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難治性免疫原性TTPに対してダラツムマブは治療選択肢となりうるか
難治性免疫原性TTPに対してダラツムマブは治療選択肢となりうるか
公開日:2024年9月11日 Weisinger J, et al. Br J Haematol. 2024 Sep 4. [Epub ahead of print]  リツキシマブ付耐または不応性の免疫原性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)患者に対する免疫抑制療法は、依然として議論の的となっている。抗CD38モノクローナル抗体ダラツムマブは、治療選択肢の1つとなりうる可能性が示唆されているが、そのデータは十分ではない。フランス・ソルボンヌ大学のJulia Weisinger氏らは、フランス国内でダラツムマブ治療を行った免疫原性TTP患者について調査を行うため、French Thrombotic Microangiopathies Reference Centerにおいて全国調査を実施した。British Journal of Haematology誌オンライン版2024年9月4日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・免疫原性TTP患者7例より、9つのエピソードが特定された。 ・臨床的奏効がみられADAMTS13再発を呈したケースが8件、リツキシマブ不耐後の急性期ケース1件であった。 ・平均3ライン以上の治療歴が認められた。 ・ダラツムマブ治療後、ADAMTS13活性は8例で改善がみられ、そのうち3例は正常化した。 ・ADAMTS13再発は3例で認められ、そのうち2例はダラツムマブによる再治療で改善した。 ・ADAMTS13無再発生存期間中央値は未達、12ヵ月のADAMTS13無再発生存率は56%であった。 ・ダラツムマブ関連有害事象は5例で発生し、重篤でない注入関連反応が全例で認められた。  著者らは「本結果より、ダラツムマブは、リツキシマブ不耐または難治性の免疫原性TTP患者に対する有効な治療選択肢となりうる可能性が示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Weisinger J, et al. Br J Haematol. 2024 Sep 4. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39228246 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
オビヌツズマブはリツキシマブよりCOVID-19重症化リスクが本当に高いのか〜アジア人対象研究
オビヌツズマブはリツキシマブよりCOVID-19重症化リスクが本当に高いのか〜アジア人対象研究
公開日:2024年9月10日 Shu W, et al. Virol J. 2024; 21: 212.  抗CD20モノクローナル抗体で治療を行った患者では、COVID-19による有害アウトカムリスクが上昇する可能性がある。新規抗CD20モノクローナル抗体であるオビヌツズマブは、リツキシマブと比較し、B細胞減少効果が高く、in vitroでの優れた有効性が示されている。中国・Ningbo Medical Center Li Huili HospitalのWenxiu Shu氏らは、オビヌツズマブがリツキシマブよりもCOVID-19によるアウトカムを悪化させるかを評価するため、レトロスペクティブ単施設コホート研究を実施した。Virology Journal誌2024年9月9日号の報告。  対象は、2022年にNingbo Medical Center Li Huili Hospital に入院し、抗CD20モノクローナル抗体による治療を行ったB細胞リンパ腫患者124例(リツキシマブ群:106例、オビヌツズマブ群:18例)。COVID-19による有害アウトカムを、両群間で比較した。 主な結果は以下のとおり。 ・リツキシマブ群の86.8%はアグレッシブリンパ腫であったのに対し、オビヌツズマブ群の多くはインドレントリンパ腫であった。 ・リツキシマブ群の57.5%、オビヌツズマブ群の88.9%は、COVID-19波の3ヵ月以内に抗CD20モノクローナル抗体治療が行われており、オビヌツズマブ群ではリツキシマブ群よりもベンダムスチンを投与した患者の割合が高かった(22.2% vs. 4.7%、p=0.031)。 ・COVID-19による主な有害アウトカムの比較は次のとおりであり、オビヌツズマブ群はリツキシマブ群よりも高リスクであったが、COVID-19関連死亡率に有意な差は認められなかった。 【入院した患者の割合】55.6% vs. 20.8%(p=0.005) 【SARS-CoV-2の長期感染した患者の割合】38.9% vs. 2.9%(p<0.001) 【重度のCOVID-19を発症した患者の割合】33.3% vs. 4.7%(p<0.001) ・ベンダムスチンの影響を排除するため、ベンダムスチンを使用しなかった患者を対象としたサブグループ解析においても、依然としてオビヌツズマブ群(14例)はリツキシマブ群(101例)よりも高リスクであった。 