「血液内科 Journal Check」の記事一覧

移植適応のない多発性骨髄腫の1stライン、DLd療法 vs. BLd療法
移植適応のない多発性骨髄腫の1stライン、DLd療法 vs. BLd療法
公開日:2024年11月12日 Hansen DK, et al. Cancer Med. 2024; 13: e70308.  未治療で移植適応のない多発性骨髄腫(MM)に対して、ダラツムマブ+レナリドミド+デキサメタゾン(DLd療法)が推奨されている。しかし、DLd療法とボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(BLd療法)のランダム化直接比較試験は、これまで行われていない。米国H. Lee Moffitt Cancer CenterのDoris K. Hansen氏らは、DLd療法とBLd療法における次回治療までの期間(TTNT)または死亡リスクの比較を行った。Cancer Medicine誌2024年11月号の報告。  1stラインでDLd療法またはBLd療法を行った新規MM患者を、Acentrusデータベース(2018年1月〜2023年5月)より特定した。造血幹細胞移植歴のある患者または65歳未満の患者は、移植適応のない集団の分析を限定するため、除外した。逆確率重み付け法(IPTW)を用いて、ベースラインの患者特性を調整した。両群間のTTNTまたは死亡リスクを比較するため、doubly robust Cox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・DLd療法群149例、BLd療法群494例。 ・重み付け後(weighted NDLd:302例、weighted NBLd:341例)、両群とも同様のベースライン特性を示した。 ・このうち、その後の治療を受けるまたは死亡した患者の割合は、DLd療法群32.4%(98例)、BLd療法群51.2%(175例)であり、TTNIまたは死亡の中央値は、DLd療法群で37.8ヵ月、BLd療法群で18.7ヵ月であった(ハザード比:0.58、95%CI:0.35〜0.81、p<0.001)。  著者らは「未治療で移植適応のないMM患者に対するDLd療法は、BLd療法と比較し、TTNTまたは死亡リスクが42%低下することから、移植適応のない新規MM患者に対する1stラインとして、DLd療法がより有効であることが裏付けられた」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Hansen DK, et al. Cancer Med. 2024; 13: e70308.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39486091 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性FLに対するmosunetuzumabの3年間フォローアップ調査/Blood
再発・難治性FLに対するmosunetuzumabの3年間フォローアップ調査/Blood
公開日:2024年11月11日 Sehn LH, et al. Blood. 2024 Oct 24. [Epub ahead of print]  抗CD20/CD3二重特異性抗体mosunetuzumabは、細胞傷害性T細胞を介した免疫を活性化し、CD20を有する腫瘍細胞に対して抗腫瘍効果をもたらす薬剤である。カナダ・BC CancerのLaurie H. Sehn氏らは、2レジメン以上の治療歴を有する再発・難治性濾胞性リンパ腫(FL)患者90例を対象に、固定期間のmosunetuzumabにおける3年間(中央値:37.4ヵ月)の有効性および安全性を検討した第I/II相試験の最新データを報告した。Blood誌オンライン版2024年10月24日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・治験責任医師が評価した完全奏効(CR)率60.0%(95%CI:49.1〜70.2)、客観的奏効率(ORR)77.8%(95%CI:67.8〜85.9)。 ・奏効が認められた70例における奏効期間中央値は、35.9ヵ月(95%CI:20.7〜NE)。 ・CR達成患者54例のうち、治療終了時にCRを維持していた患者は49例、CR期間中央値は未達(95%CI:33.0〜NE)、カプランマイヤー推定による30ヵ月寛解率は72.4%(95%CI:59.2〜85.6)。 ・推定36ヵ月全生存率(OS)は82.4%(95%CI:73.8〜91.0)、OS中央値は未達(95%CI:NE〜NE)であった。 ・無増悪生存期間(PFS)中央値は24.0ヵ月(95%CI:12.0〜NE)。 ・mosunetuzumab治療8サイクル後、CD19陽性B細胞回復までの期間中央値は18.4ヵ月(95%CI:12.8〜25.0)。 ・新たなサイトカイン放出症候群、致死的、重篤なイベントまたはグレード3以上の有害事象は認められなかった。  著者らは「再発・難治性FLに対するmosunetuzumabは、長期的な奏効率の高さ、持続的な寛解、長期的な懸念のない管理可能な安全性を有していることが確認された。本結果は、外来患者へのmosunetuzumabが、高リスク患者を含む再発・難治性FL患者に対する安全かつ効果的な治療薬であることを裏付けている」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Sehn LH, et al. Blood. 2024 Oct 24. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39447094 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
