「血液内科 Journal Check」の記事一覧

日本における早期抗CMV療法と慢性GVHDの発生率、ガンシクロビル vs. ホスカルネット
日本における早期抗CMV療法と慢性GVHDの発生率、ガンシクロビル vs. ホスカルネット
公開日:2024年11月27日 Miyao K, et al. Int J Hematol. 2024 Nov 14. [Epub ahead of print]  ガンシクロビルおよびホスカルネットは、代表的な抗サイトメガロウイルス(CMV)薬である。これまでの各地域の研究において、ホスカルネットの早期投与を行った患者では、慢性移植片対宿主病(GVHD)リスクが低いことが報告されている。愛知県・安城更生病院の宮尾 康太郎氏らは、この結果を確認するため、日本造血・免疫細胞療法学会GVHDワーキンググループ研究において、全国規模のレトロスペクティブ研究を実施し、その結果を報告した。International Journal of Hematology誌オンライン版2024年11月14日号の報告。  対象は、初回造血幹細胞移植(HSCT)時にホスカルネット(1,555例)またはガンシクロビル(7,335例)を投与した16歳以上の造血器悪性腫瘍患者8,890例。 主な結果は以下のとおり。 ・ガンシクロビル投与患者の方が、慢性GVHDおよび広範囲慢性GVHDのリスクが高かった。  【慢性GVHD】ハザード比(HR):1.26、95%信頼区間(CI):1.13〜1.40、p<0.001  【広範囲慢性GVHD】HR:1.16、95%CI:1.01〜1.33、p=0.033 ・女性ドナーからのHSCTを行った男性患者では、HSCTから3年後の広範囲慢性GVHDの発生率は、ホスカルネット投与患者(13%、95%CI:9〜16)の方がガンシクロビル投与患者(27%、95%CI:25〜29)よりも明らかに低かった(p<0.001)。 ・女性ドナーからのHSCTを行った男性患者では、ドナーソースの違いや急性GVHD歴の有無に関わらず、ホスカルネット投与患者は、ガンシクロビル投与患者よりも、広範囲慢性GVHDの発生率が有意に低かった。  著者らは「これらの結果は、ホスカルネットが同種免疫に影響を及ぼすことで、慢性GVHDの発生率を低下させている可能性を示唆している」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Miyao K, et al. Int J Hematol. 2024 Nov 14. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39543007 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
HSCT後の再発MDSに対しドナーリンパ球輸注を検討すべき患者像は
HSCT後の再発MDSに対しドナーリンパ球輸注を検討すべき患者像は
公開日:2024年11月26日 Marumo A, et al. Cytotherapy. 2024 Oct 17. [Epub ahead of print]  同種造血幹細胞移植(HSCT)は、骨髄異形成症候群(MDS)の臨床アウトカム改善に寄与するが、再発率は依然として高く、再発後の治療選択肢は限られている。日本医科大学の丸毛 淳史氏らは、HSCT後の再発MDS患者に対するドナーリンパ球輸注(DLI)へ治療反応を示す要因を特定するため、本研究を実施した。Cytotherapy誌オンライン版2024年10月17日号の報告。  2002〜22年に初回HSCTを行い、造血細胞移植登録一元プログラムに登録された再発またはDLI治療実施のMDS患者107例。単変量および多変量生存率解析には、ログランク検定、Cox比例ハザードモデルを用いた。全生存期間(OS)とDLIに対する反応率も分析した。 主な結果は以下のとおり。 ・1年OSは30.0%。 ・単変量解析では、予後不良因子として、58歳以上(p=0.030)、complex karyotype(CK: p=0.026)、血液学的再発(p=0.026)、早期再発(p=0.004)が特定された。 ・アザシチジンとDLIの併用により、予後改善が認められた(p<0.001)。 ・多変量解析でも、58歳以上、血液学的再発、早期再発が予後不良因子として特定された。 ・移植後110日未満で再発した58歳以上の患者における調整済みOSに関して、細胞遺伝学的/分子学的再発患者の1年OSは43.6%であったのに対し、血液学的再発患者では9.4%であった。 ・急性移植片対宿主病(GVHD)は62.3%、慢性GVHDは30.8%でみられたが、マネジメント可能であり、GVHDリスクの予後への影響は最小限であった。  著者らは「若年、細胞遺伝学的/分子学的再発、後期再発のHSCT後の再発MDS患者のOS改善に、DLIが寄与する可能性がある。HSCT後の再発MDSに対する治療オプションは限られているため、DLIを検討する必要性が示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Marumo A, et al. Cytotherapy. 2024 Oct 17. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39503682 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