【入院した患者の割合】50.0% vs. 19.8%(p=0.031) 【SARS-CoV-2の長期感染した患者の割合】28.6% vs. 2.0%(p=0.002) 【重度のCOVID-19を発症した患者の割合】21.4% vs. 4.0%(p=0.038) ・多変量解析の結果では、オビヌツズマブ治療は、SARS-CoV-2感染の長期化(OR:27.05、95%CI:3.75〜195.22、p=0.001)、重症COVID-19の発生率上昇(OR:15.07、95%CI:2.58〜91.72、p=0.003)との関連が示唆された。  著者らは「オビヌツズマブ群は、リツキシマブ群よりもSARS-CoV-2感染の長期化および重症COVID-19のリスクが高いことが示唆された。本研究は、アジア人集団におけるオビヌツズマブとリツキシマブを投与された患者のCOVID-19のアウトカムを比較した最初の研究である」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Shu W, et al. Virol J. 2024; 21: 212.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39252096 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
PMBCLにおける中枢神経系再発予防の必要性は〜米メイヨークリニック
PMBCLにおける中枢神経系再発予防の必要性は〜米メイヨークリニック
公開日:2024年9月9日 Okcu I, et al. Clin Lymphoma Myeloma Leuk. 2024 Aug 2. [Epub ahead of print]  原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)は、悪性B細胞性非ホジキンリンパ腫の1つである。PMBCLは、結節性硬化型の古典的ホジキンリンパ腫(cHL)と、臨床的および生物学的特徴が類似しているといわれている。cHLでは、中枢神経系(CNS)再発は非常に稀であるといわれており、PMBCLのCNS再発も、少ないと予想される。米国・メイヨークリニックのIzel Okcu氏らは、標準的な化学療法で治療を行ったPMBCL患者におけるCNS再発の発生頻度を調査するため、単施設レトロスペクティブ研究を実施した。Clinical Lymphoma, Myeloma & Leukemia誌オンライン版2024年8月2日号の報告。  対象は、メイヨークリニックで診察された新規PMBCL患者154例(平均年齢:38歳[範囲:18〜77]、女性の割合:60%、65歳以上の割合:8%[12例])。CNS再発率は、競合リスクモデルを用いて算出し、死亡を競合リスクとみなした。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者に対する第1選択治療は、R-CHOP療法51%(78例)、DA-EPOCH-R療法49%(76例)であった。 ・CNS再発予防は、R-CHOP療法で5%(8例)、DA-EPOCH-R療法10%(15例)に実施されていた。 ・フォローアップ中央値は39ヵ月の間に、CNS再発は3例で認められ、いずれの症例もCNSおよび全身性再発が認められた。 ・コホート全体のCNS再発の累積発生率は、1年で1.43%(95%CI:0.3〜4.6)、2および5年で2.21%(95%CI:0.6〜5.8)であった。 ・CNS再発予防を行わなかった患者131例における再発率は、1年で0.85%(95%CI:0.1〜4.2)、2および5年で1.80%(95%CI:0.3〜5.8)であった。 ・CNS再発患者3例には、第1選択治療としてR-CHOP療法が用いられていた。3例中2例は、CNS再発予防を行っていなかったが、1例は腹腔内投与が行われていた。  著者らは「PMBCLにおけるCNS再発リスクは、標準的な化学療法では非常に低いことが示唆された。そのため、定期的なCNS予防は、必要であるとはいえない」と結論づけた。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Okcu I, et al. Clin Lymphoma Myeloma Leuk. 2024 Aug 2. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39232904 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
抗体薬物複合体に関連する眼の有害事象〜FDA有害事象報告システム分析
抗体薬物複合体に関連する眼の有害事象〜FDA有害事象報告システム分析
