投与を行った。主要エンドポイントは、24週時点での脾臓縮小率(SRR、脾臓容積35%以上減少)とし、副次的エンドポイントは、総合症状スコア(TSS)反応率(50%以上減少)、輸血非依存率とした。 主な結果は以下のとおり。 ・日本人MF患者15例(モメロチニブ群:6例、ルキソリチニブ群:9例)が登録され、全例が治療を完了した。 ・24週時点でのSRRは、モメロチニブ群50.0%、ルキソリチニブ群44.4%であった。 ・TSS反応率は、モメロチニブ群33.3%、ルキソリチニブ群0%であった。 ・輸血非依存率は、モメロチニブ群83.3%、ルキソリチニブ群44.4%であった。 ・すべてのグレードにおける治療関連有害事象(TRAE)の発生率は、モメロチニブ群83.3%、ルキソリチニブ群88.9%であった。 ・グレード3〜4のTRAE発生率は、モメロチニブ群0%、ルキソリチニブ群55.6%(貧血[55.6%]、めまい[11.1%])であった。  著者らは「JAK阻害薬未治療の日本人MF患者に対しモメロチニブは、忍容性が良好であり、脾臓や症状の改善および輸血の必要性を減少させることが明らかとなった」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Shimoda K, et al. Int J Hematol. 2024 Aug 7. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39110143 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
日本人TTP患者の再発予防、カプラシズマブ+早期リツキシマブ投与が有用
日本人TTP患者の再発予防、カプラシズマブ+早期リツキシマブ投与が有用
公開日:2024年8月7日 Imada K, et al. Thromb J. 2024; 22: 72.  日本人患者を対象とした国内第II /III相試験において、後天性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)に対するカプラシズマブ治療の有効性が示され、後天性TTPの再発率低下が報告された。カプラシズマブ治療は、ADAMTS13活性を毎週モニタリングし、症状の消失や活性の低下が持続するまで治療を継続することで、病勢増悪や再発を抑制することができる。大阪赤十字病院の今田 和典氏らは、国内第II/III相試験の対象患者におけるカプラシズマブ治療のADAMTS13活性/インヒビターレベルの変化を評価するため、事後分析を実施した。Thrombosis Journal誌2024年8月2日号の報告。  18歳以上の後天性TTP患者を対象に、血漿交換(TPE)後30日間、TPEおよび免疫抑制薬と併用してカプラシズマブを1日1回10m投与した。アウトカムには、ADAMTS13活性の正常化までの期間、治療終了時のADAMTS13活性レベル、治療中のADAMTS13 inhibitor boostingの発生率、血小板数の正常化までの期間、TPEの日数、安全性を含めた。治療中のADAMTS13インヒビターの再上昇の有無によるアウトカム評価も行なった。 主な結果は以下のとおり。 ・後天性TTP患者19例を分析に含めた。 ・ADAMTS13活性が10、20、60%以上回復するまでの期間は、それぞれ以下の通りであった。 【10%以上回復】14.6日(95%CI:5.9〜24.8) 【20%以上回復】18.5日(95%CI:5.9〜31.8) 【60%以上回復】47.5日(95%CI:18.5〜60.9) ・カプラシズマブ治療終了時のADAMTS13活性レベルの中央値は、62.0%(範囲:29.0〜101.0)であった。 ・ADAMTS13 inhibitor boostingの患者9例では、ADMTS13活性の反応に遅れがみられ、ADAMTS13 inhibitor boostingでなかった患者と比較し、血小板数の正常化までの期間中央値、TPEの日数中央値の短縮が認められた。 ・TPE終了後、ADAMTS13 inhibitor boostingのほぼすべての患者に対し、リツキシマブが投与された(88.9%)。 ・リツキシマブで治療を行ったADAMTS13 inhibitor boostingでなかった患者は、TPE終了前にリツキシマブが投与されていた。 ・再発患者は1例のみであり、有害事象によりカプラシズマブ投与を中止した直後に発現した。  著者らは「後天性TTP患者では、治療早期にリツキシマブを投与し、TPEおよび免疫抑制薬とカプラシズマブの併用を行うことで、ADAMTS13 inhibitor boostingリスクの軽減につながる可能性が示唆された。カプラシズマブに加え、リツキシマブを早期に使用することで、ADAMTS13 inhibitor boostingによる後天性TTP再発の予防が期待できる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Imada K, et al. Thromb J. 2024; 22: 72.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39095866 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