AML/MDSに対するVEN+AZAはリアルワールドでも支持されるか
AML/MDSに対するVEN+AZAはリアルワールドでも支持されるか
公開日:2024年11月8日 Acar IH, et al. Medicina (Kaunas). 2024; 60: 1623.  急性骨髄性白血病(AML)と骨髄異形成症候群(MDS)は、いずれもクローン性血液悪性腫瘍であり、主に高齢者で発症する。AML/MDSの現在の治療は、その種類も有効性も限られている。トルコ・Osmaniye State HospitalのIbrahim Halil Acar氏らは、AML/MDSにおけるベネトクラクスベースの治療における全生存割合(OS)、無再発生存割合(RFS)に焦点を当てて評価し、この関連に関するリアルワールドデータを詳しく調査した。Medicina誌2024年10月4日号の報告。  2019年1月〜2022年7月にベネトクラクスでの治療を行った18歳以上のAML/MDS患者を対象に、臨床データおよび検査データを収集した。生存率分析は、2019〜23年の期間に基づき算出した。 主な結果は以下のとおり。 ・対象は、AML患者161例、MDS患者40例。 ・年齢中央値は、AML患者で63.53±15.30歳、MDS患者で70.12±10.21歳。 ・男性の割合は、両群ともに55%以上であった。 ・ベネトクラクス治療前に前治療を行っていた患者の割合は、AML患者77.6%、MDS患者75.0%。 ・ベネトクラクスをアザシチジンと併用していた患者の割合は、AML患者84.5%、MDS患者67.5%。 ・AML患者の再発率は、約15%であった。 ・全体における2年生存率は46%(18.73ヵ月)。 ・全体的なCR/CRi率は、AML患者で49.1%、MDS患者で50%であった。 ・MDS患者の2年生存率は52.7%。 ・2年RFSは、AML患者で75.5%、MDS患者で90.9%。 ・グレード3以上の毒性を有する患者において、治療中止につながる有害事象の割合は低く、AML患者で26.7%(43例)、MDS患者で15%(6例)であった。  著者らは「本リアルワールドデータにおいて、ベネトクラクスと脱メチル化薬の併用療法は、全生存率の向上に寄与する可能性があり、AML/MDS患者に対する使用が支持された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Acar IH, et al. Medicina (Kaunas). 2024; 60: 1623.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39459410 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
未治療で移植適応のあるMM患者の導入療法にBLD療法+ダラツムマブが有用
未治療で移植適応のあるMM患者の導入療法にBLD療法+ダラツムマブが有用
公開日:2024年11月7日 Voorhees PM, et al. Future Oncol. 2024 Oct 25. [Epub ahead of print] Voorhees PM, et al. Lancet Haematol. 2023; 10: e825-e837.  未治療で自家造血幹細胞移植適応(HSCT)のある多発性骨髄腫(MM)患者に対するボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(BLD療法)にダラツムマブを追加したD-BLD導入療法およびその後のダラツムマブ+レナリドミドによるD-L維持療法の有効性および安全性を検討したGRIFFIN試験が行われた。米国・ウェイクフォレスト大学のPeter M. Voorhees氏らは、GRIFFIN試験の最終分析結果を報告した。Future Oncology誌オンライン版2024年10月25日号の報告。  GRIFFIN試験は、米国の研究センター35施設で実施された非盲検ランダム化実薬対照第II相試験である。対象は、未治療で自家造血幹細胞移植適応のある新規MM患者(年齢:18〜70歳、ECOG PS:0〜2)。対象患者は、D-BLD導入療法(4回)+自家HSCT+D-BLD強化療法(2回)+D-L維持療法(2年)を行ったD-BLD群104例またはBLD導入療法(4回)+自家HSCT+BLD強化療法(2回)+レナリドミド単剤維持療法(2年)を行ったBLD群103例にランダムに割り付けられた。主要エンドポイントは、評価可能集団における強化療法終了時までの厳格な完全奏効(sCR)。副次的エンドポイントには、完全奏効(CR)、最良部分奏効(VGPR)、微小残存病変(MRD)陰性化率、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを含めた。本報告では、アウトカム不良と関連する患者の特徴または人工統計学的要因、患者QOLに及ぼす影響についても報告した。 主な結果は以下のとおり。 【有効性】 ・フォローアップ期間中央値は49.6ヵ月(IQR:47.4〜52.1)。 ・D-BLD群は、BLD群と比較し、sCR、4年PFS、病勢進行または死亡リスクに対するハザード比(HR)の改善が認められた。 【sCR】D-BLD群:67%(100例中67例) vs. BLD群:48%(98例中47例)、オッズ比:2.18(95%CI:1.22〜3.89)、p=0.0079 【4年PFS】D-BLD群:87.2%(95%CI:77.9〜92.8) vs. BLD群:70.0%(95%CI:55.9〜80.3) 【病勢進行または死亡リスク】HR:0.45(95%CI:0.31〜2.56、p=0.84 ・OS中央値は、両群ともに未達であった(HR:0.90、95%CI:0.31〜2.56、p=0.84)。 ・D-BLD群は、MM細胞およびMMマーカー(生物学的指標)のレベルが非常に低く(未検出)、標準的なBLD療法群と比較し、病勢進行や再発リスクが低く、生存率の改善が認められた。 ・アウトカム不良リスクを有する患者においても、同様のメリットが達成可能な患者パターンも確認された。 ・D-BLD群は、疼痛や疲労(極度の疲労)の軽減が認められ、日常の身体活動能力に大幅な改善が認められた。 【安全性】 ・D-BLD群およびBLD群で治療中に発生したグレード3以上の有害事象は以下のとおり。 【好中球減少】D-BLD群:46%(99例中46例) vs. BLD群:23%(102例中23例) 【リンパ球減少】D-BLD群:23%(99例中23例) vs. BLD群:23%(102例中23例) 【白血球減少】D-BLD群:17%(99例中17例) vs. BLD群:8%(102例中8例) 【血小板減少】D-BLD群:16%(99例中16例) vs. BLD群:9%(102例中9例) 【肺炎】D-BLD群:12%(99例中12例) vs. BLD群:14%(102例中14例) 【低リン血症】D-BLD群:10%(99例中10例) vs. BLD群:11%(102例中11例) ・重篤な治療関連有害事象の発生率は、D-BLD群で46%(99例中46例)、BLD群で52%(102例中53例)であった。 ・維持療法における、新たな安全性の懸念は認められなかった。 ・D-BLD導入療法により、一部の副作用の増加が認められたが、両群の副作用は想定範囲内であり、ダラツムマブ追加による治療性能の低下は認められなかった。  著者らは「未治療で自家造血幹細胞移植適応のある新規MM患者に対するD-BLD導入療法後のD-L維持療法は、標準的な治療と比較し、有用であると考えられる」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Voorhees PM, et al. Future Oncol. 2024 Oct 25. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39452950 Voorhees PM, et al. Lancet Haematol. 2023; 10: e825-e837.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/37708911 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
PCNSLの生存率改善に効果的な治療はどの組み合わせか?
PCNSLの生存率改善に効果的な治療はどの組み合わせか?
公開日:2024年11月6日 de Groot FA, et al. Eur J Cancer. 2024 Oct 13. [Epub ahead of print]  中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)は、稀であるため、大量メトトレキサート(MTX)ベースのさまざまな治療レジメンの評価が十分に行われているとはいえない。オランダ・ライデン大学メディカルセンターのFleur A. de Groot氏らは、PCNSLに対する5つの大量MTXベースの多剤化学療法レジメンと2つの地固め療法後の臨床的特徴およびアウトカム(無増悪生存期間[PFS]、全生存期間[OS]、疾患特異的生存率[DSS])を評価するため、レトロスペクティブ多施設共同研究を実施した。European Journal of Cancer誌オンライン版2024年10月13日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・対象は、組織学的にPCNSLと確認され、大量MTXベースの治療(3g/m2/サイクル以上)を1サイクル以上行った患者346例。 ・レジメンには、MATRix(大量MTX+大量シタラビン[AraC]+チオテパ+リツキシマブ)、MBVP±HD-AraC±R(大量MTX+teniposide /エトポシド+カルムスチン+プレドニゾロン±大量AraC±リツキシマブ)、MP±R(大量MTX+プロカルバジン±リツキシマブ)、大量MTX+大量AraCを含めた。 ・導入後の全奏効(OR)率は69%、完全奏効(CR)率は28%、病勢進行は29%(100例)で観察された。 ・地固め療法を行った患者は126例(36%)。内訳は、HD-BCNU-TT/ASCT(大量BCNU/チオテパ+自家幹細胞移植)59例(17%)、全脳放射線療法67例(19%)。 ・多変量予後予測による死亡リスク不良に関連する臨床的特徴は、次のとおりであった。 