公開日:2024年9月6日 Mao K, et al. Front Pharmacol. 2024: 15: 1425617.  抗体薬物複合体(ADC)は、がん医療で注目され、ホットスポットとなっているが、ADCに伴う眼毒性は、過小評価されている。中国・温州医科大学のKaiLi Mao氏らは、さまざまなADCに関連する眼毒性リスクを包括的に評価するため、FDA有害事象報告システム(FAERS)データベースを用いて、分析を行った。Frontiers in Pharmacology誌2024年8月20日号の報告。  2011年第3四半期〜2023年第3四半期のデータをFAERSデータベースより抽出した。ADC関連の眼の有害事象の臨床的特徴を分析した。ADC誘発性の眼の有害事象のシグナルを検出するため、比例分析およびベイズアプローチによりデータマイニングを行なった。眼の毒性の発現までの期間についても評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・ADCに関連すると判断された眼の有害事象は、1,246件抽出された。 ・眼毒性の兆候が報告された薬剤は、belantamab mafodotin、ブレンツキシマブ ベドチン、エンホルツマブ ベドチン、mirvetuximab soravtansine、sacituzumab govitecan、トラスツズマブ デルクステカン、トラスツズマブ エムタンシンであった。 ・微小管重合阻害剤を結合させたADC(belantamab mafodotin、トラスツズマブ エムタンシン、mirvetuximab soravtansine)は、眼毒性の影響を受けやすかった。 ・ADCに関連する主な眼の有害事象シグナルは、以下のとおりであった。 【角膜症】ROR=1,273.52(95%CI:1,129.26〜1,436.21) 【視力低下】ROR=22.83(95%CI:21.2〜24.58) 【ドライアイ】ROR=9.69(95%CI:8.81〜10.66) 【夜盲症】ROR=259.87(95%CI:228.23〜295.89) 【霧視】ROR=1.78(95%CI:1.57〜2.02) 【羞明】ROR=10.45(95%CI:9.07〜12.05) 【眼の異物感】ROR=23.35(95%CI:19.88〜27.42) 【眼毒性】ROR=144.62(95%CI:117.3〜178.32) 【点状角膜炎】ROR=126.21(95%CI:101.66〜156.69) 【眼障害】ROR=2.71(95%CI:2.21〜3.32) ・発現時期に関しては、最も早かったのはsacituzumab govitecanで21日目、最も遅かったのはトラスツズマブ デルクステカンで223日目であった。  著者らは「ADCは、がん患者の眼毒性リスクを高め、重篤な死亡リスクにもつながる可能性がある。また、添付文書に記載されていない新たな眼毒性シグナルも検出されている」とし「新規ADCが世界各国で汎用されているため、FAERSデータと他のデータを連携し、ADCの眼毒性をモニタリングする必要がある」とまとめている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Mao K, et al. Front Pharmacol. 2024: 15: 1425617.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39228525 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
高齢者DLBCLにR-mini-CHOP+イブルチニブが有効〜第II相ALLG試験/Blood Adv
高齢者DLBCLにR-mini-CHOP+イブルチニブが有効〜第II相ALLG試験/Blood Adv
公開日:2024年9月5日 Verner E, et al. Blood Adv. 2024 Sep 3. [Epub ahead of print]  75歳以上の高齢者の初発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者を対象に、R-mini-CHOP療法にイブルチニブを追加した場合の有効性を評価するため、オーストラリア白血病およびリンパ腫グループ(ALLG)は、多施設共同プロスペクティブコホート試験を実施した。その結果、オーストラリア・Concord Repatriation General HospitalのEmma Verner氏らは、「R-mini-CHOP療法にイブルチニブを追加した本レジメンは、高齢者DLBCL患者に有用である」と報告した。Blood Advances誌オンライン版2024年9月3日号の報告。  R-mini-CHOP+イブルチニブを21日サイクルで6回実施し、その後、リツキシマブ+イブルチニブを21日サイクルで2回実施した。主要エンドポイントは、有効性および2年全生存率(OS)とした。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者79例中、R-mini-CHOP 6サイクルを完了した患者は63例(80%)、レジメン全体の平均相対総用量中央値は97%(IQR:82〜100)、平均相対用量強度中央値は97%(IQR:88〜100)であった。 ・フォローアップ期間中央値は35.5ヵ月、2年OSは68%(95%CI:55.6〜77.4)、2年無増悪生存率(PFS)は60.0%(95%CI:47.7〜70.3)。 ・OS中央値は72ヵ月(95%CI:35〜未達)、PFS中央値は40ヵ月(95%CI:20.4〜未達)であった。 ・全奏効率(ORR)は76%(79例中61例)、完全奏効(CR)は71%(79例中56例)。 ・死亡は79例中34例(43%)でみられ、内訳は病勢進行17例、治療関連死亡5例であった。 ・1つ以上の重篤な有害事象が認められた患者の割合は67%。 ・最も一般的な有害事象は、感染症と下痢であり、そのほとんどがグレード1〜2であった。 ・健康関連QOLは、時間経過とともに改善が認められた。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Verner E, et al. Blood Adv. 2024 Sep 3. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39226464 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
三大栄養素のうち、最も”質”を重視すべきはどれか? 他4本≫ Journal Check Vol.115(2024年9月05日号)
三大栄養素のうち、最も”質”を重視すべきはどれか? 他4本≫ Journal Check Vol.115(2024年9月05日号)
三大栄養素のうち、最も”質”を重視すべきはどれか? 主要栄養素の摂取量と2型糖尿病(T2D)リスクとの関連ははっきりしてしていない。著者らは、西アジア人集団を対象に、主要栄養素の摂取量および質とT2D発症リスクとの関連を9年間追跡調査した。Nutrition Journal誌2024年8月30日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 1日〇gの抹茶で認知機能と睡眠の質が改善!? 著者らは、抹茶が認知機能と睡眠の質に及ぼす影響を調べるために、自覚的認知機能低下者および軽度認知障害者を対象に、12ヶ月間にわたるプラセボ対照ランダム化二重盲検比較試験を実施した。PLOS ONE誌オンライン版2024年8月30日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 「恋は盲目」のメカニズムは? 恋愛は感覚知覚を偏らせることがある。この「恋の盲目性」は、潜在的なリスクよりも切望する報酬の追求を優先するという、生物に共通する行動原理を反映している。著者らは、求愛が進むにつれて脅威を感じにくくなるメカニズムを発見した。Nature誌オンライン版2024年8月28日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む SARS-CoV-2感染による妊婦への影響は? ウイルス感染は有害な妊娠転帰のリスクを高める可能性があるため、COVID-19の妊娠転帰への影響が注目されている。著者らは、過去5年間(2019年12月~2023年4月)のSARS-CoV-2に感染した妊婦に関連する研究のレビューを実施した。BMC Pregnancy and Childbirth誌2024年8月29日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 健康に良い座りっぱなしもあるのか? さまざまな種類の座りっぱなしはいくつかの健康上の転帰と関連しているが、因果関係は不明である。著者らは、この因果関係を明らかにするために、座位行動と健康転帰との関連を調べたメンデルランダム化研究の系統的レビューとメタ解析を実施した。Sports Medicine誌オンライン版2024年9月2日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ Journal Check Vol.114(2024年8月29日号) カフェインレスのコーヒーでも利点を享受できるか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.113(2024年8月22日号) 急激な老化のタイミングは、〇歳と〇歳!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.112(2024年8月17日号) 1日1個のアボカドを半年食べ続けると…? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.111(2024年8月08日号) 〇gの野菜・果物摂取が、超加工食品の悪影響を打ち消す!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.110(2024年8月01日号) 男女別 最も効果的な筋トレ方法は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.109(2024年7月25日号) 10-20-30トレーニングは万人受けする? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.108(2024年7月18日号) バター vs 植物油 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.107(2024年7月11日号) コーヒーの健康効果はどこまで明らかになったか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.106(2024年7月4日号) CVDハイリスク患者の降圧目標:140mmHg vs 120mmHg 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.105(2024年6月27日号) 超加工食品の摂取で筋肉量が減少!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.104(2024年6月20日号) 中高年に最適な睡眠パターンは? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.103(2024年6月13日号) ハムストリングスをより効果的に鍛えるトレーニングは? 他4本
AMLにおける最良のドナー選択肢は?〜EBMT WG研究
AMLにおける最良のドナー選択肢は?〜EBMT WG研究
公開日:2024年9月4日 Baron F, et al. Am J Hematol. 2024 Aug 31. [Epub ahead of print]  HLA適合ドナーのいない急性骨髄性白血病(AML)患者にとって、最適なドナー選択肢に関しては、議論の的となっている。ベルギー・リエージュ大学のFrederic Baron氏らは、初回完全寛解(CR1)のAML患者を対象に、造血幹細胞移植のアウトカムを比較した大規模レトロスペクティブレジストリ研究の結果を報告した。American Journal of Hematology誌オンライン版2024年8月31日号の報告。  2013〜21年までの移植でCR1の成人AML患者を対象に、ダブルユニット臍帯血移植(dCBT群)209例とシクロホスファミドをベースとしたGVHD予防を伴う9/10 HLA非血縁ドナー(UD 9/10群)270例における移植後アウトカムを比較した。 主な結果は以下のとおり。 ・グレード2〜4の急性GVHDの180日間における累性発生率は、UD 9/10群で29%、dCBT群で44%であった(p=0.001)。 ・共変量で調整したのち、dCBT群はUD 9/10群と比較し、非再発死亡率が高く(HR:2.35、95%CI:1.23〜4.48、p=0.01)、再発発生率は同程度(HR:1.12、95%CI:0.67〜1.86、p=0.66)、無白血病生存割合が低く(HR:1.5、95%CI:1.01〜2.23、p=0.47)、全生存割合(OS)が低かった(HR:1.66、95%CI:1.08〜2.55、p=0.02)。  著者らは「CR1のAML患者に対する移植結果では、dCBTよりもシクロホスファミドをベースとしたGVHD予防を伴うUD 9/10の方が良好であることが示唆された」とし「HLA適合ドナーのいないAML患者には、シクロホスファミドをベースとしたGVHD予防を伴うUD 9/10が支持される可能性がある」とまとめている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Baron F, et al. Am J Hematol. 2024 Aug 31. [Epub ahead of print]▶https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/39215605 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
低悪性度NHLに対する抗CD47抗体magrolimab+リツキシマブ〜3年間フォローアップ試験/Blood Adv
低悪性度NHLに対する抗CD47抗体magrolimab+リツキシマブ〜3年間フォローアップ試験/Blood Adv
公開日:2024年9月3日 Mehta A, et al. Blood Adv. 2024 Aug 30. [Epub ahead of print]  再発・難治性低悪性度非ホジキンリンパ腫(NHL)の治療において、現在の治療法では、治癒不能であると考えられている。これまで実施された抗CD47抗体magrolimabと抗CD20抗体リツキシマブとの併用による第Ib/II相試験では、再発・難治性低悪性度NHLに対する抗腫瘍効果が示されている。米国・アラバマ大学バーミンガム校のAmitkumar Mehta氏らは、再発・難治性低悪性度NHLに対するmagrolimab+リツキシマブの長期における安全性および有効性を評価するため、第Ib/II相試験の3年間フォローアップ調査を行い、その結果を報告した。Blood Advances誌オンライン版2024年8月30日号の報告。  