低リスクMDSの新たな標準治療に、ルスパテルセプト第III相試験主要解析
低リスクMDSの新たな標準治療に、ルスパテルセプト第III相試験主要解析
公開日:2024年8月6日 Porta MGD, et al. Lancet Haematol. 2024 Jul 19. [Epub ahead of print]  赤血球造血刺激因子製剤(ESA)治療歴のない輸血依存の低リスク骨髄異形成症候群(MDS)患者の貧血治療に対するルスパテルセプトの有用性は、エポエチンアルファと比較した第III相試験COMMANDS試験の事前に計画された中間解析において示された。イタリア・ヒューマニタス大学のMatteo Giovanni Della Porta氏らは、COMMANDS試験の主要解析結果を報告した。The Lancet. Haematology誌オンライン版2024年7月19日号の報告。  COMMANDS試験は、26ヵ国、142施設で実施された第III相非盲検ランダム化対照試験である。対象は、ESA治療歴なし、輸血依存のVery low、Low、Intermediateリスク(IPSS-Rによる予後層別化)の18歳以上のMDS患者(血清エリスロポエチン濃度:500U /L未満)。対象患者は、ベースライン時の赤血球輸血負荷、血清エリスロポエチン濃度、環状鉄芽球の状態により層別化され、24週以上のルスパテルセプトまたはエポエチンアルファの投与を受ける群に1:1でランダムに割り付けられた。ルスパテルセプトは3週間に1回皮下投与され、1.0mg/kg体重から開始して可能な場合は最大1.75mg/kgまで漸増した。エポエチンアルファは週1回皮下投与され、450IU/kg体重から開始して可能な場合は最大1,050IU/kgまで漸増した(最大総投与量8万IU)。主要エンドポイントは、ITT集団において、試験開始から24週までに、12週以上で赤血球輸血非依存状態が達成され、同時に平均ヘモグロビン量が1.5g/dL以上増加することとした。安全性評価対象は、1回以上治療を行ったすべての患者を含めた。 主な結果は以下のとおり。 ・2019年1月2日〜2022年9月29日、低リスクMDS患者363例がスクリーンングされ、ルスパテルセプト群182例、エポエチンアルファ群181例にランダムに割り付けられた。 ・年齢中央値は74歳(IQR:69〜80)、女性が162例(45%)、男性が201例(55%)であった。 ・人種別では、白人289例(80%)、アジア人44例(12%)、黒人またはアフリカ系米国人2例(1%)であった。ヒスパニックまたはラテン系は23例(6%)、311例(86%)はヒスパニックまたはラテン系ではなかった。 ・主要エンドポイントのフォローアップ期間中央値は、ルスパテルセプト群で17.2ヵ月(10.4〜27.7)、エポエチンアルファ群で16.9ヵ月(10.1〜26.6)であった。 ・主要エンドポイントを達成した患者は、ルスパテルセプト群110例(60%)、エポエチンアルファ群63例(35%)であり、ルスパテルセプト群で有意に高率であった(奏効率の共通リスク差:25.4%、95%CI:15.8〜35.0、p<0.0001)。 ・安全性評価のフォローアップ期間中央値は、ルスパテルセプト群で21.4ヵ月(IQR:14.2〜32.4)、エポエチンアルファ群で20.3ヵ月(IQR:12.7〜30.9)であった。 ・頻度の高いグレード3〜4の治療関連有害事象は、ルスパテルセプト群(182例)では高血圧(19例[10%])、貧血(18例[10%])、肺炎(10例[5%])、失神(10例[5%])、好中球減少症(9例[5%])、血小板減少症(8例[4%])、呼吸困難(8例[4%])、MDS(6例[3%])であった。エポエチンアルファ群(179例)では貧血(14例[8%])、肺炎(14例[8%])、好中球減少症(11例[6%])、MDS(10例[6%])、高血圧(8例[4%])、鉄過剰症(7例[4%])、COVID-19肺炎(6例[3%])が認められた。 ・両群で最も多く認められた重篤な治療関連有害事象は、肺炎(ルスパテルセプト群:9例[5%]、エポエチンアルファ群:13例[7%])、COVID-19(ルスパテルセプト群:8例[4%]、エポエチンアルファ群:10例[6%])であった。 ・中間解析では、ルスパテルセプト関連と考えられる死亡例として、急性骨髄性白血病と診断されて死亡した1例が報告されている。  著者らは「ルスパテルセプトは、エポエチンアルファと比較し、赤血球輸血依存性および血液学的に有意な改善を示しており、ESA治療歴のない、輸血依存の低リスクMDSに対する新たな標準治療として期待される」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Porta MGD, et al. Lancet Haematol. 2024 Jul 19. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39038479 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性DLBCLの2ndライン、CAR-T細胞療法が主流となるのか
