「血液内科 Journal Check」の記事一覧

自家HSCTにおける造血幹細胞動員の失敗とその要因は?
自家HSCTにおける造血幹細胞動員の失敗とその要因は?
公開日:2025年3月17日 Hidayat I, et al. J Coll Physicians Surg Pak. 2025; 35: 367-371.  パキスタン・The Armed Forces Bone Marrow Transplant CentreのIrsa Hidayat氏らは、造血幹細胞動員失敗リスクを有する患者を特定し、代替治療を迅速に検討するため、この地域における造血幹細胞動員の失敗率およびその関連因子を調査した。JCPSP誌2025年3月号の報告。  2014年1月〜2023年7月にパキスタン・The Armed Forces Bone Marrow Transplant Centreの臨床血液学科にて、記述的研究を実施した。自家造血幹細胞移植(auto-HSCT)の予定があり、造血幹細胞動員を行なった115例を対象に、カルテを分析した。造血幹細胞の動員が不十分なpoor mobilizer患者は、CD34陽性細胞数2.0×106 /kg超のPBSC採取が未達の患者または目標達成のためにシクロホスファミド・G-CSF投与後、プレリキサホル追加投与を必要とした患者と定義した。 主な結果は以下のとおり。 ・造血幹細胞動員レジメンの内訳は、シクロホスファミド+G-CSFが85例(74%)、G-CSF+プレリキサホルが28例(24%)、G-CSFのみが2例(2%)。 ・初回造血幹細胞動員レジメン後、CD34陽性細胞数2.0×106 /kg超のPBSC採取を達成した患者の割合は84%であった。 ・造血幹細胞動員の失敗率は16%。 ・造血幹細胞採取の成功と有意な相関が認められた因子は、年齢、悪性リンパ腫タイプとその移植適応、化学療法治療歴、骨髄毒性を有する薬剤の使用、定常状態におけるCD34陽性細胞数、プレリキサホルの使用であった。 ・多変量解析では、プレリキサホルの使用のみが造血幹細胞動員の成功と関連していた。  著者らは「とくに重度の治療歴を有する悪性リンパ腫患者では、プレリキサホルの使用により造血幹細胞動員の成功率を有意に向上させ、造血幹細胞動員レジメンによるPBSC採取量および費用対効果を有意に改善することが示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Hidayat I, et al. J Coll Physicians Surg Pak. 2025; 35: 367-371.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/40055174 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
日本におけるVEN+AZAによるAML治療、好中球減少に焦点を当てた解析結果〜VENUS試験中間解析
日本におけるVEN+AZAによるAML治療、好中球減少に焦点を当てた解析結果〜VENUS試験中間解析
公開日:2025年3月14日 Goto T, et al. Oncol Ther. 2025 Mar 7. [Epub ahead of print]  初発の急性骨髄性白血病(AML)に対するベネトクラクス(VEN)治療は、臨床的なベネフィットが示されているが、著しい好中球減少の懸念が残っている。治療コース全体に渡る好中球数の経時的な変化に関する実臨床データは依然として限られている。日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院の後藤 辰徳氏らは、日本のリアルワールドにおけるVENとアザシチジン(AZA)を投与されたAML患者の好中球減少のマネジメントを検討したVENUS研究の中間解析結果を報告した。Oncology and Therapy誌オンライン版2025年3月7日号の報告。  VEBUS研究は、10施設が参加した多施設レトロスペクティブ観察研究として実施した。対象は、VEN治療を行った強化化学療法非適応の初発AML成人患者。1コース以上のVEN治療を行った患者について、治療パターン、G-CSFの投与、抗真菌薬の予防投与、好中球数の経時的な変化を分析した。 主な結果は以下のとおり。 ・VENは、1コース目で平均27.0日間投与され、2コース目以降で平均21.0日間(範囲:14.0〜22.0)投与されていた。各コース終了時の投与量保留の平均期間は、8.5〜15.0日であった。 ・VEN+AZA治療の平均コース数は、G-CSFを投与されていた患者81例では6.0コース、G-CSFを投与されていなかった患者39例では3.0コースであった。 ・1コース目では、8〜28日目にかけて好中球数中央値が500/μl未満に減少していたが、29〜35日目までに500/μl超に回復していた。 ・その後、10コース目までのすべてのコースにおいて、22〜28日目にかけて好中球数中央値は最低値に達した。 ・一部のコースでは、好中球数が500/μl未満に減少していたが、翌週までに500/μl超に改善が認められた。 ・これには、VENの投与スケジュールの変更およびG-CSFの投与により、2コース目以降ほとんどの患者で感染レベルが上昇しない程度の好中球レベルを維持していた。 ・抗真菌薬の予防投与を行なっていた患者は88例(73.3%)であり、リスクに基づく抗真菌薬の予防投与が考慮されるべきであると考えられる。  著者らは「本リアルワールド分析により、VEN+AZA投与を行なっている初発AML患者におけるVEN投与スケジュールの変更やG-CSFの投与による好中球数の回復タイミングが明らかとなった。また、高リスク患者に対する抗真菌薬予防の投与タイミングに関する現状も明らかとなった」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Goto T, et al. Oncol Ther. 2025 Mar 7. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/40055300 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
高齢同胞ドナーvs.若年HLA適合非血縁ドナー、PTCy同種HSCTで優先すべきは/Blood Adv
高齢同胞ドナーvs.若年HLA適合非血縁ドナー、PTCy同種HSCTで優先すべきは/Blood Adv
公開日:2025年3月13日 Nath K, et al. Blood Adv. 2025 Mar 6. [Epub ahead of print]  移植後のシクロホスファミド(PTCy)ベースの移植片対宿主病(GVHD)予防を行う場合、同種造血幹細胞移植(HSCT)ではHLA適合よりも若年ドナーを優先すべきかは、不明であった。オーストラリア・Icon Cancer CentreのKarthik Nath氏らは、50歳以上の適合同胞ドナー(MSD)または35歳以下の若年代替ドナーから移植を行った場合のPTCyベースの同種HSCTレシピエントにおける臨床アウトカムを比較した。Blood Advances誌オンライン版2025年3月6日号の報告。  データは、2014〜21年に国際血液骨髄移植研究センターに報告されたHLA適合非血縁ドナー(MUD)、HLA不適合非血縁ドナー(MMUD)、ハプロ血縁ドナーのデータを用いた。カルシニューリン阻害薬(CNI)ベースの同種HSCTについても、研究基準を満たした場合には、同時に評価した。主要エンドポイントは、全生存率(OS)とした。 主な結果は以下のとおり。 ・移植レシピエント1万4,662例のうち、PTCyベースのGVHD予防例が3,746例、CNIベースのGVHD予防例が1万916例であった。 ・フォローアップ期間中央値は47ヵ月。 ・PTCyベースの同種HSCTレシピエントにおける調整後の5年OSは、MSDで44%、MUDで52%(多変量ハザード比[HR]:1.20、95%CI:1.03〜1.41、p=0.09)、ハプロ移植で45%(HR:1.02、95%CI:0.88〜1.18、p=1.00)、MMUDで46%(HR:1.00、95%CI:0.83〜1.21、p=1.00)であり、有意な差は認められなかった。 ・MSDと比較し、若年MUDから移植を受けたレシピエントは、PTCy(HR:1.21、95%CI:1.05〜1.40、p=0.048)、CNI(HR:1.09、95%CI:1.04〜1.15、p<0.01)のいずれの予防においても無病生存期間(DFS)の改善との関連が認められた。 ・ハプロ移植を受けたレシピエントは、MSDと同様のOSとの関連が認められたが、PTCyのMUDから移植を受けたレシピエントと比較するとOS不良であった(HR:1.18、95%CI:1.05〜1.33、p=0.04)。  著者らは「これらの結果は、高齢レシピエントの場合、高齢MSDは若年代替ドナーと比較し、同様のOSが期待できることを示唆している。若年MUDが利用可能な場合には、DFSの改善が患者に有益な結果をもたらす可能性がある」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Nath K, et al. Blood Adv. 2025 Mar 6. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/40048743 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
