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血流感染症に対する適切な抗生物質投与期間はどのくらいか/NEJM
血流感染症に対する適切な抗生物質投与期間はどのくらいか/NEJM
公開日:2024年11月29日 Daneman N, et al. N Engl J Med. 2024 Nov 20. [Epub ahead of print]  血流感染症は、罹患率が非常に高く、死亡リスクに大きな影響を及ぼす。より早期に適切な抗生物質治療を行うことは重要であるが、治療期間についてはよくわかっていない。カナダ・トロント大学のNick Daneman氏らは、血流感染症に対する適切な抗生物質投与期間を明らかにするため、7日間または14日間の抗生物質治療における多施設共同非劣性試験を実施した。NEJM誌オンライン版2024年11月20日号の報告。  集中治療室(ICU)患者を含む血流感染症入院患者を対象に、7日間または14日間の抗生物質治療群にランダムに割り付けた。抗生物質の選択、投与量、投与経路は、治療チームにより決定した。除外対象は、重度の免疫抑制、長期治療が必要な病巣、コンタミの可能性のある単一培養、黄色ブドウ球菌が検出された患者。主要アウトカムは、血流感染症診断後90日以内における、すべての原因による死亡とし、非劣性マージンは4%ポイントに設定した。 主な結果は以下のとおり。 ・7ヵ国74施設により3,608例が登録され、ITT分析に含めた。 ・対象患者は、抗生物質7日間投与群1,814例、14日間投与群1,794例にランダムに割り付けられた。 ・登録時点で、患者の55.0%はICU、45.0%は病棟に入院していた。 ・感染の発生率は、市中で75.4%、病棟で13.4%、ICUで11.2%。 ・菌血症の発生部位は、尿路(42.2%)、腹部(18.8%)、肺(13.0%)、血管カテーテル(6.3%)、皮膚または軟部組織(5.2%)であった。 ・90日までの死亡率は、7日間投与群で14.5%(261例)、14日間投与群で16.1%(286例)であり(群間差:−1.6%ポイント、95.7%信頼区間[CI]:−4.0〜0.8)、短期治療期間の非劣性が示された。 ・割り当て期間よりも抗生物質の長期投与が行われた患者の割合は、7日間投与群で23.1%、14日間投与群で10.7%。 ・プロトコル毎の解析でも、非劣性が示された(群間差:−2.0%ポイント、95%CI:−4.5〜0.6)。 ・これらの結果は、副次的臨床アウトカムおよび患者、病原体、症候群の特性により事前に定義されたサブグループ解析においても、概ね一貫していた。  著者らは「血流感染症入院患者に対する抗生物質治療は、その期間が7日間であっても、14日間治療に劣っていないことが示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Daneman N, et al. N Engl J Med. 2024 Nov 20. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39565030 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性DLBCLに対するglofitamab+GemOx療法 vs. R-GemOx療法/Lancet
再発・難治性DLBCLに対するglofitamab+GemOx療法 vs. R-GemOx療法/Lancet
公開日:2024年11月28日 Abramson JS, et al. Lancet. 2024; 404: 1940-1954.  CD20およびCD3を標的とする二重特異性抗体glofitamabは、2回以上の前治療歴を有する再発または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対し、持続的な寛解をもたらすことが報告されている。しかし、第2選択治療として評価されたことは、これまでなかった。米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのJeremy S. Abramson氏らは、再発・難治性DLBCL患者を対象に、ゲムシタビン+オキサリプラチン(GemOx)療法にglofitamabを併用したglofitamab+GemOx療法群とリツキシマブを併用したR-GemOx療法群の有効性および安全性を評価した。Lancet誌2024年11月16日号の報告。  本第III相ランダム化非盲検試験であるSTARGLO試験は、アジア、オーストラリア、欧州、北米の13ヵ国62施設で実施された。1回以上の治療後、組織学的に再発または難治性のDLBCLと診断された移植不適格な18歳以上の患者を対象に、glofitamab+GemOx療法群またはR-GemOx療法群に2:1でランダムに割り付けた。治療ラインが1回または2回以上、再発例または難治例で層別化を行った。glofitamab+GemOx療法群は、ゲムシタビン1,000mg /m2+オキサリプラチン100mg/m2+glofitamab 30mg(段階的増量)を8サイクル行い、glofitamab単独療法を4サイクル追加した。R-GemOx療法群は、ゲムシタビン1,000mg /m2+オキサリプラチン100mg/m2+リツキシマブ375 mg/m2を8サイクル行った。治療反応ベースのすべてのエンドポイントを評価した独立審査委員会には、患者割り付けをマスクした。主要エンドポイントは、全生存期間(OS)。有効性解析は、ランダムに割り付けられたすべての患者を対象にITTに基づき実施した。主要解析(カットオフ:2023年3月29日)とすべての患者が治療を完了した後のアップデート解析(カットオフ:2024年2月16日)の結果を報告した。安全性解析には、治療を行なったすべての患者を含めた。 主な結果は以下のとおり。 ・2021年2月23日〜2023年3月14日に274例が登録され、glofitamab+GemOx療法群(183例)またはR-GemOx療法群(91例)にランダムに割り付けられた。 ・対象患者の内訳は、男性158例(58%)、女性116例(42%)、年齢中央値は68歳(IQR:58〜74)。 ・フォローアップ期間中央値11.3ヵ月(95%CI:9.6〜12.7)後の主要解析では、glofitamab+GemOx療法群は、R-GemOx療法群よりもOSの有意な改善が認められた(ハザード比[HR]:0.59、95%CI:0.40〜0.89、p=0.011)。 【glofitamab+GemOx療法群】中央値:推定不能(NE)、95%CI:13.8〜NE 【R-GemOx療法群】中央値:9.0ヵ月、95%CI:7.3〜14.4 ・フォローアップ期間中央値20.7ヵ月(95%CI:19.9〜23.3)後のアップデート解析では、glofitamab+GemOx療法群は、R-GemOx療法群よりも一貫してOSの有意な改善が認められた(HR:0.62、95%CI:0.43〜0.88)。 【glofitamab+GemOx療法群】中央値:25.5ヵ月、95%CI:18.3〜NE 【R-GemOx療法群】中央値:12.9ヵ月、95%CI:7.9〜18.5 ・安全性解析では、試験期間中に1つ以上の有害事象が認められた患者の割合は、glofitamab+GemOx療法群で100%(180例中180例)、R-GemOx療法群で96%(88例中84例)。 ・サイトカイン放出症候群(CRS)は、glofitamab+GemOx療法群の44%(172例中76例)で発生したが、多くは低グレードであった。 ・glofitamabまたはリツキシマブに関連する死亡例は、glofitamab+GemOx療法群で5例(3%)、R-GemOx療法群で1例(1%)にみられた。  著者らは「glofitamab+GemOx療法は、R-GemOx療法と比較し、OS改善に有意なベネフィットが認められた。本結果は、移植不適格な再発・難治性DLBCLの2ndライン以降でのglofitamab+GemOx療法の使用を裏付けるものである」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Abramson JS, et al. Lancet. 2024; 404: 1940-1954.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39550172 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
コーヒーと筋肉量の関係:性別・年代別の最適なコーヒー摂取量は? 他4本≫ Journal Check Vol.127(2024年11月30日号)
コーヒーと筋肉量の関係:性別・年代別の最適なコーヒー摂取量は? 他4本≫ Journal Check Vol.127(2024年11月30日号)
コーヒーと筋肉量の関係:性別・年代別の最適なコーヒー摂取量は? 最近の研究で、コーヒー消費は高齢者のサルコペニアとの逆相関が示されているが、若年成人におけるカフェイン摂取と筋肉量の関連については十分に解明されていない。著者らは、若年および中年層におけるカフェイン摂取量と筋肉量やサルコペニアとの関連を調査するため、横断研究を実施した。BMC Musculoskeletal Disorders誌2024年11月19日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 鶏胸肉×筋トレ 日本人高齢女性における動脈硬化リスクへの効果とは? 動脈硬化リスクに対して、筋トレ(RT)は悪影響を、高タンパク質摂取(HP)は好影響を及ぼす可能性がある。中〜高強度のRTとHPを組み合わせることで、筋肉量や筋力を向上させ、RTによる動脈硬化リスクを相殺できるかは不明である。著者らは、日本人高齢女性を、筋トレと鶏胸肉摂取の有無で4群に分け、並行群間無作為化比較試験を実施した。Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle誌オンライン版2024年11月21日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む GLP-1受容体作動薬の副作用を注視すべき時期は? GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)は、胃内容排出障害(IGE)に起因する誤嚥リスクを高める可能性がある。著者らは、FDA有害事象報告システムのデータを使用し、IGEイベントの累積発生率とGLP-1RA投与から発症までの時間について調査した。British Journal of Anaesthesia誌オンライン版2024年11月21日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 高齢者の筋トレは、加圧トレーニングで代用可能か? 加圧トレーニング(LRT-BFR)はさまざまな集団において筋力・筋肉量を改善する可能性を示すが、サルコペニア患者におけるエビデンスは限られている。著者らは、サルコペニアの高齢患者における、LRT-BFRと従来の高強度レジスタンストレーニングの有効性を比較するため、無作為化比較試験を行った。Scientific Reports誌2024年11月18日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 筋肉は、HIITを遺伝子レベルで覚えている? ヒトの骨格筋は、過去の筋トレによるエピジェネティックメモリーを保持するが、高強度インターバルトレーニング(HIIT)でも同様の仕組みが働くかは分かっていない。著者らは、中断期間を挟んだ反復トレーニング介入により、HIITのエピジェネティックメモリーを評価した。American Journal of Physiology-Cell Physiology誌オンライン版2024年11月21日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ Journal Check Vol.126(2024年11月23日号) この1時間の追加歩行で、寿命は何時間延長する? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.125(2024年11月16日号) カロリー制限で痩せるのは女性だけ!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.124(2024年11月09日号) 睡眠スコア改善で、生物学的年齢は何年若返る? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.123(2024年11月02日号) アルコール摂取で寿命は何年縮むのか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.122(2024年10月26日号) 運動するベストな時間帯は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.121(2024年10月19日号) 長寿も結局は遺伝なのか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.120(2024年10月12日号) 老化を遅らせるために、必要な運動量は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.119(2024年10月05日号) 運動前のカフェイン摂取は、何に効く? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.118(2024年9月28日号) 1日何杯のコーヒーが、心血管代謝性多疾患併存リスク低下に最適か? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.117(2024年9月21日号) 老化を遅らせる薬、メトホルミン!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.116(2024年9月12日号) ご褒美デーが逆効果!?“交互高脂肪食”に潜む動脈硬化のリスク 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.115(2024年9月05日号) 三大栄養素のうち、最も”質”を重視すべきはどれか? 他4本
日本における早期抗CMV療法と慢性GVHDの発生率、ガンシクロビル vs. ホスカルネット
日本における早期抗CMV療法と慢性GVHDの発生率、ガンシクロビル vs. ホスカルネット
公開日:2024年11月27日 Miyao K, et al. Int J Hematol. 2024 Nov 14. [Epub ahead of print]  ガンシクロビルおよびホスカルネットは、代表的な抗サイトメガロウイルス(CMV)薬である。これまでの各地域の研究において、ホスカルネットの早期投与を行った患者では、慢性移植片対宿主病(GVHD)リスクが低いことが報告されている。愛知県・安城更生病院の宮尾 康太郎氏らは、この結果を確認するため、日本造血・免疫細胞療法学会GVHDワーキンググループ研究において、全国規模のレトロスペクティブ研究を実施し、その結果を報告した。International Journal of Hematology誌オンライン版2024年11月14日号の報告。  対象は、初回造血幹細胞移植(HSCT)時にホスカルネット(1,555例)またはガンシクロビル(7,335例)を投与した16歳以上の造血器悪性腫瘍患者8,890例。 主な結果は以下のとおり。 ・ガンシクロビル投与患者の方が、慢性GVHDおよび広範囲慢性GVHDのリスクが高かった。  【慢性GVHD】ハザード比(HR):1.26、95%信頼区間(CI):1.13〜1.40、p<0.001  【広範囲慢性GVHD】HR:1.16、95%CI:1.01〜1.33、p=0.033 ・女性ドナーからのHSCTを行った男性患者では、HSCTから3年後の広範囲慢性GVHDの発生率は、ホスカルネット投与患者(13%、95%CI:9〜16)の方がガンシクロビル投与患者(27%、95%CI:25〜29)よりも明らかに低かった(p<0.001)。 ・女性ドナーからのHSCTを行った男性患者では、ドナーソースの違いや急性GVHD歴の有無に関わらず、ホスカルネット投与患者は、ガンシクロビル投与患者よりも、広範囲慢性GVHDの発生率が有意に低かった。  著者らは「これらの結果は、ホスカルネットが同種免疫に影響を及ぼすことで、慢性GVHDの発生率を低下させている可能性を示唆している」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Miyao K, et al. Int J Hematol. 2024 Nov 14. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39543007 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
HSCT後の再発MDSに対しドナーリンパ球輸注を検討すべき患者像は
HSCT後の再発MDSに対しドナーリンパ球輸注を検討すべき患者像は
公開日:2024年11月26日 Marumo A, et al. Cytotherapy. 2024 Oct 17. [Epub ahead of print]  同種造血幹細胞移植(HSCT)は、骨髄異形成症候群(MDS)の臨床アウトカム改善に寄与するが、再発率は依然として高く、再発後の治療選択肢は限られている。日本医科大学の丸毛 淳史氏らは、HSCT後の再発MDS患者に対するドナーリンパ球輸注(DLI)へ治療反応を示す要因を特定するため、本研究を実施した。Cytotherapy誌オンライン版2024年10月17日号の報告。  2002〜22年に初回HSCTを行い、造血細胞移植登録一元プログラムに登録された再発またはDLI治療実施のMDS患者107例。単変量および多変量生存率解析には、ログランク検定、Cox比例ハザードモデルを用いた。全生存期間(OS)とDLIに対する反応率も分析した。 主な結果は以下のとおり。 ・1年OSは30.0%。 ・単変量解析では、予後不良因子として、58歳以上(p=0.030)、complex karyotype(CK: p=0.026)、血液学的再発(p=0.026)、早期再発(p=0.004)が特定された。 ・アザシチジンとDLIの併用により、予後改善が認められた(p<0.001)。 ・多変量解析でも、58歳以上、血液学的再発、早期再発が予後不良因子として特定された。 ・移植後110日未満で再発した58歳以上の患者における調整済みOSに関して、細胞遺伝学的/分子学的再発患者の1年OSは43.6%であったのに対し、血液学的再発患者では9.4%であった。 ・急性移植片対宿主病(GVHD)は62.3%、慢性GVHDは30.8%でみられたが、マネジメント可能であり、GVHDリスクの予後への影響は最小限であった。  著者らは「若年、細胞遺伝学的/分子学的再発、後期再発のHSCT後の再発MDS患者のOS改善に、DLIが寄与する可能性がある。HSCT後の再発MDSに対する治療オプションは限られているため、DLIを検討する必要性が示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Marumo A, et al. Cytotherapy. 2024 Oct 17. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39503682 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
自家HSCT後の再発・難治性CNSリンパ腫に対するCAR-T細胞療法の可能性は
自家HSCT後の再発・難治性CNSリンパ腫に対するCAR-T細胞療法の可能性は
公開日:2024年11月25日 Wu J, et al. Cancer Immunol Immunother. 2024; 74: 17.  自家造血幹細胞移植(HSCT)後のCAR-T細胞療法は、再発・難治性中枢神経系(CNS)リンパ腫に対する有望な治療戦略であることが報告されているものの、その症例数は限られている。中国・華中科技大学のJiaying Wu氏らは、2019〜24年4月に本施設で自家HSCT後にCAR-T細胞療法を行った再発。難治性CNSリンパ腫患者を対象に、レトロスペクティブコホート研究を実施した。Cancer Immunology Immunotherapy誌2024年11月11日号の報告。  対象患者数は再発・難治性CNSリンパ腫患者38例。連続変数の群間比較には、スチューデントt検定またはマン・ホイットニーU検定を用い、カテゴリ変数は、フィッシャー正確確率検定を用いて分析した。生存曲線の推定には、カプランマイヤー法を用い、群間比較には、ログランク検定を用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・最良全奏効(OR)率は78.9%。 ・サブグループ解析では、乳酸脱水素酵素(LDH)レベルが正常上限を超える患者においてOR率が低かった(60.0% vs. 91.3%、p=0.039)。 ・フォローアップ期間中央値は37.5ヵ月、1年推定全生存(OS)の割合は72.8%、1年推定無増悪生存期間(PFS)の割合は57.4%。 ・PFSに関連するリスク因子は、現在の治療に対する無効であった(調整ハザード比:22.87、p<0.001)。 ・重度のサイトカイン放出症候群(CRS)および免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)の発生率は、いずれも13.2%であった。 ・二次性CNSリンパ腫患者25例の最良OR率、CNS病変のみの患者で91.7%、CNS病変と全身病変を有する患者で61.5%であった(p=0.160)。また、1年推定PFSの割合は、それぞれ83.3%、38.5%であった(p=0.030)。  著者らは「自家HSCT後の再発・難治性CNSリンパ腫に対するCAR-T細胞療法は、有望な治療戦略である可能性が示唆された。さらに、CNS病変と全身病変を有する患者は、CNS病変のみの患者よりも、治療効果が劣ることも確認された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Wu J, et al. Cancer Immunol Immunother. 2024; 74: 17.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39527142 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
この1時間の追加歩行で、寿命は何時間延長する? 他4本≫ Journal Check Vol.126(2024年11月23日号)
この1時間の追加歩行で、寿命は何時間延長する? 他4本≫ Journal Check Vol.126(2024年11月23日号)
この1時間の追加歩行で、寿命は何時間延長する? 身体活動(PA)レベルが低いと死亡率が増加する。著者らは、低PAがどれだけ寿命を短くするか、またPAレベルを高めるとどれだけ寿命をのばすことができるかを推定するために、40歳以上のNHANES参加者のデータを用いてPAレベルに基づく平均余命の分析を行なった。British Journal of Sports Medicine誌オンライン版2024年11月14日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む コーヒー・紅茶を飲むべき最適時間は? これまでの観察研究で、糖尿病患者における食事や栄養素の摂取は生体リズムに合わせる必要があると示唆されているが、全死因死亡率および疾患別死亡率を低下させるためのコーヒーと紅茶の最適な摂取時間は不明である。著者らは、糖尿病患者におけるコーヒーと紅茶の摂取タイミングと長期生存との関連性を調査した。BMC Medicine誌2024年11月11日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む たった0.3%、飽和脂肪酸を魚油に置き換えるだけで死亡率〇%減少!? 脂肪酸摂取量の経時的変化とその後の死亡率との関連は不明である。著者らは、脂肪酸摂取量(総エネルギーに占める割合)の変化と死亡率との関連を調査するために、前向きコホート研究を実施した。The American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2024年11月15日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 鼻炎用点鼻薬のベストはどれか? アレルギー性鼻炎治療の基礎である、鼻腔内投与抗ヒスタミン薬、副腎皮質ステロイド薬およびそれらの配合剤の有効性と安全性を比較するために、系統的レビューとネットワークメタ解析を実施した。Allergy誌オンライン版2024年11月16日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 瞑想で高血圧が改善する!? 心血管系のリスク因子は高齢者にとって重要な健康問題である。これまでの研究から、瞑想トレーニングがこれらのリスク因子に良い影響を与える可能性が示唆されている。著者らは、18か月間の瞑想トレーニングが心血管系の健康に及ぼす影響を検証するため、ランダム化比較試験を実施した。BMC Geriatrics誌2024年11月16日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ Journal Check Vol.125(2024年11月16日号) カロリー制限で痩せるのは女性だけ!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.124(2024年11月09日号) 睡眠スコア改善で、生物学的年齢は何年若返る? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.123(2024年11月02日号) アルコール摂取で寿命は何年縮むのか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.122(2024年10月26日号) 運動するベストな時間帯は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.121(2024年10月19日号) 長寿も結局は遺伝なのか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.120(2024年10月12日号) 老化を遅らせるために、必要な運動量は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.119(2024年10月05日号) 運動前のカフェイン摂取は、何に効く? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.118(2024年9月28日号) 1日何杯のコーヒーが、心血管代謝性多疾患併存リスク低下に最適か? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.117(2024年9月21日号) 老化を遅らせる薬、メトホルミン!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.116(2024年9月12日号) ご褒美デーが逆効果!?“交互高脂肪食”に潜む動脈硬化のリスク 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.115(2024年9月05日号) 三大栄養素のうち、最も”質”を重視すべきはどれか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.114(2024年8月29日号) カフェインレスのコーヒーでも利点を享受できるか? 他4本
ダブルエクスプレッサーリンパ腫の第1選択治療、HDAC阻害剤+R-CHOP療法の有用性
ダブルエクスプレッサーリンパ腫の第1選択治療、HDAC阻害剤+R-CHOP療法の有用性
公開日:2024年11月22日 Chen X, et al. Ther Adv Hematol. 2024: 15: 20406207241292446.  アグレッシブB細胞リンパ腫のうち、免疫組織化学でMYC陽性かつBCL2陽性を有するダブルエクスプレッサーリンパ腫(DEL)は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の約20〜30%に認められる。しかし、DELに対する最も効果的な治療戦略は、いまだ明らかになっていない。中国・四川大学のXi Chen氏らは、DEL治療におけるR-CHOP療法と新規ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDAC阻害薬)との併用による有効性を評価するため、レトロスペクティブ研究を実施した。Therapeutic Advances in Hematology誌2024年10月28日号の報告。  対象は、DEL患者62例(2016年12月〜2020年12月)。すべての患者に対し、HDAC阻害薬+R-CHOP療法による第1選択治療を実施した。短期的な有効性、生存状況、副作用を調査し、予後因子の分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者の年齢中央値は53.9歳(範囲:19〜77)。 ・治療サイクル数は平均6サイクル(範囲:1〜8)、完全奏効(CR)率は79.0%、全奏効(OR)率は88.7%。 ・フォローアップ期間中央値は45.5ヵ月(範囲:1〜82)、無増悪生存期間(PFS)およびOS中央値は未達。 ・3年PFS率は71%(95%CI:61〜83)、3年OS率は87%(95%CI:79〜96)、5年PFS率は67%(95%CI:55〜80)、5年OS率は85%(95%CI:77〜95)。 ・PFSの独立した予測因子は、CRまたは部分奏効(PR)後の年齢および自家造血幹細胞移植であった。一方、OSアウトカムとの関連が認められた因子はなかった。 ・グレード3〜4の主な血液毒性は白血球減少(46.7%)、非血液毒性は感染症(21%)であった。  著者らは「未治療のDELに対するHDAC阻害薬+R-CHOP療法は、短期的な有効性および安全性が良好であり、生存アウトカムの改善にも有望であることが示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Chen X, et al. Ther Adv Hematol. 2024: 15: 20406207241292446.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39494243 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
代謝機能障害関連脂肪肝炎に対するチルゼパチド第2相試験 肝臓の組織を改善
代謝機能障害関連脂肪肝炎に対するチルゼパチド第2相試験 肝臓の組織を改善
Tirzepatide for Metabolic Dysfunction-Associated Steatohepatitis with Liver Fibrosis N Engl J Med. 2024 Jul 25;391(4):299-310. doi: 10.1056/NEJMoa2401943. Epub 2024 Jun 8. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ 論文検索による機械翻訳です。 背景:代謝機能障害関連脂肪性肝炎(MASH)は、肝臓関連の合併症や死亡を伴う進行性の肝疾患である。グルコース依存性インスリン分泌促進ポリペプチドおよびグルカゴン様ペプチド-1受容体のアゴニストであるtirzepatideのMASHおよび中等度または重度の線維症患者における有効性と安全性は不明である。 方法:生検でMASHが確認され、F2期またはF3期(中等度または重度)の線維症を有する患者を対象に、第2相、用量設定、多施設、二重盲検、無作為化、プラセボ対照試験を行った。参加者は、週1回チルゼパチド皮下投与(5mg、10mg、15mg)を受ける群とプラセボを52週間投与する群に無作為に割り付けられた。主要エンドポイントは、52週時点における線維症の悪化を伴わないMASHの消失であった。重要な副次的エンドポイントは、MASHの悪化を伴わない少なくとも1段階の線維化の改善(低下)であった。 結果:無作為化を受けた190人の参加者のうち、157人は52週目の肝生検結果が評価可能であった。欠損値はプラセボ群の結果のパターンに従うという仮定のもとにインプットされた。線維症の悪化を伴わないMASHの消失の基準を満たした参加者の割合は、プラセボ群で10%、チルゼパチド5mg群で44%であった(プラセボ群との差は34%ポイント;95%ポイント)。チルゼパチド5mg群では44%(プラセボ群との差、34%ポイント;95%信頼区間[CI]、17~50)、チルゼパチド10mg群では56%(差、46%ポイント;95%CI、29~62)、チルゼパチド15mg群では62%(差、53%ポイント;95%CI、37~69)であった(3つの比較すべてについてP<0.001)。MASHの悪化なしに少なくとも1つの線維化ステージが改善した参加者の割合は、プラセボ群で30%、5mgのチルゼパチド群で55%(プラセボとの差、25%ポイント;95%CI、5~46)、10mgのチルゼパチド群で51%(差、22%ポイント;95%CI、1~42)、15mgのチルゼパチド群で51%(差、21%ポイント;95%CI、1~42)であった。チルゼパチド群で最も多くみられた有害事象は消化器系事象であり、そのほとんどは軽度または中等度の重症度であった。 結論MASHおよび中等度または重度の線維症を有する参加者を対象としたこの第2相試験では、線維症を悪化させることなくMASHを消失させるという点で、チルゼパチドによる52週間の治療がプラセボよりも有効であった。MASH治療に対するチルゼパチドの有効性と安全性をさらに評価するためには、より大規模で長期間の試験が必要である(Eli Lilly社からの資金提供;SYNERGY-NASH ClinicalTrials.gov番号、NCT04166773)。 第一人者の医師による解説 代謝機能障害関連脂肪性肝疾患の薬物療法 全身臓器がターゲットの治療として期待 芥田 憲夫 虎の門病院肝臓内科部長 MMJ.April 2025;21(1):16 代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)は2024年8月に従来の非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)から名称変更された病名であり、肝炎を伴うMASLDは従来の非アルコール性脂肪肝炎(NASH)から代謝機能障害関連脂肪肝炎(metabolic dysfunction associated steatohepatitis;MASH)に名称変更された(1) 。MASLDに対して日本のガイドラインで推奨されている薬物療法はいまだ存在しない。2024 年3 月、米食品医薬品局(FDA)はMASHに対する初の治療薬となる甲状腺ホルモン受容体β作動薬のレスメチロムを承認した(2)。さらに、2024年11月にはグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬のセマグルチドがMASH患者を対象とした第3相試験(ESSENCE試験)(3)で主要エンドポイントを達成したことが報告された(4)。MASLD治療は、日本においても、薬物療法の時代を迎えようとしている。 本論文は、肝線維化ステージ2(中等度)または3(高度)のMASH患者を対象にチルゼパチドの有効性と安全性を検討した、第2相用量設定多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験(SYNERGYNASH試験)の報告である。チルゼパチドは、持続性のグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)受容体およびGLP-1受容体の作動薬であり、日本では2型糖尿病の効能または効果で承認を取得している。本試験では、チルゼパチド(5mg、10mg、15mgのいずれか)を週1回、52週間皮下投与する群と、プラセボを投与する群に無作為に割り付けた。主要エンドポイントは、52週時点での肝線維化の進行を伴わないMASH 消失とした。結果、主要エンドポイントを達成した患者の割合は、プラセボ群10%、チルゼパチド5 mg群44%、10 mg群56%、15 mg群62%であった。チルゼパチド群で頻度の高かった有害事象は消化器系の事象であり、大部分が軽度または中等度であった。結果的に、チルゼパチドの52週間投与は、肝線維化の進行を伴わないMASH消失に関してプラセボよりも有効であることが確認された。 糖尿病領域でGLP-1受容体作動薬は、MASLD最大のイベントである心血管イベント抑制効果において、高いエビデンスが示されている(5)。MASLD治療の将来的な展望として、食事・運動療法と複数の薬剤を組み合わせることで、肝疾患イベントのみならず、心血管イベントの抑制まで視野に入れた併用療法の時代を迎えようとしている。まさに、GLP-1受容体作動薬を軸とした薬物療法は肝臓にとどまらない全身臓器をターゲットとした治療として今後期待される。 1. 日本消化器病学会.「脂肪性肝疾患の日本語病名に関して」(https://www. jsge.or.jp/news/20240820-3/)(2025 年1 月8 日確認) 2. FDA Press Announcements. https://bit.ly/3BHq26Z(2025 年1 月8 日確認) 3. Newsome PN, et al. Aliment Pharmacol Ther. 2024;60(11-12):1525-1533. 4. Novo Nordisk company announcement No 79 / 2024(https://bit. ly/4iCxgtG)(2025 年1 月8 日確認) 5. Marso SP, et al. N Engl J Med. 2016;375(4):311-322.
同種HSCT後に再発した多発性骨髄腫、DLIや新規治療薬で長期病勢コントロールが可能に
同種HSCT後に再発した多発性骨髄腫、DLIや新規治療薬で長期病勢コントロールが可能に
公開日:2024年11月21日 Nozzoli C, et al. Transplant Cell Ther. 2024 Nov 4. [Epub ahead of print]  同種造血幹細胞移植(HSCT)は、多発性骨髄腫(MM)の一部の患者において、治療効果をもたらす。同種HSCT後に再発したMM患者では、長期生存を経験することがあり、これには同種HSCT後に用いられる治療薬とドナーT細胞との相乗効果が示唆されている。イタリア・カレッジ大学のChiara Nozzoli氏らは、同種HSCTを行ったMM患者のアウトカムをレトロスペクティブに評価した。Transplantation and Cellular Therapy誌オンライン版2024年11月4日号の報告。  対象は、Gruppo Italiano Trapianto Midollo Osseo e Terapia Cellulare(GITMO)ネットワークに登録された2009〜18年に同種HSCTを行ったMM患者242例。対象患者のアウトカムをレトロスペクティブに評価した。すべての患者における長期アウトカムおよび再発患者118例における再発後の全生存期間(OS)延長の予測因子を特定した。 主な結果は以下のとおり。 ・同種HSCT後のフォローアップ期間中央値は40.9ヵ月、すべての患者のOS中央値は39.4ヵ月、無増悪生存期間(PFS)中央値は19.0ヵ月。 ・非再発死亡率(NRM)の累積発生率は、1年で10.3%、5年で27.6%。 ・グレード2〜4の急性GVHDの累積発生率は19.8%、中等度〜重度の慢性GVHDの5年累積発生率は31.8%であった。 ・多変量モデルでは、OS不良と関連する重要な因子として、移植時年齢の高さ(p=0.020)、移植前治療歴が2ライン以上(p=0.003)、非血縁または半合致ドナーからの移植(p=0.025)が特定された。 ・同種HSCT後に再発した患者は118例(59%)、中央値は14.3ヵ月(IQR:7.2〜26.9)。 ・治療の内訳は、ステロイド、放射線療法、支持療法のみが20例(17%)、救援療法1ラインが41例(35%)、2ライン23例(19%)、3または4ライン34例(29%)。 ・救援療法の内訳は、化学療法のみが9例、免疫調整薬(IMiDs)を含む9例、プロテアソーム阻害薬を含む43例、モノクローナル抗体を含む37例(ダラツムマブ:33例、エロツズマブ:1例、イサツキシマブ:1例、belantamab:2例)。 ・再発患者のOS中央値は、移植後38.5ヵ月、再発後20.2ヵ月であった。 ・多変量解析では、再発後のOS延長に関連する因子として、移植後の再発までの期間の長さ(6〜24ヵ月:p=0.016、24ヵ月以上:p<0.001)、3ライン以上の救援療法(p<0.036)、ドナーリンパ球輸注(DLI:p=0.020)が特定された。  著者らは「初期段階およびHLA一致同胞ドナーから移植を受けた患者は、長期生存の可能性が最も高かった。同種HSCT後の再発期間、複数回の救援療法、DLIは、長期病勢コントロールの重要な因子である可能性が示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Nozzoli C, et al. Transplant Cell Ther. 2024 Nov 4. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39505212 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