自家HSCT後の再発・難治性CNSリンパ腫に対するCAR-T細胞療法の可能性は
自家HSCT後の再発・難治性CNSリンパ腫に対するCAR-T細胞療法の可能性は
公開日:2024年11月25日 Wu J, et al. Cancer Immunol Immunother. 2024; 74: 17.  自家造血幹細胞移植(HSCT)後のCAR-T細胞療法は、再発・難治性中枢神経系(CNS)リンパ腫に対する有望な治療戦略であることが報告されているものの、その症例数は限られている。中国・華中科技大学のJiaying Wu氏らは、2019〜24年4月に本施設で自家HSCT後にCAR-T細胞療法を行った再発。難治性CNSリンパ腫患者を対象に、レトロスペクティブコホート研究を実施した。Cancer Immunology Immunotherapy誌2024年11月11日号の報告。  対象患者数は再発・難治性CNSリンパ腫患者38例。連続変数の群間比較には、スチューデントt検定またはマン・ホイットニーU検定を用い、カテゴリ変数は、フィッシャー正確確率検定を用いて分析した。生存曲線の推定には、カプランマイヤー法を用い、群間比較には、ログランク検定を用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・最良全奏効(OR)率は78.9%。 ・サブグループ解析では、乳酸脱水素酵素(LDH)レベルが正常上限を超える患者においてOR率が低かった(60.0% vs. 91.3%、p=0.039)。 ・フォローアップ期間中央値は37.5ヵ月、1年推定全生存(OS)の割合は72.8%、1年推定無増悪生存期間(PFS)の割合は57.4%。 ・PFSに関連するリスク因子は、現在の治療に対する無効であった(調整ハザード比:22.87、p<0.001)。 ・重度のサイトカイン放出症候群(CRS)および免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)の発生率は、いずれも13.2%であった。 ・二次性CNSリンパ腫患者25例の最良OR率、CNS病変のみの患者で91.7%、CNS病変と全身病変を有する患者で61.5%であった(p=0.160)。また、1年推定PFSの割合は、それぞれ83.3%、38.5%であった(p=0.030)。  著者らは「自家HSCT後の再発・難治性CNSリンパ腫に対するCAR-T細胞療法は、有望な治療戦略である可能性が示唆された。さらに、CNS病変と全身病変を有する患者は、CNS病変のみの患者よりも、治療効果が劣ることも確認された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Wu J, et al. Cancer Immunol Immunother. 2024; 74: 17.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39527142 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
ダブルエクスプレッサーリンパ腫の第1選択治療、HDAC阻害剤+R-CHOP療法の有用性
ダブルエクスプレッサーリンパ腫の第1選択治療、HDAC阻害剤+R-CHOP療法の有用性
公開日:2024年11月22日 Chen X, et al. Ther Adv Hematol. 2024: 15: 20406207241292446.  アグレッシブB細胞リンパ腫のうち、免疫組織化学でMYC陽性かつBCL2陽性を有するダブルエクスプレッサーリンパ腫(DEL)は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の約20〜30%に認められる。しかし、DELに対する最も効果的な治療戦略は、いまだ明らかになっていない。中国・四川大学のXi Chen氏らは、DEL治療におけるR-CHOP療法と新規ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDAC阻害薬)との併用による有効性を評価するため、レトロスペクティブ研究を実施した。Therapeutic Advances in Hematology誌2024年10月28日号の報告。  対象は、DEL患者62例(2016年12月〜2020年12月)。すべての患者に対し、HDAC阻害薬+R-CHOP療法による第1選択治療を実施した。短期的な有効性、生存状況、副作用を調査し、予後因子の分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者の年齢中央値は53.9歳(範囲:19〜77)。 ・治療サイクル数は平均6サイクル(範囲:1〜8)、完全奏効(CR)率は79.0%、全奏効(OR)率は88.7%。 ・フォローアップ期間中央値は45.5ヵ月(範囲:1〜82)、無増悪生存期間(PFS)およびOS中央値は未達。 ・3年PFS率は71%(95%CI:61〜83)、3年OS率は87%(95%CI:79〜96)、5年PFS率は67%(95%CI:55〜80)、5年OS率は85%(95%CI:77〜95)。 ・PFSの独立した予測因子は、CRまたは部分奏効(PR)後の年齢および自家造血幹細胞移植であった。一方、OSアウトカムとの関連が認められた因子はなかった。 ・グレード3〜4の主な血液毒性は白血球減少(46.7%)、非血液毒性は感染症(21%)であった。  著者らは「未治療のDELに対するHDAC阻害薬+R-CHOP療法は、短期的な有効性および安全性が良好であり、生存アウトカムの改善にも有望であることが示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Chen X, et al. Ther Adv Hematol. 2024: 15: 20406207241292446.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39494243 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
同種HSCT後に再発した多発性骨髄腫、DLIや新規治療薬で長期病勢コントロールが可能に
同種HSCT後に再発した多発性骨髄腫、DLIや新規治療薬で長期病勢コントロールが可能に
公開日:2024年11月21日 Nozzoli C, et al. Transplant Cell Ther. 2024 Nov 4. [Epub ahead of print]  同種造血幹細胞移植(HSCT)は、多発性骨髄腫(MM)の一部の患者において、治療効果をもたらす。同種HSCT後に再発したMM患者では、長期生存を経験することがあり、これには同種HSCT後に用いられる治療薬とドナーT細胞との相乗効果が示唆されている。イタリア・カレッジ大学のChiara Nozzoli氏らは、同種HSCTを行ったMM患者のアウトカムをレトロスペクティブに評価した。Transplantation and Cellular Therapy誌オンライン版2024年11月4日号の報告。  対象は、Gruppo Italiano Trapianto Midollo Osseo e Terapia Cellulare(GITMO)ネットワークに登録された2009〜18年に同種HSCTを行ったMM患者242例。対象患者のアウトカムをレトロスペクティブに評価した。すべての患者における長期アウトカムおよび再発患者118例における再発後の全生存期間(OS)延長の予測因子を特定した。 主な結果は以下のとおり。 ・同種HSCT後のフォローアップ期間中央値は40.9ヵ月、すべての患者のOS中央値は39.4ヵ月、無増悪生存期間(PFS)中央値は19.0ヵ月。 ・非再発死亡率(NRM)の累積発生率は、1年で10.3%、5年で27.6%。 ・グレード2〜4の急性GVHDの累積発生率は19.8%、中等度〜重度の慢性GVHDの5年累積発生率は31.8%であった。 ・多変量モデルでは、OS不良と関連する重要な因子として、移植時年齢の高さ(p=0.020)、移植前治療歴が2ライン以上(p=0.003)、非血縁または半合致ドナーからの移植(p=0.025)が特定された。 ・同種HSCT後に再発した患者は118例(59%)、中央値は14.3ヵ月(IQR:7.2〜26.9)。 ・治療の内訳は、ステロイド、放射線療法、支持療法のみが20例(17%)、救援療法1ラインが41例(35%)、2ライン23例(19%)、3または4ライン34例(29%)。 ・救援療法の内訳は、化学療法のみが9例、免疫調整薬(IMiDs)を含む9例、プロテアソーム阻害薬を含む43例、モノクローナル抗体を含む37例(ダラツムマブ:33例、エロツズマブ:1例、イサツキシマブ:1例、belantamab:2例)。 ・再発患者のOS中央値は、移植後38.5ヵ月、再発後20.2ヵ月であった。 ・多変量解析では、再発後のOS延長に関連する因子として、移植後の再発までの期間の長さ(6〜24ヵ月:p=0.016、24ヵ月以上:p<0.001)、3ライン以上の救援療法(p<0.036)、ドナーリンパ球輸注(DLI:p=0.020)が特定された。  著者らは「初期段階およびHLA一致同胞ドナーから移植を受けた患者は、長期生存の可能性が最も高かった。同種HSCT後の再発期間、複数回の救援療法、DLIは、長期病勢コントロールの重要な因子である可能性が示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Nozzoli C, et al. Transplant Cell Ther. 2024 Nov 4. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39505212 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
FLT3-ITD変異陽性AMLの特徴と臨床アウトカム、同種HSCTの有効性を評価