3rdライン以降のFL治療、CAR-T細胞療法と二重特異性抗体のどちらを選択すべきか
3rdライン以降のFL治療、CAR-T細胞療法と二重特異性抗体のどちらを選択すべきか
公開日:2025年3月12日 Nastoupi LJ, et al. Exp Hematol Oncol. 2025; 14: 30.  再発・難治性濾胞性リンパ腫(FL)の治療環境は、抗CD19 CAR-T細胞療法であるリソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel)や抗CD20/CD3二重特異性モノクローナル抗体であるモスネツズマブなどの登場により、大きく変化した。liso-csiおよびモスネツズマブは、再発・難治性FLに対する3次治療以降において、良好なベネフィット・リスクプロファイルを示し、承認された薬剤であるが、両剤を比較したプロスペクティブランダム化研究はこれまで行われていなかった。米国・CommonSpirit MercyのLoretta J. Nastoupil氏らは、再発・難治性FLに対する3次治療以降におけるliso-celとモスネツズマブの有効性および安全性を評価するためunanchored matching-adjusted indirect comparison(MAIC)による間接比較を実施した。Experimental Hematology & Oncology誌2025年3月5日号の報告。  liso-celのTRANSCEND FL試験とモスネツズマブのGO29781試験の相対的な治療効果を推定するため、unanchored MAICを実施した。有効性エンドポイントは、客観的奏効率(ORR)、完全奏効率(CR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)とした。安全性エンドポイントは、サイトカイン放出症候群(CRS)、神経学的イベント(NE)、重篤な感染症、CRSに対するコルチコステロイドまたはトシリズマブの使用とした。有効性比較ではTRANSCEND FL試験の白血球アフェレーシスセット114例、安全性比較では治療セット107例、有効性の感度分析では治療有効性セット101例を用いて比較を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・有効性に関しては、調整後、liso-celはモスネツズマブと比較し、ORR、CRが高く、DOR、PFSの改善が確認された。 【ORR】オッズ比(OR):3.78、95%信頼区間(CI):1.48〜9.67 【CR】OR:6.46、95%CI:2.85〜14.65 【DOR】ハザード比(HR):0.45、95%CI:0.26〜0.77 【PFS】HR:0.28、95%CI:0.16〜0.49 ・感度分析全体で、結果に一貫性が認められた。 ・安全性に関しては、liso-celは、grade3以上のCRS発生率、grade3〜4の重篤な感染症発生率、CRSに対するコルチコステロイドの使用率が低かった。一方、全てのgradeのCRS、NEの発生率、トシリズマブの使用率が高かった。 【grade3以上のCRS発生率】OR:0.45、95%CI:0.04〜5.13 【grade3〜4の重篤な感染症発生率】OR:0.35、95%CI:0.12〜1.03 【CRSに対するコルチコステロイドの使用率】OR:0.14、95%CI:0.03〜0.65 【すべてのgradeのCRS発生率】OR:1.86、95%CI:1.01〜3.43 【すべてのgradeのNE発生率】OR:2.16、95%CI:0.72〜6.44 【CRSに対するトシリズマブの使用率】OR:2.27、95%CI:0.86〜5.99  著者らは「再発・難治性FLに対する3次治療以降の治療として、liso-celはモスネツズマブよりもベネフィット・リスクプロファイルに優れている可能性が示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Nastoupi LJ, et al. Exp Hematol Oncol. 2025; 14: 30.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/40045329 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
80歳以上のDLBCL患者でもCAR-T細胞療法は検討する価値があるのか?
80歳以上のDLBCL患者でもCAR-T細胞療法は検討する価値があるのか?
