ライブラリー 日本における早期抗CMV療法と慢性GVHDの発生率、ガンシクロビル vs. ホスカルネット
公開日:2024年11月27日
Miyao K, et al. Int J Hematol. 2024 Nov 14. [Epub ahead of print]
ガンシクロビルおよびホスカルネットは、代表的な抗サイトメガロウイルス(CMV)薬である。これまでの各地域の研究において、ホスカルネットの早期投与を行った患者では、慢性移植片対宿主病(GVHD)リスクが低いことが報告されている。愛知県・安城更生病院の宮尾 康太郎氏らは、この結果を確認するため、日本造血・免疫細胞療法学会GVHDワーキンググループ研究において、全国規模のレトロスペクティブ研究を実施し、その結果を報告した。International Journal of Hematology誌オンライン版2024年11月14日号の報告。
対象は、初回造血幹細胞移植(HSCT)時にホスカルネット(1,555例)またはガンシクロビル(7,335例)を投与した16歳以上の造血器悪性腫瘍患者8,890例。
主な結果は以下のとおり。
・ガンシクロビル投与患者の方が、慢性GVHDおよび広範囲慢性GVHDのリスクが高かった。
【慢性GVHD】ハザード比(HR):1.26、95%信頼区間(CI):1.13〜1.40、p<0.001
【広範囲慢性GVHD】HR:1.16、95%CI:1.01〜1.33、p=0.033
・女性ドナーからのHSCTを行った男性患者では、HSCTから3年後の広範囲慢性GVHDの発生率は、ホスカルネット投与患者(13%、95%CI:9〜16)の方がガンシクロビル投与患者(27%、95%CI:25〜29)よりも明らかに低かった(p<0.001)。
・女性ドナーからのHSCTを行った男性患者では、ドナーソースの違いや急性GVHD歴の有無に関わらず、ホスカルネット投与患者は、ガンシクロビル投与患者よりも、広範囲慢性GVHDの発生率が有意に低かった。
著者らは「これらの結果は、ホスカルネットが同種免疫に影響を及ぼすことで、慢性GVHDの発生率を低下させている可能性を示唆している」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)
原著論文はこちら
Miyao K, et al. Int J Hematol. 2024 Nov 14. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39543007
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