FLT3-ITD変異陽性AMLの特徴と臨床アウトカム、同種HSCTの有効性を評価
公開日:2024年11月20日 Li H, et al. Clin Lab. 2024; 70.  FLT3遺伝子変異はAMLで最も多く認められる遺伝子変異であり傍膜貫通ドメインの一部に生じる縦列重複配列(ITD)変異を認めるFLT3-ITD変異陽性AMLは、予後不良因子である。中国のHong Li氏らは、FLT3-ITD変異陽性AMLの臨床的特徴、寛解率、再発率、臨床アウトカムを評価し、あわせて同種造血幹細胞移植(HSCT)およびソラフェニブの有効性の評価を行った。Clinical Laboratory誌2024年11月1日号の報告。  対象は、2018〜23年6月にレトロスペクティブに登録した、新たにFLT3-ITD変異陽性AMLと診断された患者55例。AML診断では、複数の融合遺伝子および遺伝子変異により特定した。生存曲線の算出には、カプランマイヤー法を用い、ログランク検定(Mantel-Cox)により評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・同種HSCTを行った患者は27例(49.1%)。 ・同種HSCTを行った患者は、行わなかった患者と比較し、フォローアップ期間の有意な延長が認められた(p<0.001)。 ・NPM1およびFLT3-ITDの両方に変異が認められた患者は18例(32.7%)。 ・ソラフェニブと化学療法併用による導入療法を行った患者は11例、化学療法単独を行った患者は44例。 ・移植を行った患者は、行わなかった患者と比較し、全生存(OS)率(p<0.001)、無再発生存(RFS)率(p=0.0017)が有意に良好であった。 ・ソラフェニブ+化学療法併用と化学療法単独との比較では、OS率とRFS率に有意な差は認められなかった(p>0.05)。 ・FLT3-ITD陽性AML患者は、NPM1変異の有無に関わらず、OS率、RFS率に有意な違いは認められなかった(p>0.05)。  著者らは「完全寛解後の同種HSCTは、FLT3-ITD陽性AML患者の臨床アウトカムを改善する可能性が示唆された」としたうえで「ソラフェニブ+化学療法併用と化学療法単独との間で、全奏効率と臨床アウトカムに違いが認められなかった」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Li H, et al. Clin Lab. 2024; 70.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39506591 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
女性から男性への同種HCTを成功させるポイントは
女性から男性への同種HCTを成功させるポイントは
公開日:2024年11月19日 Tamaki M, et al. Cytotherapy. 2024 Oct 5. [Epub ahead of print]  女性ドナーから男性レシピエントへの同種造血幹細胞移植(同種HCT)は、慢性移植片対宿主病(GVHD)や全生存率(OS)、非再発死亡(NRM)などのリスク因子である。女性から男性への同種HCTのアウトカム不良は、H-Y抗原に対する同種免疫によるものであると考えられる。しかし、ハプロ移植におけるマイナー組織適合性抗原の影響は、いまだ解明されていない。自治医科大学の玉置 雅治氏らは、女性から男性への同種HCTがハプロ移植のサブタイプにより影響を受けるかを明らかにするため、調査を行った。Cytotherapy誌オンライン版2024年10月5日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・移植後シクロホスファミド(PTCY)コホート660例では、性別の不一致は再発リスク低下と有意な関連が認められた(HR:0.70、95%CI:0.49〜0.99、p=0.045)。 ・OS(HR:0.89、95%CI:0.68〜1.16、p=0.40)やNRM(HR:0.98、95%CI:0.68〜1.14、p=0.90)との関連は認められなかった。 ・非PTCYコホート219例では、性別不一致は、OSおよびNRMの不良と関連が認められ、再発リスク低下との関連は認められなかった。  著者らは「ハプロ移植のサブタイプによる生存率への影響は、性別不一致の有無により異なることが示唆された」とし「女性から男性への同種HCTの課題を克服する上で、移植後シクロホスファミドは実行可能な方法であり、H-Y抗原に対するGVL効果を維持する可能性がある」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Tamaki M, et al. Cytotherapy. 2024 Oct 5. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39453336 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