FLT3-ITD変異陽性AMLの特徴と臨床アウトカム、同種HSCTの有効性を評価
FLT3-ITD変異陽性AMLの特徴と臨床アウトカム、同種HSCTの有効性を評価
公開日:2024年11月20日 Li H, et al. Clin Lab. 2024; 70.  FLT3遺伝子変異はAMLで最も多く認められる遺伝子変異であり傍膜貫通ドメインの一部に生じる縦列重複配列(ITD)変異を認めるFLT3-ITD変異陽性AMLは、予後不良因子である。中国のHong Li氏らは、FLT3-ITD変異陽性AMLの臨床的特徴、寛解率、再発率、臨床アウトカムを評価し、あわせて同種造血幹細胞移植(HSCT)およびソラフェニブの有効性の評価を行った。Clinical Laboratory誌2024年11月1日号の報告。  対象は、2018〜23年6月にレトロスペクティブに登録した、新たにFLT3-ITD変異陽性AMLと診断された患者55例。AML診断では、複数の融合遺伝子および遺伝子変異により特定した。生存曲線の算出には、カプランマイヤー法を用い、ログランク検定(Mantel-Cox)により評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・同種HSCTを行った患者は27例(49.1%)。 ・同種HSCTを行った患者は、行わなかった患者と比較し、フォローアップ期間の有意な延長が認められた(p<0.001)。 ・NPM1およびFLT3-ITDの両方に変異が認められた患者は18例(32.7%)。 ・ソラフェニブと化学療法併用による導入療法を行った患者は11例、化学療法単独を行った患者は44例。 ・移植を行った患者は、行わなかった患者と比較し、全生存(OS)率(p<0.001)、無再発生存(RFS)率(p=0.0017)が有意に良好であった。 ・ソラフェニブ+化学療法併用と化学療法単独との比較では、OS率とRFS率に有意な差は認められなかった(p>0.05)。 ・FLT3-ITD陽性AML患者は、NPM1変異の有無に関わらず、OS率、RFS率に有意な違いは認められなかった(p>0.05)。  著者らは「完全寛解後の同種HSCTは、FLT3-ITD陽性AML患者の臨床アウトカムを改善する可能性が示唆された」としたうえで「ソラフェニブ+化学療法併用と化学療法単独との間で、全奏効率と臨床アウトカムに違いが認められなかった」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Li H, et al. Clin Lab. 2024; 70.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39506591 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
女性から男性への同種HCTを成功させるポイントは
女性から男性への同種HCTを成功させるポイントは
公開日:2024年11月19日 Tamaki M, et al. Cytotherapy. 2024 Oct 5. [Epub ahead of print]  女性ドナーから男性レシピエントへの同種造血幹細胞移植(同種HCT)は、慢性移植片対宿主病(GVHD)や全生存率(OS)、非再発死亡(NRM)などのリスク因子である。女性から男性への同種HCTのアウトカム不良は、H-Y抗原に対する同種免疫によるものであると考えられる。しかし、ハプロ移植におけるマイナー組織適合性抗原の影響は、いまだ解明されていない。自治医科大学の玉置 雅治氏らは、女性から男性への同種HCTがハプロ移植のサブタイプにより影響を受けるかを明らかにするため、調査を行った。Cytotherapy誌オンライン版2024年10月5日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・移植後シクロホスファミド(PTCY)コホート660例では、性別の不一致は再発リスク低下と有意な関連が認められた(HR:0.70、95%CI:0.49〜0.99、p=0.045)。 ・OS(HR:0.89、95%CI:0.68〜1.16、p=0.40)やNRM(HR:0.98、95%CI:0.68〜1.14、p=0.90)との関連は認められなかった。 ・非PTCYコホート219例では、性別不一致は、OSおよびNRMの不良と関連が認められ、再発リスク低下との関連は認められなかった。  著者らは「ハプロ移植のサブタイプによる生存率への影響は、性別不一致の有無により異なることが示唆された」とし「女性から男性への同種HCTの課題を克服する上で、移植後シクロホスファミドは実行可能な方法であり、H-Y抗原に対するGVL効果を維持する可能性がある」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Tamaki M, et al. Cytotherapy. 2024 Oct 5. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39453336 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
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