再発・難治性DLBCLの2ndライン、CAR-T細胞療法が主流となるのか
公開日:2024年8月5日 Asghar K, et al. Front Oncol. 2024: 14: 1407001.  再発・難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する2ndライン治療としてCAR-T細胞療法と標準治療(SOC)を比較した最近の第III相試験において、これらの結果に一貫性が認められていない。パキスタン・ダウ健康科学大学のKanwal Asghar氏らは、再発・難治性DLBCLの2ndライン治療におけるCAR-T細胞療法の有効性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Frontiers in Oncology誌2024年7月18日号の報告。  CAR-T細胞療法とSOCの比較を行うため、ランダム効果メタ解析を用いて、推定値をプールした。混合治療の比較では、頻度論的(frequentist)ネットワークメタ解析を用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・3試験、再発・難治性DLBCL患者865例をメタ解析に含めた。 ・CAR-T細胞療法は、SOCと比較し、無イベント生存期間(EFS)、無増悪生存期間(PFS)の有意な改善を示した。 【EFS】HR:0.51、95%CI:0.27〜0.97、I2=92% 【PFS】HR:0.47、95%CI:0.37〜0.60、I2=0% ・CAR-T細胞療法では、全生存期間(OS)の改善傾向が認められたが、両群間で統計学的に有意な差は認められなかった(HR:0.76、95%CI:0.56〜1.03、I2=29%)。 ・混合治療の比較では、tisa-celと比較し、liso-cel(HR:0.37、95%CI:0.22〜0.61)およびaxi-cel(HR:0.42、95%CI:0.29〜0.61)においてEFSに対するベネフィットが示唆された。  著者らは「再発・難治性DLBCLの2ndラインにおけるCAR-T細胞療法は、SOCと比較し、奏効率が高く、病勢進行を遅らせるうえで効果的な治療法であると考えられる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Asghar K, et al. Front Oncol. 2024: 14: 1407001.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39091918 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
80歳以上のDLBCLに対するR-CHOP-14 vs. R-mini-CHOP
80歳以上のDLBCLに対するR-CHOP-14 vs. R-mini-CHOP
公開日:2024年8月2日 Dilbaz ZG, et al. Eur J Haematol. 2024 Jul 31. [Epub ahead of print]  びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、最も一般的なリンパ腫であり、年齢とともに発症率は増加する。80歳以上のDLBCL患者に対する14日毎のR-CHOP療法(R-CHOP-14)に関するデータは十分とはいえない。ドイツ・ザールラント大学のZelal Guel Dilbaz氏らは、80歳以上のDLBCL患者を対象に、R-CHOP-14と減量R-CHOP療法(R-mini-CHOP)の有用性を比較するため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。European Journal of Haematology誌オンライン版2024年7月31日号の報告。  対象は、2005〜19年にドイツの2つの三次医療センターにおいてR-CHOP-14またはR-mini-CHOPを行った80歳以上のDLBCL患者79例。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者の年齢中央値は84歳(範囲:80〜91)であった。 ・R-CHOP-14群は、R-mini-CHOP群と比較し、完全奏効(CR)は高かった(71.4% vs. 52.4%)が、全生存期間(OS、HR:0.94、95%CI:0.47〜1.90、p=0.88)および無増悪生存期間(PFS、HR:0.66、95%CI:0.32〜1.36、p=0.26)は、両群間で統計学的に有意な差は認められなかった。 ・フォローアップ中央期間40ヵ月における2年OSは、R-CHOP-14群で56%、R-mini-CHOP群で53%であった。 ・2年PFSは、R-CHOP-14群で46%、R-mini-CHOP群で50%であった。 ・化学療法の相対的な用量強度とOSとの間に相関は認められなかった(p=0.72)。  著者らは「本研究がレトロスペクティブコホート研究である点を踏まえると、OSに差が認められないことから、80歳以上の未治療DLBCL患者に対する治療は、減量R-CHOPが望ましいと考えられる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Dilbaz ZG, et al. Eur J Haematol. 2024 Jul 31. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39086181 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
未治療CLLに対するベネトクラクス+オビヌツズマブ〜第III相CLL14試験の長期フォローアップ結果
未治療CLLに対するベネトクラクス+オビヌツズマブ〜第III相CLL14試験の長期フォローアップ結果
公開日:2024年8月1日 Al-Sawaf O, et al. Blood. 2024 Jul 10. [Epub ahead of print]  未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)に対するBCL-2阻害薬ベネトクラクス+抗CD20抗体薬オビヌツズマブ併用療法の有効性および安全性を評価した第III相試験CLL14試験の6年長期フォローアップ結果を、ドイツ・ケルン大学のOthman Al-Sawaf氏らが報告した。Blood誌オンライン版2024年7月10日号の報告。  CLL14試験では、未治療CLL患者を12サイクルのベネトクラクス+オビヌツズマブ群(216例)またはchlorambucil+オビヌツズマブ群(216例)に、ランダムに割り付けた。主要エンドポイントは、無増悪生存期間(PFS)とした。副次的エンドポイントは、次治療開始までの期間(TTNT)、微小残存病変(MRD)陰性率、全生存期間(OS)および有害事象発生率とした。QOL悪化までの期間に関する患者報告アウトカムについても分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・観察期間中央値76.4ヵ月でのPFSでは、ベネトクラクス+オビヌツズマブ群(PFS中央値:76.2ヵ月)はchlorambucil+オビヌツズマブ群(PFS中央値:36.4ヵ月)よりも、継続的に良好であった(HR:0.40、95%CI:0.31〜0.52、p<0.0001)。 ・同様に、TTNTにおいても、ベネトクラクス+オビヌツズマブ群の方が延長された(6年TTNT:65.2% vs. 37.1%、HR:0.44、95%CI:0.33〜0.58、p<0.0001)。 ・ベネトクラクス+オビヌツズマブ群において、PFS短縮の独立したリスク因子として、17p欠失あり、免疫グロブリン重鎖可変部体細胞遺伝子変異(IGHV)変異なし、リンパ節サイズ5cm以上が特定された。 ・治療から5年後にMRD陰性(末梢血中10〜4未満)を示した患者は、ベネトクラクス+オビヌツズマブ群17例(ITT:7.9%)、chlorambucil+オビヌツズマブ群4例(ITT:1.9%)であった。 ・6年OSは、ベネトクラクス+オビヌツズマブ群78.7%、chlorambucil+オビヌツズマブ群69.2%であった(HR:0.69、95%CI:0.48〜1.01、p=0.052)。 ・ベネトクラクス+オビヌツズマブ群(中央値:82.1ヵ月)は、chlorambucil+オビヌツズマブ群(中央値:65.1ヵ月)と比較し、全体的な健康状態/QOLの悪化までの期間を有意に延長することが確認された(HR:0.70、95%CI:0.51〜0.97)。 ・フォローアップ調査で調整された1,000患者月当たりの二次原発性悪性腫瘍(SPM)の発生率は、ベネトクラクス+オビヌツズマブ群2.3、chlorambucil+オビヌツズマブ群1.4であった。  著者らは「未治療CLLに対する12サイクルのベネトクラクス+オビヌツズマブ併用療法は、持続的な長期生存、MRD陰性化、QOLの維持などにおいて、長期の有用性が示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Al-Sawaf O, et al. Blood. 2024 Jul 10. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39082668 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
造血幹細胞移植患者における制吐予防、最善の治療は?
造血幹細胞移植患者における制吐予防、最善の治療は?
公開日:2024年7月31日 Baez-Gutierrez N, et al. Eur J Haematol. 2024 Jul 29. [Epub ahead of print]  スペイン・University Hospital Nuestra Senora de ValmeのNerea Baez-Gutierrez氏らは、造血幹細胞移植(HSCT)前処置レジメンとして高用量化学療法を行った血液疾患患者における制吐薬による予防効果の有効性および安全性を評価するため、システマティックレビューを実施した。European Journal of Haematology誌オンライン版2024年7月29日号の報告。  PubMed、EMBASE、ClinicalTrials.gov、Cochraneデータベースより包括的に検索し、制吐薬による予防に関するランダム化比較試験(RCT)およびシステマティックレビューを特定した(英語、フランス語、イタリア語、スペイン語による研究)。システマティックレビューは、PRISMAガイドラインに準拠し、実施した。 主な結果は以下のとおり。 ・8件のRCTを分析に含めた。 ・評価された制吐薬は、5-HT3受容体拮抗薬による単剤療法から、オランザピン、NK1受容体拮抗薬、5-HT3受容体拮抗薬、コルチコステロイドを含む併用療法まで多岐にわたっていた。 ・3剤または4剤併用療法による完全奏効(CR)率は、23.5〜81.9%の範囲であった。 ・重篤な副作用は認められなかったが、下痢、便秘、過鎮静、頭痛などの軽微な症状が報告された。 ・既存のエビデンスでは、制吐薬使用のベネフィットが示されているものの、明確な臨床的方向性は示されていなかった。  著者らは「さまざまな患者背景に対する制吐薬の3剤または4剤併用療法の選択は、いまだ不確実である。詳細な研究結果が明らかになるまで、医師は最新のガイドラインや判断基準に則り、各患者のニーズやリスクを鑑みた制吐薬の選択をカスタマイズする必要がある」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Baez-Gutierrez N, et al. Eur J Haematol. 2024 Jul 29. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39074908 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
R-CHOP+メトホルミン併用療法でDLBCLの臨床アウトカム改善〜第II相試験
R-CHOP+メトホルミン併用療法でDLBCLの臨床アウトカム改善〜第II相試験
公開日:2024年7月30日 Hegazy A, et al. Asian Pac J Cancer Prev. 2024; 25: 2351-2359.  メトホルミンは、さまざまな腫瘍に対し抗腫瘍効果を示すことが報告されている。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)においては、第1選択の化学療法および免疫療法にメトホルミンを併用することにより、臨床アウトカムの改善が示唆されている。エジプト・Menoufia UniversityのAmira Hegazy氏らは、DLBCL患者に対する標準的な初期治療レジメンであるR-CHOP療法にメトホルミンを併用した際の有効性を評価するため、プロスペクティブランダム化第II相試験を実施した。Asian Pacific Journal of Cancer Prevention誌2024年7月1日号の報告。  対象は、DLBCLの組織病理学的所見が認められ、R-CHOPによる第1選択治療の基準に適合し、余命6ヵ月以上、PS2以下の成人患者100例。対象患者は、R-CHOP+メトホルミン併用療法群(50例)またはR-CHOP療法単独を行った標準療法群(50例)のいずれかにランダムに割り付けられた。評価指標には、奏効率、毒性、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を含めた。 主な結果は以下のとおり。 ・メトホルミン併用療法群では、標準療法群よりも、女性の割合が高かった(p=0.016)。 ・メトホルミン併用療法群では、標準療法群よりも、悪心の発生率が高かった(p=0.008)。 ・メトホルミン併用療法群では、標準療法群よりも、治療終了時の完全寛解(CR)率が高く、再発/病勢進行率が低く、全死亡率も低かった。 