「血液内科 Journal Check」の記事一覧

イキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン療法を用いる最適なタイミングは?
イキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン療法を用いる最適なタイミングは?
公開日:2024年8月30日 Fric D, et al. Eur J Haematol. 2024 Aug 26. [Epub ahead of print]  実臨床において、ダラツムマブによる治療歴を有する再発・難治性多発性骨髄腫(MM)に対してイキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン療法(ILd療法)を行った患者における有用性を評価するため、チェコ・マサリク大学のDominik Fric氏らは、レトロスペクティブに分析を行った。European Journal of Haematology誌オンライン版2024年8月26日号の報告。  本研究は、ダラツムマブによる治療歴を有する再発・難治性MM患者に対するILd療法の有効性を評価し、ILd療法によるメリットが最も大きい患者サブタイプを明らかにすることを目的として実施した。全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)のハザード比(HR)の評価も行った。 主な結果は以下のとおり。 ・対象は、ダラツムマブによる治療歴を有する再発・難治性MM患者43例。 ・最小奏効(MR)以上を達成した患者は53.3%であった。 ・PFS中央値は4.56ヵ月(95%CI:2.56~8.03)、OS中央値は28.92ヵ月(95%CI:5.4~未達)であった。 ・奏効持続期間(DOR)の評価が可能であった28例におけるDOR中央値は21.3ヵ月(95%CI:6.85~未達)に達した。 ・3クラス抵抗性でない患者(HR:0.39、95%CI:0.14~1.10、p=0.07)および前治療歴が3ライン未満の患者(HR:0.13、95%CI:0.03~0.6、p=0.003)で、OSの改善が認められた。 ・OSと同様に、3クラス抵抗性でない患者(HR:0.52、95%CI:0.25~1.10、p=0.08)において、PFSの改善も認められた。  著者らは「ダラツムマブによる治療歴を有する再発・難治性MM患者においてILd療法が最も有効であった患者は、3クラス抵抗性でなく、前治療歴が3ライン未満の患者であることが示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Fric D, et al. Eur J Haematol. 2024 Aug 26. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39187373 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
ポラツズマブ併用療法時のG-CSF製剤予防投与はどの程度有用なのか
ポラツズマブ併用療法時のG-CSF製剤予防投与はどの程度有用なのか
公開日:2024年8月29日 Kodama A, et al. Gan To Kagaku Ryoho. 2024; 51: 741-745.  びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療では、ポラツズマブ ベドチン(Pola)併用療法が広く用いられる。Pola併用療法の臨床試験では、90%以上の症例に対しG-CSF製剤が一次予防目的で投与されているが、予防投与のメリットを調査した報告はほとんどない。大阪・市立吹田市民病院の児玉 暁人氏らは、Pola併用療法時における持続型G-CSF製剤による1次予防の有無により、発熱性好中球減少症(FN)の発生率に影響を及ぼすかを調査した。癌と化学療法2024年7月号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・Pola-BP療法によるFN発生率は、G-CSFあり群で0%、G-CSFなし群で9.5%であった。 ・Pola-R-CHP療法によるFN発生率は、G-CSFあり群で0%、G-CSFなし群で31.2%であり、より高くなる傾向が認められた。 ・Pola-BP療法G-CSFあり群の入院期間は11日、G-CSFなし群は18日であり、G-CSF予防投与による入院期間の有意な短縮が認められた(p=0.046)。 ・G-CSF予防投与によりグレード3以上の白血球減少、好中球減少の発生率に減少傾向が認められたが、統計学的に有意な差は認められなかった。 ・Pola併用療法におけるG-CSF製剤の一次予防投与は、血液毒性の軽減に寄与する可能性が示唆された。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kodama A, et al. Gan To Kagaku Ryoho. 2024; 51: 741-745.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39191692 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
CAR-T細胞療法関連毒性の予防にトシリズマブは推奨されるか
CAR-T細胞療法関連毒性の予防にトシリズマブは推奨されるか
公開日:2024年8月28日 Locke FL, et al. Transplant Cell Ther. 2024 Aug 24. [Epub ahead of print]  再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)に対する抗CD19CAR-T細胞療法薬であるアキシカブタゲン シロルユーセル(axi-cel)で治療を行った患者の多くは、サイトカイン放出症候群(CRS)や有害な神経学的イベントを経験する。axi-celによるCAR-T細胞関連毒性を軽減するための潜在的なアプローチを調査するため、ZUMA-1試験に追加し、安全性拡張コホートが実施された。米国・Moffitt Cancer CenterのFrederick L. Locke氏らは、その結果を報告した。Transplantation and Cellular Therapy誌オンライン版2024年8月24日号の報告。  探索的安全性コホートであるZUMA-1コホート3試験では、axi-cel治療患者におけるCRSおよび神経学的イベントの予防としてのIL-6受容体抗体トシリズマブおよび抗てんかん薬レベチラセタムの使用に関して、調査を行った。再発・難治性LBCL患者を対象に、Day−5~−3に前処置化学療法を実施し、Day0にaxi-cel(2×106cells/kg)を注入した。Axi-cel注入48時間後に、トシリズマブ(8mg/kg)を予防的に投与した。主要エンドポイントは、CRSおよび神経学的イベントの発生率と重症度とした。主な副次的エンドポイントには、有害事象の発生率、客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、バイオマーカー分析(循環CAR-T細胞、サイトカイン、ケモカイン)が含まれた。 主な結果は以下のとおり。 ・本コホート3には42例が登録され、そのうち38例にaxi-celが投与された。 ・24ヵ月の解析では、すべてのグレードのCRS発生率は92%、神経学的イベント発生率は87%であった。グレード3以上のCRSは3%、神経学的イベントは42%で認められた。 ・グレード5の神経学的イベント(脳浮腫)が1件認められた。 ・24ヵ月以上のフォローアップ調査では、ORRは63%、継続的な奏効は39.5%でみられた。 ・48ヵ月のフォローアップ調査では、OS中央値は34.8ヵ月(95%CI:5.4~判定不能)であった。 ・ZUMA-1コホート3試験におけるCAR-T細胞の増殖は、コホート1および2と同等であった。 ・コホート1、2と比較し、トシリズマブによるIL-6受容体阻害にマッチし、血清IL-6レベルの増加が認められた。 ・グレード3以上の神経学的イベントは、脳脊髄液中のIL-6レベル、炎症誘発性サイトカイン、骨髄細胞上昇との関連が認められた。  著者らは「再発・難治性LBCLに対するCAR-T細胞療法関連有害事象の予防において、トシリズマブの使用は推奨されなかった。また、レベチラセタム予防投与の有用性も、依然として不明なままであった」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Locke FL, et al. Transplant Cell Ther. 2024 Aug 24. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39187161 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性FLT3変異陽性AMLに対するギルテリチニブ+VEN+AZAは第1選択に支持されるか
再発・難治性FLT3変異陽性AMLに対するギルテリチニブ+VEN+AZAは第1選択に支持されるか