高リスクAML治療に期待されるダウノルビシン・シタラビン配合剤〜第II相LAMVYX試験
高リスクAML治療に期待されるダウノルビシン・シタラビン配合剤〜第II相LAMVYX試験
公開日:2024年11月18日 Rodriguez-Arboli E, et al. Cancer. 2024 Oct 30. [Epub ahead of print]  スペイン・セビリア大学のEduardo Rodriguez-Arboli氏らは、二次性または高リスクの急性骨髄性白血病(AML)の高齢患者を対象にダウノルビシン・シタラビン配合剤(CPX-351)の有効性および安全性を検討した第II相臨床試験であるLAMVYX試験の結果を報告した。Cancer誌オンライン版2024年10月30日号の報告。  対象は、新たに二次性AMLと診断された60〜75歳の患者59例。適格患者には、初回地固め療法後に同種造血幹細胞移植(推奨)、または、CPX-351による最大6ヶ月間の維持療法を実施した。主要エンドポイントは、導入後の完全寛解(CR)/正常な血液学的回復が不完全な寛解(CRi)の割合とした。 主な結果は以下のとおり。 ・スクリーニング時の対象患者の平均年齢は68歳(範囲:60〜75)、同種造血幹細胞移植実施患者の平均年齢は64歳(範囲:60〜70)であったのに対し、維持療法を実施した患者の平均年齢は69歳(64〜73)であった。 ・1〜2サイクルでCR/CRiを達成した患者は、59例中29例(49%、95%CI:37〜62)であり、マルチパラメーターフローサイトメトリー(MFC)を用いて評価した測定可能残存病変(MRD)陰性化率は67%であった。 ・連続次世代シーケンス解析では、診断時に骨髄サンプルの変異が検出された20例中7例(35%)において、変異クリアランスが達成された。 ・生存者の平均フォローアップ期間は16.8ヵ月(範囲:8.7〜24.3)。 ・無イベント生存期間(EFS)中央値は3.0ヵ月(95%CI:1.4〜7.3)、全生存期間中央値は7.4ヵ月(95%CI:3.7〜12.7)。 ・診断100日後におけるランドマーク解析では、同種造血幹細胞移植実施患者の1年生存率は70%(95%CI:47〜100)、EFSは70%(95%CI:47〜100)。 ・維持療法を実施した患者の1年生存率は89%(95%CI:71〜100)、EFSは44%(95%CI:21〜92)。 ・重症度指数またはQOLのVASスコアに、有意な縦断的変化は認められなかった。  著者らは「本結果は、CPX-351に関するこれまでの結果を補完し、臨床的位置付けおよび最適な使用に役立つであろう」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Rodriguez-Arboli E, et al. Cancer. 2024 Oct 30. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39476204 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
進行期CHLに対するニボルマブ+AVD療法 vs. BV併用AVD療法/NEJM
進行期CHLに対するニボルマブ+AVD療法 vs. BV併用AVD療法/NEJM
公開日:2024年11月15日 Herrera AF, et al. N Engl J Med. 2024; 391: 1379-1389.  進行期古典的ホジキンリンパ腫(CHL)の治療にブレンツキシマブ ベドチン(BV)を組み入れることで成人および小児患者の臨床アウトカムは改善した。しかし、成人患者に対するBV使用は毒性リスクが懸念され、小児患者の約半数では、放射線療法による地固め療法が行われており、再発は依然として課題となっている。一方、PD-1阻害は、未治療患者を対象とした予備的研究を含め、ホジキンリンパ腫(HL)に有効であることが示唆されている。米国・City of Hope Comprehensive Cancer CenterのAlex F. Herrera氏らは、新たにステージIIIまたはIVと診断された12歳以上のHL患者を対象に、第III相多施設共同非盲検ランダム化試験を実施した。NEJM誌2024年10月17日号の報告。  対象は、新たにステージIIIまたはIVと診断された12歳以上のHL患者994例。対象患者は、ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン(AVD療法)にBVを併用したBV併用AVD療法群498例、AVD療法にニボルマブを併用したニボルマブ併用AVD療法群496例にランダムに割り付けた。事前に指定した患者には、残存する代謝活性病変に対し、放射線療法を行った。主要エンドポイントは、無増悪生存期間(PFS)とし、ランダム化から病勢進行またはすべての原因による死亡までの期間と定義した。 主な結果は以下のとおり。 ・有効性分析のためのITT集団には970例が含まれた。 ・計画された2回目の中間解析では、フォローアップ期間中央値12.1ヵ月(範囲:0〜38.6)で有効性の閾値を超え、ニボルマブ併用AVD療法群は、BV併用AVD療法群と比較し、PFSの有意な改善が認められた(病勢進行または死亡のハザード比:0.48、99%信頼区間[CI]:0.27〜0.87、p<0.001)。 ・フォローアップ期間が短かったため、PFS延長の持続性を評価するため、さらに1年間のフォローアップ調査を行った後、解析を繰り返し行なった。 ・フォローアップ期間中央値2.1年(範囲:0〜4.2)における2年PFSは、ニボルマブ併用AVD療法群92%(95%CI:89〜94)、BV併用AVD療法群83%(95%CI:79〜86)であった(病勢進行または死亡のハザード比:0.45、95%CI:0.30〜0.65)。 ・放射線療法を行った患者は、全体で7例。 ・ニボルマブ併用AVD療法群は、免疫関連毒性の発生率が低かった。 ・BV併用AVD療法群では治療中止が多かった。  著者らは「ニボルマブ併用AVD療法は、ステージIIIまたはIVの進行期CHLの青年および成人において、BV併用AVD療法よりもPFSがより長く、副作用プロファイルが良好である」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Herrera AF, et al. N Engl J Med. 2024; 391: 1379-1389.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39413375 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
AMLにおける心毒性、ベネトクラクス vs. アントラサイクリン
AMLにおける心毒性、ベネトクラクス vs. アントラサイクリン
公開日:2024年11月14日 Onoue T, et al. Cardiooncology. 2024; 10: 75.  アントラサイクリンが適応とならない急性骨髄性白血病(AML)患者に、ベネトクラクスは有望な薬剤である。しかし、ベネトクラクスは、ラットにおいて心筋に対し悪影響を及ぼすことが報告されている。米国・ペンシルバニア大学のTakeshi Onoue氏らは、ベネトクラクスで治療を行ったAML患者における心血管(CV)イベントの発生率を調査し、ベネトクラクスとアントラサイクリンのCVアウトカムの比較を行った。Cardio-oncology誌2024年11月1日号の報告。  対象は、2017〜2021年7月にAMLと診断され、ベネトクラクス(103例)またはアントラサイクリン(217例)で治療を行った患者。主要CVイベント(新規発症心不全、急性心筋梗塞、新規発症心房細動を含む)を調査した。ベネトクラクス群とアントラサイクリン群を比較するため、傾向スコア法を用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・ベネトクラクス群は、アントラサイクリン群と比較し、より高齢で、脂質異常症の割合が高かった。 ・ベネトクラクス群のうち、心エコー検査を受けた患者の割合は63%にとどまった(アントラサイクリン群では93%、p<0.001)。 ・主要CVイベントは、ベネトクラクス群18例(17%)、アントラサイクリン群27例(12%)で認められ、両群ともに新規発症心不全が10%で発生した。 ・主要CVイベント発生までの平均期間は8日(四分位範囲:5〜98)。 ・マッチしたコホート(患者数:132例)では、1年後の主要CVイベントの累積発生率に有意な差は認められなかった(ベネトクラクス群:17.5%、アントラサイクリン群:9.2%、p=0.27)。  著者らは「ベネトクラクスの主要CVイベントの発生率は、アントラサイクリンと同様であった。ベネトクラクス治療患者では、治療の早期段階でCVモニタリングを注意深く行うことが、リスクマネジメントに役立つ可能性がある」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Onoue T, et al. Cardiooncology. 2024; 10: 75.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39487530 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性の成熟T/NK細胞リンパ腫の臨床アウトカムと予後〜PETALコンソーシアム/Blood Adv
再発・難治性の成熟T/NK細胞リンパ腫の臨床アウトカムと予後〜PETALコンソーシアム/Blood Adv