【CR率】メトホルミン併用療法群:92% vs. 標準療法群:74%(p=0.017) 【再発/病勢進行率】メトホルミン併用療法群:10% vs. 標準療法群:36%(p=0.002) 【全死亡率】メトホルミン併用療法群:4% vs. 標準療法群:20%(p=0.014) ・平均無病生存期間(DFS)は、メトホルミン併用療法群で24.5ヵ月、標準療法群で20.2ヵ月であった(p=0.023)。 ・同様に、平均PFSは、メトホルミン併用療法群で25.91ヵ月、標準療法群で19.81ヵ月(p=0.002)、平均OSは、メトホルミン併用療法群で27.39ヵ月、標準療法群で23.8ヵ月であった(p=0.013)。 ・奏効と再発の多変量解析では、メトホルミンの使用は、CRと再発の独立した予後因子であることが示唆された。  著者らは「R-CHOP+メトホルミン併用療法は、許容可能な安全性プロファイルを有し、DLBCL患者の臨床アウトカム改善に寄与する可能性が示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Hegazy A, et al. Asian Pac J Cancer Prev. 2024; 25: 2351-2359.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39068568 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
レナリドミド治療抵抗性MMの初回再発に対するIXA-Pd療法/Blood Adv
レナリドミド治療抵抗性MMの初回再発に対するIXA-Pd療法/Blood Adv
公開日:2024年7月29日 Voorhees PM, et al. Blood Adv. 2024 Jul 26. [Epub ahead of print]  レナリドミド治療抵抗性の多発性骨髄腫(MM)患者の初回再発は増加しているが、最適な治療法は十分に検討されていない。米国・Atrium Health Wake Forest BaptistのPeter M. Voorhees氏らは、レナリドミド治療抵抗性MMの初回再発に対する経口プロテアソーム阻害薬イキサゾミブ(IXA)とポマリドミド+デキサメタゾン(Pd療法)の併用による有効性および安全性を評価するため、ランダム化第II相試験を実施した。Blood Advances誌オンライン版2024年7月26日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・Pd療法の全奏効率(ORR)は43.6%、IXA-Pd療法のORRは63.2%であった。 ・奏効の深さ(最良部分奏効[VGPR]の達成度により測定)は、3剤併用(28.9%)が2剤併用(5.1%)よりも優れていた(p=0.0063)。 ・進行イベントの75%が発生した後に計画されていた中間解析では、無増悪生存期間(PFS)は、IXA-Pd療法の方が良好であり、事前に定義した優位性の基準を超えていた。 ・追加のフォローアップ調査では、PFS中央値は、Pd療法で7.5ヵ月(95%CI:4.8〜13.6)、IXA-Pd療法で20.3ヵ月(95%CI:7.7〜26.0)であった(HR:0.437、upper 90% bound:0.657)。 ・進行時に2剤併用から3剤併用へ移行した30例中26例のORRは23.1%、PFS中央値は5.6ヵ月であった。 ・全生存期間(OS)は、両群間で差は認められなかった。 ・3剤併用では、より多くの血液毒性がみられたが、非血液学的有害事象は両群間で同様であった。  著者らは「Pd療法にIXAを追加することで、初回再発時のレナリドミド抵抗性MM患者のPFSが改善し、3剤併用療法の安全性プロファイルも比較的良好であった」とし「本結果は、経口薬3剤による治療に関する第III相試験を支持するものである」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Voorhees PM, et al. Blood Adv. 2024 Jul 26. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39058954 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
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