最新の記事すべて

植込み型ループレコーダーによる心房細動スクリーニングは予後を改善せず
植込み型ループレコーダーによる心房細動スクリーニングは予後を改善せず
Implantable loop recorder detection of atrial fibrillation to prevent stroke (The LOOP Study): a randomised controlled trial Lancet. 2021 Oct 23;398(10310):1507-1516. doi: 10.1016/S0140-6736(21)01698-6. Epub 2021 Aug 29. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】 心房細動のスクリーニングと、心房細動が検出された場合のその後の抗凝固剤による治療が、脳卒中を予防できるかどうかは不明である。植え込み型ループレコーダー(ILR)を用いて心電図を継続的に監視することで,無症状の心房細動エピソードの検出が容易になる。我々は,心房細動のスクリーニングと抗凝固薬の使用が,高リスクの人の脳卒中を予防できるかどうかを調べることを目的とした。 【方法】我々は,デンマークの4施設で無作為化対照試験を行った。対象は心房細動のない70~90歳の人で,少なくとも1つの脳卒中リスク因子(すなわち,高血圧,糖尿病,脳卒中の既往,心不全)を追加した人であった。参加者は、オンラインシステムを介して、ILRモニタリング群と通常のケア(コントロール)群に1:3の割合で無作為に割り付けられ、センターに応じて4人または8人のブロックサイズで層別された順列ブロックで行われた。ILR群では、心房細動が6分以上続いた場合、抗凝固療法が推奨された。主要評価項目は,最初の脳卒中または全身性動脈塞栓症を発症するまでの時間であった。本試験はClinicalTrials. gov, NCT02036450に登録されている。 【結果】2014年1月31日から2016年5月17日までに、6205人が対象としてスクリーニングされ、そのうち6004人が対象となり、無作為に割り付けられた。1501人(25-0%)をILRモニタリングに、4503人(75-0%)を通常ケアに割り付けた。平均年齢は74~7歳(SD 4~1)、2837人(47~3%)が女性で、5444人(90~7%)が高血圧症だった。追跡調査で失われた参加者はいなかった。中央値64-5カ月(IQR 59-3-69-8)の追跡期間中、1027人の参加者に心房細動が診断された。ILR群1501人中477人(31-8%)に対し,対照群4503人中550人(12-2%)であった(ハザード比[HR]3-17[95%CI 2-81-3-59],p<0-0001)。経口抗凝固療法が開始されたのは1036名であった。経口抗凝固療法が開始されたのは1036名で,ILR群445名(29-7%)対対照群591名(13-1%)(HR 2-72 [95%CI 2-41-3-08]; p<0-0001),主要転帰が発生したのは318名(脳卒中315名,全身性動脈塞栓症3名)で,ILR群67名(4-5%)対対照群251名(5-6%)(HR 0-80 [95%CI 0-61-1-05]; p=0-11)であった。大出血は221名に発生しました。脳卒中の危険因子を有する人において,ILRスクリーニングにより心房細動の検出および抗凝固療法の開始が3倍に増加したが,脳卒中および全身性動脈塞栓症のリスクは有意に減少しなかった。これらの知見は,すべての心房細動がスクリーニングに値するわけではなく,また,スクリーニングで検出されたすべての心房細動が抗凝固療法に値するわけではないことを示唆しているかもしれない。 【FUNDING】Innovation Fund Denmark,The Research Foundation for the Capital Region of Denmark,The Danish Heart Foundation,Aalborg University Talent Management Program,Arvid Nilssons Fond,Skibsreder Per Henriksen,R og Hustrus Fond,The AFFECT-EU Consortium (EU Horizon 2020),Lage Sophus Carl Emil Friis og hustru Olga Doris Friis’ Legat,Medtronic。 第一人者の医師による解説 短時間の心房細動発作に対する抗凝固療法の意義は再検討が必要 香坂 俊 慶應義塾大学医学部循環器内科専任講師 MMJ. April 2022;18(2):39 本論文は、脳卒中危険因子(いわゆるCHADSスコアでカウントされる項目のうち心不全、高血圧、糖尿病、脳卒中の既往のいずれか1つ以上)を有するが、心房細動(AF)とは診断されていない70〜90歳の患者を対象に行われたランダム化対照試験(LOOP試験)の報告である。登録患者は植込み型ループレコーダー(ILR)群もしくは通常ケア(対照)群に割り付けられ、ILR群でAFが検出され、発作が6分以上持続する場合には抗凝固療法が推奨された。 両群の患者は中央値で64.5カ月間追跡され、その期間内にILR群の31.8%、対照群の12.2%がAFと診断された(ハザード比[HR], 3.17;95%信頼区間[CI], 2.81〜3.59;P<0.0001)。そして、各群の29.7%と13.1%に経口抗凝固薬が開始された(HR, 2.72;95% CI, 2.41〜3.08;P<0.0001)。しかし、主要評価項目である脳卒中または全身性動脈塞栓症の発生率は、ILR群が4.5%、対照群が5.6%(HR, 0.80;95% CI, 0.61〜1.05;P=0.11)と有意な差は認めなかった。さらに、ILR群の4.3%、対照群の3.5%に出血イベントが発生していた(HR, 1.26;95% CI, 0.95〜1.69;P=0.11)。 AF発作が「6分以上持続した場合に抗凝固療法を推奨する」という規定の時間枠が緩すぎたのではないかとの批判がなされているが、おそらくは的を射ているように感じられる。実際、このLOOP試験と同じ時期に発表された、高齢者を対象とした14日間にわたる心電図スクリーニング検査の効果を検討したランダム化対照試験(STOPSTROKE試験)では、介入に関して比較的有利な結果が得られている(HR, 0.96;95% CI, 0.92〜1.00;P=0.045)(1)。このほかに周術期のAFに関しては、診療ガイドラインなどでは「30分」というカットオフが用いられ、それ以下であれば一過性の可逆的なAF、それ以上ならばその後も抗凝固療法などのケアが必要なAF、といった形で線引きがなされることが多いようである。 今後 Apple Watchなどのスマートデバイスを用いたAFの検出が広く行われていくようになることが予想される(2)。本研究の結果に鑑みても、こうしたスマートデバイスを用いたAFの診断を行う際にも、時間的なAF burden(負荷)を考慮することが大切であると考えられる。抗凝固療法は高リスク AF患者において塞栓系のイベントを抑制するために極めて有効な治療法であるが、そのリスクに対する考え方は診断の進歩と共に変化していくものと予想される。 1. Svennberg E, et al. Lancet. 2021;398(10310):1498-1506. 2. Perez MV, et al. N Engl J Med. 2019;381(20):1909-1917.