【60歳超】HR:1.61、p=0.011 【LDH上昇】HR:1.75、p=0.004 【WLOステータス2以上】HR:1.56、p=0.010 ・大量AraCを含む導入レジメンは、含まないレジメンと比較し、生存率に有意なベネフィットをもたらした(HR:0.59、p=0.002)。 ・HD-BCNU-TT/ASCT(HR:0.44)または全脳放射線療法(HR:0.42)のどちらを優先するかに関わらず、地固め療法のベネフィットが確認された(p<0.001)。地固め療法は時間依存変数であった。 ・競合リスク分析では、地固め療法を行った患者と行わなかった患者では、リンパ腫に関連しない死亡率はいずれも低かった。  著者らは「PCNSLの死亡リスクには、年齢、LDH上昇、WHOステータスが関連することが確認された。大量AraCを含むレジメンおよびHD-BCNU-TT/ASCTまたは全脳放射線療法による地固め療法は、良好な生存率との関連が認められた」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら de Groot FA, et al. Eur J Cancer. 2024 Oct 13. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39427440 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
TP53変異MCLの第一選択に期待されるザヌブルチニブ+オビヌツズマブ+ベネトクラクス併用療法/Blood
TP53変異MCLの第一選択に期待されるザヌブルチニブ+オビヌツズマブ+ベネトクラクス併用療法/Blood
公開日:2024年11月5日 Kumar A, et al. Blood. 2024 Oct 22. [Epub ahead of print]  TP53変異を有するマントル細胞リンパ腫(MCL)は、標準的な免疫化学療法では生存率が不良であることが知られている。抗CD20モノクローナル抗体の有無に関わらず、BTKとBCL-2を阻害することでTP53変異を有するMCLに対する有効性が示唆されている。 米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのAnita Kumar氏らは、未治療のTP53変異を有するMCL患者を対象に、BTK阻害薬ザヌブルチニブ+抗CD20モノクローナル抗体オビヌツズマブ+BCL-2阻害薬ベネトクラクス併用療法の多施設共同第II相試験を実施した。Blood誌オンライン版2024年10月22日号の報告。  未治療のTP53変異を有するMCL患者に対し、1日目にザヌブルチニブ160mgを1日2回およびオビヌツズマブの投与を行った。サイクル1の1、8、15日目およびサイクル2〜8の1日目にオビヌツズマブ1,000mgを投与した。2サイクル以降、ベネトクラクスを週1回漸増しながら400mg /日まで増量し、追加した。24サイクル後、免疫シークエンシングアッセイで微小残存病変(MRD)が検出されず、患者が完全寛解(CR)となった場合、治療を中止した。主要エンドポイントは、2年無増悪生存期間(PFS)とした。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者数は25例。 ・最良総合効果(best overall response)は96%(24例)、完全奏効(CR)率は88%(22例)であった。 ・13サイクルでのMRD陰性(uMRD)は、uMRD5で95%(19例中18例)、uMRD6で84%(19例中16例)。 ・フォローアップ期間中央値は28.2ヵ月、2年PFS達成率は72%、疾患特異的生存率(DSS)は91%、全生存率(OS)は76%であった。 ・副作用は、一般的に軽度であり、下痢(64%)、好中球減少(32%)、輸注反応(24%)などが認められた。  著者らは「ザヌブルチニブ+オビヌツズマブ+ベネトクラクス併用療法は忍容性が良好であり、TP53変異を有するMCLに対する有効性が示された。本結果は、高リスク集団に対するザヌブルチニブ+オビヌツズマブ+ベネトクラクス併用療法レジメン使用および評価を裏付けるものである」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kumar A, et al. Blood. 2024 Oct 22. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39437708 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
ステロイド抵抗性慢性GVHDに対するイブルチニブ〜多施設共同リアルワールド解析/Blood Adv
ステロイド抵抗性慢性GVHDに対するイブルチニブ〜多施設共同リアルワールド解析/Blood Adv