公開日:2025年3月11日 Kharfan-Dabaja MA, et al. Bone Marrow Transplant. 2025 Mar 1. [Epub ahead of print]  CAR-T細胞療法の臨床試験では、高齢者の悪性リンパ腫患者に対する検討は、十分に行われていない。米国・メイヨークリニックのMohamed A. Kharfan-Dabaja氏らは、80歳以上の悪性リンパ腫患者に対する標準的なCAR-T細胞療法の安全性および有効性を評価するため、多施設共同観察研究を実施し、その結果を報告した。Bone Marrow Transplantation誌オンライン版2025年3月1日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者数は88例、年齢中央値は82歳(範囲:80〜89)。 ・最も多かった組織学的所見は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)であった(60例、68.2%)。 ・主に、アキシカブタゲン シロルユーセル(axi-cel:41例、46.6%)、リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel:25例、28.4%)が使用された。 ・サイトカイン放出症候群(CRS)は68例(77.3%)、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)は51例(58%)で発生した。 ・grade3〜4のCRS発生率は7.4%、ICANS発生率は31.4%。 ・DLBCL/形質転換した濾胞性リンパ腫(tFL)では、1年非再発死亡率(NRM)が11.6%、再発率が40.8%、無増悪生存率(PFS)が47.6%、全生存率(OS)が61.2%であった。  著者らは「CAR-T細胞療法は、80歳以上のB細胞リンパ腫患者に実行可能かつ効果的な治療選択肢である」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kharfan-Dabaja MA, et al. Bone Marrow Transplant. 2025 Mar 1. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/40025178 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
DLd療法の5年超長期アウトカム結果、移植非適応MMの1stラインで間違いないのか〜MAIA試験長期フォローアップ結果
DLd療法の5年超長期アウトカム結果、移植非適応MMの1stラインで間違いないのか〜MAIA試験長期フォローアップ結果
公開日:2025年3月10日 Facon T, et al. Leukemia. 2025 Feb 27. [Epub ahead of print]  MAIA試験において、未治療で移植適応のない多発性骨髄腫(MM)患者に対するダラツムマブ+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法(DLd療法)は、Ld療法と比較し、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の改善に寄与することが報告された。フランス・リール大学のThierry Facon氏らは、MAIA試験の長期フォローアップ結果を分析し、最新の有効性および安全性データを報告した。Leukemia誌オンライン版2025年2月27日号の報告。  対象は、未治療で移植適応のないMM患者737例。DLd療法群またはLd療法群に1:1でランダムに割り付けられた。フォローアップ期間中央値は64.5ヵ月。分析には、患者の年齢別(70歳未満、70〜74歳、75歳以上、80歳以上)のサブグループ解析を含めた。 主な結果は以下のとおり。 ・主要エンドポイントであるPFSは、DLd療法群の方がLd療法群よりも良好であった(PFS中央値:61.9ヵ月vs.34.4ヵ月、ハザード比[HR]:0.55、95%信頼区間[CI]:0.45〜0.67、p<0.0001)。 ・OS中央値は、DLd療法群では未達、Ld療法群は65.5ヵ月であり(HR:0.66、95%CI:0.53〜0.83、p=0.0003)、60ヵ月推定OSはDLd療法群で66.6%、Ld療法群で53.6%であった。 ・DLd療法群は、Ld療法群と比較し、完全奏効(CR)以上の割合(51.1%vs.30.1%)、微小残存病変(MRD)陰性化率(32.1%vs.11.1%)、18ヵ月以上のMRD陰性の持続率(16.8%vs.3.3%)が有意に良好であった(各々、p<0.0001)。 ・年齢層全体において、DLd療法の臨床的に意味のある有効性のベネフィットが示された。 ・新たな安全性の懸念は認められなかった。  著者らは「5年超の長期フォローアップ結果より、DLd療法は、未治療で移植適応のないMM患者に対する1stライン治療として、引き続き支持される治療選択肢である」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Facon T, et al. Leukemia. 2025 Feb 27. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/40016302 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
AMLの遺伝子変異リスクによるVEN+AZA併用療法の予後の違いを実臨床で確認
AMLの遺伝子変異リスクによるVEN+AZA併用療法の予後の違いを実臨床で確認