メトホルミン内服が早産期の妊娠高血圧腎症に有効な可能性
メトホルミン内服が早産期の妊娠高血圧腎症に有効な可能性
Use of metformin to prolong gestation in preterm pre-eclampsia: randomised, double blind, placebo controlled trial BMJ. 2021 Sep 22;374:n2103. doi: 10.1136/bmj.n2103. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【デザイン】無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験 【設定】南アフリカ共和国、ケープタウンの紹介病院。 【参加者】妊娠26+0週から31+6週の妊娠早期の子癇の女性180人:90人がメトホルミン徐放型、90人がプラセボにランダムに割り付けられた。 【主要評価項目】主要アウトカムは妊娠期間の延長であった 【結果】180人中、1人が試験薬服用前に出産した。無作為化から出産までの期間の中央値は、メトホルミン群で17.7日(四分位範囲5.4-29.4日、n=89)、プラセボ群で10.1日(3.7-24.1、n=90)、中央値の違いは7.6日(幾何平均比1.39、95%信頼区間0.99-1.95、P=0.057)であった。試験薬を任意の用量で継続投与した群では、妊娠期間延長の中央値がメトホルミン群で17.5日(四分位範囲5.4~28.7、n=76)であるのに対し、プラセボ群では7.9日(3.0~22.2、n=74)と、9.6日(幾何平均値 1.67, 95%信頼区間 1.16~2.42 )差が生じました。また、全用量投与群における妊娠期間延長の中央値は、メトホルミン群16.3日(四分位範囲4.8-28.8、n=40)に対してプラセボ群4.8日(2.5-15.4、n=61)、その差11.5日(幾何平均値 1.85 信頼区間 1.14-2.88 )となりました。母体、胎児、新生児の複合アウトカムと可溶性fms様チロシンキナーゼ-1、胎盤成長因子、可溶性エンドグリンの循環血中濃度に差はなかった。メトホルミン群では、出生時体重は有意差なく増加し、新生児室での滞在期間は短縮した。メトホルミン群では下痢が多かったが、試験薬に関連する重篤な有害事象は認められなかった。 【結論】この試験は、さらなる試験が必要であるが、メトホルミン徐放製剤が早産性子癇前症の女性において妊娠期間を延長できることを示唆している。TRIAL REGISTRATION:Pan African Clinical Trial Registry PACTR201608001752102 https://pactr.samrc.ac.za/. 第一人者の医師による解説 血管内皮機能障害を引き起こす蛋白濃度に有意差なし 今後さらなる研究必要 後藤 美希 虎の門病院産婦人科 MMJ. April 2022;18(2):53 妊娠高血圧腎症(pre-eclampsia)とは、妊娠20週以降に初めて高血圧を発症し、かつ蛋白尿を伴う病態、または高血圧と妊娠高血圧症候群関連疾患(子癇やHELLP症候群など)の両方を伴う病態の総称である。日本では20人に1人の割合で発症する比較的よく遭遇する疾患であるが、根本的治療は妊娠の終結しかない(1)。実際の医療現場では母児の命を守るために妊娠の終結を選ぶことになるが、児の予後を考えると少しでも長く妊娠を継続したいというジレンマに遭遇する。特に妊娠32週未満では在胎日数を数日延長できるだけでも児の予後は変わってくる。 本論文は早産期の妊娠高血圧腎症に対してメトホルミンが妊娠期間の延長に寄与するか否かを調べる目的で南アフリカ共和国の病院で実施された、無作為化二重盲検プラセボ対照試験の報告である。妊娠26週から妊娠31週6日に妊娠高血圧腎症と診断された180人を、メトホルミン群とプラセボ群に1:1に割り付けて比較した。メトホルミン群では徐放性メトホルミン 3g/日を1日3回にわけて分娩まで服用を継続した。 メトホルミン 3g/日の服用を継続した群における服用開始から分娩(妊娠の終結)までの期間中央値は16.3日で、プラセボ群の4.8日に比べ延長していた(幾何平均比1.85;95%信頼区間[CI],1.14 ~ 2.88)。服用量を問わずメトホルミンを継続した群の場合、上記期間の中央値は17.5日で、プラセボ群の7.9日に比べ延長していた(幾何平均比1.67;95% CI, 1.16 ~ 2.42)。一方で、妊娠高血圧腎症の病因(2)と考えられている可溶性 fms様チロシンキナーゼ 1、胎盤成長因子(placental growth factor)、可溶性エンドグリンの値は両群間で有意差を認めなかった。児の出生時体重に関して両群間に有意差はなかったが、新生児集中治療室(NICU)入院期間はメトホルミン群で有意に短かった。有害事象はメトホルミン群で下痢が高頻度に発現したが(33% 対6%[プラセボ群])、治験薬に関連する重篤な有害事象は両群ともにみられなかった。著者らの結論としては、メトホルミンは早産期の妊娠高血圧腎症において、妊娠期間の延長に寄与する可能性があるとしている。 今回の報告は現時点では妊娠の終結しか主な治療法がない妊娠高血圧腎症に対して、治療の可能性があることを示唆している。一方で妊娠高血圧腎症に関連する、血管内皮機能障害を引き起こす蛋白の濃度は両群で有意差を認めておらず、今後さらなる研究が必要と思われる。 * HELLP=hemolysis, elevated liver enzymes, and low platelet count 1. 日本産科婦人科学会ウエブサイト:産科・婦人科の病気 / 妊娠高血圧症候群  (https://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=6) 2. Levine RJ, et al. N Engl J Med. 2004;350(7):672-683.
世界の高血圧有病率、治療率、コントロール率の傾向(地域住民研究1201件のプール解析 ; 1990-2019年)
世界の高血圧有病率、治療率、コントロール率の傾向(地域住民研究1201件のプール解析 ; 1990-2019年)
Worldwide trends in hypertension prevalence and progress in treatment and control from 1990 to 2019: a pooled analysis of 1201 population-representative studies with 104 million participants Lancet. 2021 Sep 11;398(10304):957-980. doi: 10.1016/S0140-6736(21)01330-1. Epub 2021 Aug 24. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】高血圧はプライマリーヘルスケアレベルで発見することができ、低コストの治療で効果的に高血圧をコントロールすることができる。我々は,200の国と地域について,1990年から2019年までの高血圧の有病率とその発見,治療,コントロールの進展を測定することを目的とした。 【方法】我々は,血圧の測定と血圧治療に関するデータを有する人口代表研究からの30~79歳の人々に関する1990年から2019年のデータを使用した。収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上、または高血圧の薬を服用していることを高血圧と定義しました。ベイズ型階層モデルを適用して,高血圧の有病率と,高血圧の診断歴があり(検出),高血圧の治療を受けており(治療),高血圧が140/90 mm Hg未満にコントロールされている(コントロール)人の比率を推定した.モデルは,経時的な傾向が非線形であり,年齢によって異なることを許容した。 発 見】高血圧を有する30~79歳の人々の数は,世界の年齢標準化有病率が安定しているにもかかわらず,1990年の女性331(95%信頼区間306~359)万人と男性317(292~344)万人から2019年には女性626(584~668)万人と男性652(604~698)万人に倍加している。2019 年の年齢標準化高血圧有病率は,男女ともカナダとペルーで最も低く,女性は台湾,韓国,日本,スイス,スペイン,英国など西ヨーロッパの一部の国で,男性はエリトリア,バングラデシュ,エチオピア,ソロモン諸島などいくつかの低所得国および中所得国で低かった.高血圧の有病率は、女性では2カ国、男性では中・東欧、中央アジア、オセアニア、ラテンアメリカの9カ国で50%を超えています。