公開日:2024年11月1日 Pidala JA, et al. Blood Adv. 2024 Oct 25. [Epub ahead of print]  米国・H. Lee Moffitt Cancer Center and Research InstituteのJoseph A. Pidala氏らは、ステロイド治療抵抗性の慢性移植片対宿主病(GVHD)に対するイブルチニブ治療のリアルワールドでの有効性および安全性を評価するため、多施設共同レトロスペクティブ研究を実施した。Blood Advances誌オンライン版2024年10月25日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・対象データは、19施設より標準的に収集された270例。 ・慢性GVHDの臓器別内訳は、皮膚(75%)、眼球(61%)、口腔(54%)、筋/関節(47%)、消化管(26%)、肺(27%)、肝臓(19%)、生殖器(7%)、その他(4.4%)。 ・NIHの重症度は、軽症5.7%、中等症42%、重症53%。 ・重複型は39%にみられた。 ・KPSは80%以上が72%であった。 ・プレドニゾロンの用量中央値は0.21mg/kg(0〜2.27)。 ・イブルチニブは、慢性GVHD発症後、18.2ヵ月(中央値)で開始され、より早期の治療ラインで用いられていた(2次:26%、3次:30%、4次:21%、5次:9.6%、6次:10%、7次以降:1.2%)。 ・評価可能な対象患者のうち、6ヵ月のNIH全奏効率(CR/PR)は45%であった(PR:42%、CR:3%)。 ・奏効期間中央値は15ヵ月(1〜46)。 ・肝臓病変と6ヵ月全奏効率との関連が認められた(多変量OR:5.49、95%CI:2.3〜14.2、p<0.001)。 ・Best overall response(BOR)は56%であり、その多くは1〜3ヵ月で達成していた(86%)。 ・生存者のフォローアップ期間中央値は30.5ヵ月。 ・治療成功生存期間(FFS)は、6ヵ月で59%(53〜65)、12ヵ月で41%(36〜48)。 ・多変量解析では、高齢、ベースライン時のプレドニゾロン高用量、肺病変は、FFS不良と関連が認められた。 【高齢】HR:1.01、95%CI:1.00〜1.02、p=0.033 【ベースライン時のプレドニゾロン高用量】HR:1.92、95%CI:1.09〜3.38、p=0.032 【肺病変】HR:1.58、95%CI:1.10〜2.28、p=0.016 ・イブルチニブ中止の主な因子は、慢性GVHDの進行(44%)、毒性(42%)であった。  著者らは「リアルワールドにおけるイブルチニブのステロイド抵抗性慢性GVHDに対する有効性が確認された。本検討により、奏効率やFFSに関連する新たな洞察および治療中止と関連する毒性プロファイルが示された」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Pidala JA, et al. Blood Adv. 2024 Oct 25. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39454280 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
AMLに対するアザシチジン+ベネトクラクス短縮レジメンの有用性
AMLに対するアザシチジン+ベネトクラクス短縮レジメンの有用性
公開日:2024年10月31日 Fleischmann M, et al. Ann Hematol. 2024 Oct 25. [Epub ahead of print]  現在、ベネトクラクスと脱メチル化薬との併用療法は、強化化学療法が適応とならない高齢者急性骨髄性白血病(AML)に対する標準治療となっている。その有効性は良好であるにもかかわらず、臨床では寛解後の血球減少を伴うことが多く、治療期間の延長や用量変更を余儀なくされることも少なくない。ドイツ・ライプツィヒ大学のMaximilian Fleischmann氏らは、ベネトクラクスの治療期間を短縮したレジメンを使用した場合の有効性および安全性を評価するため、多施設共同研究を実施した。Annals of Hematology誌オンライン版2024年10月25日号の報告。  対象は、2021〜24年、ドイツの学術センター4施設において、ベネトクラクス(7日間投与:9例、14日間投与:11例)+5-アザシチジン(5〜7日間投与)併用療法による1stライン治療を行った成人AML患者20例。アウトカム指標には、骨髄奏効、輸血依存、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)を含めた。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者の年齢中央値は73.5歳、二次性AMLが70%。 ・分子的な有害リスクは75%の患者で認められた。 ・全体として、全奏効(OR)率は100%、複合完全寛解(CR)率は78%であった。 ・ベネトクラクスの7日間投与と14日間投与との間に、奏効率の有意な差は認められなかった。 ・OS中央値は15ヵ月。 ・感染症関連の合併症は、55%に認められ、重度の敗血症が20%で認められた。  著者らは「AMLに対するアザシチジン+ベネトクラクス短縮レジメンは、標準レジメンと同等の有効性を示し、血液毒性を軽減する可能性が示唆された。これらの結果は、副作用を最小限にコントロールしながら、臨床アウトカムを最適化するための個別化治療の必要性を裏付けている」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Fleischmann M, et al. Ann Hematol. 2024 Oct 25. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39453477 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