第Ib相試験では、magrolimabプライミング後に4群に対し、リツキシマブ375mg/m2+magrolimab維持用量10〜45mg/kgを投与した。第II相試験では、magrolimab 30mg/kgまたは45mg/kgの検討を行った。主要エンドポイントは、治療中に発生した有害事象(TEAE)および全奏効率(ORR)とした。副次的エンドポイントには、奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を含めた。探索的分析には、循環腫瘍DNA、magrolimab抗腫瘍効果のバイオマーカー、薬物標的発現の評価を含めた。 主な結果は以下のとおり。 ・第Ib/II相試験で治療を行った患者46例の内訳は、濾胞性リンパ腫42例、辺縁帯リンパ腫4例であった。 ・すべての患者で1つ以上のTEAEが認められ、治療関連TEAEは44例で認められた。 ・長期フォローアップ期間中、新たな毒性および治療関連死亡は、いずれも報告されなかった。 ・フォローアップ期間中央値は36.7ヵ月(範囲:1.2〜62.3)。 ・ORR達成率は52.2%、完全奏効(CR)達成率は30.4%であった。 ・DOR中央値は15.9ヵ月(95%CI:5.6〜推定不能)であった。 ・奏効までの期間中央値は1.8ヵ月(範囲:1.6〜5.5)、PFS中央値は7.4ヵ月(95%CI:4.8〜13.0)、OS中央値は未達であった。  著者らは「低悪性度NHLに対するmagrolimab+リツキシマブの長期的な安全性および有効性が示され、CD47とCD20を標的とした治療の組み合わせの有用性が裏付けられた」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Mehta A, et al. Blood Adv. 2024 Aug 30. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39213421 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
ベンダムスチン療法のリンパ球回復までの期間はどの程度か?
ベンダムスチン療法のリンパ球回復までの期間はどの程度か?
公開日:2024年9月2日 Donzelli L, et al. Ann Hematol. 2024 Aug 30. [Epub ahead of print]  ベンダムスチン+リツキシマブ療法(BR療法)またはベンダムスチン+リツキシマブ+シタラビン療法(R-BAC療法)は、マントル細胞リンパ腫(MCL)の高齢患者、集中治療または自家移植適応のない患者に対する標準的な第1選択化学療法である。ベンダムスチンは、長期にわたるリンパ球減少を引き起こすことが知られているが、MCL患者における持続性に関するエビデンスは乏しい。イタリア・ローマ・ラ・サピエンツァ大学のLivia Donzelli氏らは、CAR-T細胞療法による免疫療法の可能性も考慮し、MCL患者におけるベンダムスチン療法後のリンパ球回復までの期間を推定するため、レトロスペクティブに分析を行った。Annals of Hematology誌オンライン版2024年8月30日号の報告。  対象は、2011年5月~2022年4月にサピエンツァ大学病院血液内科においてベンダムスチンによる第1選択治療(BR療法またはR-BAC療法)を行ったMCL患者44例(連続登録)。患者データを収集し、レトロスペクティブに分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・BR療法は24例(55%)、R-BAC療法は20例(45%)に用いられた。 ・ベースライン時のリンパ球数中央値は1,795/μL(範囲:370〜1万1,730)であった。 ・治療終了から1ヵ月後には450/μL(範囲:50〜3,300)、3ヵ月後には768/μL(範囲:260〜1,650)であった。 ・リンパ球数中央値は徐々に増加し、6、9ヵ月後には900/μLまで回復した(6ヵ月後:370〜2,560、9ヵ月後:130〜2,770)。 ・12ヵ月後のリンパ球数中央値は、1,256/μL(範囲:240〜4,140)であった。  著者らは「MCL患者におけるベンダムスチン療法後のリンパ球数中央値は、治療後1、3、6、9ヵ月時点ではベースラインより有意に低かったが、12ヵ月後には回復がみられた」とし「MCL患者に対するCAR-T細胞療法を検討する際、ベンダムスチン投与とリンパ球除去との間に9ヵ月以上間隔を空ける必要がある」とまとめている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Donzelli L, et al. Ann Hematol. 2024 Aug 30. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39212720 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
イキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン療法を用いる最適なタイミングは?
イキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン療法を用いる最適なタイミングは?
公開日:2024年8月30日 Fric D, et al. Eur J Haematol. 2024 Aug 26. [Epub ahead of print]  実臨床において、ダラツムマブによる治療歴を有する再発・難治性多発性骨髄腫(MM)に対してイキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン療法(ILd療法)を行った患者における有用性を評価するため、チェコ・マサリク大学のDominik Fric氏らは、レトロスペクティブに分析を行った。European Journal of Haematology誌オンライン版2024年8月26日号の報告。  本研究は、ダラツムマブによる治療歴を有する再発・難治性MM患者に対するILd療法の有効性を評価し、ILd療法によるメリットが最も大きい患者サブタイプを明らかにすることを目的として実施した。全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)のハザード比(HR)の評価も行った。 主な結果は以下のとおり。 ・対象は、ダラツムマブによる治療歴を有する再発・難治性MM患者43例。 ・最小奏効(MR)以上を達成した患者は53.3%であった。 ・PFS中央値は4.56ヵ月(95%CI:2.56~8.03)、OS中央値は28.92ヵ月(95%CI:5.4~未達)であった。 ・奏効持続期間(DOR)の評価が可能であった28例におけるDOR中央値は21.3ヵ月(95%CI:6.85~未達)に達した。 ・3クラス抵抗性でない患者(HR:0.39、95%CI:0.14~1.10、p=0.07)および前治療歴が3ライン未満の患者(HR:0.13、95%CI:0.03~0.6、p=0.003)で、OSの改善が認められた。 ・OSと同様に、3クラス抵抗性でない患者(HR:0.52、95%CI:0.25~1.10、p=0.08)において、PFSの改善も認められた。  著者らは「ダラツムマブによる治療歴を有する再発・難治性MM患者においてILd療法が最も有効であった患者は、3クラス抵抗性でなく、前治療歴が3ライン未満の患者であることが示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Fric D, et al. Eur J Haematol. 2024 Aug 26. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39187373 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
ポラツズマブ併用療法時のG-CSF製剤予防投与はどの程度有用なのか
ポラツズマブ併用療法時のG-CSF製剤予防投与はどの程度有用なのか
公開日:2024年8月29日 Kodama A, et al. Gan To Kagaku Ryoho. 2024; 51: 741-745.  びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療では、ポラツズマブ ベドチン(Pola)併用療法が広く用いられる。Pola併用療法の臨床試験では、90%以上の症例に対しG-CSF製剤が一次予防目的で投与されているが、予防投与のメリットを調査した報告はほとんどない。大阪・市立吹田市民病院の児玉 暁人氏らは、Pola併用療法時における持続型G-CSF製剤による1次予防の有無により、発熱性好中球減少症(FN)の発生率に影響を及ぼすかを調査した。癌と化学療法2024年7月号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・Pola-BP療法によるFN発生率は、G-CSFあり群で0%、G-CSFなし群で9.5%であった。 ・Pola-R-CHP療法によるFN発生率は、G-CSFあり群で0%、G-CSFなし群で31.2%であり、より高くなる傾向が認められた。 ・Pola-BP療法G-CSFあり群の入院期間は11日、G-CSFなし群は18日であり、G-CSF予防投与による入院期間の有意な短縮が認められた(p=0.046)。 ・G-CSF予防投与によりグレード3以上の白血球減少、好中球減少の発生率に減少傾向が認められたが、統計学的に有意な差は認められなかった。 ・Pola併用療法におけるG-CSF製剤の一次予防投与は、血液毒性の軽減に寄与する可能性が示唆された。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kodama A, et al. Gan To Kagaku Ryoho. 2024; 51: 741-745.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39191692 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
カフェインレスのコーヒーでも利点を享受できるか? 他4本≫ Journal Check Vol.114(2024年8月29日号)
カフェインレスのコーヒーでも利点を享受できるか? 他4本≫ Journal Check Vol.114(2024年8月29日号)