世界的に見ると、2019年に高血圧の女性の59%(55~62人)と男性の49%(46~52人)が高血圧の診断歴を報告し、女性の47%(43~51人)と男性の38%(35~41人)が治療を受けていた。2019年の高血圧の人のコントロール率は、女性が23%(20-27)、男性が18%(16-21)でした。2019年の治療率およびコントロール率は、韓国、カナダ、アイスランドが最も高く(治療率70%以上、コントロール率50%以上)、米国、コスタリカ、ドイツ、ポルトガル、台湾がそれに続いていた。ネパール,インドネシア,サハラ以南のアフリカとオセアニアの一部の国では,治療率は女性で25%未満,男性で20%未満であった。これらの国の女性と男性、および北アフリカ、中央・南アジア、東ヨーロッパの一部の国の男性では、コントロール率が10%を下回っていました。1990年以降,ほとんどの国で治療率とコントロール率が向上しているが,サハラ以南のアフリカとオセアニアのほとんどの国では,ほとんど変化がないことがわかった.高所得国,中央ヨーロッパ,およびコスタリカ,台湾,カザフスタン,南アフリカ,ブラジル,チリ,トルコ,イランなどの一部の上位中所得国や最近の高所得国での改善が最も大きかった。 【解釈】高血圧の発見,治療,管理における改善は国によって大きく異なり,一部の中所得国は現在ほとんどの高所得国を凌駕している。一次予防による高血圧の有病率の低下と治療およびコントロールの強化という二重のアプローチは、高所得国だけでなく低所得国や中所得国の環境でも達成可能である。 第一人者の医師による解説 世界の高血圧人口はこの30年でほぼ倍増し、国ごとのばらつきが極めて大きい 苅尾 七臣 自治医科大学循環器内科学部門教授 MMJ. April 2022;18(2):41 本論文は、世界184カ国の地域住民データをプール解析したNCD Risk Factor Collaborationの報告である。今回の報告でまず驚くことは、高血圧人口(30 ~ 79歳)はこの30年でほぼ倍増したことである。次に、国ごとのばらつきが極めて大きい点である。人口増加の偏りもあり、2019年の高血圧人口の82%は低・中所得国の住民が占めていた。高血圧有病率も、低・中所得国で上昇、高所得国で低下する傾向にあるが、状況は国ごとにばらつきが大きく、高所得国でも有病率を抑制できていない国がある一方で、低・中所得国の中にも高血圧有病率の低い国がみられた。有病率に関与する因子としては、地域の風土、食文化、高血圧制圧に向けた国家の取り組みなどが考えられるが、これらを積極的に同定し、各国でいっそう取り組む必要がある。 また、高血圧コントロール率(降圧薬服用下 で140/90 mmHg未満)の上昇が高血圧人口の増加に追い付いていないことも明らかになった。2019年の世界のコントロール率は女性23%、男性18%であった。アジアでは韓国で治療率・コントロール率が高く、ネパールやインドネシアでは低かった。アジア・パシフィックで高所得国に分類される3カ国に比べ、その他の東アジア・東南アジア地域の国(低・中所得国)では血圧が高いにもかかわらず高血圧と診断されていない住民の割合が高く(29 ~ 34% vs 46 ~ 55%)、コントロール率は低かった(31 ~ 38% vs 13 ~ 17%)。これは南アジアでも同様であった(高血圧だが診断歴なし55 ~ 67%、コントロール率11 ~ 17%)。アジアの高血圧治療・コントロール状況を改善するには、まず血圧測定機会を増やし、高血圧を早期に発見し、適切に治療を行うことが重要である。ちなみに日本の高血圧有病率、治療率、コントロール率は女性でそれぞれ23、51、30%、男性でそれぞれ40、46、24%であり、アジア・パシフィック地域で高所得国に分類される3カ国中、治療率・コントロール率ともに最下位であり、決して優等生とは言い難い。 これまで、我々はアジア各国の高血圧専門家有志で作るHOPE Asia Networkで同一の家庭血圧計を用いて、アジア 11カ国・地域、15施設で家庭血圧コントロール状況を調査するAsiaBP@Home研究を行った。家庭血圧コントロール状況は36〜84%とばらつきが大きいものの、コントロール状況は比較的良好であった(1)。したがって、欧米と比較し、日本を含むアジアには早朝・夜間高血圧が多いという特徴があるが(2)、コントロール率は改善できると思われる。 1. Kario K, et al. J Clin Hypertens. 2018;20(12):1686-1695. 2. Kario K. Essential Manual of 24-Hour Blood Pressure Management: From Morning to Nocturnal Hypertension, 2nd Edition. pp. 1-384. 2022 (WileyBlackwell; ISBN 978-1-119-79936-8400)
低温や高温による死亡 2019年には全世界で169万と推定
低温や高温による死亡 2019年には全世界で169万と推定
Estimating the cause-specific relative risks of non-optimal temperature on daily mortality: a two-part modelling approach applied to the Global Burden of Disease Study Lancet. 2021 Aug 21;398(10301):685-697. doi: 10.1016/S0140-6736(21)01700-1. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】気温の高低と死亡率や罹患率の増加との関連は以前から報告されているが、疾病負担の包括的な評価は行われていない。そこで、最適でない気温への曝露による世界的及び地域的な負担を推定することを目的とした。 【方法】本研究の第1部では、ERA5再解析データセットからの毎日の気温推定値と死亡を関連付けた。我々は、ベイズメタ回帰の枠組みの中で、二次元スプラインを用いて、日温と23の平均気温ゾーンに沿った176の個々の死因の原因特異的相対リスクをモデル化した。そして、日ごとの死亡データが入手可能な国について、気温に起因する原因別負担と総負担を計算した。第2部では、第1部の原因別相対リスクを世界の全地域に適用した。我々は、曝露反応曲線と日次グリッドの気温を組み合わせ、1990年から2019年までの世界疾病負担、傷害、リスク要因研究からの疾病負担に基づいて、原因別負担を算出した。リスク,気温への曝露,及び含まれる全ての原因における最小死亡率の温度として定義される理論的最小リスク曝露レベルを含むモデリングチェーンの全ての構成要素からの不確実性は,1000ドローの事後シミュレーションを用いて伝播させた。 【調査結果】1980年1月1日から2016年12月31日までに発生した,9か国からの国際疾病分類でコードされた個人死亡64~900万件を対象とした。17の死因が包含基準を満たした。虚血性心疾患,脳卒中,心筋症・心筋炎,高血圧性心疾患,糖尿病,慢性腎臓病,下気道感染症,慢性閉塞性肺疾患は日気温とJ型の関係を示したが,外因(例:殺人,自殺,溺死,災害・機械・輸送・その他の不慮の負傷に関連)のリスクは気温とともに単調に増加した。理論的な最小リスク暴露レベルは、死因の構成に基づく機能として、場所や年によって異なる。最適でない気温の推定値は,ブラジルの 10 万人当たりの死亡数 7-98 人(95%不確実性区間 7-10-8-85 ),人口起因率(PAF)1-2%(1-1-1-4)から中国の 10 万人当たりの死亡数 35-1 人(同 29-9-40-3 ),PAF4-7%(4-3-5-1 )までであった。2019年、データが入手できたすべての国で、寒さ起因の平均死亡率が暑さ起因の死亡率を上回った。寒さの影響は中国で最も顕著で、PAFは4-3%(3-9-4-7)、10万人当たりの帰属率は32-0人(27-2-36-8)、ニュージーランドでは3-4%(2-9-3-9)、26-4人(22-1-30-2)であった。熱の影響は中国で最も顕著で、PAFは0-4%(0-3-0-6)、10万人当たりの帰属率は3-25人(2-39-4-24)、ブラジルでは0-4%(0-3-0-5)、死亡数は2-71人(2-15-3-37)であった。我々の枠組みを世界のすべての国に適用すると、2019年には世界で1-6900万人(1-52-1-83)の死亡が最適でない気温に起因すると推定されました。熱に起因する負担が最も高いのは南・東南アジア、サハラ以南のアフリカ、北アフリカ・中東で、寒さに起因する負担が最も高いのは東・中央ヨーロッパ、中央アジアでした。 