FLに対する二重特異性抗体 vs. CAR-T細胞療法
FLに対する二重特異性抗体 vs. CAR-T細胞療法
公開日:2024年10月30日 Morabito F, et al. Eur J Haematol. 2024 Oct 27. [Epub ahead of print]  再発・難治性濾胞性リンパ腫(FL)の治療は、CAR-T細胞療法と二重特異性抗体の間で、議論の的となっている。いずれの薬剤も免疫生物学的および分子学的マーカーを標的としているが、臨床試験における直接比較が行われていないため、有効性の比較は不明なままである。イタリア・Gruppo Amici Dell'Ematologia FoundationのFortunato Morabito氏らは、再発・難治性FLに対する二重特異性抗体とCAR-T細胞療法の比較を行うため、文献レビューを実施した。European Journal of Haematology誌オンライン版2024年10月27日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・ZUMA-5試験などの重要な試験において、再発・難治性FLに対してアキシカブタゲン シロルユーセル(axi-cel)は、完全奏効(CR)率79%、奏効期間中央値3年以上を達成しており、その有効性が報告されている。 ・同様に、TRANSCEND FL試験において、リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel)は、CR率94%と報告されており、複数の治療歴を有する(heavily pretreated)患者における良好なアウトカムが示されている。 ・二重特異性抗体mosunetuzumabは、GO29781試験において、有望なアウトカムを示しており、heavily pretreatedの再発・難治性FL患者における全奏効(OR)率は62%であった。 ・CAR-T細胞療法は、1回の輸注で治療効果が得られる可能性があるものの、サイトカイン放出症候群(CRS)、神経毒性、血球減少などの重篤な有害事象のリスクもあるため、専門的なマネジメントおよび患者モニタリングが必要となる。 ・対照的に、二重特異性抗体は、CAR-T細胞療法と比較し、奏効率が低く、頻繁な投与が求められる点でリスク/ベネフィットが相殺されるが、より許容度の高い治療オプションでると考えられる。 ・CAR-T細胞療法と二重特異性抗体では、有効性・安全性プロファイルが異なるため、個別化治療戦略が不可欠である。 ・費用対効果を考慮する際には、両治療法における臨床アウトカムおよびQOLの改善の観点から評価する必要がある。CAR-T細胞療法は、初期費用が高額になるが、長期間寛解の可能性により反復治療や入院に伴う費用が軽減される可能性がある。  著者らは「今後の研究により、耐性メカニズムや最適な治療の順序が明らかになることで、再発・難治性FLのマネジメント戦略は、さらに改善されると考えられる」とまとめている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Morabito F, et al. Eur J Haematol. 2024 Oct 27. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39462177 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
7つのMM承認モノクローナル抗体の神経精神学的有害事象〜FDA有害事象報告分析
7つのMM承認モノクローナル抗体の神経精神学的有害事象〜FDA有害事象報告分析
公開日:2024年10月29日 Cicala G, et al. Pharmaceuticals (Basel). 2024; 17: 1266.  多発性骨髄腫(MM)の治療において、モノクローナル抗体は、革命をもたらした。しかし、モノクローナル抗体の神経精神学的安全性に関する市販後のデータは限られている。イタリア・メッシーナ大学のGiuseppe Cicala氏らは、MMに用いられるモノクローナル抗体に関連する神経精神学的有害事象を評価するため、FDA有害事象報告システム(FAERS)を用いて、レトロスペクティブファーマコビジランス分析を行なった。Pharmaceuticals(Basel, Switzerland)誌2024年9月25日号の報告。  2015〜23年の個別症例安全性報告(ICSR)より、1つ以上の神経精神学的有害事象が認められ、MMに承認されているモノクローナル抗体(ダラツムマブ、エロツズマブ、イサツキシマブ、belantamab、teclistamab、エルラナタマブ、talquentamab)を使用していた報告を、記述的および不均衡アプローチを用いて分析した。 主な結果は以下のとおり。 ・不均衡性に基づくデータマイニング手法を用いて検出されたSignals of Disproportionate Reporting(SDR)の未知のシグナルには、次の神経精神学的有害事象が含まれた。 