公開日:2025年3月7日 Brandwein J, et al. Clin Lymphoma Myeloma Leuk. 2025 Feb 1. [Epub ahead of print]  ベネトクラクス(VEN)とアザシチジン(AZA)の併用は、unfit高齢者AMLに対する標準治療として推奨されている。カナダ・アルバータ大学のJoseph Brandwein氏らは、リアルワールドにおける初発unfit AML患者に対するVEN+AZA併用療法の治療アウトカムを分析した。Clinical Lymphoma, Myeloma & Leukemia誌オンライン版2025年2月1日号の報告。  2020〜24年、単一施設において未治療のunfit AMLに対しVEN+AZA併用療法を行った患者を対象に、治療アウトカムの分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・全奏効率(OR)は66%(105例中69例)。IDH1/2変異患者で最も高く(82%)、TP53変異患者で最も低かった(40%)。 ・全生存期間(OS)中央値は9.6ヵ月、完全寛解(CR)およびまたは正常な血球回復が不完全な寛解(CRi)を達成した患者では16.3ヵ月であった。 ・CR達成患者とCRi達成患者でOSに有意な差は認められなかった(p=0.077)。 ・2022年以降に治療された患者は、それ以前に治療された患者よりも早期死亡率が低く(8%vs.22%、p=0.096)、OSが良好であった(中央値:10.4ヵ月vs.5.8ヵ月、p=0.033)。 ・年齢別または脱メチル化薬治療歴の有無でOSに違いは認められなかった。 ・FLT3-ITD/RAS(OS:8.1ヵ月)またはTP53変異患者(OS:1.7ヵ月)は、他の患者(OS:16ヵ月)と比較し、OSが不良であった。 ・多変量解析では、CR/CRi達成はOS改善と関連しており(p<0.001)、FLT3-ITS/RAS/TP53変異はOS不良との関連が認められた(p=0.003)。一方、ELN2022リスクとOSとの関連は認められなかった。 ・CR/CRi達成患者の無病生存期間(DFS)中央値は、FLT3-ITS/RAS変異で7.1ヵ月、TP53変異で4.9ヵ月、その他の変異で21ヵ月であった(p=0.003)。  著者らは「リアルワールドデータの解析により、VEN+AZA併用療法における変異リスク分類と予後との関連が明らかとなった。本試験では、以前のVIALE-A試験で報告されたOSよりも劣っていたものの、時間経過とともに改善が認められた」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Brandwein J, et al. Clin Lymphoma Myeloma Leuk. 2025 Feb 1. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/40023757 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
3年間のMRD陰性達成後、LEN維持療法は中止可能か/Blood
3年間のMRD陰性達成後、LEN維持療法は中止可能か/Blood
公開日:2025年3月6日 Terpos E, et al. Blood. 2025 Feb 26. [Epub ahead of print]  多発性骨髄腫(MM)患者に対する自家造血幹細胞移植後のレナリドミド(LEN)維持療法の中止は、とくに微小残存病変(MRD)が疾患の奏効基準に含まれて以来、差し迫った重要な課題となっている。ギリシャ・アテネ国立カポディストリアン大学のEvangelos Terpos氏らは、骨髄および画像でMRD陰性を3年間達成した後、LEN維持療法を中止したMM患者における予後を評価するため、プロスペクティブ研究を実施した。Blood誌オンライン版2025年2月26日号の報告。  対象は、骨髄および画像でのMRD陰性を3年間達成した後、LEN維持療法を中止したMM患者52例。MRD陽性転換率、無治療生存率(TFS)、無増悪生存率(PFS)の評価を行った。LEN中止後にMRD陽性となった患者では、同用量でLEN維持療法を再開した。 主な結果は以下のとおり。 ・LEN中止からのフォローアップ期間中央値は3年。 ・MRD陽性となりLEN維持療法を再開した患者は12例(23%)。 ・病勢進行は4例(7.6%)のみであり、診断からの7年PFSは90.2%であった。 ・1年TFSは93.9%、2年TFSは91.6%、3年TFSは75.8%であったが、LEN維持療法中止(試験開始)からのランドマークPFSは、1年で96.0%、2年で96.0%、3年で92.9%であった。 ・年齢、性別、R2-ISS、導入療法の種類、地固め療法の使用とPFSおよびTFSの有効性アウトカムとの間に、統計学的に有意な関連は認められなかった。  著者らは「骨髄および画像でのMRD陰性を3年間達成したMM患者におけるLEN維持療法の中止は、MRD転換および病勢進行の低下と関連していることが示唆された。これは、現在のMM治療は、一部の患者において完全寛解中に未治療にすることができる可能性を示している」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Terpos E, et al. Blood. 2025 Feb 26. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/40009496 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
AMLの寛解導入療法、VEN+IDR併用FLAG療法は初発・再発いずれにも有効
AMLの寛解導入療法、VEN+IDR併用FLAG療法は初発・再発いずれにも有効
公開日:2025年3月5日 DiNardo CD, et al. Leukemia. 2025 Feb 25. [Epub ahead of print]  初発急性骨髄性白血病(AML)に対する標準療法は、強力化学療法であるが、再発リスクは依然として高いままである。さらに、再発・難治性AMLでは、その多くが予後不良である。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのCourtney D. DiNardo氏らは、ベネトクラクス(VEN)+イダルビシン(IDR)とFLAG療法の併用で治療を行ったAML患者138例の長期的な経験を報告した。Leukemia誌オンライン版2025年2月25日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者138例中、初発AMLは77例、再発・難治性AMLは61例。 ・初発AMLでは、全奏効率(OR)は97%、複合完全寛解率(CRc)は95%、フローサイトメトリーを用いた測定可能病変(MRD)陰性であった割合は90%であった。 ・3年全生存率(OS)は66%、3年無イベント生存率(EFS)は64%。 ・ELN(2022)によるAMLリスク群全体で、同様の結果であった。 ・導入療法による寛解(CR1)後、同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)に移行した患者の割合は64%。 ・再発・難治性AMLでは、ORは67%、CRcは41%、MRD陰性は74%であり、allo-HSCTに移行した患者は57%であった。 ・Wild-type TP53の初回サルベージの再発・難治性AMLでは、とくに良好なアウトカムが示され、ORは79%、CRcは74%、MRD陰性は76%、3年OSは51%であった。 ・感染症および血液学的有害事象は一般的に認められ、30日および60日の死亡率は、他の強力化学療法レジメンと同様に低かった。  著者らは「VEN+IDR+FLAG療法は、初発および再発・難治性のAMLのいずれにおいても有効な寛解導入療法であることが示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら DiNardo CD, et al. Leukemia. 2025 Feb 25. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/40000842 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
CD5陽性DLBCLのCNS再発予防に対するDA-EPOCH-R/HD-MTX
CD5陽性DLBCLのCNS再発予防に対するDA-EPOCH-R/HD-MTX
公開日:2025年3月4日 Nato Y, et al. Hematol Oncol. 2025; 43: e70047.  CD5陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、予後不良であり、中枢神経系(CNS)再発頻度の高い特徴を有する疾患である。DA-EPOCH-R療法と大量メトトレキサート(HD-MTX)によるサンドイッチ療法は、stage II〜IVのCD5陽性DLBCL患者を対象とした第II相試験において、優れた有効性とマネジメント可能な安全性を示した。三重大学の名藤 佑真氏らは、この試験結果を検証し、CD5陽性DLBCL患者の現在の治療状況を明らかにするため、レトロスペクティブに分析を行った。Hematological Oncology誌2025年3月号の報告。  対象は、2016〜21年に診断されたリツキシマブを含むアントラサイクリン系化学療法による治療を行ったCD5陽性DLBCL患者。臨床アウトカムをレトロスペクティブに分析した。 主な結果は以下のとおり。 ・評価対象患者346例中、DA-EPOCH-R/HD-MTX療法を行った患者は62例(18%)。 ・フォローアップ期間中央値は43ヵ月。 ・DA-EPOCH-R/HD-MTX療法を行ったstage II〜IVの患者(55例)では、2年全生存率(OS)が87%(95%CI:73〜94)、無増悪生存率(PFS)が76%(95%CI:61〜86)、CNS再発の累積発生率が7.3%(95%CI:2.4〜16.0)であった。 ・治療関連死亡は認められなかった。 ・発熱性好中球減少は、18例(33%)で発生した。 ・346例を対象とした多変量解析では、OSの独立したリスク因子として、LDH上昇、複数のリンパ節外病変、髄腔内MTX投与なし、DA-EPOCH-R/HD-MTX療法なしが特定された。 ・HD-MTXと髄腔内MTXの療法を行った患者28例中、CNS再発が認められた患者は1例のみであった。  著者らは「DA-EPOCH-R/HD-MTX療法の良好な生存率およびマネジメント可能な毒性が、実臨床の現場において確認された。CD5陽性DLBCL患者のCNS再発予防に対して、HD-MTXおよび髄腔内MTXが有効である可能性が示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Nato Y, et al. Hematol Oncol. 2025; 43: e70047.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39937961 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
高リスク造血器悪性腫瘍における同種移植後CsA急速減量は行うべきではないのか
高リスク造血器悪性腫瘍における同種移植後CsA急速減量は行うべきではないのか
公開日:2025年3月3日 Gomyo A, et al. Int J Hematol. 2025 Feb 6. [Epub ahead of print]  同種造血幹細胞移植(HSCT)後にシクロスポリン(CsA)を急激に減量すると、強いGVL効果を引き起こす可能性がある。自治医科大学附属さいたま医療センターの後明 晃由美氏らは、自施設で初めて同種HSCTを行った高リスク造血器悪性腫瘍患者におけるCsAの減量と臨床アウトカムとの関連を評価するため、レトロスペクティブに検討した。International Journal of Hematology誌オンライン版2025年2月6日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・血中CsA濃度は、300ng/ml前後で維持されていた。 ・移植片対宿主病(GVHD)のないまたは限定的な患者に対するCsA減量の計画スケジュールは、血縁ドナーの場合は30日目から、非血縁者ドナーの場合は50日目から1週間当たり10%ずつ減量した。 ・CsA減量を開始した患者36例は、減量開始のタイミングに基づき、スケジュール遵守群と遅延群の2つに分類した。 ・grade2〜4の急性GVHDの累積発生率は、遵守群で33.8%、遅延群で39.4%であった(p=0.746)。 ・遵守群は、遅延群と比較し、非再発による死亡率に有意な差は認められなかったが、再発率が高くなる傾向が認められ、その結果として1年全生存率(OS)および1年無病生存率(DFS)の有意な悪化が認められた。 【1年OS】55.6%vs.72.2%(p=0.025) 【1年DFS】38.9%vs.66.7%(p=0.059)  著者らは「高リスク造血器悪性腫瘍患者におけるHSCT後の早期CsA減量は、効果的ではない可能性が示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Gomyo A, et al. Int J Hematol. 2025 Feb 6. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39912986 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
HDAC阻害薬ツシジノスタット+VEN+AZA+CAG療法、初発AMLの新レジメンとなるか
HDAC阻害薬ツシジノスタット+VEN+AZA+CAG療法、初発AMLの新レジメンとなるか
公開日:2025年2月28日 Yang J, et al. Int Immunopharmacol. 2025 Feb 21. [Epub ahead of print]  急性骨髄性白血病(AML)は、死亡率の高い非常に異質な造血器悪性腫瘍である。AML治療において、エピジェネティック療法が重要な役割を果たすことが期待されている。しかし、複数のエピジェネティック作用薬と従来の化学療法との併用による臨床アウトカムは、いまだ明らかになっていない。中国・The Fifth Medical Center of Chinese PLA General HospitalのJingjing Yang氏らは、AML患者を対象に、CAG療法およびベネトクラクス+アザシチジンを組み合わせたVEN+AZA+CAG療法にHDAC阻害薬ツシジノスタットを併用した際の臨床的安全性および有効性を評価するため、第II相試験を実施した。International Immunopharmacology誌オンライン版2025年2月21日号の報告。  対象患者には、アクラルビシン(day1、3、5:10mg/m2)、シタラビン(day1〜5:75mg/ m21日2回)、G-CSF(5μg/kg/日)ベネトクラクス(day1:100mg、day2:200mg、day3〜14:400mg)、アザシチジン(day1〜7:75 mg/m2)、ツシジノスタット(30mg週2回、2週間)による導入療法を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・1コース後の全奏効率(OR)は96.7%、複合完全奏効率(CR)93.3%。 ・NCCNリスク分類不良な患者における複合CRは86.7%。 ・2コース後の複合CRは100%であった。 ・12ヵ月間の全生存率(OS)は69.7%。 ・導入療法後の回復までの中央値は、血小板数5万/μL以上の場合で19日、好中球絶対数が500cell/μL以上の場合で17日であった。 ・シングルセルRNAシーケンシングでは、腫瘍細胞を除去したのち、ほとんどの免疫細胞の割合に大きな変化は認められなかった。  著者らは「ツシジノスタット+VEN+AZA+CAG療法は、新たに診断されたAML患者に対において良好なCRを達成し、とくに不良リスクの患者で顕著であった。また、本レジメンは、細胞免疫にほとんど影響を及ぼさないことも確認された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Yang J, et al. Int Immunopharmacol. 2025 Feb 21. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39986194 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
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