【解釈】急な暑さや寒さへの暴露は、多様な死因の死亡リスクを増加または減少させる可能性があります。ほとんどの地域では寒冷の影響が支配的であるが、実勢気温が高い場所では寒冷起因の負担をはるかに上回る実質的な暑熱の影響を示すことがある。特に、外的死因の負荷が高いことが暑さの影響を強くしているが、心肺疾患や代謝性疾患も大きく寄与している可能性がある。曝露と死因の構成の両方における変化が、時間の経過に伴うリスクの変化を促した。高温のリスクへの曝露が着実に増加していることは、健康への懸念が高まっている。 【FUNDING】ビル&メリンダ・ゲイツ財団。 第一人者の医師による解説 高温地域では高温による負荷も大きく 温暖化の影響にも今後注目 山口 聡子(特任准教授)/岡田 啓(特任助教) 東京大学大学院医学系研究科糖尿病・生活習慣病予防講座 MMJ. April 2022;18(2):54 気温と死亡についてはこれまでも関連性が報告されてきたが、特定の地域に関する報告が多く、また、詳細な死因別の報告は少なかった。本論文ではまず気候情報と死亡統計が得られた地域で予測モデルを作成し、全世界に適用して非至適気温による死亡者数の推計を行った。 モデル作成では、9カ国(ブラジル、チリ、中国、コロンビア、グアテマラ、メキシコ、ニュージーランド、南アフリカ、米国)における1980年〜2016年の死亡(6490万人)と気温の関係を解析した。全地域をERA5のデータセットから算出した、この期間の平均気温によって23温度帯に分類した。日平均気温を曝露要因、死亡の相対リスクを応答変数として、176の死因のうち気温と有意な関連性がみられた17の死因について、23温度帯とそのそれぞれの年平均気温を考慮し、ベイズモデルで結果を統合し、2次元スプラインモデルを作成した。循環器・呼吸器疾患(虚血性心疾患、脳卒中、下気道感染症、慢性閉塞性肺疾患[COPD]など)、代謝疾患(糖尿病、慢性腎臓病)などの非外因性の死因では、低温と高温で相対リスクが上昇するJ字型の曲線がみられたのに対し、外因性死因(他殺、自殺、溺水、損傷など)では、気温が上がるにつれてリスクが単調上昇する傾向がみられた。全9カ国で、低温による負荷は高温による負荷を上回っていた。高温と低温を合わせた非至適気温による影響は、ブラジルで最小、中国で最大で、10万人あたりの死亡数および人口寄与割合はそれぞれ7.98(95%不確実性区間 7.10〜8.85)と1.2%(1.1〜1.4)、35.1(29.9〜40.3)と4.7%(4.3〜5.1)だった。 次に、上記のように作成されたモデルを全世界の204の国・地域に適用した。この結果、2019年の非至適気温による死亡は169万人(152〜183万人)と推定された。高温による負荷は、南アジア、東南アジア、サハラ以南のアフリカ、北アフリカ、中東で特に大きく、低温による負荷は、東ヨーロッパ、中央ヨーロッパ、中央アジアで特に大きかった。以上から、多くの地域では低温による影響が優位であるが、高温の地域では、高温の影響が低温による負荷を上回ることがわかった。著者らは今後地球温暖化による影響も懸念されると考察した。 本研究では、現在限られた地域で入手可能な気候情報と死亡統計を元に予測モデルを作成し、データが入手できない地域も含めた全世界に適用することにより、低温と高温がもたらす死因別死亡を推定した。本研究では死亡当日の気温のみを見ており、死亡前の一定期間の気温を用いた先行研究(1),(2)に比べ気温による影響が過小評価されている可能性があることに留意する必要がある。 1. Gasparrini A, et al. Lancet. 2015;386(9991):369-375. 2. Guo Y, et al. Epidemiology. 2014;25(6):781-789.
職務上の認知刺激が高いと認知症発症率が低く中枢神経阻害蛋白も低い
職務上の認知刺激が高いと認知症発症率が低く中枢神経阻害蛋白も低い
Cognitive stimulation in the workplace, plasma proteins, and risk of dementia: three analyses of population cohort studies BMJ. 2021 Aug 18;374:n1804. doi: 10.1136/bmj.n1804. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【目的】認知的に刺激的な仕事とその後の認知症リスクとの関連を調べ、この関連のタンパク質経路を特定する。 【デザイン】3セットの分析を行うマルチコホート研究 【設定】イギリス、ヨーロッパ、アメリカ。 【参加者】IPD-Workコンソーシアムの7つの集団ベースの前向きコホート研究(働く人々の個人参加データのメタ解析)の107 896人の認知刺激と認知症リスク、1つのコホート研究の2261人のランダムサンプルの認知刺激とタンパク質、2つのコホート研究の13 656人のタンパク質と認知症リスクの3つの関連について検討された。 【主要評価項目】認知的刺激は、ベースライン時に、能動的仕事と受動的仕事に関する標準的な質問票を用いて測定し、ベースライン時と経時的に、仕事への暴露マトリックス指標を用いて測定した。血漿試料中の4953個の蛋白質がスキャンされた。認知症発症の追跡期間は、コホートによって13.7年から30.1年の間であった。 【結果】180万人年のリスク期間中に、1143人の認知症患者が記録された。認知症のリスクは,仕事中の認知刺激が低い人と高い人で低いことが分かった(1万人年当たりの認知症の粗発生率は高刺激群4.8,低刺激群7.3,年齢・性別調整ハザード比0.77,95%信頼区間0.65~0.92,コホート別推定値の異質性I2=0%,P=0.99)。この関連は,教育,成人期の認知症の危険因子(ベースライン時の喫煙,大量のアルコール摂取,運動不足,仕事の負担,肥満,高血圧,糖尿病有病),認知症診断前の心代謝疾患(糖尿病,冠動脈心疾患,脳卒中)を追加調整しても頑健だった(完全調整ハザード比 0.82,95%信頼区間 0.68 ~ 0.98)。認知症のリスクは、最初の10年間の追跡期間中(ハザード比0.60、95%信頼区間0.37~0.95)、10年目以降も観察され(0.79、0.66~0.95)、認知刺激の反復職業曝露マトリックス指標を用いて再現した(1標準偏差増加あたりのハザード比0.77、95%信頼区間0.69~0.86)。多重検定を制御した解析では、仕事での認知刺激が高いほど、中枢神経系の軸索形成とシナプス形成を阻害するタンパク質のレベルが低かった:スリットホモログ2(SLIT2、完全調整β-0.34, P<0.001)、糖質硫酸転移酵素12(CHSTC, 完全に調整したβ -0.33, P<0.001)、およびペプチジルグリシンαアミド化モノオキシゲナーゼ(AMD, 完全に調整したβ -0.32, P<0.001)である。これらのタンパク質は認知症リスクの上昇と関連しており,1SDあたりの完全調整ハザード比は,SLIT2が1.16(95%信頼区間1.05~1.28),CHSTCが1.13(1.00~1.27),AMDが1.04(0.97~1.13)だった。 【結論】認知的に刺激のある仕事をする人は,刺激のない仕事の人よりも老後の認知症のリスクが低いことが分かった。認知的刺激が、軸索形成やシナプス形成を潜在的に阻害し、認知症のリスクを高める血漿タンパク質の低レベルと関連するという知見は、根本的な生物学的メカニズムへの手がかりを提供する可能性がある。 第一人者の医師による解説 大規模コホート研究参加者での確認と年齢、性、学歴などで補正した点が新たな知見 福井 俊哉 かわさき記念病院院長 MMJ. April 2022;18(2):35 認知刺激は認知リザーブを増やして認知症発症を抑制する可能性が示唆されている(1)。本論文は、職務における認知刺激と認知症リスクおよび血漿蛋白との関連を検討することを目的に、英国、欧州、米国で実施されたマルチコホート研究のデータを用いて3種類の解析を行った結果の報告である。解析の内容は以下のとおりである:(1)IPD-Work(individual participant data meta-analysis in working populations)consortiumにより集積された前向きマルチコホート研究13件(2)のうち、認知に関連のある7件に参加した107,896人における職務上認知刺激と認知症リスクの関連(2)このうち1件のコホートから無作為に抽出した2,261人における認知刺激と血漿蛋白の関連(3)(2)に別の1件のコホート参加者を追加した13,656人における血漿蛋白と認知症リスクの関連。職務上認知刺激はリッカート尺度を用いた質問票によりベースラインで判定し、観察期間中は職業曝露マトリックス方法を用いて客観的に評価した。血漿蛋白は4,953種類が検討された。認知症発症の経過観察期間はコホートにより13.7 ~ 30.1年と異なり、認知症の有無は電子健康記録に加えて認知症検査を繰り返すことにより判定した。 結果として、認知症リスクを有する約180万人・年の観察期間において、1,143人が認知症を発症した。認知症リスクは高認知刺激職務群の方が低認知刺激職務群よりも低かった。性、年齢、学歴、飲酒・喫煙歴、運動不足、認知症発症前の生活習慣病などで統計学的に補正してもこの関連は有意であった(ハザード比[HR], 0.82)。この傾向は特にアルツハイマー型認知症において明らかであった。認知症リスクは観察開始10年以内(HR,0.60)でも、10年以降(HR, 0.79)でも認められた。職業曝露マトリックス方法を用いた場合も同様な結果であった。血漿蛋白に関しては、職務における認知刺激が高いほど、中枢神経系の軸索形成やシナプス形成を抑制する蛋白(slit homologue2[SLIT2]、carbohydrate sulfotransferase[CHSTC]、peptidyl-glycine α -amidating monooxygenase[AMD])が低かった。これらの蛋白はより高い認知症リスクの上昇と関連していた。 今回の報告では、趣味などよりも長時間関わる職務における認知刺激の強さが認知症発症率ならびに軸索形成 /シナプス形成を抑制する蛋白の量と関連していることを、大規模コホート研究に参加した多数の対象者において確認した点に新規性がある。年齢、性、学歴、飲酒・喫煙歴、生活習慣病で補正してもこの関連が成り立つ点は新たなる知見であると思われる。 1. Livingston G, et al. Lancet. 2020;396(10248):413-446. 2. Kivimäki M, et al. Lancet. 2012;380(9852):1491-1497.
オピオイド漸減に過剰摂取や精神的危機を引き起こす危険性
オピオイド漸減に過剰摂取や精神的危機を引き起こす危険性
Association of Dose Tapering With Overdose or Mental Health Crisis Among Patients Prescribed Long-term Opioids JAMA. 2021 Aug 3;326(5):411-419. doi: 10.1001/jama.2021.11013. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【重要性】オピオイド関連の死亡率や国の処方ガイドラインにより、慢性疼痛に対して長期的にオピオイド療法を処方されている患者において、用量の漸減が行われている。過量投与や精神衛生上の危機など、漸減に関連するリスクに関する情報は限られている。 【目的】安定した長期高用量オピオイドを処方された患者において、オピオイドの漸減と過量投与や精神衛生上の危機の割合に関連があるかを評価する。 デザイン・設定・参加者】2008年から2019年のOptumLabs Data Warehouseからの非識別医療・薬局請求と登録データを用いたレトロスペクティブコホートスタディである。12か月のベースライン期間に安定した高用量(平均50モルヒネミリグラム当量/日)のオピオイドを処方され、少なくとも2か月のフォローアップを受けた米国の成人が対象となった。 【曝露】オピオイドテーパリング、7か月のフォローアップ期間内の60日の重なった6週間のいずれかの期間に平均日用量が少なくとも15%相対減少したと定義される。最大月間投与量減少速度は、同期間中に計算された。 【主要評および測定法】最大12か月の追跡期間中に、(1)薬物過剰摂取または離脱、(2)メンタルヘルス危機(うつ、不安、自殺企図)のための救急または病院受診が発生した。離散時間負の二項回帰モデルにより,テーパリング(対テーパリングなし)および減量速度の関数としてアウトカムの調整済み発生率比(aIRR)を推定した。 【結果】ベースライン期間203 920人の安定した期間を経て,113 618人が最終コホートに含まれることになった。漸減を受けた患者の54.3%が女性で(漸減を受けなかった患者では53.2%)、平均年齢は57.7歳(58.3歳)、商業保険に加入していたのは38.8%(41.9%)であった。漸減後の患者期間は、100人年当たり9.3件の過量投与イベントと関連しており、漸減しない期間では100人年当たり5.5件であった(調整後発生率差、100人年当たり3.8件[95%CI、3.0-4.6];aIRR、1.68 [95%CI 、1.53-1.85])。テーパリングは、非テーパリング期間の100人年当たり3.3件と比較して、100人年当たり7.6件のメンタルヘルスクライシスイベントの調整後発生率と関連していた(調整後発生率差、100人年当たり4.3件[95%CI、3.2~5.3];aIRR、2.28[95%CI、1.96~2.65])。月間の最大減量速度を10%増加させると、過剰摂取のaIRRは1.09(95%CI、1.07-1.11)、精神衛生上の危機は1.18(95%CI、1.14-1.21)となった。 【結論と関連性】安定した長期高用量オピオイド療法を処方されている患者では、テーパーリングイベントは過剰摂取および精神衛生上の危機のリスク上昇と有意に関連することが示された。これらの知見はテーパリングの潜在的な害について疑問を投げかけるものであるが,観察研究デザインにより解釈は限定的である。 第一人者の医師による解説 長期間、高用量オピオイドを処方されている患者では拙速な漸減は有害 松本 俊彦 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長/薬物依存症センター センター長 MMJ. April 2022;18(2):36 北米では、医師による安易なオピオイド鎮痛薬の処方が災いして、過剰摂取による死亡者の急増、深刻な社会問題(「オピオイドクライシス」)を招いている(1)。このため、各種の治療ガイドラインでは、慢性疼痛に対して長期処方されているオピオイドの漸減が推奨されているが(2)、同時に、漸減が、患者の過剰摂取や精神的危機、違法オピオイドへのアクセスを高める可能性も指摘されている。しかし、漸減の有害性リスクに関する検証は十分になされていない。 本論文において著者らは、高用量オピオイドを長期間処方されている患者に対する漸減療法が、過剰摂取や精神的危機の発生と関連するのかどうかを、後ろ向きコホート研究のデザインで検討している。米国の医療関連データベース Optum Labs Data Warehouseを用いて、モルヒネ換算50mg/日以上のオピオイドを1年以上継続投与され、2カ月間以上の追跡を受けた患者113,618人のうち、追跡期間中に漸減(1日の平均投与量にして15%以上の減量と定義)が行われた患者を特定した。この患者データを用いて、追跡期間中における漸減実施期間と非実施期間との間で、薬物の過剰摂取や精神的危機(うつ病、不安、自殺企図)といった有害事象の発生頻度を比較した。 検討の結果、オピオイドの漸減は、過剰摂取で3.8件 /100人・年(95%信頼区間[CI], 3.0〜4.6)、精神的危機で4.3件 /100人・年(95% CI, 3.2〜5.3)の増加と関連していた。精神的危機の種類別にみると、漸減はうつ病2.46件 /100人・年(95%CI, 2.05 ~ 2.96)、不安障害1.79件 /100人・年(95 % CI, 1.48 ~ 2.15)、自殺企図3.30件/100人・年(95% CI, 2.19 ~ 4.98)といった有害事象の増加につながった。さらに、漸減速度と有害事象の関連についての検討では、月あたりの減量速度を10%速めると、過剰摂取は1.09件/100人・年(95% CI, 1.07〜1.11)、精神的危機は1.18件 /100人・年(95% CI, 1.14〜1.21)増えることが明らかにされた。 慢性疼痛に対して高用量オピオイド治療を漫然と長期間続けるのは問題であり、処方医は常に漸減の可能性を探るべきなのは言うまでもない。しかし、拙速な漸減は有害事象を引き起こすリスクもある。現状では、日本は北米のような悲劇的状況とはほど遠いが、数年前よりオピオイドの非がん性疼痛への適応拡大がなされ、痛みの臨床現場にも高用量オピオイド長期使用患者は徐々に増えつつある2。その意味で、臨床医が知っておくべき情報といえよう。 1. 山口重樹ら . 精神科治療学 . 2020;35(7):777-782. 2. 木村嘉之ら . 日本臨牀 . 2019;77(12):2065-2070.
重度 SGA児の陣痛発来前の介入的分娩 学業成績を悪化させる恐れ
重度 SGA児の陣痛発来前の介入的分娩 学業成績を悪化させる恐れ
Association Between Iatrogenic Delivery for Suspected Fetal Growth Restriction and Childhood School Outcomes JAMA. 2021 Jul 13;326(2):145-153. doi: 10.1001/jama.2021.8608. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【重要】胎児発育制限(FGR)が疑われる乳児の適時分娩は、死産防止と未熟児の最小化のバランスが重要であり、特にFGRが疑われる乳児の多くは正常に成長しているため。 【目的】FGRの疑いによる異所性出産と小児期の学校でのアウトカムとの関連について検討する。 【デザイン、設定および参加者】オーストラリア・ビクトリア州の2003年1月1日から2013年12月31日までの妊娠32週以上の出生の周産期データと、準備校、学校3・5・7年生での発達・教育テストのスコアを関連付けた後向き全人口コホート研究である。フォローアップは2019年に終了した。 【曝露】FGRの疑い有無、FGRの疑いに対する異所性分娩(分娩前の早期誘発または帝王切開と定義)の有無、妊娠年齢に対する小児の有無(SGA)であった。 【主要評および測定法】副次的アウトカムは,学校入学時に5つの発達領域のうち2つ以上が下位10パーセンタイルであること,3,5,7年生において5つの教育領域のうち2つ以上が国の最低基準以下であることとした。 【結果】出生集団705 937人の乳児において,出生時の平均妊娠期間は39.1週(SD,1.5),平均出生体重は3426(SD,517)gであった。出生集団は、発達の結果が181 902人、教育の結果が425 717人の子どもにつながった。FGRが疑われない重症SGA児(出生時体重3%未満)と比較して、FGRが疑われて出産した重症SGA児は早く生まれていた(平均妊娠週数37.9週 vs 39.4週)。また,就学時の発達不良のリスクも有意に高かった(16.2% vs 12.7%,絶対差 3.5%[95% CI,0.5%-6.5]); 調整オッズ比[aOR],1.5%[0.5%]).36 [95% CI, 1.07-1.74] )および3,5,7年生での教育的アウトカム不良(例えば,7年生では:13.4% vs 10.5%; 絶対差は2.9% [95% CI, 0.4%-5.5%]; aOR, 1.33 [95% CI, 1.04-1.70] )であった.)FGR の疑いで分娩された正常な成長(出生時体重≧10 パーセンタイル)の乳児と FGR の疑いがない乳児の間には,発達の結果において有意差はなかった(8.6% 対 8.1%; 絶対差 0.5% [95% CI, -1.1% ~ 2.0%] ); aOR, 1.17 [95% CI, 0.95 ~ 1.70])。45])または第3学年、第5学年、第7学年の教育的アウトカムが、早生まれ(平均妊娠週数、38.0週 vs 39.1週)であるにもかかわらず、低下した。 【結論と関連性】オーストラリアのビクトリア州で実施したこの探索的研究では、FGRの疑いがある重症SGA児の異所性出産は、FGRの疑いがない重症SGA児と比較してより悪い学校アウトカムと関連していた。FGRが疑われる正常な発育の乳児の異所性分娩は、FGRが疑われない正常な発育の乳児と比較して、より悪い学校での転帰とは関連しなかった。 第一人者の医師による解説 日本でも新生児集中治療後の児の中長期的なデータベースの構築が必要 飛彈 麻里子 慶應義塾大学医学部小児科准教授 MMJ. April 2022;18(2):52 子宮内胎児発育遅延(fetal growth restriction;FGR)と児の出生体重が10パーセンタイル未満(small for gestational age;SGA)は 混同されやすいが、出生時体重で明確に定義されるSGAと異なり、FGRは定義や診断基準、適正な管理方法が確立していない(1)。日本産科婦人科学会の診療ガイドライン(産科編)2020では、FGRを超音波検査で算出される胎児推定体重およびその経時的変化、羊水過少の有無や胎児腹囲計測値などから、総合的かつ臨床的に診断する、としている(2)。 FGRの原因は、胎児因子、母体因子、胎児付属物因子と多様だが、原因に関わらず、出生児がSGAだった場合は、周産期死亡や成長後の精神発達遅滞、生活習慣病罹患との関連が示唆されている。胎児の状態を慎重に評価し、臍帯血流や胎児頭囲成長の異常出現時には医療的介入による分娩とし、胎外での児の治療を適切な時期に始めることが、児の予後改善に寄与するとされている。一方で、在胎期間はすべての病態において、児の予後に最も強い影響を与える因子であり、臨床の場では産科と小児科との総合的な判断で分娩の時期を決定することになる(2)。 本論文は、FGRを指摘されていたSGAでは計画的分娩(陣痛発来前の分娩誘導による経腟分娩や帝王切開分娩)が学業成績不良と関連する可能性を報告した。この結果は、欧州の大規模無作為化比較試験(3)など既存の報告とは反対の結果である。著者らも認めているように、本研究には複数の重要な限界があり、この結果をそのまま臨床に応用することはできない。しかし、1つの州という医療や教育の条件が統一されている環境下での、10年間にわたる母集団70万人以上を背景とする42万人以上の学業評価の結果という膨大なコホート研究であり、今後さらに洗練された報告が期待される。 一方で、本論文は日本の新生児医療の課題を改めて浮き彫りにする。国際的に高く評価され、多くの重症 SGAを救命している我が国の新生児医療だが、新生児集中治療室退院後のフォローアップデータは限られている。特に学業成果については標準化された評価指標がなく、国内の施設間比較ですら困難である。本論文の結論に疑問を持つ日本の小児科医は多いと思うが、反論するための国内のデータは乏しい。すでに関係者間では認識されている課題だが、子どもたちによりよい医療を提供するためにも、日本の中長期的なフォローアップデータベースの構築が必要である。 1. Fetal Growth Restriction: ACOG Practice Bulletin, Number 227. Obstet Gynecol. 2021;137(2):e16-e28. 2. 産婦人科診療ガイドライン産科編(2020).「CQ307-1: 胎児発育不全(FGR)のスクリーニングは?」「CQ307-2:胎児発育不全(FGR)の取り扱いは?」https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2020.pdf(2022 年 2 月閲覧) 3. Walker DM, et al. Am J Obstet Gynecol. 2011;204(1):34.e1-9.
『ヒポクラ×マイナビ』は、まるで総合病院。 あらゆる科の専門医が集っていて、フランクに情報交換できる!
『ヒポクラ×マイナビ』は、まるで総合病院。 あらゆる科の専門医が集っていて、フランクに情報交換できる!
私の「ヒポクラ × マイナビ」活用法 『ヒポクラ×マイナビ』は、まるで総合病院。 あらゆる科の専門医が集っていて、 フランクに情報交換できる! 医師のための臨床互助ツール『ヒポクラ×マイナビ』。新人からベテランまで、あらゆるキャリアの医師がご登録されていますが、どのように利用されているのでしょうか。今回は2名のユーザーを迎え、ヒポクラ事務局の後藤がインタビューを行いました。 A先生プロフィール放射線科の5年目。病院勤務のほか、非常勤で訪問診療も行う。 B先生プロフィール精神科の17年目。精神科指導医で、日本てんかん学会の正会員。 事務局ヒポクラ事務局 後藤里奈 趣味は豆柴とカフェ巡り。ヒポクラを通じて医療に貢献することが目標 専門外のことを 気軽に相談できて便利 事務局 『ヒポクラ×マイナビ』は、どのようなきっかけで始められたのですか? A先生 勤務先の先生から「役立つツールがある」と紹介いただいて使い始めました。非常に勉強になっています。 B先生 精神科の学会に参加したときにパンフレットをいただきました。それで登録したのが最初です。 事務局 どのように利用していらっしゃるのでしょうか? A先生 私は訪問診療もしているのですが、現場では教科書や助言を求める場がなかなかなくて。専門外の皮膚科や形成外科の疾患について、『ヒポクラ×マイナビ』の知見共有に画像をつけて相談させていただいています。 B先生 私も『ヒポクラ×マイナビ』の知見共有には、皮膚科を中心に質問させてもらっていて、専門の精神科についてはご質問に対して回答することもあります。認知症のBPSD(行動・心理症状)についてご質問が多いのですが、単に有効なお薬の名前を羅列するだけでなく、臨床現場での経験も含めて丁寧に回答するよう注意しています。 ※『知見共有』とは、多くの医師に意見を聞きたいとき、科をまたぐ疾患を相談したいときに適した「知恵袋」形式の相談所です。 サービスページ:https://hpcr.jp/app/lp/hpcr2202#point5 事務局 ありがとうございます。それでは、いつ・どんな時間帯に使われることが多いですか? A先生 夕方ですとか、診療の合間などですね。患者さんにすぐ判断を伝えなくてはいけない状況で使うわけにはいかないので。落ち着いた時間に「これを質問しようかな」という感じで使っています。 B先生 知見共有を見るのは、診療時間帯が多いです。ちょっとした疑問を感じたときに活用しています。 正確な回答を 得られる安心感がある 事務局 「こんな時に役立った」ということがあれば教えてください。 A先生 訪問診療先で、たとえば床ずれの治療を専門の先生がいない中で看護師さんに指示しなくちゃならないっていう場合があります。教科書には薬のこともいろいろ書かれていますが、治療法の選択に迷ったときに相談させていただきました。非常に助かりましたね。 あと、実はまだ使ったことがないのですが、緊急質問という形で登録している先生方にアラート通知が入るサービスもありますよね。緊急時でも意見を求めることができるのは心強いなと思います。 B先生 私も皮膚科について質問させていただきました。ピンボケしたような(笑)、解像度の悪い画像とともに質問してしまったにも関わらず、複数の先生方が同じ回答を返してくださいました。「この画像はこの症状です」「この薬が効きます」と。皆さん本当にレベルが高くて感謝しましたね。 事務局 診療の中でご利用いただいているのですね。ありがとうございます。 医者同士だからこそ 自由な意見が交換できる 事務局 医療従事者向けのサービスはほかにもありますが、それらと比べて『ヒポクラ×マイナビ』の印象はいかがでしょうか? A先生 あくまでも私の印象ですが、ほかのサービスは文章がメインの掲示板で、たとえば終末期の患者さんに対する内科的な薬の使い方などを相談されているケースが多いように感じます。私はプライマリの分野ですので、見ているだけで活用はしていません。 『ヒポクラ×マイナビ』は疾患などについて、パッと相談できて返答がもらえるから使いやすいですね。 B先生 『ヒポクラ×マイナビ』は、いろいろな科が集まっている「総合病院」のようだと感じています。医師同士が「この症状は薬を変更したら良さそう」「この検査も追加してはどうでしょうか」といったように、ざっくばらんに情報交換できる場は貴重ですね。 事務局 おっしゃる通り、いろんな病院のいろんな科の、いろんなキャリアの先生がご利用されていますものね。 『ヒポクラ×マイナビ』に 今後期待すること 事務局 『ヒポクラ×マイナビ』に対して、「もう少しこうなれば」というご希望はありますか? A先生 医師だけが集う場なので、専門医しかご存じない、たとえば臨床現場で活用された治療のコツなどを共有いただけて、ディスカッションできればいいですね。ただ、スマートフォンでディスカッションするのはなかなか難しいので、手軽に画像を投稿するところとディスカッションするところとで分かれていれば使いやすそうです。 B先生 ガイドラインについての項目があればいいなと思います。ガイドラインはどんどん進化していますが、専門外の科だと、初期臨床研修の頃の知識で止まってしまいがちです。だから、それぞれの科の先生から最新のガイドラインについて、どこが更新されたなどをご教示いただけると助かります。もちろん、精神科については積極的に情報をご提供したいです。 さらに、ガイドラインに載っていないコツなども共有し合えれば。医師同士で、ヒポクラ内でWin-Winの関係が築ければいいなと思います。 事務局 両先生にいただきましたご意見をしっかり受け止めて、今後のサービス改善のために最善を尽くしたいと思います。お忙しい中、ありがとうございました! A・B先生がご利用されている「知見共有」を閲覧したい、質問・相談をしたい『ヒポクラ×マイナビ』会員の方は下記URLをクリック! 知見共有の閲覧: https://hpcr.jp/hpcr-redirector?from=userkai_202203r&to=MedicineQuestion 知見共有の相談:https://hpcr.jp/hpcr-redirector?from=userkai_202203p&to=MedicineQuestionPost 会員登録・相談料無料『ヒポクラ×マイナビ』の新規会員登録のお申し込みはこちら 知見共有の閲覧はこちら » 知見共有の相談はこちら »
再発を繰り返す浮腫、その患者さん希少疾患かも
再発を繰り返す浮腫、その患者さん希少疾患かも
遺伝性血管性浮腫(HAE)コンサルトでは、むくみや腫れに関するご相談を通じて、希少疾患(HAE)の早期診断に貢献できればと考えています。 \まずは動画をご覧ください/ 原因不明の浮腫、浮腫発作などでお困りの際には、ぜひご利用ください 遺伝性血管性浮腫(HAE)コンサルトはこちら >> 遺伝性血管性浮腫(HAE)とは 遺伝性血管性浮腫(HAE)は世界中で5万人にひとりが罹患していると推定されています。(※1) 日本には2,000人から3,000人の患者さんが存在すると推定されていますが、この疾患に対する日本での認知度の低さから診断されている患者さんは約450名に留まっており、未診断の患者さんが多くおられます。(※2) また、初めての発作が起きてから確定診断までに日本では平均13.8年かかるといわれています。(※3)米国では平均10年(※4)、欧州では平均8.5年(※5)との報告があります。 ※1  Longhurst HJ, Bork K. Hereditary angioedema: causes, manifestations, and treatment. Br J Hosp Med.2006;67(12):654-657.※2  Hide M, Horiuchi T, et al. Management of hereditary angioedema in Japan: Focus on icatibant for the treatment of acute attacks. Allergology International 70 (2021) 45-54.※3 Ohsawa I et al: Ann Allergy Asthma Immunol 2015; 114: 492-498※4 Banerji et al., Allergy Asthma Proc. 2018 May-Jun; 39(3): 212–223※5 Zanichelli et al., Allergy, Asthma & Clinical Immunology 2013, 9 :29.