【脳梗塞】 ・ダラツムマブ:45件(報告オッズ比[ROR]:2.39、95%信頼区間[CI]:1.79〜3.21、information component(IC):1.54、IC025-IC075:1.05〜1.90) ・エロツズマブ:25件(ROR:7.61、95%CI:5.13〜11.28、IC:3.03、IC025-IC075:2.37〜3.51) ・イサツキシマブ:10件(ROR:2.56、95%CI:1.38〜4.76、IC:1.67、IC025-IC075:0.59〜2.40) 【精神状態の変化】 ・ダラツムマブ:40件(ROR:2.66、95%CI:1.95〜3.63、IC:1.67、IC025-IC075:1.14〜2.04) ・belantamab:10件(ROR:4.23、95%CI:2.28〜7.88、IC:2.30、IC025-IC075:1.22〜3.03) 【変性意識状態】 ・ダラツムマブ:32件(ROR:1.97、95%CI:1.39〜2.78、IC:1.32、IC025-IC075:0.73〜1.74) ・belantamab:6件(ROR:2.35、95%CI:1.05〜5.23、IC:1.60、IC025-IC075:0.19〜2.52) 【ギランバレー症候群】 ・ダラツムマブ:23件(ROR:6.42、95%CI:4.26〜9.69、IC:2.81、IC025-IC075:2.11〜3.30) ・イサツキシマブ:8件(ROR:10.72、95%CI:5.35〜21.48、IC:3.57、IC025-IC075:2.35〜4.37) ・エロツズマブ:3件(ROR:4.74、95%CI:1.53〜14.7、IC:2.59、IC025-IC075:0.52〜3.80) 【起立不耐症】 ・ダラツムマブ:10件(ROR:12.54、95%CI:6.71〜23.43、IC:3.75、IC025-IC075:2.67〜4.48) ・エロツズマブ:4件(ROR:28.31、95%CI:10.58〜75.73、IC:5.00、IC025-IC075:3.24〜6.08)  著者らは「本分析により、MMに承認されているモノクローナル抗体のこれまで認識されていなかったいくつかのSDRが明らかとなった。ギランバレー症候群を含む一部の神経精神疾患については、有害事象の病因が複雑であり、完全には解明されていないため、さらなる調査が求められる」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Cicala G, et al. Pharmaceuticals (Basel). 2024; 17: 1266.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39458907 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
輸血依存性低リスクMDSに対するルスパテルセプトの治療効果をさらに向上させるポイントは
輸血依存性低リスクMDSに対するルスパテルセプトの治療効果をさらに向上させるポイントは
公開日:2024年10月28日 Jonasova A, et al. Front Oncol. 2024: 14: 1398331.  赤血球成熟促進薬ルスパテルセプトは、TGF-βシグナル伝達経路を阻害する薬剤であり、赤血球造血刺激因子(ESA)療法で治療反応が得られないまたは適さない輸血依存性の低リスク骨髄異形成症候群(MDS)に伴う貧血患者に対する新たな治療薬である。チェコ・カレル大学のAnna Jonasova氏らは、チェコの血液センター2施設におけるルスパテルセプトのリアルワールドデータを報告した。Frontiers in Oncology誌2024年10月2日号の報告。  対象は、2024年1月までに、カレル大学血液センター2施設(プラハおよびフラデツ・クラーロヴェー)で、ルスパテルセプト±ESAによる治療を行ったMDS患者54例(平均年齢:74歳、範囲:55〜95歳、男性:33例、女性:21例)。WHO2016分類では、MDS-RS-MLDが32例、MDS-MLDが7例、5q-+RSが2例、RARS-Tが12例、CMML-0+RSが1例であった。SF3B1変異のデータが入手可能であった患者は45例。4例のIPSS-M高リスクを除き、すべての患者がIPSS-RおよびIPSS-Mの低リスクに分類された。フォローアップ期間中央値は17ヵ月(範囲:1〜54)。すべての患者が輸血依存であった。8週間当たり4単位以上の高輸血依存患者は35例(64.8%)、4単位未満の低輸血依存患者は19例(35.2%)であった。診断からルスパテルセプト投与開始までの期間中央値は27ヵ月(範囲:4〜156)。ルスパテルセプト使用前にESAを使用していた患者は45例、第1選択薬としてルスパテルセプトを使用した患者は9例。ESAと併用した患者は31例(61%)であった。 主な結果は以下のとおり。 ・ルスパテルセプトを8週間以上投与した51例を評価した。 ・輸血非依存の達成率は、8週間以上が32例(62.7%)、12週間以上が31例(60.7%)、16週間以上が29例(56.8%)、24週間以上が25例(49%)であった。 ・輸血非依存でない血液学的改善が6例(11.7%)で認められた。 ・全体として、血液学的改善+輸血非依存を達成した患者は38例(74.5%)であった。 ・エポエチン アルファを併用した患者は31例(60.7%)。 ・治療反応が認められたすべての患者のうち21例(55.2%)において、エポエチン アルファとの併用により治療反応が改善し、16例で非輸血依存を達成した。 ・効果不十分であった患者は13例(25.5%)。再度、輸血依存に至った患者は8例(21%)。 ・ルスパテルセプトによる最適な治療反応を得るためには、最大35例において1.75mg/kgまで増量する必要があり、血液学的改善+輸血非依存を達成した患者は23例であった。 ・治療反応率は、輸血依存度により異なり、低輸血依存患者では79%、高輸血依存患者では50%が非輸血依存を達成した。 ・RS+患者では、非輸血依存達成率が70%であったのに対し、RS−患者では5人に1人だけだった。 ・SF3B1陽性患者39例の非輸血依存達成率は61.6%。 ・IPSS-MリスクがLow、Very lowの患者における血液学的改善+輸血非依存達成率は86%であったが、Moderate lowの患者では62%であった。 ・ルスパテルセプトは忍容性が良好であり、グレード2超の有害事象は認められなかった。  著者らは「実臨床におけるルスパテルセプトの輸血依存性MDSに対する有効性が確認された。とくに、IPSS-MリスクがLow、Very lowの患者に対して有用であると考えられる。このように良好な治療反応率を達成できた要因として、高用量(1.75mg/kg)での使用およびESAの併用を積極的に行ったことが影響していると推察される」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Jonasova A, et al. Front Oncol. 2024: 14: 1398331.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39416466 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性CLLの治療選択、新規薬剤の安全性プロファイル比較〜ネットワークメタ解析
再発・難治性CLLの治療選択、新規薬剤の安全性プロファイル比較〜ネットワークメタ解析
公開日:2024年10月25日 Monica M, et al. Ther Adv Med Oncol. 2024: 16: 17588359241285988.  ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬、ホスファチジルイノシトール-3キナーゼ(PI3K)阻害薬、B細胞性リンパ腫-2(BCL-2)阻害薬など、新たな白血病治療薬の登場により再発・難治性慢性リンパ性白血病(CLL)の治療アウトカムは、有意に改善した。治療薬の進歩にも関わらず、これらの新規薬剤と従来の化学療法や免疫療法に関する総合的な安全性プロファイルは、十分にわかっておらず、直接比較した研究もほとんどない。ポーランド・ヤギェウォ大学のMagdalena Monica氏らは、再発・難治性CLLにおける新規治療薬、化学療法、免疫療法の安全性プロファイルを比較するため、ベイジアンネットワークメタ解析を行った。Therapeutic Advances in Medical Oncology誌2024年10月9日号の報告。 再発・難治性CLLに関するランダム化比較試験(RCT)を特定するため、システマティック文献レビューを実施した。検索には、主要な医療データベース(MEDLINE、Embase、CENTRAL)およびグレード文献を含め、安全性アウトカムを評価するため、ベイジアンNMAフレームワークに統合した。 主な結果は以下のとおり。 ・安全性アウトカムを比較するための、RCT14件が特定された。 ・全体的な有害事象に関しては、治療法により違いが認められなかった。 ・ベンダムスチン+リツキシマブ(BR療法)は、イブルチニブ(リスク比[RR]:0.62 、95%信頼区間[CI]:0.40〜0.86)、アカラブルチニブ(RR:0.69、95%CI:0.45〜0.94)、zanubrutinib(RR:0.64、95%CI:0.42〜0.91)、ベネトクラクス+リツキシマブ(RR:0.87、95%CI:0.79〜0.96)と比較し、グレード3以上の有害事象に対する安全性プロファイルがより良好であった。 ・グレード3以上の有害事象、重篤な有害事象、有害事象による治療中止および死亡率は、アカラブルチニブ、zanubrutinib、ベネトクラクス+リツキシマブでは同等であった。 ・ベネトクラクス+リツキシマブとBTK阻害薬とのほとんどの比較において、血液学的イベント、QOLに影響を及ぼすイベント、感染症関連の安全性プロファイルに有意な差は認められなかった。 ・BTK阻害薬固有のイベントでは、zanubrutinibは、アカラブルチニブよりも高血圧(RR:2.96、95%CI:1.74〜5.16)および出血(RR:1.38、95%CI:1.06〜1.81)のリスクが高かった。 ・アカラブルチニブとzanubrutinibの心房細動リスクには、差が認められなかった(RR:1.56、95%CI:0.74〜3.34)。  著者らは「ベネトクラクス+リツキシマブ、アカラブルチニブ、zanubrutinibの安全性プロファイルは許容可能であり、再発・難治性CLLにおける推奨可能な治療オプションである可能性が示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Monica M, et al. Ther Adv Med Oncol. 2024: 16: 17588359241285988.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39391352 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
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