公開日:2024年8月27日 Fu Q, et al. Leuk Res. 2024 Aug 22. [Epub ahead of print]  FLT3阻害薬ギルテリチニブは、再発・難治性FLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病(AML)に対する標準治療薬として用いられるが、全生存期間(OS)は20%程度であり、深い奏効や持続的な奏効を達成する患者は限られている。中国・北京大学のQiang Fu氏らは、ギルテリチニブ+ベネトクラクス(VEN)+アザシチジン(AZA)による3剤併用療法で治療を行った再発・難治性FLT3変異陽性AML患者29例をレトロスペクティブに分析した。Leukemia Research誌オンライン版2024年8月22日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者29例中、FLT3阻害薬治療歴を有していた患者は19例(65.5%)であった。 ・modified複合的寛解率(mCRc)は62.1%(18例)であった(完全寛解[CR]:4例[13.8%]、正常な血球回復が不完全な寛解[CRi]:6例[20.7%]、形態学的に白血病細胞がない状態[MLFS]:8例[27.6%])。 ・mCRcを達成した18例のうち、FLT3-PCR陰性は94.4%(17例)、フローサイトメトリー陰性は77.7%(14例)であった。 ・mCRc 率は、FLT3チロシンキナーゼ阻害薬治療歴のない患者で70%(10例中7例)、治療歴のある患者で57.8%(19例中11例)であった(p=0.52)。 ・1サイクル目終了時点での治療反応者におけるANC 0.5×109/L超までの期間中央値は38日、血小板 50×109/L超までの期間中央値は31日であったが、60日間の死亡率は0%であった。 ・すべての患者における推定2年OSは60.9%であった。 ・1年OSは、FLT3チロシンキナーゼ阻害薬治療歴のない患者で80%、治療歴のある患者で58.8%(p=0.79)。 ・3剤併用療法後に同種造血幹細胞移植を行った19例(65.5%)における推定2年OSは62%、移植を行わなかった10例における推定2年OSは37%であった(p=0.03)。  著者らは「ギルテリチニブ+VEN+AZAによる3剤併用療法は、効果的かつ安全であり、再発・難治性FLT3変異陽性AMLに対する第1選択治療として有望であることが示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Fu Q, et al. Leuk Res. 2024 Aug 22. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39180903 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
抗BCMA/CD3二重特異性抗体teclistamab、抗BCMA治療歴の有無に関わらず有効/Blood
抗BCMA/CD3二重特異性抗体teclistamab、抗BCMA治療歴の有無に関わらず有効/Blood
公開日:2024年8月26日 Touzeau C, et al. Blood. 2024 Aug 20. [Epub ahead of print]  teclistamabは、トリプルクラス曝露の再発・難治性多発性骨髄腫(MM)の治療薬として、FDAやEMAより承認されているB細胞成熟抗原(BCMA)およびCD3を標的とする二重特異性抗体である。第I/II相試験であるMajes TEC-1試験の対象には、抗体薬物複合体(ADC)やCAR-T細胞療法などのBCMAを標的とした治療を過去に行った患者も含まれていた。フランス・ナント大学のCyrille Touzeau氏らは、抗BCMA治療歴を有する再発・難治性MM患者に対するteclistamabの有用性を検討するため、Majes TEC-1試験コホートCを実施した。Blood誌オンライン版2024年8月20日号の報告。  対象は、抗BCMA治療歴を有する再発・難治性MM患者40例。対象患者には、teclistamab 1.5mg/kgを毎週皮下注射で投与した。 主な結果は以下のとおり。 ・フォローアップ期間中央値は28.0ヵ月(範囲:0.7〜31.1)。 ・過去の治療歴の中央値は、6ライン(範囲:3〜14)であった。 ・過去の抗BCMA治療には、ADC29例、CAR-T細胞療法15例、ADCとCAR-T細胞療法4例が含まれた。 ・全奏効(OR):52.5% ・最良部分奏効(PR):47.5% ・完全奏効(CR)以上:30.0% ・奏効期間中央値:14.8ヵ月 ・無増悪生存期間(PFS)中央値:4.5ヵ月 ・全生存期間(OS)中央値:15.5ヵ月 ・最も発生した治療関連有害事象(TEAE)は、好中球減少、感染症、サイトカイン放出症候群、貧血であり、グレード3以上のTEAEは、血球減少、感染症であった。 ・感染症が発生した患者は28例(70.0%)、グレード3〜4が13例(35.5%)、グレード5が4例(10%)であった。 ・teclistamab治療開始前のベースライン時のBCMA発現および免疫特性は、過去の抗BCMA治療の影響を受けなかった。  著者らは「本Majes TEC-1試験コホートCにおいて、重度および抗BCMA治療歴を有する再発・治療抵抗性MM患者に対するteclistamabの有効性および安全性が確認された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Touzeau C, et al. Blood. 2024 Aug 20. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39172760 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
真性多血症に対するルキソリチニブ+PEG-IFN-α2a併用療法/Blood Adv
真性多血症に対するルキソリチニブ+PEG-IFN-α2a併用療法/Blood Adv
公開日:2024年8月23日 Soerensen. AL Dr, et al. Blood Adv. 2024 Aug 20. [Epub ahead of print]  新たに真性多血症(PV)と診断された患者を対象に、ルキソリチニブと低用量ペグインターフェロンアルファ-2a(PEG-IFN-α2a)併用療法の有用性を評価した第II相COMBI II試験における2年間の研究結果を、デンマーク・Zealand University HospitalのAnders Lindholm Soerensen Dr.氏らが、報告した。Blood Advances誌オンライン版2024年8月20日号の報告。  主要アウトカムは安全性、主な副次的エンドポイントは血液学的パラメータ、QOL、JAK2V617F変異アレル量(VAF)に基づく有効性とした。IWG-MRTとELNによるPVの2013年版治療効果判定基準(PV-A)を用いた。寛解基準には、症状、脾腫、末梢血球数、骨髄の寛解が含まれた。 主な結果は以下のとおり。 ・対象は、真性多血症患者25例(平均年齢:70歳)。そのうち5例は血栓塞栓症の既往歴があり、3例はCTで脾腫が認められた。 ・両薬剤を中止した患者は2例。そのうち1例はPV後に骨髄線維症へ進行し、この症例においてのみグレード3の感染症が認められた。 ・帯状疱疹の症状は観察されなかった。 ・精神症状により治療中止した患者はいなかった。 ・末梢血球数の寛解率は、24ヵ月時点で92%であった。 ・PV-Aを用いた評価では、24ヵ月時点での寛解達成は14例(56%)、完全寛解(CR)は3例(12%)、部分寛解(PR)は11例(44%)であった。 ・骨髄増殖性腫瘍症状総合スコアの腹部不快感、寝汗、掻痒感、骨痛の有意な改善が認められた。 ・JAK2V617F VAF中央値は、47%(95%CI:35〜59)から7%(95%CI:3〜15)へ減少し、分子遺伝学的寛解達成率は60%であった。  著者らは「ルキソリチニブ+PEG-IFN-α2a併用療法は、真性多血症患者の細胞数、骨髄細胞密度、繊維化を改善し、JAK2V617F VAFの減少および許容範囲内の毒性を有する治療法であることが示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Soerensen. AL Dr, et al. Blood Adv. 2024 Aug 20. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39163611 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
フレッドハッチンソンがん研究センターの慢性GVHD発生率が減少、その詳細を分析/Blood Adv
フレッドハッチンソンがん研究センターの慢性GVHD発生率が減少、その詳細を分析/Blood Adv
公開日:2024年8月22日 Carpenter PA, et al. Blood Adv. 2024 Aug 21. [Epub ahead of print]  2005年以降、フレッドハッチンソンがん研究センターにおける慢性移植片対宿主病(cGVHD)の発生率は、着実に減少している。この現象をより理解するため、米国・フレッドハッチンソンがん研究センターのPaul A. Carpenter氏らは、2005〜19年の生存患者3,066例を対象に、造血幹細胞移植を行った時期を関数として、全身免疫抑制療法を必要とするcGVHD(cGVHD-IS)リスクを評価した。Blood Advances誌オンライン版2024年8月21日号の報告。  造血幹細胞移植を行った時期とcGVHDの原因特有のハザード比(HR)との関連を評価するため、未調整および調整済みのCox回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・平均フォローアップ期間は7.0年(範囲:1.0〜17.2)。 ・全生存者における2年以内に発生したcGVHD-ISの発生率は、2005〜07年の45〜52%から、2008〜12年の約40%に減少し、2017年には約26%にまで減少が認められた。 ・小児生存患者502例における分析では、2013年以降のcGVHD-ISの発生率は10%未満であった。 ・非悪性疾患で移植を行った成人および小児生存患者305例では、cGVHDの発生率により大きな変動が認められ、2016年以降は20%未満であった。 ・造血幹細胞移植を行った時期が5年進むごとに、cGVHDの原因別HRは27%低下した(未調整HR:0.73、95%CI:0.68〜0.78、p<0.0001)。この関連は、cGVHDの減少につながる可能性あるさまざまな因子(年齢、ドナー/幹細胞ソース、人種、性別、コンディショニング強度、GVHD予防など)で調整した後でも同様であり、HRは0.81(95%CI:0.75〜0.87、p<0.0001)であった。 ・cGVHDの減少は、人口動態の変化やcGVHD低下が期待される移植アプローチの使用率増加などの普及が考えられるが、これを完全に説明することは困難であった。  著者らは「cGVHDの減少因子を明らかにするためにも、対照を過去の事例に設定するのではなく、同時期の対照群を用いた観察研究が必要とされる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Carpenter PA, et al. Blood Adv. 2024 Aug 21. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39167805 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
低悪性度B細胞リンパ腫の再発例に対するオビヌツズマブ+レナリドミド併用療法〜第I/II相試験
低悪性度B細胞リンパ腫の再発例に対するオビヌツズマブ+レナリドミド併用療法〜第I/II相試験
公開日:2024年8月21日 Gurumurthi A, et al. EClinicalMedicine. 2024: 74: 102747.  リツキシマブ+レナリドミドは、再発の低悪性度B細胞非ホジキンリンパ腫に対する有用な選択肢の1つである。オビヌツズマブは、リツキシマブと比較し、抗体依存性細胞傷害や貪食作用に優れることから、レナリドミドとの併用薬として、有望な候補薬剤と考えられる。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのAshwath Gurumurthi氏らは、再発・難治性低悪性度B細胞非ホジキンリンパ腫における固定用量のオビヌツズマブと併用したレナリドミドの推奨用量を明らかにするため、第II相試験を実施した。EClinicalMedicine誌2024年7月27日号の報告。  テキサス大学MDアンダーソンがんセンターで再発・難治性のWHOグレード1〜3Aの濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫の患者(ECOG PS:0〜2)を対象に、単群非盲検第I/II相試験を実施した。アグレッシブリンパ腫への進行が確認された患者は除外した。フェーズIでは、レナリドミド20mgをフェーズIIの推奨用量とするため、3+3ドーズエスカレーションデザインにより、オビヌツズマブ1,000mg静脈内投与と3つの定義済みレベルのレナリドミド経口を併用した。フェーズIIでは、導入療法として28日サイクルのオビヌツズマブ1,000mg+レナリドミド20mgを6サイクル行った。リツキシマブ+レナリドミド治療によるこれまでの経験に従い、併用療法に治療反応が認められた場合には、最大6サイクル(計12サイクル)の併用療法を行った。治療反応が認められたすべての患者に対し、6サイクル後も2ヵ月毎にオビヌツズマブ投与を継続し、最大30ヵ月継続した。6サイクル以上の併用療法の回数については、治験責任医師の判断に委ね、曝露を最小限としながらも治療反応を最大化するための個別化治療を可能とした。共同主要目的は、安全性および全奏効(OS)の評価とした。OSの定義は、再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫において、導入療法終了時の完全奏効(CR)または部分奏効(PR)を達成した患者の割合とした(Chesoらの2007年基準)。副次的エンドポイントは、導入療法後のCR、無増悪期間(TTP)、無増悪生存期間(PFS)、OSを含むイベント発生までの期間とした。解析は、いずれかの治療を1回以上行ったすべての患者を対象に、有効性(ITT)および安全性(各治療群)を評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・2014年6月3日〜2019年3月7日に66例(フェーズI:9例、フェーズII:57例)が登録された。 ・すべての患者について安全性評価を実施し、フェーズII推奨用量であるレナリドミド20mgで治療された患者60例は、有効性評価可能であった。 ・グレード3〜4の血液毒性は、好中球減少21%(66例中14例)、血小板減少11%(66例中7例)であり、発熱性好中球減少は認められなかった。 ・グレード3〜4の非血液毒性は、肺感染症8%(66例中5例)、疲労8%(66例中5例)、発疹6%(66例中4例)であった。 ・導入療法終了時のOS達成率は90%(60例中54例、95%CI:79〜96)、事前に指定した有効性エンドポイントを満たしていた。 ・導入療法終了時のCRは33%(60例中20例、95%CI:22〜47)であった。 ・フォローアップ期間中央値41.7ヵ月において、PFS、TTP、OSは中央値に達しなかった。 ・推定4年PFSは55%(95%CI:42〜73)、TTPは56%(95%CI:43〜74)、OSは84%(95%CI:74〜95)であった。  著者らは「再発・難治性の低悪性度B細胞非ホジキンリンパ腫に対し、オビヌツズマブ+レナリドミドの併用は、安全かつ有効であり、奏効期間の延長に寄与することが示唆された。本研究は、対照群を採用していないため評価に制限があることを踏まえ、今後はリツキシマブ+レナリドミドと比較したランダム化試験が求められる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Gurumurthi A, et al. EClinicalMedicine. 2024: 74: 102747.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39161543 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
ベンダムスチン治療によるCMV感染リスクの高い患者の特徴は
ベンダムスチン治療によるCMV感染リスクの高い患者の特徴は
公開日:2024年8月20日 Huang JP, et al. Ann Hematol. 2024 Aug 19. [Epub ahead of print]  ベンダムスチンは、悪性リンパ腫の治療によく用いられる薬剤であり、優れた効果を発現するものの、免疫抑制作用が強いといわれている。そのため、ベンダムスチン使用後のサイトメガロウイルス(CMV)再活性化が報告されている。台湾・台北栄民総医院のJen-Pei Huang氏らは、ベンダムスチンを含むレジメンで治療を行った悪性リンパ腫患者におけるCMV感染への影響を明らかにするため、本研究を実施した。Annals of Hematology誌オンライン版2024年8月19日号の報告。  2010年9月〜2022年4月に台湾・台北栄民総医院で悪性リンパ腫の治療を行った患者をレトロスペクティブに分析した。臨床的に重要なCMV感染(CS-CMVi)の定義は、ベンダムスチン使用後にCMV治療を必要とした最初のCMV再活性化とした。患者のベースライン特性および検査データを収集した。主要エンドポイントは、CS-CMViとした。CS-CMViと死亡率に対するリスク因子を推定するため、時間依存性共変量Cox回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・対象は、ベンダムスチンを含むレジメンで治療を行った悪性リンパ腫患者211例。 ・CS-CMViは、27例(12.8%)で認められた。 ・3年間のフォローアップ期間中の累積発生率は、100人年当たり10.1人であった。 ・多変量解析では、CS-CMViのリスク因子として、以下が挙げられた。 ●ベンダムスチン治療開始前の治療歴が1回以上(95%CI:1.10〜24.76) ●血清アルブミン値3.5g/dL未満(95%CI:2.63〜52.93) ●肝疾患(95%CI:1.51〜28.61) ・CS-CMViは、死亡率の主な独立したリスク因子の1つであった(95%CI:1.23〜10.73)。  著者らは「治療歴が1回以上、低アルブミン血症、肝疾患が認められるリンパ腫患者に対するベンダムスチンを含むレジメンでの治療は、CS-CMViにとくに注意する必要があることが示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Huang JP, et al. Ann Hematol. 2024 Aug 19. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39158713 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
移植前処置Flu/Mel、メルファラン減量は支持されるか
移植前処置Flu/Mel、メルファラン減量は支持されるか
公開日:2024年8月19日 Albanyan O, et al. Transplant Cell Ther. 2024 Aug 13. [Epub ahead of print]  フルダラビン(Flu)とメルファラン(Mel)による低強度前処置レジメンは、急性骨髄性白血病(AML)や骨髄異形成症候群(MDS)患者の同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)によく用いられる。しかし、Mel使用がallo-HSCTの毒性および臨床アウトカムに及ぼす影響に関するエビデンスは限られている。米国・Moffitt Cancer CenterのOmar Albanyan氏らは、AMLおよびMDS患者を対象にFluと組み合わせたMel100mg /m2またはMel140mg /m2におけるHLA8/8適合allo-HSCTのアウトカムをレトロスペクティブに比較した。Transplantation and Cellular Therapy誌オンライン版2024年8月13日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者345例のうち、Ful /Mel100群は62例、Ful/Mel140群は283例であった。 ・allo-HSCT時の年齢中央値は66歳、フォローアップ期間中央値は36.5ヵ月であった。 ・Ful /Mel100群とFul/Mel140群では以下の点で統計学的に有意な差が認められた。 【胃腸障害】40.3% vs. 67.8%(p<0.001) 【100日目のグレード2〜4の急性GVHD】21.0% vs. 43.1%(p=0.001) 【2年間の慢性GVHD】17.4% vs. 27.1%(p=0.033) ・多変量解析では、Ful/Mel140群において、胃腸障害(HR:1.83、p=0.013)、グレード2〜4の急性GVHD(HR:2.35、p=0.003)、中等度〜重度の慢性GVHD(HR:3.13、p=0.007)のリスクが高かった。 ・Melの総投与量は、口腔粘膜炎、非再発死亡率、再発、無イベント生存期間(EFS)、全生存期間(OS)に独立した影響を及ぼさなかった。  著者らは「Melを減量したFul /Mel100を用いることで、allo-HSCTの毒性およびGVHDを最小限に抑制することが可能であることが支持された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Albanyan O, et al. Transplant Cell Ther. 2024 Aug 13. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39147136 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
新規BTK阻害薬ピルトブルチニブ、形質転換症例への治療選択肢にもなりうるか〜BRUIN試験サブ解析
新規BTK阻害薬ピルトブルチニブ、形質転換症例への治療選択肢にもなりうるか〜BRUIN試験サブ解析
公開日:2024年8月16日 Wierda WG, et al. Lancet Haematol. 2024 Jul 18. [Epub ahead of print]  組織学的形質転換の多くは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)として出現し、慢性リンパ性白血病(CLL)の10%にみられるが、承認されている治療薬はなく、予後不良因子となっている。非共有結合型ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるピルトブルチニブは、再発・難治性のB細胞悪性腫瘍患者に対する有効性および忍容性が示される薬剤である。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのWilliam G. Wierda氏らは、ピルトブルチニブの多施設共同オープンラベル第I /II相試験であるBRUIN試験より形質転換患者を対象にサブグループ解析を実施し、ピルトブルチニブ単剤療法の安全性および抗腫瘍活性を検証した。The Lancet. Haematology誌オンライン版2024年7月18日号の報告。  対象は、組織学的形質転換が確認され、ECOGのPSが0〜2、修正版プロトコルで第1選択治療を行なった18歳以上の成人患者。ピルトブルチニブ200mgを28日サイクルで1日1回経口投与を行なった。これまでに報告されているように、BRUIN試験における主要エンドポイントは、最大耐量(第I相)および全奏効率(OR、第II相)であった。ピルトブルチニブ単剤療法を1回以上行なったすべての患者において、安全性および抗腫瘍活性を測定した。 主な結果は以下のとおり。 ・2019年12月26日〜2022年7月22日に82例(第I相試験:5例、第II相試験:77例)が登録された。 ・1例を除くすべての患者が、第II相試験の推奨用量であるピルトブルチニブ200mgの開始用量で投与された。残りの1例は、ピルトブルチニブ150mgを投与されたが、200mgへの増量は行わなかった。 ・対象患者の平均年齢は67歳(IQR:59〜72)。男性55例(67%)、女性27例(33%)であった。 ・82例中65例(79%)は白人であった。 ・74例(90%)は、1回以上のRichter transformation-directed therapy歴があった。 ・多くの患者(61例、74%)は、CLLまたは形質転換に対する共有結合型BTK阻害薬による治療歴を有していた。 ・全体のORは50.0%(95%CI:38.7〜61.3)、完全奏効(CR)は13%(11例)、部分奏効(PR)は37%(30例)であった。 ・奏効が継続した8例は、造血幹細胞移植のためピルトブルチニブを選択的に中止した。 ・グレード3以上の最も多い有害事象は、好中球減少(19例)であった。 ・治療関連死亡は認められなかった。  著者らは「形質転換症例に対しピルトブルチニブは、良好な安全性および抗腫瘍効果を示した。注目すべきは、これらの患者の多くは、共有結合型BTK阻害薬による治療歴を有していた点である。今後、共有結合型BTK阻害薬による治療後に再発・難治性の形質転換が認められた患者に対する治療選択肢としてのピルトブルチニブの可能性を検証する必要がある」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Wierda WG, et al. Lancet Haematol. 2024 Jul 18. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39033770 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
ボスチニブの低用量開始は中止リスクをどの程度改善するか〜国内第II相BOGI試験
ボスチニブの低用量開始は中止リスクをどの程度改善するか〜国内第II相BOGI試験
公開日:2024年8月15日 Ureshino H, et al. Int J Hematol. 2024 Aug 13. [Epub ahead of print]  ボスチニブは、一般的に安全性および有効性が良好な薬剤であるが、下痢や肝トランスアミナーゼ値上昇などの薬剤関連毒性により治療中止に至るケースも少なくない。広島大学の嬉野 博志氏(現在、佐賀大学)らは、ボスチニブの初回投与量を減量することで、薬剤関連毒性による治療中止率が低下するかを検討するため、慢性骨髄性白血病(CML)患者を対象に2〜3次治療におけるボスチニブ漸増レジメンによる第II相試験(BOGI試験)を実施した。International Journal of Hematology誌オンライン版2024年8月13日号の報告。  対象は、2019年2月4日〜2022年5月24日に登録された治療抵抗性/不耐性のCML患者35例。ボスチニブは、200mgから開始し、有害事象をモニタリングしながら500mgになるまで漸増した。主要アウトカムは、治療開始12ヵ月後における有害事象による治療中止率とした。 主な結果は以下のとおり。 ・12ヵ月時点でのボスチニブ中止率は28.2%であった(国内第I /II相臨床試験:35.9%、p=0.102)。 ・薬剤関連毒性によるボスチニブ中止率は11.4%であり、臨床試験の28.2%と比較し、有意に低かった(p=0.015)。 ・グレード3〜4のトランスアミナーゼ値上昇の発生率は、20% vs. 29%(p=0.427)、下痢の発生率は、3% vs. 25%(p=0.009)であった。 ・ボスチニブの平均用量強度は、ボスチニブの初回投与量を減量することで高くなった(391.7mg/日 vs. 353.9mg/日)。 ・ボスチニブの薬物動態解析では、主要な分子反応を達成した患者においてトラフ濃度が高い傾向にあることが確認された。  著者らは「ボスチニブの初回投与量を減量した上で、その後漸増していくことで、用量強度と有効性を維持しながら、重篤な薬剤関連毒性による中止率を低下させることができる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Ureshino H, et al. Int J Hematol. 2024 Aug 13. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39136895 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
/ 20