若年男性・不完全右脚ブロック・ST上昇をみたら?
若年男性・不完全右脚ブロック・ST上昇をみたら?
Point ①P派の向き ・Ⅱ誘導、V1・V2誘導で上向き = 洞調律 ②P-R間隔 ・200ms未満のため、Ⅰ度房室ブロックなし ③QRS幅 ・100~120ms未満のため、不完全脚ブロック ④M字型の有無 ・ⅠⅡ誘導でM字型であり、右脚ブロック ⇒「若い男性」×「不完全右脚ブロック」を見たら、「ST」を見る! Brugada型心電図:V1~V3に起こる不完全右脚ブロック+STの有意な上昇のある場合・STが平坦な場合=Saddle back型⇒V2,3において2mV以上の上昇がなく、リスク因子無ければ経過観察・STが下向き(down slope型)の場合=Coved型⇒不整脈のリスクが高く、精査をしたほうが良いBrugada型心電図では、Brugada症候群(若年男性がVT(心室頻拍)や心室細動を起こす突然死症候群で、「ぽっくり病」とも呼ばれる。)のリスクがある 微妙なケースの場合は、以下の順で心電図波形を確認する1. 肋間を上げる2. ピルジカイニド投与 or 運動負荷(安息時)3. EPS(心臓電気生理学的検査)⇒ST部分の変化や、Coved型になるか、容易に不整脈が誘発されるか、失神歴がある場合等、Brugada型症候群が考えやすい場合には、ICD(埋込み型除細動器)の埋め込みを検討する 結論 若年男性・不完全右脚ブロック・ST上昇をみたらBrugada症候群を疑う 参考 日本循環器学会発刊のガイドライン https://www.j-circ.or.jp/guideline/guideline-series/ ハトミル心不全、ハトミル心電図は2025年9月17日をもちまして、サービス提供を終了いたしました。 長らくのご利用ありがとうございました。なお、臨床に関する疑問や悩みを相談する場、ヒポクラ「全科横断カンファ」でも、心不全、心電図に関する、ご相談は可能でございますので、ぜひ、そちらにご相談をお寄せください。「ヒポクラ 全科横断カンファ」はこちら
DDIRペースメーカー挿入患者の心電図の読み方
DDIRペースメーカー挿入患者の心電図の読み方
Point ①レントゲンでは肺野と心臓の状況をチェックしましょう ・肺野は肺門中心性の肺血管陰影増強しており、うっ血の可能性あり ・心拡大 ・ペースメーカーリードは「心房」「心尖部」にあり ②心電図の肢誘導・胸部誘導を分けてチェックしましょう 【肢誘導】・心尖部ペーシングは下から上に電気が流れる=Ⅱ誘導・Ⅲ誘導が下向きの波形になる ・PQR=120ms以上は、心拍は「心室」から出ている 【胸部誘導】・V2誘導で「M字型」なら右脚ブロック型であり、左室起源のPVC(心室期外収縮)や補充調律を疑う。起源は僧帽弁弁論、または心外膜側と予想。 今回のケースは、ペースメーカー電位発生→ PVCを繰り返しているように見える二段脈とは断定できないが、補充調律にしては変なリズムを刻んでいる⇒PVCが日常的に出ているのか、一度ホルター心電図を用いて精査しましょうPVCと診断する場合は、βブロッカーを追加した上で、ペーシングレートを設定する 結論 波形が一心拍ごとに変わる場合は二段脈が疑わしいが、ペースメーカー埋め込み時の場合はセンス不良も鑑別になる ハトミル心不全、ハトミル心電図は2025年9月17日をもちまして、サービス提供を終了いたしました。 長らくのご利用ありがとうございました。なお、臨床に関する疑問や悩みを相談する場、ヒポクラ「全科横断カンファ」でも、心不全、心電図に関する、ご相談は可能でございますので、ぜひ、そちらにご相談をお寄せください。「ヒポクラ 全科横断カンファ」はこちら
心電図の読み方:これって心房細動?
心電図の読み方:これって心房細動?
Point ①レントゲンでは肺野と心臓の状況をチェックしましょう ・肺野:辺縁、CP angle、横隔膜の高さ、肺の過膨張、気管の変異、骨折の有無 ・心臓:縦隔の拡大、右の1・2弓、左の1・2・3・4弓の腫脹の有無 ⇒ 今回はどちらも異常は無いが、だからといって、心房細動を否定することにはならない ②心電図では肢誘導・胸部誘導に分けてチェックしましょう 【肢誘導】1) Ⅱ・Ⅲ誘導のP派 ⇒ P派が見えづらく、洞停止または心房細動が疑われる  さらにR-R間隔が不正の場合は、心房細動の可能性が高い 2) Ⅰ,Ⅱ誘導の電位の向き ⇒ どちらも上向きの電位の方が高いので、軸は正常 3) Ⅲ誘導・aVF誘導のT派 ⇒ 増高不良があり、心筋障害を疑う 【胸部誘導】1) V2誘導のP派(心房レート) ⇒ 心房レート300程度であり、心房細動(心房レート400-600程度)ではなさそう 2) 300を”R-R間隔の目盛り数”で割り、心拍数の算出 ⇒ 心拍数75~100であり、何らかの不整脈が起こっている 結論 高齢+心房レート200〜300回/分の不整脈をみたら心房頻拍を疑う。心房細動の合併があるかもしれず、ホルター心電図やエコーで評価をしよう ハトミル心不全、ハトミル心電図は2025年9月17日をもちまして、サービス提供を終了いたしました。 長らくのご利用ありがとうございました。なお、臨床に関する疑問や悩みを相談する場、ヒポクラ「全科横断カンファ」でも、心不全、心電図に関する、ご相談は可能でございますので、ぜひ、そちらにご相談をお寄せください。「ヒポクラ 全科横断カンファ」はこちら
/ 86