カフェインレスのコーヒーでも利点を享受できるか? 観察研究では、コーヒー摂取量と神経変性疾患リスク低下との関連が示唆されているが、コーヒーの種類(加糖、無糖、カフェイン入り、カフェインレスなど)による違いは考慮されていない。著者らは、様々な種類のコーヒー摂取と神経変性疾患との関連を明らかにするため、大規模コホート研究を行った。The American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2024年8月19日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 牛乳 vs 豆乳 健康に良いのは? 食生活指針では、植物性食生活への移行が推奨されている。植物性食品である強化豆乳は、通常、牛乳の甘さに合わせるために砂糖が添加されており、超加工食品に分類される。著者らは、牛乳を豆乳(加糖 or 無糖)に置き換えた場合の心血管代謝に及ぼす影響を評価するため、RCTの系統的レビューとメタ分析を実施した。BMC Medicine誌2024年8月22日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む プラスチック関連化学物質の健康への影響は? プラスチックやプラスチックに関連する化学物質への曝露がヒトの健康に及ぼす影響を調べる疫学研究は、プラスチック生産量が急激に増加していることを考えると、極めて重要である。著者らは、アンブレラレビューを実施し、幅広い化学物質とヒトの健康との関連についての現状を提示した。Annals of Global Health誌2024年8月19日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 週末のみ運動は是か非か? 定期的な身体活動(PA)が脳の健康に有益であることを示す証拠は数多くあるが、中等度から活発な運動(MVPA)を1~2日かけて集中的に行う「週末戦士」パターンが脳の健康と関連しているかどうかは不明である。そこで著者らは、UK Biobankの7万5,629人の参加者を対象に、前向きコホート研究を行った。Nature Aging誌オンライン版2024年8月21日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 意思決定をする時、脳内では何が起きている? 他者とのやり取りでより良い意思決定を行うためには、相手の考えを理解し、その行動を予測することが求められる。しかし、こうした予測には不確実性が伴い、より良い決定を下すためには複数のシナリオを考慮する必要がある。著者らは、このような社会的意思決定の神経メカニズムを解明するため、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)と計算モデルを用いた研究を行った。The Journal of Neuroscience誌オンライン版2024年8月23日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ Journal Check Vol.113(2024年8月22日号) 急激な老化のタイミングは、〇歳と〇歳!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.112(2024年8月17日号) 1日1個のアボカドを半年食べ続けると…? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.111(2024年8月08日号) 〇gの野菜・果物摂取が、超加工食品の悪影響を打ち消す!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.110(2024年8月01日号) 男女別 最も効果的な筋トレ方法は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.109(2024年7月25日号) 10-20-30トレーニングは万人受けする? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.108(2024年7月18日号) バター vs 植物油 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.107(2024年7月11日号) コーヒーの健康効果はどこまで明らかになったか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.106(2024年7月4日号) CVDハイリスク患者の降圧目標:140mmHg vs 120mmHg 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.105(2024年6月27日号) 超加工食品の摂取で筋肉量が減少!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.104(2024年6月20日号) 中高年に最適な睡眠パターンは? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.103(2024年6月13日号) ハムストリングスをより効果的に鍛えるトレーニングは? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.102(2024年6月6日号) 骨粗鬆症予防には、コーヒー+紅茶を毎日〇杯? 他4本
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