公開日:2024年11月13日 Han JX, et al. Blood Adv. 2024 Oct 31. [Epub ahead of print]  再発・難治性の成熟T細胞/NK細胞リンパ腫(MTCL/MNKCL)に対する現在の治療によるメリットを理解することは、薬剤や治療法が世界でばらついているため困難である。米国・マサチューセッツ工科大学のJessy Xinyi Han氏らは、再発・難治性MTCL/MNKCL患者925例を対象に、国際的なレトロスペクティブコホート研究を実施した。Blood Advances誌オンライン版2024年10月31日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・非特定型末梢性T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、ALK陰性未分化大細胞リンパ腫(ALK陰性ALCL)では、再発患者は、難治性患者と比較し、2次治療から全生存期間(OS)中央値が優れていた。 ・再発・難治性リンパ腫のOSの独立した予測因子として、60歳超、治療抵抗性疾患、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)以外の組織学的サブタイプ、リンパ節外部位1つ超、Ki67 40%以上、リンパ球絶対数正常限界値未満などが挙げられた。 ・これらを組み込んだ多変量モデルにより、再発・難治性T細胞リンパ腫の予後指標を形成した。予後指標は、低リスク群(リスク因子:0〜1)、中リスク群(リスク因子:2〜3)、高リスク群(リスク因子:4以上)に分類された。 ・各リスク群における3年OSは、低リスク群57.14%(95%CI:17.1〜83.7)、中リスク群23.30%(95%CI:8.7〜41.9)、高リスク群7.00%(95%CI:0.4〜26.9)であった。 ・2次治療では、新規単剤療法(35%)または細胞障害性化学療法(60%)のいずれかが行われた。 ・全体では、新規単剤療法は、細胞障害性化学療法よりも無増悪生存期間(PFS)が良好で、AITLおよびALK陰性ALCLでは、3年OSが良好であった。 ・AITLにおいて低分子阻害薬単剤療法は、細胞障害性化学療法よりもOSが良好であることが示唆された。  著者らは「本結果は、再発・難治性MTCL/MNKCLに対する新薬の有効性および新たな予後予測モデルの可能性を示唆している」とまとめている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Han JX, et al. Blood Adv. 2024 Oct 31. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39481087 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
移植適応のない多発性骨髄腫の1stライン、DLd療法 vs. BLd療法
移植適応のない多発性骨髄腫の1stライン、DLd療法 vs. BLd療法
公開日:2024年11月12日 Hansen DK, et al. Cancer Med. 2024; 13: e70308.  未治療で移植適応のない多発性骨髄腫(MM)に対して、ダラツムマブ+レナリドミド+デキサメタゾン(DLd療法)が推奨されている。しかし、DLd療法とボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(BLd療法)のランダム化直接比較試験は、これまで行われていない。米国H. Lee Moffitt Cancer CenterのDoris K. Hansen氏らは、DLd療法とBLd療法における次回治療までの期間(TTNT)または死亡リスクの比較を行った。Cancer Medicine誌2024年11月号の報告。  1stラインでDLd療法またはBLd療法を行った新規MM患者を、Acentrusデータベース(2018年1月〜2023年5月)より特定した。造血幹細胞移植歴のある患者または65歳未満の患者は、移植適応のない集団の分析を限定するため、除外した。逆確率重み付け法(IPTW)を用いて、ベースラインの患者特性を調整した。両群間のTTNTまたは死亡リスクを比較するため、doubly robust Cox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・DLd療法群149例、BLd療法群494例。 ・重み付け後(weighted NDLd:302例、weighted NBLd:341例)、両群とも同様のベースライン特性を示した。 ・このうち、その後の治療を受けるまたは死亡した患者の割合は、DLd療法群32.4%(98例)、BLd療法群51.2%(175例)であり、TTNIまたは死亡の中央値は、DLd療法群で37.8ヵ月、BLd療法群で18.7ヵ月であった(ハザード比:0.58、95%CI:0.35〜0.81、p<0.001)。  著者らは「未治療で移植適応のないMM患者に対するDLd療法は、BLd療法と比較し、TTNTまたは死亡リスクが42%低下することから、移植適応のない新規MM患者に対する1stラインとして、DLd療法がより有効であることが裏付けられた」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Hansen DK, et al. Cancer Med. 2024; 13: e70308.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39486091 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら